有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100P9N4 (EDINETへの外部リンク)
HPCシステムズ株式会社 事業の内容 (2022年6月期)
当社は「人とコンピューティングの力で世界平和に貢献する」の経営理念の下、「人の創造力とコンピューティングを融合させ未来をつくる企業になる」ことをビジョンに、「研究者には研究する力、開発者には製品を開発する力を提供すること」をミッションに掲げ、人類の難題に挑戦している研究者や開発者に寄り添い、知恵、努力、コミュニケーションとコンピューティングを通じてそれぞれが抱えている課題に共に取り組んでおります。
当社の役割実現のため、専門的な知見を求められる科学技術計算用コンピュータ事業(HPC事業)と安定的で信頼性の高い製品供給を求められる産業用コンピュータ事業(CTO事業)の2つの事業を展開しております。
当社の事業における位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、事業の区分内容は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表注記事項」に掲げるセグメントと同一の区分であります。
(1) HPC事業
HPC事業は、科学技術計算用コンピュータに関連するソリューションの提供を行っております。科学技術計算用コンピュータは、高性能コンピュータを駆使して科学技術における問題を計算によって解決する計算科学という分野で使用されておりますが、計算科学は、理論や実験と並ぶ第三の研究手段に数えられるまでに発展してきております。その中で当社は、計算科学の手法を用いて「理論化学」の問題を取り扱う「計算化学」という分野に強みを持っており、中でもライフサイエンス(生命科学)とマテリアルサイエンス(材料科学)分野を重点事業領域と位置づけ、コンピュータ上で高精度に計算した材料データベースやAI等を活用して材料開発を行うマテリアルズ・インフォマティクスのアプリケーション開発に力を入れております。
当社が提供するHPCシステムインテグレーションは、従来のシステム開発業者等が行っている業務系システムやERPシステム等の構築といったITサービスとは領域が異なっており、科学技術計算、モノ作りにおける流体構造シミュレーション、創薬や材料開発に必要な計算化学、ディープラーニング、AI解析、ビッグデータ解析等、顧客の使用目的に応じた知見を必要とする領域に対するシステムインテグレーションであります。こうしたHPCシステムインテグレーションを実装した科学技術計算用高性能コンピュータを販売するシステム販売の他、ソフトウェアプログラムの開発・販売、受託計算・研究開発支援及び導入後のサポートまでをワンストップでトータルに行う体制を構築しております。
具体的には、ユーザが保有、又は想定する様々なシステム構成(アーキテクチャ)に対して、ユーザの求める計算科学プログラムをコンピュータ上で実行可能な状態に変換するビルドや、同プログラム性能の最大化を図るための調整(チューニング)を行うことで、コンピュータにおける計算時間を大幅に短縮させる超高速計算や、大量のデータを正確に計算させる大規模・高精度計算を実現している他、HPCユーザである研究者や製品開発者のニーズに合わせて、科学技術計算用のオリジナルソフトウェアプログラムの開発・販売・サポート、計算科学をテーマとするセミナーの開催、科学技術計算の受託や技術支援、プログラム高速化サービス等を提供しております。その過程で長年にわたって培ってきた全国に所在する大学の研究室や公的研究機関、企業のR&Dセンターや中央研究所等との関係性を構築していることがHPC事業の強みであります。例えば、基礎研究の有効活用を模索している大学の研究室等と、応用研究を行っている企業のR&Dセンター等との橋渡しや、基礎研究の成果を探している企業のR&Dセンター等に対して、大学の研究室等の基礎研究成果を紹介するといったように、官と民を結ぶハブの役割を担うことを可能としております。
その他、多様化する顧客のHPCによる計算ニーズにあわせ、HPCの計算能力をクラウドにて提供するサービスにも取り組んでおります。HPCユーザの計算ニーズは極めて秘密性が高く、計算に長い時間を要することから、従来は各研究室又は各社でHPCを保有する(オンプレミス)ことが一般的でした。しかしながら、近年ではHPCユーザの裾野が拡大しており、柔軟な利用環境を求めるユーザの要望が増加していること等から、当社では一時的に利用できる解析用HPCリモートサービスや、技術の進歩を捉えてHPCのクラウドサービスも開始しております。
最近では、HPCとビッグデータやAIが融合し、理論計算からデータ分析、機械学習、そして理論計算といった機能を実現できるシステムの導入が進んでおり、さまざまな分野でAI技術の応用が進められております。当社も、重要な社会インフラへのHPCの適用事例となる5G技術、及び「コネクテッドカー」に係る研究開発活動のニーズを支える技術者集団として参画しております。
このように、当社はハードウェアからソフトウェアプログラム、システムインテグレーションサービス、各種研究サポートを一気通貫してワンストップで対応しております。
HPC事業ワンストップサービスの概念図
(2) CTO事業
CTO事業は、顧客企業の注文仕様に応じた産業用コンピュータの開発、製造及び販売を行っております。当社の産業用コンピュータは、組込コンピュータ(エンベデッド・コンピュータ)として、各種製造装置や工作機械、計測装置や検査装置の他、インフラシステムにおける監視制御、医療機器、デジタルサイネージ等に搭載され、さまざまな産業分野において活用されております。
産業用コンピュータは、市販のパソコンが画一仕様の量販品であることと比較すると、要求される仕様も特徴もまたその使用される用途によって千差万別となっております。又、各種産業用装置に組み込まれた産業用コンピュータにおいてトラブルにより使用できない時間(ダウンタイム)が発生した場合、顧客企業にとっての操業ロスに直結することになるため、稼働の安定性等が求められます。当社で開発・製造・販売している産業用コンピュータは、高い処理性能を持ちつつも、顧客企業の製品システムや装置に必要なI/Oインターフェース、苛酷な温度、静電気、電波、振動、ノイズ、ほこり等設置環境に係る耐環境性、連続稼動や長期使用に耐える頑健性・信頼性、異常動作からの早期復旧力やメンテナンス性、省スペース性等、さまざまに寄せられる顧客企業特有の多種多様な要件の実現に応えております。
産業用コンピュータメーカーの中には、自社製品の大量生産、市場投入を軸として、定期的なモデルチェンジ(仕様の変更)等を実施しているメーカーもありますが、当社では顧客要望に応じて設計を行い、最適部品を選定・調達し、生産を行うだけでなく、同一システム(設備)を長期間使用する顧客に対しては、国内外のさまざまな電子部品メーカーとのサプライチェーンを築くことで、カスタム要素の強い同一仕様の産業用コンピュータの長期安定供給を実現し(製品構成部品のバージョンアップ対応を含む)保守サービスにもきめ細かく対応しております。このように、産業用コンピュータの仕様設計段階から試作機提案段階、量産前検証段階、量産製造段階、出荷後のサポート対応段階と各段階において一貫した体制を保持し、顧客企業の要望にきめ細かく対応できることが当社の強みとなっております。
CTO事業の顧客は、自社製品、設備増強の部品としての組込みコンピュータの長期継続供給を前提として採用するため、顧客の製品が販売される期間においては継続的な受注が見込めます。当社は部品の供給パートナーとの関係強化により、産業用コンピュータに特有な部品の長期安定調達力と品揃えを充実させるとともに、販売パートナーとの関係強化を図り、取り扱い製品と取引先の拡充を図っております。
産業用コンピュータの製造は国内工場(千葉県匝瑳市)で行っております。部品供給パートナーより仕入れた部品の入荷管理、在庫管理から産業用コンピュータの組立、検査、出荷及び品質管理、サポートまでを同工場にて実施しております。又、組立、検査、出荷等に関しては、作業手順書や指示、チェックシートをオンライン化し、作業のトレーサビリティ管理する為の独自開発の生産支援システム「ProMIS: Manufacturing Information System(プロミス)」を使用しており、当該システムの使用により、顧客メーカー毎の要望に沿った製造体制を構築するとともに、顧客メーカーの品質管理部門による工場監査への対応も実施しております。
CTO事業一貫体制図
用語解説
本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。
用語 | 用語の定義 |
HPC | High Performance Computer 又は High Performance Computing の略で、一般にスーパーコンピュータ又はスパコンと呼ばれる超高速演算用コンピュータによる計算処理環境(計算処理技術)のこと。 |
CTO | Configure-to-order の略で、顧客の注文する仕様に合わせた特殊なコンピュータ製品を開発・製造する受注仕様生産方式のこと。 |
5G | 第五世代移動通信システムのこと。 |
理論化学 | 理論的モデルや数式を元に、既知の実験事実を説明したり、未知の物質の性質等を予言したりする演繹的なアプローチを行う化学の方法論のこと。 |
コネクテッドカー | インターネットへの常時接続機能を具備した自動車のこと。 |
AI | Artificial Intelligence の略称。学習・推論・認識・判断等の人間の知能的な振る舞いを行うコンピュータシステムのこと。 |
ビルド | ソフトウェアプログラムの設計図(ソースコード)を、コンピュータが実行可能な形式に変換し、コンピュータ上で実行できるファイルを作成する作業のこと。 |
チューニング | コンピュータシステムやソフトウェアプログラム等の設定や構成を調整し、性能を最大限引き出す調整作業のこと。 |
エンベデッド・コンピュータ | 組込みコンピュータのこと。 |
R&D | Research and developmentの略で、企業等で科学研究や技術開発を行う業務のこと。 |
システムインテグレーション | System Integration。SIと略されます。ユーザの利用目的に合わせて、多種多様のハードウェア・ソフトウェア・メディア・通信ネットワーク等のなかから最適のものを選択し、組み合わせて、コンピュータシステムを構築するITサービスのこと。 |
アーキテクチャ | コンピュータシステムの設計方法、設計思想、構築されたシステムの構造等のこと。 |
I/Oインターフェース | Input-Output interfaceの略で、入出力インターフェースのこと。 |
デジタルサイネージ | ディスプレイやプロジェクタ等によって画像や文字を表示し情報を発信する情報媒体(メディア)のこと。 |
トレーサビリティ | Traceability。一般に工業製品や食品等の製品や部品、素材等を個体ないしはロットごとに識別して、調達・加工・生産・流通・販売・廃棄等にまたがって履歴情報を参照できるようにすること、又はそれを実現する制度やシステムのこと。 |
(事業系統図)
以上述べた内容を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E35114] S100P9N4)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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