有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100C11N
株式会社ユーグレナ 事業の内容 (2017年9月期)
当社グループは、当社(株式会社ユーグレナ)、子会社10社及び関連会社1社により構成されており、微細藻ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食品用途屋外大量培養技術をコア技術とし、ユーグレナに関する多様な研究開発活動を行うとともに、その研究開発成果を活かしてヘルスケア事業(ユーグレナを活用した食品製造販売及び化粧品製造販売)、エネルギー・環境事業(ユーグレナを活用したバイオ燃料開発等)といった事業を展開しております。
子会社である八重山殖産株式会社は微細藻類の大量培養施設を有し、当社ユーグレナの大量培養を行い、当社ユ
ーグレナの乾燥粉末(以下、「当社ユーグレナ粉末」といいます。)を製造しております。
(1) ユーグレナの概要
①ユーグレナという生物
ユーグレナは植物と動物の両方に分類される特異な生物です。植物界ではミドリムシ植物門に、動物界では原生動物門ミドリムシ目に分類されます。
ユーグレナは単細胞ですが、発達した細胞内小器官を持ち、特に光合成を行う葉緑体とエネルギー代謝に関与するミトコンドリアに大きな特徴があります。
②ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術
ユーグレナは50年以上の研究の歴史があり、その有意性や産業化への可能性は多くの論文などにより記述されておりましたが、長年食品として流通させることが可能なレベルでの大量培養は実現されていませんでした。その最大の理由は、ユーグレナが食物連鎖における最下層に位置しており、その他の動物プランクトンに捕食される対象となっていること、またユーグレナを培養する培養液に細菌類などが繁殖しやすく商業的にユーグレナだけを大量に培養することが困難だったことがあげられます。
当社は創業メンバーによる東京大学農学部の研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、2005年12月に世界で初めて当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功しました。
当社には、以下の技術があります。
A.当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術
B.当社ユーグレナの食品加工、化粧品加工の技術
C.培養方法のコントロールによる当社ユーグレナの組成を調整する技術
③ユーグレナの特徴
当社ユーグレナには、以下の特徴があります。
A.植物性栄養素と動物性栄養素の両方を含む59種類以上の栄養素を持つ
植物と動物の両方の形質を兼ね備えているユーグレナは、植物のように種々のビタミンを産生するとともに、動物のようにDHA、EPA、アラキドン酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸群を13種合成でき、栄養学的に植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。
当社は、毎年、第三者分析機関である財団法人日本食品分析センターに当社ユーグレナ粉末の栄養素分析を委託しております。その結果、ユーグレナには成人の必須アミノ酸(※1)9種類、ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸などを含む59種類の栄養素が検出されております。
図 当社ユーグレナ粉末の59種類の栄養素
B.細胞壁がない
野菜などの植物は細胞壁があり細胞内の栄養素を人間が消化することを妨げますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、栄養成分の消化率が植物細胞に比べ高いという特徴を持っております。
図 動物細胞、ユーグレナ、植物細胞のイメージ図
C.ユーグレナの独自成分パラミロンを持つ
植物は光合成によってデンプンに代表されるエネルギー物質を産生し貯蔵します。ユーグレナも光合成によってパラミロンという独自の貯蔵物質を作ります。パラミロンは、直鎖(※2)のβ-1,3-グルカン(※3)によって構成される多糖体で、ユーグレナがグルカンの多糖(※4)を効率よく貯蔵するために独特の方法で重合させていると考えられております。
パラミロンは難消化性である食物繊維に分類される生物由来の成分です。
D.体内に油脂を生成する
微細藻類は体内に油脂を生成します。ユーグレナは培養方法をコントロールすることにより、その油脂の性質や生成量を変化させることが可能です。
E.強い二酸化炭素耐性を持つ
ユーグレナは二酸化炭素に対する強い耐性を持っており、一般的な植物であれば成長が阻害される15%~40%の高濃度の二酸化炭素により成長が促進されるため、工場や発電所の排出源に含まれる二酸化炭素を利用した培養が可能です。
F.水中の有機物、無機物を体内に取り込む特徴を持つ
ユーグレナは、アンモニア、リンを含んだ有機物や重金属などの無機物を栄養素として活発に増殖します。
(2) ヘルスケア事業
当事業では、当社ユーグレナ粉末等を活用した機能性食品や飲料等の開発・販売及び当社ユーグレナ粉末を加水分解したユーグレナエキス「リジューナ(Rejuna)」等を活用した化粧品の開発・販売を行っております。ユーグレナ粉末は石垣島の自社グループ拠点で製造し、食品及び化粧品の最終製品の製造は外注先に委託しております。販売については、自社グループ商品の直販が中心であり、また流通チャネルでの卸売、取引先向けのOEM製品の供給や当社ユーグレナ粉末の原料卸売、ならびに中国等の海外向け展開を行っております。
さらに研究開発分野においても、ユーグレナ生産にかかる継続的な技術開発を進めているほか、ユーグレナ粉末やユーグレナ特有の含有成分でβグルカンの一種であるパラミロンのヘルスケア分野における活用可能性等をテーマとする研究を行っております。
A.直販
自社グループの機能性食品や化粧品等を、インターネットや電話などで直接消費者に販売する形態です。機能性食品ではユーグレナを配合した粉末飲料・サプリメントとして「緑汁」「メディカプラス」シリーズを、化粧品ではスキンケア化粧品ブランド「one」を中心に展開しております。当社グループの成長分野として積極的な広告宣伝活動とM&Aを展開しており、2017年9月末時点で自社グループ商品の定期購入顧客数は20万人を突破しております。
B.流通チャネルでの卸売
自社グループの機能性食品や化粧品等を、様々な小売店舗に直接または食品商社や美容商社等を通じて卸売りする形態です。スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の大手流通店舗、ならびに全国の取扱店舗向けには、ユーグレナを配合した飲料ブランド「飲むミドリムシ」や各種サプリメント等を展開しております。また美容院や専門店等の美容関連店舗向けには、自社の化粧品ブランド「B.C.A.D.」を展開しており、開発した商品の特性等に合わせて最適な販売形態を選択しております。
C.OEM供給
取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社にて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネ
スモデルです。代表例は武田コンシューマーヘルスケア株式会社向けに供給しているユーグレナ配合サプリメント「緑の習慣」で、これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。
D.原料販売
主に伊藤忠商事株式会社を通じ、製薬会社、食品メーカー等に当社ユーグレナ粉末を提供するビジネスモデルです。
E.海外展開
日本国外でのユーグレナ市場創出に向けて、東アジアを中心に事業展開を進めております。中国では、現地に設立した合弁会社である上海悠緑那生物科技有限公司(上海ユーグレナ)を通じて、ユーグレナ配合サプリメント等の自社製品販売やOEM供給を展開しております。また、シンガポールにおいても、自社ブランド製品として初の海外向け専用製品となるユーグレナ配合サプリメント「Euglena P-3」の展開を開始しております。
F.生産技術開発
当社は、2005年12月に世界で初めて当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功して以来、生産コストの低減ならび品質のさらなる向上や安定化に向けて、生産技術開発に継続して取り組んでおります。2017年2月には、ユーグレナ市場の拡大にともなう需要増加に応えるべく、生産キャパシティを年産160トン体制に倍増する生産体制の増強を完了しております。またパラミロンを55%以上含有するユーグレナ粉末「ユーグレナグラシリスEX55」を規格化し、2017年9月にはユーグレナなどの微細藻類に関する先端的生産技術の研究開発等を行う「先端生産開発棟」の建設に着工いたしました。
(3) エネルギー・環境事業
当事業では、ユーグレナ等の微細藻類やその他バイオマス原料を活用したバイオ燃料の将来の事業化に向けて、各種研究開発やパートナーシップ構築を行っております。
A.バイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発
微細藻類は、農耕非適地での生産が可能である点、大量培養による工業生産が可能な点、高等植物と比べて単位面積当たりの生産性が高い点等から、バイオ燃料の原料として世界的に注目されています。その中でもユーグレナは、含有する油脂が微細藻類の中でもジェット燃料に適した炭素構造を持っており、またその栄養の豊富さから油脂抽出後の残渣が飼料等に利用できる可能性があることから、当社はバイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発を進めております。
研究テーマの中心は大規模・低コスト生産技術の確立であり、ユーグレナの油脂含有量を高める育種や品種改良、火力発電所等の排ガス中の二酸化炭素を用いたユーグレナの培養、培養設備の建設コストの低減と建設期間の短縮、畜産や養殖におけるユーグレナの油脂抽出後残渣の利用、等に関する研究開発を進めております。
B.バイオ燃料の製造・供給体制の構築
当社は2015年12月に、横浜市、千代田化工建設株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、いすゞ自動車株式会社、全日本空輸株式会社の協力のもと、2020年までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を目指す「国産バイオ燃料計画」を発表し、その実現に向けた取り組みを進めております。具体的には、2017年2月に千代田化工建設株式会社との間でバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントの設計・調達・建設に関する工事等請負契約を締結し、2017年6月に神奈川県横浜市鶴見区において同実証プラントの建設を着工いたしました。同実証プラントの建設においては、2015年6月に米国のChevron Lummus Global & Applied Research Associatesとの間で締結したライセンス契約およびエンジニアリング契約に基づきライセンス供与されたバイオ燃料アイソコンバージョンプロセス技術を採用しております。
当社はバイオ燃料の事業化を目指しており、同実証プラントの稼働と「国産バイオ燃料計画」の実現を経た上で、将来的には商業用プラントの建設計画も推進していく予定です。
[用語解説]
※1.必須アミノ酸
必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のことをいう。具体的には、トリプトファン、スレオニン、リジン、バリン、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジンを指し、ユーグレナには全種類の必須アミノ酸が含まれています。
※2.直鎖
炭化水素やその誘導体を作っている炭素原子が、環状構造や枝分かれ構造をなさずに、一本の鎖状に結合していることをいいます。
※3.β-1,3-グルカン
グルカンとは特定の結合形式を持った多糖の総称であり、グルコースがβ-1,3-型の結合で連なった多糖をβ-1,3-グルカンといいます。
単糖とはそれ以上加水分解されない糖類をいい、多糖とは単糖分子がグリコシド結合により多数重合した糖類をいいます。
※4.多糖
単糖分子がグリコシド結合により多数重合し、単糖が二桁以上結合したものを多糖といいます。
[事業系統図]
①ヘルスケア事業
②エネルギー・環境事業
子会社である八重山殖産株式会社は微細藻類の大量培養施設を有し、当社ユーグレナの大量培養を行い、当社ユ
ーグレナの乾燥粉末(以下、「当社ユーグレナ粉末」といいます。)を製造しております。
(1) ユーグレナの概要
①ユーグレナという生物
ユーグレナは植物と動物の両方に分類される特異な生物です。植物界ではミドリムシ植物門に、動物界では原生動物門ミドリムシ目に分類されます。
ユーグレナは単細胞ですが、発達した細胞内小器官を持ち、特に光合成を行う葉緑体とエネルギー代謝に関与するミトコンドリアに大きな特徴があります。
②ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術
ユーグレナは50年以上の研究の歴史があり、その有意性や産業化への可能性は多くの論文などにより記述されておりましたが、長年食品として流通させることが可能なレベルでの大量培養は実現されていませんでした。その最大の理由は、ユーグレナが食物連鎖における最下層に位置しており、その他の動物プランクトンに捕食される対象となっていること、またユーグレナを培養する培養液に細菌類などが繁殖しやすく商業的にユーグレナだけを大量に培養することが困難だったことがあげられます。
当社は創業メンバーによる東京大学農学部の研究成果を中心に、他の藻類研究を実施する様々な大学の研究成果を活用し、2005年12月に世界で初めて当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功しました。
当社には、以下の技術があります。
A.当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養技術
B.当社ユーグレナの食品加工、化粧品加工の技術
C.培養方法のコントロールによる当社ユーグレナの組成を調整する技術
③ユーグレナの特徴
当社ユーグレナには、以下の特徴があります。
A.植物性栄養素と動物性栄養素の両方を含む59種類以上の栄養素を持つ
植物と動物の両方の形質を兼ね備えているユーグレナは、植物のように種々のビタミンを産生するとともに、動物のようにDHA、EPA、アラキドン酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸群を13種合成でき、栄養学的に植物と動物の両方の栄養素を併せ持っております。
当社は、毎年、第三者分析機関である財団法人日本食品分析センターに当社ユーグレナ粉末の栄養素分析を委託しております。その結果、ユーグレナには成人の必須アミノ酸(※1)9種類、ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸などを含む59種類の栄養素が検出されております。
図 当社ユーグレナ粉末の59種類の栄養素
B.細胞壁がない
野菜などの植物は細胞壁があり細胞内の栄養素を人間が消化することを妨げますが、ユーグレナは動物細胞と同様に細胞壁を持たないため、栄養成分の消化率が植物細胞に比べ高いという特徴を持っております。
図 動物細胞、ユーグレナ、植物細胞のイメージ図
C.ユーグレナの独自成分パラミロンを持つ
植物は光合成によってデンプンに代表されるエネルギー物質を産生し貯蔵します。ユーグレナも光合成によってパラミロンという独自の貯蔵物質を作ります。パラミロンは、直鎖(※2)のβ-1,3-グルカン(※3)によって構成される多糖体で、ユーグレナがグルカンの多糖(※4)を効率よく貯蔵するために独特の方法で重合させていると考えられております。
パラミロンは難消化性である食物繊維に分類される生物由来の成分です。
図 パラミロンの粒子構造と構造 | |||
▲パラミロンの粒子構造 | ▲パラミロンの構造 | ||
| |||
撮影:青山学院大学 福岡伸一教授 |
D.体内に油脂を生成する
微細藻類は体内に油脂を生成します。ユーグレナは培養方法をコントロールすることにより、その油脂の性質や生成量を変化させることが可能です。
E.強い二酸化炭素耐性を持つ
ユーグレナは二酸化炭素に対する強い耐性を持っており、一般的な植物であれば成長が阻害される15%~40%の高濃度の二酸化炭素により成長が促進されるため、工場や発電所の排出源に含まれる二酸化炭素を利用した培養が可能です。
F.水中の有機物、無機物を体内に取り込む特徴を持つ
ユーグレナは、アンモニア、リンを含んだ有機物や重金属などの無機物を栄養素として活発に増殖します。
(2) ヘルスケア事業
当事業では、当社ユーグレナ粉末等を活用した機能性食品や飲料等の開発・販売及び当社ユーグレナ粉末を加水分解したユーグレナエキス「リジューナ(Rejuna)」等を活用した化粧品の開発・販売を行っております。ユーグレナ粉末は石垣島の自社グループ拠点で製造し、食品及び化粧品の最終製品の製造は外注先に委託しております。販売については、自社グループ商品の直販が中心であり、また流通チャネルでの卸売、取引先向けのOEM製品の供給や当社ユーグレナ粉末の原料卸売、ならびに中国等の海外向け展開を行っております。
さらに研究開発分野においても、ユーグレナ生産にかかる継続的な技術開発を進めているほか、ユーグレナ粉末やユーグレナ特有の含有成分でβグルカンの一種であるパラミロンのヘルスケア分野における活用可能性等をテーマとする研究を行っております。
A.直販
自社グループの機能性食品や化粧品等を、インターネットや電話などで直接消費者に販売する形態です。機能性食品ではユーグレナを配合した粉末飲料・サプリメントとして「緑汁」「メディカプラス」シリーズを、化粧品ではスキンケア化粧品ブランド「one」を中心に展開しております。当社グループの成長分野として積極的な広告宣伝活動とM&Aを展開しており、2017年9月末時点で自社グループ商品の定期購入顧客数は20万人を突破しております。
B.流通チャネルでの卸売
自社グループの機能性食品や化粧品等を、様々な小売店舗に直接または食品商社や美容商社等を通じて卸売りする形態です。スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の大手流通店舗、ならびに全国の取扱店舗向けには、ユーグレナを配合した飲料ブランド「飲むミドリムシ」や各種サプリメント等を展開しております。また美容院や専門店等の美容関連店舗向けには、自社の化粧品ブランド「B.C.A.D.」を展開しており、開発した商品の特性等に合わせて最適な販売形態を選択しております。
C.OEM供給
取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社にて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネ
スモデルです。代表例は武田コンシューマーヘルスケア株式会社向けに供給しているユーグレナ配合サプリメント「緑の習慣」で、これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。
D.原料販売
主に伊藤忠商事株式会社を通じ、製薬会社、食品メーカー等に当社ユーグレナ粉末を提供するビジネスモデルです。
E.海外展開
日本国外でのユーグレナ市場創出に向けて、東アジアを中心に事業展開を進めております。中国では、現地に設立した合弁会社である上海悠緑那生物科技有限公司(上海ユーグレナ)を通じて、ユーグレナ配合サプリメント等の自社製品販売やOEM供給を展開しております。また、シンガポールにおいても、自社ブランド製品として初の海外向け専用製品となるユーグレナ配合サプリメント「Euglena P-3」の展開を開始しております。
F.生産技術開発
当社は、2005年12月に世界で初めて当社ユーグレナの食品用途屋外大量培養に成功して以来、生産コストの低減ならび品質のさらなる向上や安定化に向けて、生産技術開発に継続して取り組んでおります。2017年2月には、ユーグレナ市場の拡大にともなう需要増加に応えるべく、生産キャパシティを年産160トン体制に倍増する生産体制の増強を完了しております。またパラミロンを55%以上含有するユーグレナ粉末「ユーグレナグラシリスEX55」を規格化し、2017年9月にはユーグレナなどの微細藻類に関する先端的生産技術の研究開発等を行う「先端生産開発棟」の建設に着工いたしました。
(3) エネルギー・環境事業
当事業では、ユーグレナ等の微細藻類やその他バイオマス原料を活用したバイオ燃料の将来の事業化に向けて、各種研究開発やパートナーシップ構築を行っております。
A.バイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発
微細藻類は、農耕非適地での生産が可能である点、大量培養による工業生産が可能な点、高等植物と比べて単位面積当たりの生産性が高い点等から、バイオ燃料の原料として世界的に注目されています。その中でもユーグレナは、含有する油脂が微細藻類の中でもジェット燃料に適した炭素構造を持っており、またその栄養の豊富さから油脂抽出後の残渣が飼料等に利用できる可能性があることから、当社はバイオ燃料原料としてのユーグレナの研究開発を進めております。
研究テーマの中心は大規模・低コスト生産技術の確立であり、ユーグレナの油脂含有量を高める育種や品種改良、火力発電所等の排ガス中の二酸化炭素を用いたユーグレナの培養、培養設備の建設コストの低減と建設期間の短縮、畜産や養殖におけるユーグレナの油脂抽出後残渣の利用、等に関する研究開発を進めております。
B.バイオ燃料の製造・供給体制の構築
当社は2015年12月に、横浜市、千代田化工建設株式会社、伊藤忠エネクス株式会社、いすゞ自動車株式会社、全日本空輸株式会社の協力のもと、2020年までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を目指す「国産バイオ燃料計画」を発表し、その実現に向けた取り組みを進めております。具体的には、2017年2月に千代田化工建設株式会社との間でバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントの設計・調達・建設に関する工事等請負契約を締結し、2017年6月に神奈川県横浜市鶴見区において同実証プラントの建設を着工いたしました。同実証プラントの建設においては、2015年6月に米国のChevron Lummus Global & Applied Research Associatesとの間で締結したライセンス契約およびエンジニアリング契約に基づきライセンス供与されたバイオ燃料アイソコンバージョンプロセス技術を採用しております。
当社はバイオ燃料の事業化を目指しており、同実証プラントの稼働と「国産バイオ燃料計画」の実現を経た上で、将来的には商業用プラントの建設計画も推進していく予定です。
[用語解説]
※1.必須アミノ酸
必須アミノ酸とは、タンパク質を形成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸のことをいう。具体的には、トリプトファン、スレオニン、リジン、バリン、メチオニン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジンを指し、ユーグレナには全種類の必須アミノ酸が含まれています。
※2.直鎖
炭化水素やその誘導体を作っている炭素原子が、環状構造や枝分かれ構造をなさずに、一本の鎖状に結合していることをいいます。
※3.β-1,3-グルカン
グルカンとは特定の結合形式を持った多糖の総称であり、グルコースがβ-1,3-型の結合で連なった多糖をβ-1,3-グルカンといいます。
単糖とはそれ以上加水分解されない糖類をいい、多糖とは単糖分子がグリコシド結合により多数重合した糖類をいいます。
※4.多糖
単糖分子がグリコシド結合により多数重合し、単糖が二桁以上結合したものを多糖といいます。
[事業系統図]
①ヘルスケア事業
②エネルギー・環境事業
- 有価証券報告書 抜粋メニュー
- 連結経営指標等
- 提出会社の経営指標等
- 沿革
- 事業の内容
- 関係会社の状況
- 従業員の状況
- 業績等の概要
- 生産、受注及び販売の状況
- 事業等のリスク
- 研究開発活動
- 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
- 株式の総数等
- 発行済株式総数、資本金等の推移
- 株価の推移
- 最近6月間の月別最高・最低株価
- 株式所有者別状況
- 役員の状況
- コーポレートガバナンス状況
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E27054] S100C11N)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。