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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AYO4

有価証券報告書抜粋 富士フイルムホールディングス株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは、写真感光材料やドキュメント等の事業で培った材料化学、光学、解析、画像等の幅広い基盤技術のもと、機能性材料、ファインケミカル、エレクトロニクス、メカトロニクス、生産プロセス等の技術領域で多様なコア技術を有しています。現在、さまざまな分野でビジネスを展開している当社グループでは、これらの基盤技術とコア技術を融合した商品設計によって、重点事業分野への研究開発を進める一方、将来を担う新規事業の創出も進めています。
富士フイルム㈱は、2017年4月に総合試薬メーカーである和光純薬工業㈱を連結子会社化しました。今後、和光純薬とのシナジー創出により、既存ビジネスの最大化、競争力の高い新規製品の開発・提供等を通じて、ヘルスケア、高機能材料のさらなる事業成長を図っていきます。また、富士フイルム㈱、富士ゼロックス㈱及び富山化学工業㈱等のグループシナジーを強化するとともに、他社とのアライアンス、M&A及び産官学との連携を強力に推進し、新たな成長軌道を確立していきます。さらに、これまで富士フイルムグループが開発してきた優れた材料・製品を支える基盤技術やコア技術、開発中の新しい技術・材料・製品を直接触れていただきながら、ビジネスパートナーにソリューションを提案する施設「Open Innovation Hub」には、開設以来、日・米・欧3拠点合わせて延べ約1,500社・8,000名が来訪しました。ビジネスパートナーが持つ課題やアイデア、潜在的なニーズと自社の技術を結びつけ、画期的な新しい製品・技術・サービスを生み出す「共創」活動が活発に行なわれています。
当連結会計年度における研究開発費の総額は160,232百万円(前年度比1.7%減)、売上高比6.9%となりました。各セグメントに配賦していない汎用性の高い上記基盤技術の強化、新規事業創出のための基礎研究費は24,383百万円です。
当連結会計年度の主な研究開発の成果は次のとおりであります。
(1)イメージング ソリューション部門
フォトイメージング事業では、インスタントカメラinstax“チェキ”シリーズで初めてデジタルイメージセンサーとデジタル画像処理技術を搭載し、写真画質の大幅な向上及びプリント出力前の画像編集・加工を実現したハイブリッドインスタントカメラ「instax SQUARE SQ10」を開発し、発売しました。
光学・電子映像事業では、35mmフルサイズイメージセンサーの約1.7倍となる大型サイズ(43.8×32.9mm)のイメージセンサーを搭載した中判ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX 50S」と、大口径の専用交換レンズ「フジノン GFレンズ」3種を開発し、発売しました。「FUJIFILM GFX 50S」は、有効画素数5140万画素の「FUJIFILM Gフォーマット」センサー、高速画像処理エンジン「X-Processor Pro」、独自の色再現技術、「フジノン GFレンズ」との組み合わせで、富士フイルム史上最高画質を実現するハイエンドミラーレスデジタルカメラです。また、独自の色再現技術で卓越した写真画質を実現した「Xシリーズ」の最新モデルとして、高い機動性と優れた操作性を発揮する小型軽量ボディに、2430万画素のAPS-Cサイズ「X-Trans™ CMOS Ⅲ」センサーと高速画像処理エンジン「X-Processor Pro」を搭載したミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-T20」を開発、発売しました。さらに、4K対応の放送用ズームレンズとして小型・軽量なポータブルズームレンズ「FUJINON UA18×5.5」と「FUJINON UA14×4.5」を開発し、発売しました。「FUJINON UA18×5.5」は、質量約2.04kgながら、広角5.5mmから望遠100mmまでの焦点距離を1本でカバーし、報道や、各種番組制作のロケ等の機動力が必要とされる撮影現場にも対応します。「FUJINON UA14×4.5」は、全長約238.5mmの小型ボディで、超広角4.5mmの焦点距離を活かし、スポーツ中継や、各種番組制作のロケ等で奥行きのある臨場感溢れる映像を撮影することが可能です。
本部門の研究開発費は、8,190百万円となりました。

(2)インフォメーション ソリューション部門
メディカルシステム事業では、携帯型超音波画像診断装置「SonoSite Edge II」とフルフラット型超音波画像診断装置「SonoSite SII」の2製品を開発し、発売しました。「SonoSite Edge II」は、圧電素子の周辺設計を工夫することで、高精細な画像を実現する独自のデバイス技術「DirectClear™」をプローブに搭載し、超音波が届きにくい体内深部も鮮明に観察することが可能です。「SonoSite SII」は、モニターと操作部を一体化し、さらにタッチパネルを採用することで、高い操作性を実現しています。また、小型化と従来機比約5分の1の軽量化を実現した画期的な超軽量移動型デジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR CALNEO AQRO」を開発し、発売しました。本製品は、高画質なX線撮影が可能であることに加え、小型・軽量で機動性にも優れ、救急、集中治療室といったスペースが限られる医療現場でも素早い検査や画像確認といった最適なワークフローを提供します。さらに、光源に波長の異なる2種類のレーザーを用いた内視鏡システム「LASEREO」シリーズの新たなラインアップとして、「LASEREO 7000システム」、下部消化管用スコープ「EC-L600MP7」を開発し、発売しました。「LASEREO 7000システム」は、レーザー制御技術をさらに進化させることで、粘膜表層の血管や構造の観察に適したBLI機能を使用して中景・遠景を観察する際の視認性を高め、より精細な観察をサポートします。「EC-L600MP7」は、スクリーニング検査に適した先端部径11.1mmの細径スコープです。スコープ軟性部の硬さを任意に調整できる硬度調整機能を搭載し、スコープ先端部を大腸の深部までスムーズに挿入でき、大腸の内視鏡検査において、患者の身体的苦痛の軽減が期待されます。
医薬品事業では、バイオ医薬品のプロセス開発・製造受託事業をさらに拡大するために、米国においては、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies Texas, LLCが、生産能力増強のために、米国政府の助成を得て約100億円をかけて建設を進めてきた生産棟が完成し、今後、約30億円を投じてバイオ医薬品の生産に必要な設備を導入し、2018年初めに稼動させる予定です。また英国では、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited に、約10億円をかけてバイオ医薬品の生産プロセスの開発拠点を増設します。新拠点には、医薬品の成分等を高速で自動分析できる最先端機器や培養・精製の小スケール実験が全自動で行える最新鋭設備等を導入し、独自の高生産性細胞作製技術「Apollo™」と組み合せて、顧客ニーズに応じた高効率な生産プロセスをスピーディーに開発します。同拠点の開設は、2017年夏を予定しています。また、富士フイルムRIファーマ㈱は、悪性腫瘍、虚血性心疾患及びてんかんの診断を目的としたPET検査用放射性医薬品「フルデオキシグルコース(18F)静注「FRI」」の製造販売承認を取得しました。「フルデオキシグルコース(18F)静注「FRI」」は、より柔軟に検査予定時刻を設定でき、また検査に必要な放射能を過不足なく適切に投与することが可能となるよう、製造時に1バイアル中の放射能を一定の範囲内で調整して提供する放射性医薬品です。これにより臨床現場での利便性の向上や不要な被ばくの低減に貢献することが期待されます。
再生医療事業では、iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニーである米国Cellular Dynamics International, Inc.(以下、「CDI社」と記述します。)が、米国国立眼科研究所と、他家iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞を用いた加齢黄斑変性の治療に関する共同研究開発契約を締結しました。またCDI社は、世界で初めてiPS細胞から視細胞への分化誘導法を確立した網膜疾患治療の世界的権威であるDr. David Gammと、他家iPS細胞を用いた網膜疾患の治療法を開発する新会社Opsis Therapeutics, LLC.(以下、「Opsis Therapeutics」と記述します。)を米国に設立しました。今後Opsis Therapeuticsは、他家iPS細胞を用いた網膜疾患の治療法の開発を進め、本治療法に必要となる網膜色素上皮細胞と視細胞を組み合わせた再生医療製品を上市することで、再生医療の事業化を推進していきます。富士フイルム㈱は、他家iPS細胞由来の間葉系幹細胞を効率的に大量生産できる技術を確立しているオーストラリアの再生医療ベンチャーCynata Therapeutics Limited (以下、「Cynata社」と記述します。)への出資を行い、Cynata社は2017年5月にCDI社が提供した他家iPS細胞由来の間葉系幹細胞を用いた再生医療製品の臨床試験を開始しました。
ライフサイエンス事業では、「ASTALIFT」、「ASTALIFT WHITE」両シリーズの化粧水をリニューアル発売しました。「ASTALIFT」の化粧水である「アスタリフト モイストローション」には、「アスタキサンチン」と「ビタミンA」を組み合わせ、粒子径を世界最小クラス(2016年5月16日現在 富士フイルム㈱調べ)にナノ乳化した独自成分「ナノビタミンAx」と、その効果をサポートする「コラーゲンペプチド」で構成された複合成分「CLリフレッシャーⓇ」を配合しました。「ASTALIFT WHITE」の化粧水である「アスタリフト ホワイト ブライトローション」には、美白有効成分「アルブチン」に加え、シリーズ共通の美容成分「ナノAMA」と、くすみをケアする「フェルラ酸」を組み合わせた複合成分「ナノAMA+」を配合しました。また、「飲むアスタキサンチン」シリーズから、「飲むアスタキサンチン すっとねリッチ クロセチンプラス」を発売しました。「アスタキサンチン」に加えて、「クチナシ由来クロセチン」を配合し、健康な睡眠をサポートするだけでなく、肌の潤いも守る機能性表示食品です。
記録メディア事業では、一般財団法人 省エネルギーセンターが主催する2016年度「省エネ大賞」において、大容量磁気テープを使った省エネルギー型ビジネスモデルである「テープアーカイブアプライアンス」が「製品・ビジネスモデル部門」で「資源エネルギー庁長官賞」を受賞しました。このビジネスモデルをデータアーカイブストレージシステム「d:ternity(ディターニティ) オンサイト アーカイブ」として提供を開始しました。
グラフィックシステム事業では、完全無処理サーマルCTPプレート「SUPERIA ZD」を開発し、発売しました。「SUPERIA ZD」は、支持体表面処理技術「MGZ(Multi Grain Z)」やUVインクに対応するための「HDN(Hyper Dimension Networking)」技術の搭載により耐刷性が向上、「s-HDS(super Hydro Discrimination Surface)」技術により汚れにくさ、水幅の拡大を実現しました。また、超高速四六全サーマルデジタルプレートセッター「Luxel PLATESETTER T-9800HDN E/S/X」を開発し、発売しました。高感度サーマルCTPプレートとの組み合わせにより、「70版/時」の出力スピードを実現しました。
本部門の研究開発費は、66,194百万円となりました。

当社グループにおける新薬開発状況は以下のとおりです。(2017年6月現在)
開発番号薬効・適応症剤形地域状況
T-705抗インフルエンザウィルス薬経口米国PhⅢ実施中
T-3811キノロン系合成抗菌薬経口中国承認申請中
T-2307抗真菌薬注射米国PhⅠ終了
T-817MAアルツハイマー型認知症治療薬経口米国
日本
PhⅡ実施中
PhⅡ実施中
T-4288マクロライド系抗菌薬経口日本PhⅢ実施中
ITK-1去勢抵抗性前立腺がん治療薬注射日本PhⅢ実施中
FF-10501再発・難治性骨髄異形性症候群治療薬経口日本
米国
PhⅠ終了
PhⅡ実施中
FF-10502進行・再発膵がん/卵巣がん治療薬注射米国
欧/日
PhⅠ実施中
PhⅠ準備中
FF-21101進行・再発非小細胞肺がん/膵がん治療薬(Armed抗体)注射米国
欧/日
PhⅠ実施中
PhⅠ準備中
F-1311前立腺がん診断薬(放射性医薬品)注射日本PhⅡ実施中
FF-10101再発・難治性急性骨髄性白血病治療薬経口米国PhⅠ準備中
FF-10102自己免疫疾患治療薬経口米/欧/日非臨床試験実施中

(3)ドキュメント ソリューション部門
オフィス市場向けには、一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮できる多様な働き方を可能にする富士ゼロックス㈱の新コンセプト「Smart Work Gateway」を発表しました。コンセプト実現に向け、自社・他社クラウドサービスとの連携や、新たなユーザーエクスペリエンスを提供するデジタルカラー複合機「ApeosPort-VI C」8機種及び「DocuCentre-VI C」シリーズ8機種を、中国を含むアジア太平洋地域と日本で発売開始しました。中小規模事業所市場向けには、モバイル端末と連携し、窓口や店頭で便利に使えるA4カラープリンター複合機「DocuPrint CM310 z/DocuPrint CM210 z」及び、A4カラープリンター「DocuPrint CP310 dw/DocuPrint CP210 dw」を発売しました。エントリープロダクションカラー市場向けには、新開発「フィニッシャーD6」等、新たな後加工オプションをラインナップに追加し、オンデマンドプリントの多彩な製本ニーズと高まる製本品質へのニーズに応える「Versant 3100 Press」「Versant 180 Press」を発売しました。
ソリューション・サービス関連では、中小規模事業所の各種申請や報告業務を効率化するため、富士ゼロックス㈱のドキュメントハンドリングソフトウェア「DocuWorks」を活用した「申請・報告ソリューション」の提供を開始しました。また、人材開発システムの構築とコンテンツ制作を支援する中小企業向けクラウドサービス「SkyDesk Mixed Learning」の提供を開始しました。さらに、慶應義塾大学と内部構造・色・材料・接合強度情報を全て保持した世界初の3Dプリント用データフォーマット「FAV」を共同研究し、仕様を公開しました。「FAV」をデファクトスタンダードとすべく、3Dプリンターを活用した新しいものづくり環境をお客様と一緒に実現していきます。
本部門の研究開発費は、61,465百万円となりました。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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