有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AQSV
キッズウェル・バイオ株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社は、希少疾患や難治性疾患などの医療領域を対象として、バイオ医薬品(バイオ新薬及びバイオ後続品)を主軸とした研究開発活動を展開しております。
(1) 自社研究開発体制
当社では、事業開発部が研究開発を担当しており、北海道大学創成研究機構生物機能分子研究開発プラットフォーム推進センター内に研究所を置き、自社での研究開発体制を整備しております。加えて、東京事務所を拠点として、外部委託先を活用し、効率的かつ迅速な研究開発を推進しております。
当社の研究開発においては、主にバイオ新薬のシーズ探索を目的として、疾患に関連する物質の特定やその働きを阻害する抗体などの作製を行い、その作用機序などの分析と評価を行うことに研究開発資源を投入しております。また、バイオ後続品の研究開発においては、高産生株の作成などを行っております。
(2) 共同研究開発体制
当社は、バイオベンチャー企業であることから、限られた人材と要員で事業を推進しております。このため、東京事務所の事業開発部を中心として、早期の段階から、各分野に専門性を有する社外の研究機関や製薬企業などと提携することにより共同研究開発体制を構築し、当社の研究開発費の増加を回避しつつ、必要な社外技術の有効活用を図っております。また、多額の開発費用を要する商業用規模での製法・品質の検討、非臨床試験及び臨床試験の開発段階においては、製薬企業へのライセンスアウトを基本とし、それに伴う共同研究開発契約などにより、契約一時金や開発マイルストン収益を得たり、共同研究開発に伴う役務収益を得たりすることで、研究開発費の負担の軽減を図っております。
(3) 研究開発活動の概要
当事業年度における研究開発費の総額は1,433,170千円となりました。当社の研究開発費の主な内容は、非臨床試験及び臨床開発に関連する外部委託費、社外からライセンスインした特許やノウハウの実施料、自社における研究材料費、研究員の人件費等であります。
バイオ後続品事業につきましては、既存提携先とのバイオ後続品の開発に加え、千寿製薬㈱や持田製薬㈱と共同事業化契約を締結、伊藤忠ケミカルフロンティア㈱との資本業務提携等、それぞれに係るバイオ後続品の開発を推進したことから、当事業年度における研究開発費のうち約9割強については、バイオ後続品開発に係るものとなりました。
バイオ新薬事業につきましては、科研製薬㈱にライセンスアウトした抗体医薬品に続く開発品を生み出すために、複数の抗体医薬品や核酸医薬品の研究開発活動を行いました。また、大学等を含めた公的研究機関との共同研究を推進し、共同特許出願などを含めた創薬活動にも積極的に取り組みました。さらに、基盤技術を強化するための研究開発活動として、扶桑薬品工業㈱とのバイオ医薬品高産生細胞株の樹立を目的とした共同研究にも継続的に注力いたしました。
上記2事業に加えて、当社は、成長性の高い事業を拡充する目的で、再生医療分野を中心とした新規バイオ事業の立ち上げにも注力しており、2016年10月に当社と同じノーリツ鋼機グループの一員である㈱日本再生医療と資本業務提携を行い、同社が開発中の心臓内幹細胞を用いた再生医療等製品の事業化に向けた共同開発を開始しております。また、2017年2月には順天堂大学と共同研究開発契約を締結し、同大学が研究を進めている免疫寛容誘導を活用した新たな免疫抑制治療法の研究開発に着手いたしました。
(4) パイプラインの状況
当事業年度末における当社のバイオ後続品(バイオシミラー)及びバイオ新薬パイプラインの状況は、以下のとおりであります。
(5) 主な開発品の進捗状況
① バイオ後続品事業
バイオ後続品事業におきましては、フィルグラスチムバイオ後続品(GBS-001)における当社の実績並びに富士製薬工業㈱や持田製薬㈱による好調な販売状況や、医療財政逼迫の課題に対する解決策の一つとしての期待を追い風に積極的に開発活動を推進した結果、当事業年度は提携先と正式に共同事業化契約を締結するなど着実に事業を前進させることができました。
イ フィルグラスチムバイオ後続品(開発番号:GBS-001、対象疾患領域:がん)
当社が開発してまいりましたフィルグラスチムのバイオ後続品は、2013年5月に日本国内において上市され、順調に売上高を伸長しております。さらに、当該医薬品の製品価値を向上させるために、海外への事業展開を検討しております。
ロ ペグフィルグラスチムバイオ後続品(開発番号:GBS-010、対象疾患領域:がん)
当該医薬品は、フィルグラスチムにPEG(ポリエチレングリコール)を修飾することで、投与回数を減らし効果の持続性を増すなど、高付加価値を付与した次世代型フィルグラスチムです。当該医薬品の先行品は世界での市場規模が約5,000億円に達し、大きな魅力となっております。
当社は、当該医薬品の原料として既に日本で上市しているフィルグラスチム後続品を活用し、原薬製造プロセスを確立し、先行品との同等性・同質性に関する良好なデータを取得しております。また、事業化に向けた製造スケールアップを進めると共に、国内外の製薬企業との提携に向けた協議を推し進めております。
ハ アダリムマブバイオ後続品(開発番号:GBS-005、対象疾患:免疫疾患)
当該医薬品は関節リウマチや尋常性乾癬などの治療薬として世界での売上高が約1.5兆円規模で、現時点で最も販売高を上げている医薬品です。当社は当該医薬品のバイオ後続品の原薬製造プロセスを既に確立し、先行品との同等性・同質性に関する良好なデータを取得し、早期の臨床試験入りに向けて準備を進めると共に、国内外の製薬企業との提携に向けた協議を推進してまいりました。
ニ ダルベポエチンアルファバイオ後続品(開発番号:GBS-011、対象疾患領域:腎疾患)
当該医薬品は、腎性貧血治療薬であるエポエチンアルファの効果の持続性を高めた製品であり、国内では約600億円の市場を形成しております。現在、当社は日本市場に向けて㈱三和化学研究所と共同開発を進めており、2016年9月には第Ⅲ相臨床試験入りを果たしました。
ホ がん治療領域のバイオ後続品
がんの治療法は日進月歩でありバイオ医薬品への期待は高く、現在、世界の医薬品市場の上位一角を占めるのはがん治療に係るバイオ医薬品です。当社は、2015年8月に持田製薬㈱とがん治療領域におけるバイオ後続品の共同開発に係る基本合意契約を締結し、2016年12月には当該バイオ後続品の上市を確実に達成させるべく共同事業化契約の締結に至りました。
ヘ 眼科治療領域のバイオ後続品
世界的な高齢化社会の進展や生活習慣の変化に伴い黄斑変性症等の眼疾患患者が増加しております。これらの治療薬としてバイオ医薬品が注目されておりますが、当該領域のバイオ医薬品は高額であり、様々な患者様にご使用頂くためにもバイオ後続品の開発の社会的必要性を感じております。当社は、2015年11月に眼科領域に専門性の高い千寿製薬㈱と資本業務提携にかかる基本合意契約を締結し、2016年5月には当該バイオ後続品の上市を確実に達成させるべく共同事業化契約の締結に至りました。
② バイオ新薬事業
バイオ新薬事業におきましては、科研製薬㈱にライセンスアウトした抗α9インテグリン抗体(GND-001)は、最適な疾患に向けての研究開発が進められており、当社はその支援という形で継続的に関与しております。また、自社で研究開発中の抗体医薬品及び核酸医薬品候補につきましては複数の開発品目の研究活動を進めており、そのうち抗体医薬品1品目については知財化を見込んでおり、特許の出願に向けて準備を進めております。抗体医薬品としては抗がん剤としてGND-004、核酸医薬品としてはGND-007などを主に推進いたしました。特にGND-007につきましては、薬剤送達システム(DDS技術)が開発の重要課題となりますので、多種多様な技術を継続的に調査しております。
(注)用語解説については、「第1企業の概況 3事業の内容」の末尾に記載しております。
(1) 自社研究開発体制
当社では、事業開発部が研究開発を担当しており、北海道大学創成研究機構生物機能分子研究開発プラットフォーム推進センター内に研究所を置き、自社での研究開発体制を整備しております。加えて、東京事務所を拠点として、外部委託先を活用し、効率的かつ迅速な研究開発を推進しております。
当社の研究開発においては、主にバイオ新薬のシーズ探索を目的として、疾患に関連する物質の特定やその働きを阻害する抗体などの作製を行い、その作用機序などの分析と評価を行うことに研究開発資源を投入しております。また、バイオ後続品の研究開発においては、高産生株の作成などを行っております。
(2) 共同研究開発体制
当社は、バイオベンチャー企業であることから、限られた人材と要員で事業を推進しております。このため、東京事務所の事業開発部を中心として、早期の段階から、各分野に専門性を有する社外の研究機関や製薬企業などと提携することにより共同研究開発体制を構築し、当社の研究開発費の増加を回避しつつ、必要な社外技術の有効活用を図っております。また、多額の開発費用を要する商業用規模での製法・品質の検討、非臨床試験及び臨床試験の開発段階においては、製薬企業へのライセンスアウトを基本とし、それに伴う共同研究開発契約などにより、契約一時金や開発マイルストン収益を得たり、共同研究開発に伴う役務収益を得たりすることで、研究開発費の負担の軽減を図っております。
(3) 研究開発活動の概要
当事業年度における研究開発費の総額は1,433,170千円となりました。当社の研究開発費の主な内容は、非臨床試験及び臨床開発に関連する外部委託費、社外からライセンスインした特許やノウハウの実施料、自社における研究材料費、研究員の人件費等であります。
バイオ後続品事業につきましては、既存提携先とのバイオ後続品の開発に加え、千寿製薬㈱や持田製薬㈱と共同事業化契約を締結、伊藤忠ケミカルフロンティア㈱との資本業務提携等、それぞれに係るバイオ後続品の開発を推進したことから、当事業年度における研究開発費のうち約9割強については、バイオ後続品開発に係るものとなりました。
バイオ新薬事業につきましては、科研製薬㈱にライセンスアウトした抗体医薬品に続く開発品を生み出すために、複数の抗体医薬品や核酸医薬品の研究開発活動を行いました。また、大学等を含めた公的研究機関との共同研究を推進し、共同特許出願などを含めた創薬活動にも積極的に取り組みました。さらに、基盤技術を強化するための研究開発活動として、扶桑薬品工業㈱とのバイオ医薬品高産生細胞株の樹立を目的とした共同研究にも継続的に注力いたしました。
上記2事業に加えて、当社は、成長性の高い事業を拡充する目的で、再生医療分野を中心とした新規バイオ事業の立ち上げにも注力しており、2016年10月に当社と同じノーリツ鋼機グループの一員である㈱日本再生医療と資本業務提携を行い、同社が開発中の心臓内幹細胞を用いた再生医療等製品の事業化に向けた共同開発を開始しております。また、2017年2月には順天堂大学と共同研究開発契約を締結し、同大学が研究を進めている免疫寛容誘導を活用した新たな免疫抑制治療法の研究開発に着手いたしました。
(4) パイプラインの状況
当事業年度末における当社のバイオ後続品(バイオシミラー)及びバイオ新薬パイプラインの状況は、以下のとおりであります。
(5) 主な開発品の進捗状況
① バイオ後続品事業
バイオ後続品事業におきましては、フィルグラスチムバイオ後続品(GBS-001)における当社の実績並びに富士製薬工業㈱や持田製薬㈱による好調な販売状況や、医療財政逼迫の課題に対する解決策の一つとしての期待を追い風に積極的に開発活動を推進した結果、当事業年度は提携先と正式に共同事業化契約を締結するなど着実に事業を前進させることができました。
イ フィルグラスチムバイオ後続品(開発番号:GBS-001、対象疾患領域:がん)
当社が開発してまいりましたフィルグラスチムのバイオ後続品は、2013年5月に日本国内において上市され、順調に売上高を伸長しております。さらに、当該医薬品の製品価値を向上させるために、海外への事業展開を検討しております。
ロ ペグフィルグラスチムバイオ後続品(開発番号:GBS-010、対象疾患領域:がん)
当該医薬品は、フィルグラスチムにPEG(ポリエチレングリコール)を修飾することで、投与回数を減らし効果の持続性を増すなど、高付加価値を付与した次世代型フィルグラスチムです。当該医薬品の先行品は世界での市場規模が約5,000億円に達し、大きな魅力となっております。
当社は、当該医薬品の原料として既に日本で上市しているフィルグラスチム後続品を活用し、原薬製造プロセスを確立し、先行品との同等性・同質性に関する良好なデータを取得しております。また、事業化に向けた製造スケールアップを進めると共に、国内外の製薬企業との提携に向けた協議を推し進めております。
ハ アダリムマブバイオ後続品(開発番号:GBS-005、対象疾患:免疫疾患)
当該医薬品は関節リウマチや尋常性乾癬などの治療薬として世界での売上高が約1.5兆円規模で、現時点で最も販売高を上げている医薬品です。当社は当該医薬品のバイオ後続品の原薬製造プロセスを既に確立し、先行品との同等性・同質性に関する良好なデータを取得し、早期の臨床試験入りに向けて準備を進めると共に、国内外の製薬企業との提携に向けた協議を推進してまいりました。
ニ ダルベポエチンアルファバイオ後続品(開発番号:GBS-011、対象疾患領域:腎疾患)
当該医薬品は、腎性貧血治療薬であるエポエチンアルファの効果の持続性を高めた製品であり、国内では約600億円の市場を形成しております。現在、当社は日本市場に向けて㈱三和化学研究所と共同開発を進めており、2016年9月には第Ⅲ相臨床試験入りを果たしました。
ホ がん治療領域のバイオ後続品
がんの治療法は日進月歩でありバイオ医薬品への期待は高く、現在、世界の医薬品市場の上位一角を占めるのはがん治療に係るバイオ医薬品です。当社は、2015年8月に持田製薬㈱とがん治療領域におけるバイオ後続品の共同開発に係る基本合意契約を締結し、2016年12月には当該バイオ後続品の上市を確実に達成させるべく共同事業化契約の締結に至りました。
ヘ 眼科治療領域のバイオ後続品
世界的な高齢化社会の進展や生活習慣の変化に伴い黄斑変性症等の眼疾患患者が増加しております。これらの治療薬としてバイオ医薬品が注目されておりますが、当該領域のバイオ医薬品は高額であり、様々な患者様にご使用頂くためにもバイオ後続品の開発の社会的必要性を感じております。当社は、2015年11月に眼科領域に専門性の高い千寿製薬㈱と資本業務提携にかかる基本合意契約を締結し、2016年5月には当該バイオ後続品の上市を確実に達成させるべく共同事業化契約の締結に至りました。
② バイオ新薬事業
バイオ新薬事業におきましては、科研製薬㈱にライセンスアウトした抗α9インテグリン抗体(GND-001)は、最適な疾患に向けての研究開発が進められており、当社はその支援という形で継続的に関与しております。また、自社で研究開発中の抗体医薬品及び核酸医薬品候補につきましては複数の開発品目の研究活動を進めており、そのうち抗体医薬品1品目については知財化を見込んでおり、特許の出願に向けて準備を進めております。抗体医薬品としては抗がん剤としてGND-004、核酸医薬品としてはGND-007などを主に推進いたしました。特にGND-007につきましては、薬剤送達システム(DDS技術)が開発の重要課題となりますので、多種多様な技術を継続的に調査しております。
(注)用語解説については、「第1企業の概況 3事業の内容」の末尾に記載しております。
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