有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AQNE
太平電業株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの研究開発は、工事施工の能率および安全性の向上を目的とした機械・工具等の開発・改良と、受注領域拡大のための新分野技術の研究・習得を主体として行っております。開発品および開発工法を通じ、社員指導教育も合わせて実施することで社員の専門知識の向上、技術レベルの向上を目指し活動を行っております。
当連結会計年度における各種プラント設備の建設、補修、維持関連の研究開発費はグループ全体で222百万円であり、その主なものは次のとおりであります。なお、当社グループの研究開発活動においては、各セグメントに関連したものが非常に多いため、セグメント別の記載はしておりません。
(1) 迷走電流防止システムの開発
TIG溶接機、アーク溶接機を安全に使用するためには、溶接電流の帰り道となる帰線(被溶接物と溶接機の間の電線)の取扱いが重要となります。帰線を正しく使用しているつもりでも、被溶接物の形状によっては誤った溶接電路(溶接電流が流れる経路)が形成され、溶接電流が思わぬ所へ流れ込み、スパークや過熱による火災、感電事故が発生する場合があります。そこで、当社では溶接電路の状況を自動で判別する装置「3線式迷走電流防止システム」を開発しました。本装置は、溶接電路に異常があった場合、溶接機の電源を自動的に遮断するため、火災や感電事故を未然に防止することが可能です。今年度は構成装置のコンパクト化を行い作業性が向上しました。今後、現場への水平展開を図っていき、迷走電流による災害・不適合を未然に防止します。
(2) 強制振動によるカップリング抜取方法
カップリング(軸継手)とは、モータなどの駆動軸と従動軸をつなぎ、動力を伝達する機械要素部品です。モータの点検等でカップリングを取り外す時、カップリング自体をガスバーナー等により加熱することでカップリングの穴を拡げ、軸との隙間を作ってから引き抜きます。しかし、カップリングと軸の隙間が十分でない状態でカップリングを無理に引き抜くと、軸やカップリングを傷つける恐れがあります。そこで、当社ではカップリングに与えた振動の軸への伝わり方が隙間の発生により変化することに着目し、振動の変化を捉えて適切なタイミングで軸からカップリングを引き抜く工法を開発しました。
熟練作業員の技能を振動計測の技術に置き替えることにより、誰でも適切なタイミングでカップリングを引き抜くことができ、無理な引抜による損傷のリスクを大幅に低減することができます。
今年度は、その適切なタイミングを音声告知する装置を試作し、工場及び現場において実証試験を行いました。今後も装置完成に向けて実証試験と改良を行います。
(3) 超音波フェーズドアレイ探傷器による高温状態における溶接検査
フェーズドアレイ超音波探傷法は非破壊検査の1つであり、溶接部の内部状態を画像化できます。そのため、欠陥の位置や大きさ、形状を容易に推定できます。一般的に探傷検査は対象物の温度が40度以下の状態で行います。しかし、厚板の場合、溶接直後は対象物の温度が100度以上あり、検査可能な40度以下になるまでに数時間を要し、工程を圧迫します。
そこで溶接直後の高温時に欠陥を画像化して検査できれば、もし欠陥があった場合でも早期に補修ができ、作業時間の短縮、コスト削減および溶接品質の向上に繋がると考えました。
今年度は、超音波フェーズドアレイ探傷器導入、検出器(探触子、ウェッジ)吸音材の高温対応の研究を進め実用化に至りました。今後は実証試験を重ねて探傷手順を確立し、溶接品質向上に貢献します。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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