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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100ALRQ

有価証券報告書抜粋 ハリマ化成グループ株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産する唯一のメーカーとして、原料基盤を強化する中で再生可能なバイオマス原料の機能を追求し、さらに創業以来培ってきた高分子合成・評価、乳化・分散などの界面制御、接着・接合などコア技術の融合により先進的な研究開発を進めています。
主力のパインケミカル関連事業は国内市場が縮小傾向の中、当会計年度におきましては当社独自製品の開発、及び海外市場展開を見据えた製品開発に注力しました。その基本コンセプトは「グローバル展開」、「安全・安心、健康、持続可能社会に貢献する商品開発」です。その観点で、植物資源の高度活用、ノンVOC、ノンハロゲン、海外安全基準認証品、顧客の省エネにつながる等の商品開発に注力してきました。
その結果、樹脂、製紙薬品、電子材料いずれの事業分野においても大きな足掛かりを得ることができました。引き続いて同コンセプトに基づいた商品開発に注力するとともに、開発した商品の市場導入を強力に進めていきます。またグローバル展開という観点では、ローターをはじめとした海外グループ会社との一層の緊密化を図り、国内開発品の海外への導入や新規開発テーマでの連携が進展しました。
新規分野に関しては従来から注力している導電性ペーストや機能性コート剤をはじめとする新規テーマを大学等の社外研究機関との連携を活用しつつ継続していきます。また2~5年後をターゲットとする中期テーマの拡充を進めてまいります。
当連結会計年度の研究開発費は、24億9千5百万円、特許の登録件数は国内18件、海外が26件、国内の出願件数は20件でした。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

(1)樹脂化成品
当事業においては、印刷インキ用樹脂、塗料用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム140万トン、塗料165万トン、印刷インキ35万トン、粘接着剤92万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下当社は、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。
塗料用樹脂においては、比較的堅調な建築外装用途向けに、環境に配慮した弱溶剤型樹脂新製品の開発を進め、耐久性に優れた新製品の販売を開始しました。印刷インキにおいては、縮小傾向が続く平版インキ市場でのシェアを確保するために、当社独自の原料であるトール油製品を応用した樹脂の開発を進め、新製品として開始しています。また、インキの中でも市場が拡大しているUV硬化型インキ向けの新製品を販売開始しました。粘接着剤用樹脂に関しては、粘着力を向上させたタッキファイヤーの新製品が完成し、エマルションタイプの開発に移行しています。ゴム用の添加剤についてもロジンを使用した新製品の開発に着手し、顧客評価が進んでいます。
海外においては世界的なUV印刷化の流れに対応した樹脂の開発に取り組み始め、ローター社、海外開発拠点との協業を進めており世界市場に投入できる製品の開発を進めていきます。
また、機能性樹脂分野では、光学フィルム用のハードコート剤など可視光の透過率に影響なく機能を付与することができる製品の開発に注力し、顧客評価が進んでいると共に、一部は量産化しました。また、傷つきを防止するコート剤を開発し、プロテクションフィルム用に販売を開始しました。
当セグメントに係る研究開発費の金額は5億4千6百万円でありました。

(2)製紙用薬品
当事業においては、紙の吸水性を制御して水性インクのにじみを防止するサイズ剤、紙の強度を高める紙力増強剤、紙の表面に塗ることで防滑性や撥水性および耐水性を付与する塗工剤といった機能性薬剤について、水系樹脂の合成をコア技術とした研究開発を行っています。
日本国内における2016年の紙・板紙の内需量は、昨年比0.5%減の2,672万トンとなり、10年連続のマイナスとなっています。しかし段ボールに使用される板紙はほぼプラスで推移しており、2016年も前年を上回りました。国内の製紙メーカー各社は、紙・板紙の国内需要の大幅な増加が望めない状況において、省資源化(省エネ・省人・省原材料など)、工場の統廃合、紙・板紙の価格修正により収益改善を進めています。同時に、海外事業に加えて、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった成長分野への事業展開を進めています。
当社では、このような製紙業界のニーズに応えるため、板紙の中性化や軽量化(商品力向上による販売数量確保)に対応できる高機能性薬剤を開発し、販売しています。また従来の機能性薬剤に加えて、製紙工程における操業性や生産性を改善する工程薬剤を開発し、販売を開始しました。さらに、紙・板紙の国際的な物流環境に対応するために、間接食品添加物として海外の安全規制要件を満たした商品を開発しています。FDA等から間接食品添加物としての認証を取得した、アニオン性ロジンエマルションサイズ剤のNeuRoz®シリーズやポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤のハーマイドKSシリーズは、北南米、東南アジアをはじめ、日本においても販売を開始し、顧客からの高い評価を得ています。
海外における事業展開では、北南米、中国、東南アジア地域における製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の年産量が世界第一位(1億919万トン/2015年)の中国では杭州杭化哈利瑪化工有限公司(浙江省)において、また紙・板紙の年産量が世界第二位(7,267万トン/2015年)の米国ではプラズミン・テクノロジー,Inc.において、研究開発活動並びに販売活動を強化しています。さらに2012年に開設したタイ駐在員事務所を通じ、東南アジアやオセアニア地域への事業展開も推進しています。これら諸外国では顧客からの要求項目がそれぞれ異なっており、適合する技術開発や法規制への対応を進めることで製紙用薬品のラインナップを充実し、個別顧客の要求に応えています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は7億4百万円でありました。


(3)電子材料
当事業においては、主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料の事業を展開しており、お客様に安心してご使用いただけるように地球環境への配慮と高信頼性を重視した電子材料製品の開発に注力しております。
昨今の自動車産業の動向は、世界的にはその販売台数は伸び続けている状況であり、特に北米市場は好調となっています。またアジアの新興国などの市場も成長を見せています。さらに、技術面に目を向けると、環境に配慮した低燃費の次世代型自動車の普及に加えて、自動運転機能の実現に向けてこの分野への情報技術関連企業の積極的な進出も大きな動きとなっています。
こうした環境の中、当事業では自動車用新規材料として大手自動車部品メーカーと共同で開発した次期鉛フリーソルダペーストの販売が順調に増加しており、ソルダペースト全体の販売促進に寄与しております。今後もグローバル拠点への展開を通して販売量増加の計画を立てています。また、多くの自動車部品装置メーカーでは低燃費化を達成するために新型の電子制御装置の導入が重要となっており、特にそれら装置の接合箇所には、非常に高い耐久性を有するはんだを使用する方向性が示されています。従って、当社もこのような市場の要求に応えるため高耐久性鉛フリーソルダペーストを重点開発分野と位置づけて、その開発を加速しています。
もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上も堅調に推移しています。自動車の低燃費化や電気自動車を想定した場合の自動車重量の軽量化への要望が高く、熱交換器も小型化、高機能化が求められています。そのためこれらの動向に合致する微細な接合にも適用可能な塗布性、熱分解性に優れたろう付け材料の製品群を拡充しています。また、アルミニウム以外の母材を使用する熱交換器用のろう付け材料も展開しています。さらにクリーンな技術が望まれる世界で環境負荷物質である有機溶剤成分を含まない無溶剤型ろう付け材料の開発を強力に推進しています。今後も益々これらのろう付け材料を適用する熱交換器が拡大すると予想しています。
また、銅の粉末を特殊な樹脂に分散させたハリマ化成の銅ペーストはプリント配線板の表裏を電気的に接合できる製品であり、既存の工法である銅めっきによる電気的な接合に比べ大幅にコストを下げられる技術として注目を集めております。本用途に関する当社の銅ペーストは現在、世界トップシェアの販売量となっております。現在はこの技術を活かした電子部品の電極用材料としての展開にも力を入れております。
金属のナノ粒子を溶媒に分散した“ナノペースト”は低温で加熱する事により金属粒子どうしが融着し、極めて低い電気抵抗で、かつ熱を伝えやすい硬化物になります。この特性を活かし、スマートフォンやタブレット端末の高輝度LEDなどの接合材に加え、金型の補修材の様な新規用途にも採用されています。また、現在注目を浴びているプリンテッドエレクトロニクス(印刷による電気配線の形成技術)分野においては、ディスプレイ用配線等への適用について顧客評価が進んでおります。
当セグメントに係る研究開発費の金額は7億6百万円でありました。

(4)ローター
当事業においては、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、道路標識用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。
印刷インキ用樹脂においては、これまでに様々な産地のトールロジンやガムロジンを柔軟に使用することができる商品の開発体制を構築してきました。特に欧州の出版インキ市場では、デジタル化の進展により年率5-10%の割合で市場規模が縮小しており、競争が激化、収益改善が喫緊の課題となっておりました。このような状況の中、本年度は、2012年に出資しました粗トール油からバイオディーゼルの原料を製造、販売するスウェーデンのサンパイン社のロジン製造設備が稼働を開始したことに伴い、欧州で安定的なトールロジンの調達が可能となり、本ロジンを使用した製品の製造、販売を致しました。これまでは、収益面でロジンの市場価格に大きく影響されましたが、サンパイン社のロジンを使用することで、品質面、価格面でも優位性を持たせ、収益改善に大きく寄与することができました。
また、ロジン変性技術に石油樹脂重合技術を組み合わせたハイブリットタイプのインキ用樹脂では、新たにアルキルフェノールを使用しないタイプの新製品を開発する等、ラインアップ拡充に継続して取り組んでおります。一方、市場縮小が続く出版用インキ市場に対し、包装用インキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と、電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されます。そこで当社の強みであるロジン変性技術と水分散技術を組み合わせることで、高性能かつ環境にやさしい新製品の開発で包装インキ市場への販売拡大を目指しております。
粘接着剤用樹脂においては、強みである連続乳化技術(ROBUST)を駆使した水系粘着付与剤市場において高いシェアを維持しつつ、汎用紙ラベル用だけでなく、高軟化点樹脂を使用した水系粘接着付与剤も開発中で、テクニカルテープ市場への参入を目指しております。また、現在は比較的市場占有シェアの低いホットメルト接着剤市場において、ロジンエステルの淡色化技術とサンパイン社ロジンを駆使し、新たな市場獲得を目指し取り組んでおります。
既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から今後市場伸長が見込める新規事業の開発を推し進めるため、研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な研究、マーケティングを進めております。
当セグメントに係る研究開発費の金額は5億3千8百万円であります。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01020] S100ALRQ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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