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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100ANGK

有価証券報告書抜粋 高砂香料工業株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは、中期経営計画『TAKASAGO GLOBAL PLAN (GP-3)』(2015-2017年度)に則り、グローバルマーケットを視野において、飲料、食品用香料及び香粧品香料の開発を進めるとともに香料周辺科学に関する研究活動や医薬中間体や工業薬品関連製品、機能性材料の開発研究を行ってまいりました。また、研究開発及び他部門間の共同作業によるプロジェクト化、集中化を推進し、差別化技術の強化を図るとともに研究開発活動の効率化と事業化、グローバル化のスピードアップを図ってまいりました。2016年10月には研究開発本部を再編し、技術創成研究所を新設し7研究所体制になりました。
グローバルでは、各国の市場特性に合ったビジネス展開を図るためのGSPC(Global Strategy Planning Committee)機能と連携しながら、市場からの要求に応える新商品の開発及び今後の市場をにらんだ次世代新技術の開発に取り組んでおります。今後のグローバル戦略として、2011年7月よりアロマケミカル研究所(2015年7月よりアロマイングリディエンツ研究所に組織改編)を設立し、ニューアロマイングリディエンツとナチュラルイングリディエンツの開発を強化しております。2016年1月には、米国の発酵専門会社CITを傘下に収め、グローバルに対応可能なナチュラルイングリディエンツの製造拠点も確保致しました。一方、リニューアブルでサステイナブルなイングリディエンツの開発と供給を視野に、バイオベンチャー大手のEvolva社やAmyris社とのアライアンスも推進しております。また、2013年5月にTakasago Madagascar S.A.を設立し、バニラのエキストラクトを安定供給できる体制を整え、このマダガスカル産バニラを使用した製品の新ブランド「LA VANILLE T」(ラ・バニーユ・ティ)を立ち上げ、グループ全体のバニラブランドとしてグローバル規模での拡販と市場開拓を着実に行っております。
国内では、技術の振興、発展を通して社会及び産業界への貢献にも努めております。当社社外取締役である野依良治氏が2001年ノーベル化学賞を受賞されたことを記念して、2003年より高砂香料国際賞「野依賞」を設けておりますが、第15回受賞者は京都大学の丸岡教授に決定し、2017年2月16日に開催された有機合成化学協会第80回通常総会で佐藤幸蔵会長より賞状や楯、賞金が授与されました。
こうした研究開発活動は、4つの事業部門毎に独自のシナジー効果を発揮すべく、地域の枠組みを越え横断的に取り組んでおります。2015年度より開始した中期経営計画(GP-3)を念頭に、2020年の100周年での飛躍に向け、基盤研究の強化を着実に行ってまいります。
当社グループにおける事業部門別の研究開発活動は、以下のとおりです。

① フレーバー部門
当部門は飲料用、製菓用、調理食品用、乳製品用等のフレーバーや食品素材の開発を行っております。特にコーヒー、茶系飲料用のフレーバー及び食品素材開発や乳製品用にマダガスカル産バニラを利用したフレーバー開発に力を入れており、調理食品向けには、加熱調理された食品の風味を追及した素材開発、粉末/乳化香料においては安定性、リリースコントロール等に注力して研究開発を進めております。一方、発酵法による新規天然フレーバー素材の開発や食品より分離精製した素材の開発などを通じ、抽出、分離、精製、濃縮における基礎技術の拡充を図り、フレーバーの多様化を推進してまいりました。また、「フードデザインセンター」では、香料や果汁などの食品素材を使用したアプリケーション開発機能を強化し、顧客との共同開発を積極的に行い、食のトータルプランナーとしての提案力向上を目指しております。
海外での研究開発については、顧客の東南アジア、中国への進出にも即応するため、シンガポール、上海の研究体制も継続して強化しております。2017年3月にはインドにも本格的な研究開発拠点を設け、これらの研究所ではアジアにおける市場の急速な動きに対応すべく、酵素反応を利用したフレーバーや風味増強素材において国内で培った開発技術の積極的な活用を通して、デイリー素材分野や果汁飲料分野での拡売を目指しております。また、食品への「ナチュラル素材」に対するニーズが高まっている欧州の研究所内にはVanilla Research Centerを設置するなどして天然香料素材の開発を推進しております。顧客や消費者の食品や香料への安全性を求める動きに対応して、2012年1月に取得したFSSC22000を維持管理し、安全・安心な商品を提供すべく商品設計を行っております。

② フレグランス部門
当部門は調合香料事業における得意先ニーズに合った創香とアイデア提案による販売支援活動の徹底に力を注ぎ、化粧品香料をはじめ室内芳香剤、浴剤、シャンプー、洗剤、柔軟剤用香料等の創香研究とともに、原料の見直しを進めながら、香料を科学的側面から追求し、基材に対して安定な香料開発、高い残香性を持つ香料製剤や悪臭対策香料さらにはカプセル化香料の開発を行ってまいりました。
そのほかにも、パーソナルケア素材としてヒト型光学活性セラミド、冷温感剤、抗菌活性や消臭効果を持つ素材など、新規化粧品関連機能性素材の開発に力を注いでまいりました。
既に各国で導入されている自社開発の香料開発(依頼管理、処方エディター、ライブラリ管理、安全性と各種規制チェック)システムの刷新と改善を重ね、顧客対応のスピードアップ、データの拡充、共有化と標準化、法規対応及び安全性確保、グローバル対応等を推進してまいりました。グローバル化する得意先への対応としてミッションチームによる集中的アプローチや共同創香、共同評価方法の導入を行うなど、日米欧亜に拠点を持つフレグランス研究部門の協力により、スピードアップと密接化を図ってまいりました。同時に、消費者のニーズを的確に捉えるためのマーケティング部門の強化も行いました。
また「においの生理、心理的効果」に関する研究分野では研究成果を官能評価や嗜好性調査に活用し、引き続き新商品開発への応用に取り組んでおります。

③ アロマイングリディエンツ部門
当部門は香料用新規素材の開発を中心に研究を行っておりますが、香料の天然らしさを追求するために、当社グループのコア技術である不斉合成技術の応用や、微生物発酵や酵素反応などの生化学的手法を導入し、天然香料中に存在する光学活性香料を選択的に合成する事によって、花の香りや果物の香りをより天然に近づけることに成功しており、Chiraroma®のコンセプトで展開しております。アロマケミカル研究所(2015年7月にアロマイングリディエンツ研究所に改編)の設立により自社アロマイングリディエンツポートフォリオの更なる充実による、フレグランス及びフレーバー調合香料の差別化の推進、販売アロマイングリディエンツのラインナップの充実、大手マルチナショナル顧客への技術アピールと関係強化など、トップクラスのグローバル香料会社としての基盤強化を進めております。
また、化学的に安定な香料化合物や少量で強い効果を持つ香料の開発、温感剤、冷感剤の開発など新しい機能を持つ化合物の開発を行ってまいりました。さらに、触媒反応を有効に活用したメントールを始めとするテルペン化合物の新規合成法の確立を目指した研究を行ってまいりました。

④ ファインケミカル部門
当部門は有機金属錯体触媒を用いた反応を駆使することで、光学活性医薬中間体プロセス開発をはじめ、電子写真感光体(OPC)の開発を行ってまいりました。すなわち、BINAPや自社で独自に開発したSEGPHOS®等の配位子を組み込んだ光学活性有機金属錯体触媒を有効活用し、フロー連続技術の導入も含め光学活性医薬中間体などの効率的製造法の開発に成功しております。高速な水素化反応用触媒RUCY®や高活性な水素移動型還元反応用触媒DENEB®、光学活性エステル化合物の還元触媒は、その適用範囲を広げる事にも成功しました。一方、配位子の設計技術を不斉合成以外の分野にも展開し、BRIDP®配位子を開発しております。これを用いたカップリング反応を応用して新規アリールアミノ化反応による電子写真感光体(OPC)の効率的製造法の開発にも成功しております。さらに、鈴木-宮浦カップリング反応を用いた医薬中間体合成への応用を行っております。また、不斉合成反応を開発する上で欠かせない新規不斉合成用触媒の探索研究を引き続き行ってまいりました。さらに、光学活性有機金属錯体や配位子であるDENEB®、BINAP類、SEGPHOS®類、BRIDP®類は自社内で使用するだけでなく顧客への販売も行っております。

研究開発活動は神奈川県平塚市を中心とする当社の研究開発全部門279名のスタッフと、米州、欧州、アジア各地の海外子会社の研究所528名及び国内子会社の研究所3名のスタッフとの連携で行ってまいりました。また、当社グループの研究開発費は、日本5,286百万円、海外6,376百万円の総額11,662百万円であります。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00993] S100ANGK)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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