有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AM21
株式会社リプロセル 事業の内容 (2017年3月期)
当社グループは主に当社(株式会社リプロセル)及び子会社3社、関連会社3社の合計7社により構成されております。
特に、当社、米国子会社のREPROCELL USA Inc.、英国子会社のREPROCELL Europe Ltd.では、当社グループの主力事業であるiPS細胞の技術を基盤とした(1)iPS細胞事業や、臓器移植等に係わる(2)臨床検査事業を中心に展開しております。また、iPS細胞事業は研究試薬と創薬支援、再生医療の3つに大きく分けられます。
事業の概要は以下のとおりであります。
(1) iPS細胞事業
当社ではiPS細胞事業を、「研究試薬」、「創薬支援」、「再生医療」の3つに分類し、市場の立ち上がりに応じて段階的に進めております。各分野の概要は下記の通りです。
① 研究試薬
iPS細胞研究に関わる様々な研究試薬を大学や公的研究機関、製薬企業等に製造・販売しております。研究試薬には細胞の種類、培養方法、測定方法などによって様々な種類があり、具体的には、リプログラミング試薬、iPS細胞培養液、凍結保存液、低分子化合物、グロースファクター、抗体などが該当製品となります。
② 創薬支援
製薬及び化学、バイオ系企業を主な顧客とし、製品とサービスの両方を提供しております。製品としては、ヒトiPS細胞およびヒト体細胞を販売しており、主な用途としては、多くの新薬候補物質の中から目的の機能を持った分子を探索する創薬スクリーニングや新薬の安全性を確かめる試験などに使用されています。一方、サービスは企業研究所内で実施している様々な試験の一部を受託するビジネスとなります。当社グループでは、細胞販売とサービスの両方を実施し、幅広い顧客ニーズに対応することで競合との差別化を図っております。
ヒトiPS細胞由来の心筋細胞(左)、神経細胞(中央)、肝細胞(右)
③ 再生医療
当社グループでは再生医療の実用化を行っている企業や大学に、広く臨床応用に適した培地・試薬製品を提供することで、再生医療産業全体の底上げを行うことに加え、自社でも細胞医薬品の研究開発および事業化を推進してまいります。
現在は、再生医療を「再生医療向け培地・試薬製品」「体性幹細胞を活用した細胞医薬品」「iPS細胞を活用した細胞医薬品」の3ステップに分けて進めております。
・ステップ③-1:再生医療向け培地・試薬製品
「① 研究試薬」の製品および技術を臨床応用に適した仕様にアップグレードさせることで、より付加価値の高い製品として再生医療向けに提供いたします。当社ではすでに多くのiPS細胞向け製品を保有しておりますので、その技術を活かし、順次、アップグレードしてまいります。現在、iPS細胞を作製するためのリプログラミング試薬「StemRNA -NM Reprogramming Kit」や、iPS細胞の培養液「NutriStem」、凍結保存液「ReproCryo RM」は既に臨床研究用の製品となっております。
・ステップ③-2:体性幹細胞を活用した細胞医薬品
iPS細胞より臨床応用で先行している体性幹細胞を用いた細胞医薬品の日本での上市を目指します。日本では2014年に再生医療の実現を促進する2つの法律が施行され、他国に比べ再生医療の事業化が推進しやすい環境にあります。このアドバンテージを活かし、既に海外で治験の進んでいる細胞医薬品の日本での商業化権を取得し、治験および上市を進めてまいります。前事業年度には、台湾のバイオベンチャーであるSteminent Biotherapeutics Inc.(以下、ステミネント社)と、体性幹細胞を用いた細胞医薬品ステムカイマルの脊髄小脳変性症をターゲットとした日本における独占ライセンス契約を締結しました。ステムカイマルは、台湾では、既に治験(第Ⅰ/Ⅱa 相)が完了し、その結果は国際的な学術論文で発表されております。日本では当社が事業主として、2018年から治験を開始し、2020年頃に承認申請を行う予定です。当社は、ステムカイマルの開発を通じて治験のノウハウを蓄積し、ステップ③-3のiPS細胞の再生医療を加速させてまいります。
・ステップ③-3:iPS細胞を活用した細胞医薬品
iPS細胞は神経細胞、心筋細胞、肝細胞など様々な細胞に変化させることが可能であり、それを患者に移植することで組織の再生を行うといった応用が将来的に期待されております。脊椎損傷や心筋梗塞など、生体内で損傷または壊死した組織は、新たに細胞を移植する方法が有効と考えられておりますが、ヒト細胞を供給するためにはドナーに依存せざるを得ず、ドナー不足の解決が課題になっています。iPS細胞から新たに細胞を作り出す技術は、この課題を根本的に解決し、ドナーに依存しない新しい再生医療として注目を集めています。
当社が保有する世界最先端のiPS細胞技術を利用し、iPS細胞を活用した細胞医薬品の開発および上市を目指します。当社ではRNA法という次世代のリプログラミング技術の開発に成功し、遺伝子変異リスクを最小化し、ウイルスの残存リスクのない高品質のiPS細胞作製が可能になりました。今後、RNAリプログラミング技術の臨床応用を進めiPS細胞による再生医療を進めてまいります。
ES/iPS細胞を使ったビジネスモデルと再生医療進出へのロードマップ
iPS細胞事業の事業系統図
以上のように、ES細胞/iPS細胞は次世代バイオ産業の中心的存在として期待されています。
創薬支援は、これまでの創薬プロセスを大幅に効率化する新規技術として期待されており、製薬企業でも技術導入に向けた動きが活発化しています。また、世界中の製薬企業では「動物実験からヒト細胞実験」への大きなシフトが進んできており、当社グループとしてはそのトレンドを受けて「ヒト細胞」技術の強化およびラインナップの拡充を進めております。
再生医療では、日本において「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」並びに「薬事法等の一部を改正する法律」が2014年11月25日に施行されました。本法律は、治験において安全性が確認され、有効性が推定された再生医療等製品(細胞医薬品など)に対して早期承認(条件・期限付き承認)を与えることにより、患者に対して新たな治療機会を早期に提供すると共に、治験期間の短縮や治験費用の削減が期待できる制度です。本法律の施行により、わが国は世界で最も再生医療の産業化に適した環境が整いつつあります。また、経済産業省の試算(「再生医療の実用化・産業化に関する研究会の最終報告」)によると、再生医療産業のグローバルでの市場規模は2030年で約17兆円、2050年で約53兆円となっており、今後、巨大市場に成長することが見込まれています。
(2) 臨床検査事業
移植治療は、通常の投薬治療や外科手術では治療できないような疾患の治療法として、広く普及が進んでいます。臓器移植では、腎臓、肝臓が代表的で、腎不全や肝不全の治療法として高い治療効果をあげています。
当社では、2006年12月に衛生検査所として登録を行い、これら臓器移植及び造血幹細胞移植で必要とされる臨床検査に特化した検査受託サービスを提供しています。具体的には、対象顧客である医療機関から血液や血清などの検体を、当社の衛生検査所に搬送し、検査を実施するというものです。委託方法は、医療機関からの直接委託と他の検査会社を経由した再委託の両方で行っています。
当社では腎臓移植や造血幹細胞移植の分野への適用の広がりを見せている抗HLA抗体検査(スクリーニング及びシングル抗原同定検査)を主力として、日本全国の100施設以上の病院から検査を受注しております。また、近年は、HLA抗体と移植成績や移植後のグラフト(移植片)生着成績の関連性が注目されており、移植の前にHLA関連検査を行う施設が増えております。
これらの従来検査に加え、新たな検査の導入にも積極的に取り組み、事業を拡大してまいります。特に他人の細胞を移植する再生医療は、拒絶反応が治療成績に大きく影響する点で臓器移植と類似しており、今後再生医療の普及に応じてHLA関連検査のニーズも高まることが予測されます。
現在の主な検査項目としては、「HLAタイピング検査」、「抗HLA抗体検査(抗HLA抗体スクリーニング検査及び抗HLA抗体同定検査)」、「フローサイトクロスマッチ検査」があります。これら移植治療に必要な検査を1拠点でまとめて行うことで整合性のとれた確度の高いデータを顧客に提供することが可能になります。
また、これらの検査項目のうち、造血幹細胞移植における抗HLA抗体検査(抗HLA抗体スクリーニング及び抗HLA抗体同定検査)が、2012年4月から、保険適用になりました。
臨床検査事業の事業系統図
(用語解説)
[iPS細胞]
人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells)の略称。体細胞へ数種類の遺伝子を導入することにより、多様な細胞に分化できる分化多能性と、無限増殖能を持たせた細胞。
[培養液]
細胞等を培養するために用いられる溶液。細胞種に合わせて様々な種類の培養液が必要である。
[凍結保存液]
細胞等を保存するために用いられる溶液。
[抗体]
抗原と特異的に結合する免疫グロブリンの総称。
[体細胞]
生物体を構成する細胞のうち、生殖細胞以外の細胞の総称。
[体性幹細胞]
生体の様々な組織にある幹細胞。造血幹細胞・神経幹細胞・皮膚幹細胞などがあり、限定された種類の細胞にしか分化しないものや、広範囲の細胞に分化するものなど様々ある。成体幹細胞。組織幹細胞。
[ドナー]
移植のために血液、組織、または器官などを自発的に提供する人。
[臨床試験]
薬剤候補について、有効性と安全性を実証するために、ヒトを対象として実施する試験の総称。少数健常人を対象として安全性及び薬物動態を確認する第I相試験、少数患者を対象として有効性及び安全性を探索的に確認する第Ⅱ相試験、多数患者を対象として有効性及び安全性を検証する第Ⅲ相試験に区分される。
[治験]
国から薬としての承認を受けるために行う臨床試験のこと。
特に、当社、米国子会社のREPROCELL USA Inc.、英国子会社のREPROCELL Europe Ltd.では、当社グループの主力事業であるiPS細胞の技術を基盤とした(1)iPS細胞事業や、臓器移植等に係わる(2)臨床検査事業を中心に展開しております。また、iPS細胞事業は研究試薬と創薬支援、再生医療の3つに大きく分けられます。
事業の概要は以下のとおりであります。
事業内容 | 区分 | 内容 |
iPS細胞事業 | 研究試薬 | iPS細胞に関わる様々な研究試薬を大学や公的研究機関、製薬企業等に製造・販売しています。iPS細胞の研究に必要な、培養液、剥離液、凍結保存液、コーティング剤、抗体などのiPS細胞に最適化された各種研究試薬をはじめ、当社が世界で初めて製品化に成功した、ヒトiPS細胞をより受精卵に近い理想的な状態にリプログラミングできる高品質iPS細胞用培養液「ReproNaïve(リプロナイーブ)」や、iPS細胞から心筋、神経、肝臓の細胞を効率的に作り出す「低分子化合物シリーズ」、3次元環境を作り出し、より生体内に近い環境で細胞を培養できる培養機材「Alvetexシリーズ」等を主力製品としてラインナップしております。 |
創薬支援 | 製薬企業等による創薬を支援する製品として製造・販売し、製薬企業等において新薬候補化合物の薬効試験や毒性試験の実験材料として使用されます。iPS細胞の技術プロセスの上流から下流までを当社グループでカバーすることで豊富な品揃えを実現し、顧客利便性が大きく向上しています。ヒトDNA、組織、血清サンプルといったヒト生体試料やiPS細胞由来の心筋、神経、肝臓の細胞等を取り扱っております。 また、カスタマイズした疾患モデル細胞製品の作製受託等、顧客の要望にきめ細かく対応するための様々な差別化されたサービスラインナップを提供しております。iPS細胞培養の受託サービスやDNA等の抽出・遺伝子型判定等を行う前臨床分子解析サービスを提供している他、アルツハイマー病やパーキンソン病等の患者から集めた生体試料をもとにカスタマイズした疾患型iPS細胞由来の細胞製品の受託培養等を行います。 加えて、製薬企業様から新薬の候補物質をお預かりし、ヒトの組織で毒性試験等を行う事が出来るCROサービスも展開しております。 | |
再生医療 | 現在、「再生医療向け培地・試薬製品」「体性幹細胞を活用した細胞医薬品」「iPS細胞を活用した細胞医薬品」の3ステップで進めております。 「再生医療向け培地・試薬製品」では臨床応用向けiPS細胞を作製するためのリプログラミング試薬「StemRNA -NM Reprogramming Kit」や、iPS細胞の培養液「NutriStem」を販売しております。「体性幹細胞を活用した細胞医薬品」においては、細胞医薬品ステムカイマルの日本での事業化を目指し、現在は治験に向けた準備を進めております。 | |
臨床検査事業 | 臓器移植及び造血幹細胞移植で必要とされる臨床検査に特化した検査受託サービスを提供しています。具体的には、対象顧客である医療機関が血液や血清などの検体を当社の衛生検査所に搬送し、当社が検査を実施するという事業です。受託方法には、医療機関からの直接受託と他の検査会社を経由した再受託の両方があります。 |
(1) iPS細胞事業
当社ではiPS細胞事業を、「研究試薬」、「創薬支援」、「再生医療」の3つに分類し、市場の立ち上がりに応じて段階的に進めております。各分野の概要は下記の通りです。
① 研究試薬
iPS細胞研究に関わる様々な研究試薬を大学や公的研究機関、製薬企業等に製造・販売しております。研究試薬には細胞の種類、培養方法、測定方法などによって様々な種類があり、具体的には、リプログラミング試薬、iPS細胞培養液、凍結保存液、低分子化合物、グロースファクター、抗体などが該当製品となります。
② 創薬支援
製薬及び化学、バイオ系企業を主な顧客とし、製品とサービスの両方を提供しております。製品としては、ヒトiPS細胞およびヒト体細胞を販売しており、主な用途としては、多くの新薬候補物質の中から目的の機能を持った分子を探索する創薬スクリーニングや新薬の安全性を確かめる試験などに使用されています。一方、サービスは企業研究所内で実施している様々な試験の一部を受託するビジネスとなります。当社グループでは、細胞販売とサービスの両方を実施し、幅広い顧客ニーズに対応することで競合との差別化を図っております。
ヒトiPS細胞由来の心筋細胞(左)、神経細胞(中央)、肝細胞(右)
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③ 再生医療
当社グループでは再生医療の実用化を行っている企業や大学に、広く臨床応用に適した培地・試薬製品を提供することで、再生医療産業全体の底上げを行うことに加え、自社でも細胞医薬品の研究開発および事業化を推進してまいります。
現在は、再生医療を「再生医療向け培地・試薬製品」「体性幹細胞を活用した細胞医薬品」「iPS細胞を活用した細胞医薬品」の3ステップに分けて進めております。
・ステップ③-1:再生医療向け培地・試薬製品
「① 研究試薬」の製品および技術を臨床応用に適した仕様にアップグレードさせることで、より付加価値の高い製品として再生医療向けに提供いたします。当社ではすでに多くのiPS細胞向け製品を保有しておりますので、その技術を活かし、順次、アップグレードしてまいります。現在、iPS細胞を作製するためのリプログラミング試薬「StemRNA -NM Reprogramming Kit」や、iPS細胞の培養液「NutriStem」、凍結保存液「ReproCryo RM」は既に臨床研究用の製品となっております。
・ステップ③-2:体性幹細胞を活用した細胞医薬品
iPS細胞より臨床応用で先行している体性幹細胞を用いた細胞医薬品の日本での上市を目指します。日本では2014年に再生医療の実現を促進する2つの法律が施行され、他国に比べ再生医療の事業化が推進しやすい環境にあります。このアドバンテージを活かし、既に海外で治験の進んでいる細胞医薬品の日本での商業化権を取得し、治験および上市を進めてまいります。前事業年度には、台湾のバイオベンチャーであるSteminent Biotherapeutics Inc.(以下、ステミネント社)と、体性幹細胞を用いた細胞医薬品ステムカイマルの脊髄小脳変性症をターゲットとした日本における独占ライセンス契約を締結しました。ステムカイマルは、台湾では、既に治験(第Ⅰ/Ⅱa 相)が完了し、その結果は国際的な学術論文で発表されております。日本では当社が事業主として、2018年から治験を開始し、2020年頃に承認申請を行う予定です。当社は、ステムカイマルの開発を通じて治験のノウハウを蓄積し、ステップ③-3のiPS細胞の再生医療を加速させてまいります。
・ステップ③-3:iPS細胞を活用した細胞医薬品
iPS細胞は神経細胞、心筋細胞、肝細胞など様々な細胞に変化させることが可能であり、それを患者に移植することで組織の再生を行うといった応用が将来的に期待されております。脊椎損傷や心筋梗塞など、生体内で損傷または壊死した組織は、新たに細胞を移植する方法が有効と考えられておりますが、ヒト細胞を供給するためにはドナーに依存せざるを得ず、ドナー不足の解決が課題になっています。iPS細胞から新たに細胞を作り出す技術は、この課題を根本的に解決し、ドナーに依存しない新しい再生医療として注目を集めています。
当社が保有する世界最先端のiPS細胞技術を利用し、iPS細胞を活用した細胞医薬品の開発および上市を目指します。当社ではRNA法という次世代のリプログラミング技術の開発に成功し、遺伝子変異リスクを最小化し、ウイルスの残存リスクのない高品質のiPS細胞作製が可能になりました。今後、RNAリプログラミング技術の臨床応用を進めiPS細胞による再生医療を進めてまいります。
ES/iPS細胞を使ったビジネスモデルと再生医療進出へのロードマップ
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iPS細胞事業の事業系統図
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以上のように、ES細胞/iPS細胞は次世代バイオ産業の中心的存在として期待されています。
創薬支援は、これまでの創薬プロセスを大幅に効率化する新規技術として期待されており、製薬企業でも技術導入に向けた動きが活発化しています。また、世界中の製薬企業では「動物実験からヒト細胞実験」への大きなシフトが進んできており、当社グループとしてはそのトレンドを受けて「ヒト細胞」技術の強化およびラインナップの拡充を進めております。
再生医療では、日本において「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」並びに「薬事法等の一部を改正する法律」が2014年11月25日に施行されました。本法律は、治験において安全性が確認され、有効性が推定された再生医療等製品(細胞医薬品など)に対して早期承認(条件・期限付き承認)を与えることにより、患者に対して新たな治療機会を早期に提供すると共に、治験期間の短縮や治験費用の削減が期待できる制度です。本法律の施行により、わが国は世界で最も再生医療の産業化に適した環境が整いつつあります。また、経済産業省の試算(「再生医療の実用化・産業化に関する研究会の最終報告」)によると、再生医療産業のグローバルでの市場規模は2030年で約17兆円、2050年で約53兆円となっており、今後、巨大市場に成長することが見込まれています。
(2) 臨床検査事業
移植治療は、通常の投薬治療や外科手術では治療できないような疾患の治療法として、広く普及が進んでいます。臓器移植では、腎臓、肝臓が代表的で、腎不全や肝不全の治療法として高い治療効果をあげています。
当社では、2006年12月に衛生検査所として登録を行い、これら臓器移植及び造血幹細胞移植で必要とされる臨床検査に特化した検査受託サービスを提供しています。具体的には、対象顧客である医療機関から血液や血清などの検体を、当社の衛生検査所に搬送し、検査を実施するというものです。委託方法は、医療機関からの直接委託と他の検査会社を経由した再委託の両方で行っています。
当社では腎臓移植や造血幹細胞移植の分野への適用の広がりを見せている抗HLA抗体検査(スクリーニング及びシングル抗原同定検査)を主力として、日本全国の100施設以上の病院から検査を受注しております。また、近年は、HLA抗体と移植成績や移植後のグラフト(移植片)生着成績の関連性が注目されており、移植の前にHLA関連検査を行う施設が増えております。
これらの従来検査に加え、新たな検査の導入にも積極的に取り組み、事業を拡大してまいります。特に他人の細胞を移植する再生医療は、拒絶反応が治療成績に大きく影響する点で臓器移植と類似しており、今後再生医療の普及に応じてHLA関連検査のニーズも高まることが予測されます。
現在の主な検査項目としては、「HLAタイピング検査」、「抗HLA抗体検査(抗HLA抗体スクリーニング検査及び抗HLA抗体同定検査)」、「フローサイトクロスマッチ検査」があります。これら移植治療に必要な検査を1拠点でまとめて行うことで整合性のとれた確度の高いデータを顧客に提供することが可能になります。
また、これらの検査項目のうち、造血幹細胞移植における抗HLA抗体検査(抗HLA抗体スクリーニング及び抗HLA抗体同定検査)が、2012年4月から、保険適用になりました。
臨床検査事業の事業系統図
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(用語解説)
[iPS細胞]
人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells)の略称。体細胞へ数種類の遺伝子を導入することにより、多様な細胞に分化できる分化多能性と、無限増殖能を持たせた細胞。
[培養液]
細胞等を培養するために用いられる溶液。細胞種に合わせて様々な種類の培養液が必要である。
[凍結保存液]
細胞等を保存するために用いられる溶液。
[抗体]
抗原と特異的に結合する免疫グロブリンの総称。
[体細胞]
生物体を構成する細胞のうち、生殖細胞以外の細胞の総称。
[体性幹細胞]
生体の様々な組織にある幹細胞。造血幹細胞・神経幹細胞・皮膚幹細胞などがあり、限定された種類の細胞にしか分化しないものや、広範囲の細胞に分化するものなど様々ある。成体幹細胞。組織幹細胞。
[ドナー]
移植のために血液、組織、または器官などを自発的に提供する人。
[臨床試験]
薬剤候補について、有効性と安全性を実証するために、ヒトを対象として実施する試験の総称。少数健常人を対象として安全性及び薬物動態を確認する第I相試験、少数患者を対象として有効性及び安全性を探索的に確認する第Ⅱ相試験、多数患者を対象として有効性及び安全性を検証する第Ⅲ相試験に区分される。
[治験]
国から薬としての承認を受けるために行う臨床試験のこと。
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