有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S1009YOH
株式会社資生堂 研究開発活動 (2016年12月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、さまざまな技術の融合により世界中のお客さまの「美と健康」を実現する画期的な製品、サービスの実現をめざしています。横浜市のリサーチセンター(グローバルイノベーションセンター)をはじめ、米国、フランス、中国、シンガポールの各拠点において、研究開発活動を推進しています。当社の研究所は2016年に、その前身となる試験室開設から100周年を迎え、これまでに最新の皮膚科学と処方開発技術をもとに高品質な製品の開発を実現してきました。その研究開発力は外部から高い評価を受け、2016年も化粧品科学領域で最も権威のある研究発表会である「IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)Congress」において最優秀賞を受賞しました。また、グローバルレベルでのお客さま起点の研究開発を強化するため、5月に「アメリカイノベーションセンター」、11月に「中国イノベーションセンター」をそれぞれ拡張・機能強化しました。今後、今まで以上に現地ニーズを捉えた製品開発の実現や現地でのマーケティングとの連携を図っていきます。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は18,264百万円(売上高比2.1%)であり、商品カテゴリー別の研究成果は、以下のとおりです。なお、研究開発活動については、特定のセグメントに関連付けられないため、セグメント別の記載は行っていません。
(1) スキンケア
加齢に伴う肌のたるみの原因を明らかにするため、当社が培ってきた皮膚解析技術を応用し、皮膚の内部の微細な三次元構造を世界で初めて明らかにしました。加齢に伴い肌の深部が空洞化し、肌の弾力が失われ肌がたるむこと、肌の真皮が空洞化している部位では「汗腺」が加齢に伴い著しく委縮していることを発見しました。本知見に基づき、脂肪幹細胞に着目した抗たるみソリューションを「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「AUPRES」に応用しました。また、30~40代の女性が「シミ」とは違う「年齢とともに肌が暗くなる」状態を実感していることに着目し、肌の明るさにはコラーゲンの色だけでなくコラーゲン密度も影響することを発見しました。これまでの角層透明度、メラニン美白に加え、肌内部を白いコラーゲンで満たすソリューションを「エリクシールホワイト」へ採用し、従来のメラニン中心の肌色ケアから「コラーゲン×美白」へ深化を遂げ、大人の肌をうるおいとハリで満たし明るさに満ちた顔印象を実現しました。(2) メーキャップ
リップメークに関する意識調査により「女性の友達と会うときは、最もメークを意識するがあえて気合いを入れず、自然なつや仕上がりにする」傾向にあることが分かりました。また、自然なつやは「おしゃれ」な印象を与え、今後挑戦したい仕上がりとして高く評価されることが分かりました。この結果をもとに、「マキアージュ」では、自然なつや仕上がりとブランドコンセプトの「品のあるしなやかな色っぽさ」を実現するために、当社独自の2相分離技術と乳化技術、そして水溶性の色成分の融合による“ウオーターベース3相分離技術”を採用しました。水溶性の色成分で唇を染め内側からにじみ出る血色感のある彩りを与え、薄く均一な油膜による自然なつやのある新しい仕上がりを実現しました。ファンデーションでは、お客さま一人ひとりの肌本来の美しい肌印象を引き出すことをめざし、塗付することで崩れて軽く滑らかな使い心地を創出する「エアークッション処方」と肌にフィットしながらリキッドからパウダーに変化する当社独自の技術を「SHISEIDO」へ採用しました。世界中のお客さまにお届けした肌本来のいきいきとした肌色、ツヤ、明るさを引き出しながら肌との一体感が持続するこのリキッドファンデーションは、世界に数ある化粧品賞の中で最も権威ある、フランスのファッション・美容誌「マリ・クレール」が主催する2016年の最優秀化粧品賞「プリ・デクセランス」を受賞しました。(3) ヘアケア
10周年を迎えた「ツバキ」では、美容成分を髪の芯までいきわたらせ、髪内部に保つことで深いうるおいをもたらす「インナーモイストアップ処方」を採用し、ブランド史上最高の「艶」を実現しました。日本の大人の女性の魅力である、しっとり艶やかな髪から自然な「色気」をさらに引き出します。また、身だしなみに気を遣う男性が求める清潔感のあるナチュラルなヘアスタイルへのニーズに対し、伸縮可能で強靭な「アレンジポリマー成分」と固定力が高い「セットポリマー成分」の2タイプのポリマー同士の結合により、キープ力を上げ、狙ったヘアスタイルを思い通りにつくることができる、ジェルとワックスを組み合わせた新感触のスタイリング剤を開発し、「ウーノ」に採用しました。(4) ヘルスケア
蒟蒻芋に含まれる「蒟蒻由来グルコシルセラミド」に全身の肌のうるおいを守るバリア機能を改善する美容効果があることを12年にわたる研究により解明しました。本研究成果は、顔やからだの肌乾燥に悩むお客さまに向けて、飲むだけで顔もからだも水分を逃がしにくくする、当社初の機能性表示食品「飲む肌ケア」に採用しました。(5) フロンティアサイエンス
敏感な肌に適用する医科向け化粧品「ドゥーエ」、先進の美容皮膚医療用化粧品「ナビジョン」をはじめ、医療用医薬品、化粧品・医薬品原料、クロマトグラフィー分析装置など、化粧品開発技術を応用した商品開発を進めています。九州大学と共同設置した「キラルアミノ酸ソリューションセンター」は、2016年8月より本格稼働を開始しグローバルな知が集積する拠点として、健康分野へ貢献する新しい研究開発領域・ビジネスモデルの創生をめざしています。
(6) プロフェッショナル
毛髪内の水分の蒸発がパサつきの原因となることに着目し、資生堂独自の「毛髪内水分定着テクノロジー」をサロン専用製品の「ザ・ヘアケア アクアインテンシブ」に採用し、髪をうるおいで満たし、軽やかでさらさらした質感が持続するうるおい層とオイル層の2層式ヘアオイルを開発しました。
その他の活動としては、毛髪再生医療の事業化に向け、共同研究先の東京医科大学において専門の評価委員会の審議を経て、厚生労働省への臨床研究計画が受理され、2016年6月に臨床研究を開始しました(当社は細胞培養加工などを担当)。また、当社は、動物実験代替法について20年以上にわたり研究開発に取り組んでいます。当社と花王株式会社が共同で開発した安全性試験代替法である「h-CLAT」が、2016年7月に世界的に認められる公的試験法である「OECDテストガイドライン」として採択されました。この結果、化粧品原料など化学物質の皮膚感作性について、動物を用いずに評価することが可能になると期待されます。今後も社会全体が代替法を活用できるよう取り組みます。
事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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