有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AM70
京セラ株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社は各部門での新技術開発、新製品開発に加え、グループ内の経営資源の融合により将来の核となる事業の創出に取り組んでいます。特に今後の成長が見込まれる「情報通信市場」、「自動車関連市場」、「環境・エネルギー市場」並びに「医療・ヘルスケア市場」における付加価値の高い新技術、新製品の研究開発に注力しています。また、IoTの拡大により新たな事業機会の創出が見込まれることから、ハードウェア主体の既存ビジネスにソフトウェアを融合させるためのソフト開発強化に取り組んでいます。
各レポーティングセグメント、及びその他の事業における主な活動は次のとおりです。
(1) ファインセラミック部品関連事業
創業以来培ってきたファインセラミックスの材料技術やプロセス技術、設計技術をさらに高める基礎研究及びプロセス開発に取り組むとともに、これらのコア技術を活かし、幅広い市場向けに新製品の開発を進めています。
主力の半導体製造装置市場向けには、微細配線、三次元構造等、高集積化の進む次世代装置に向けた部品や材料開発に取り組んでいます。
また、自動車関連市場向けには、ADAS(Advanced Driving Assistant System、先進運転支援システム)や自動運転に欠かせないコア製品であり、引き続き需要の増加が見込まれる車載カメラモジュールに加え、車載カメラシステムによる高度な画像センシング技術の実現に向けて、ソフトウェアの開発を強化しています。さらに、二酸化炭素の削減や排気ガスを抑制し、ディーゼル車の環境性能の向上に貢献するセラミック部品の開発に注力しています。
環境・エネルギー市場向けには、新たなクリーンエネルギー供給システムとして普及が期待されるSOFC(Solid Oxide Fuel Cell、家庭用固体酸化物形燃料電池)向けのセルスタックの高効率化に加え、産業用SOFCシステムや、次世代の各種高効率デバイスに向けた部品の開発を強化しています。
(2) 半導体部品関連事業
スマートフォンやタブレット端末等のデジタルコンシューマ機器市場においては、機器の多機能化と同時に小型・薄型化のニーズが高まっています。これに伴い、機器に搭載される電子部品の小型化や半導体の微細化が進んでいます。また、情報通信ネットワーク市場においては、高速かつ大容量の通信インフラの構築が求められています。このような市場動向に対応し事業拡大を図るため、当社は独自の材料、設計、加工技術を活かし、付加価値の高い新製品の開発に努めています。
具体的には、セラミックパッケージ事業において微細配線が可能で、かつ高強度、高剛性の超小型・薄型の電子デバイス用パッケージや、より高い周波数に対応した光通信用パッケージの開発に取り組んでいます。
有機多層パッケージ事業においては、狭ピッチかつ薄型・高精細なフリップチップパッケージやモジュール基板の開発を強化しています。また、有機多層ボード事業においても高周波対応の新材料を用いた製品開発に取り組んでいます。
これらの事業を材料技術で支えるケミカル事業では、半導体や自動車関連市場向けに絶縁信頼性等の電気特性の向上に加え、熱硬化・光反応性や形状・応力安定性等の高機能化への要求に対応する新規材料の合成や新たな材料配合技術等の開発を強化しています。
(3) ファインセラミック応用品関連事業
ソーラーエネルギー事業においては、単結晶及び多結晶シリコン太陽電池セルの変換効率や、モジュールの出力及び耐久性の向上を図る等、製品の性能品質向上に努めています。また、太陽光発電システムで得られた電力の自家消費に対応した蓄電システムの大容量化や小型化に加え、エネルギーの利用効率を高めるエネルギーマネジメント等、太陽電池周辺機器やシステムの開発にも注力しています。さらに、電力自由化に伴うデマンドレスポンスやバーチャルパワープラント市場での事業拡大に向けた技術開発も進め、トータルエネルギーソリューションビジネスへの事業領域拡大に努めています。
切削工具事業については、自動車やエネルギー・インフラ、航空機分野等の幅広い市場で金属加工に使用され、ユーザーの生産性向上に寄与する高品質・高精度な工具の開発を材料技術から強化しています。
(4) 電子デバイス関連事業
スマートフォンをはじめとする通信端末では、高機能化に加えマルチバンド化により部品の小型化と高信頼性が要求されています。当社は、これらの市場要求に応える小型高容量で温度や湿度への信頼性を高めたセラミックコンデンサや小型低損失かつ高信頼性のSAWデバイス、並びに小型高特性の水晶部品や狭ピッチ・低背のコネクタ等の開発を進めています。
自動車や産業機器市場向けには、高温信頼性や耐圧性を高めたセラミックコンデンサやコネクタに加え、ディスクリート及びパワーモジュールを含むパワー半導体、TFT液晶ディスプレイやLTPS(Low-Temperature Polycrystalline Silicon、低温ポリシリコン)技術を使用した液晶ディスプレイ、さらに、システム化まで含めたセンターインフォメーションディスプレイ等の付加価値の高い液晶関連製品の開発を行っています。
また、主に商業印刷市場向けに展開しているインクジェットプリントヘッドでは、デジタル印刷で要求される高速化、高画質化に加え、耐久性を高めた製品開発や他用途への展開にも取り組んでいます。
(5) 通信機器関連事業
当社は防水、防塵、耐衝撃性等に優れた通信端末の開発を強化するとともに、国内外で販売する端末のプラットフォームやモジュールの共通化を進め、特長ある端末の開発及び開発期間の短縮に努めています。また、当社の端末及び部品やシステム技術の融合により、車載向けや低消費電力で広い範囲の無線通信に対応したIoT市場向けに通信モジュールの開発を強化しています。
(6) 情報機器関連事業
競合他社との差別化を図るため、当社の最大の特長である環境性と経済性に優れたプリンター及び複合機の開発を進めています。部品の耐久性を追求し、消耗品であるトナーの交換だけで使用できる当社独自の長寿命技術の開発に取り組んでいます。交換する部品を極小におさえ、お客様のランニングコストの低減と、地球環境にやさしい製品の提供に努めています。また、高画質かつ省エネルギーを追求した新トナーの開発にも取り組んでいます。
ドキュメントソリューションサービス関連では、モバイル機器やクラウド環境、並びに顧客が所有するドキュメント管理システムとの連携によって、情報共有や業務効率に貢献するアプリケーションソフトウェア等の開発を進めています。さらに、企業内の情報を電子化し、包括的かつ効率的に運用するECM(Enterprise Contents Management)事業等を強化しています。
(7) その他の事業
京セラコミュニケーションシステム㈱では、画像解析やテキスト解析等のAI(Artificial Intelligence、人工知能)を活用した新たなサービスの展開に必要なプラットフォームやソフトウェアの開発に取り組んでいます。また、IoTの普及により複雑化・高度化する顧客ニーズに対して、日々新たに発生する脅威や様々な端末に対応するセキュリティソフトの開発にも取り組んでいます。IoT市場については、LPWA(Low Power Wide Area、低消費電力広域ネットワーク)技術によるワイヤレスネットワークシステム網の拡大に向けて、パートナー企業を中心にセンサー等の開発支援に取り組んでいます。
(注)前連結会計年度までは「その他の事業」に含めていた旧京セラケミカルグループの経営成績について、当連結会計年度より「半導体部品関連事業」に含めて開示しています。この変更に伴い、前連結会計年度の研究開発費についても同様の基準で組み替えて表示しています。
各レポーティングセグメント、及びその他の事業における主な活動は次のとおりです。
(1) ファインセラミック部品関連事業
創業以来培ってきたファインセラミックスの材料技術やプロセス技術、設計技術をさらに高める基礎研究及びプロセス開発に取り組むとともに、これらのコア技術を活かし、幅広い市場向けに新製品の開発を進めています。
主力の半導体製造装置市場向けには、微細配線、三次元構造等、高集積化の進む次世代装置に向けた部品や材料開発に取り組んでいます。
また、自動車関連市場向けには、ADAS(Advanced Driving Assistant System、先進運転支援システム)や自動運転に欠かせないコア製品であり、引き続き需要の増加が見込まれる車載カメラモジュールに加え、車載カメラシステムによる高度な画像センシング技術の実現に向けて、ソフトウェアの開発を強化しています。さらに、二酸化炭素の削減や排気ガスを抑制し、ディーゼル車の環境性能の向上に貢献するセラミック部品の開発に注力しています。
環境・エネルギー市場向けには、新たなクリーンエネルギー供給システムとして普及が期待されるSOFC(Solid Oxide Fuel Cell、家庭用固体酸化物形燃料電池)向けのセルスタックの高効率化に加え、産業用SOFCシステムや、次世代の各種高効率デバイスに向けた部品の開発を強化しています。
(2) 半導体部品関連事業
スマートフォンやタブレット端末等のデジタルコンシューマ機器市場においては、機器の多機能化と同時に小型・薄型化のニーズが高まっています。これに伴い、機器に搭載される電子部品の小型化や半導体の微細化が進んでいます。また、情報通信ネットワーク市場においては、高速かつ大容量の通信インフラの構築が求められています。このような市場動向に対応し事業拡大を図るため、当社は独自の材料、設計、加工技術を活かし、付加価値の高い新製品の開発に努めています。
具体的には、セラミックパッケージ事業において微細配線が可能で、かつ高強度、高剛性の超小型・薄型の電子デバイス用パッケージや、より高い周波数に対応した光通信用パッケージの開発に取り組んでいます。
有機多層パッケージ事業においては、狭ピッチかつ薄型・高精細なフリップチップパッケージやモジュール基板の開発を強化しています。また、有機多層ボード事業においても高周波対応の新材料を用いた製品開発に取り組んでいます。
これらの事業を材料技術で支えるケミカル事業では、半導体や自動車関連市場向けに絶縁信頼性等の電気特性の向上に加え、熱硬化・光反応性や形状・応力安定性等の高機能化への要求に対応する新規材料の合成や新たな材料配合技術等の開発を強化しています。
(3) ファインセラミック応用品関連事業
ソーラーエネルギー事業においては、単結晶及び多結晶シリコン太陽電池セルの変換効率や、モジュールの出力及び耐久性の向上を図る等、製品の性能品質向上に努めています。また、太陽光発電システムで得られた電力の自家消費に対応した蓄電システムの大容量化や小型化に加え、エネルギーの利用効率を高めるエネルギーマネジメント等、太陽電池周辺機器やシステムの開発にも注力しています。さらに、電力自由化に伴うデマンドレスポンスやバーチャルパワープラント市場での事業拡大に向けた技術開発も進め、トータルエネルギーソリューションビジネスへの事業領域拡大に努めています。
切削工具事業については、自動車やエネルギー・インフラ、航空機分野等の幅広い市場で金属加工に使用され、ユーザーの生産性向上に寄与する高品質・高精度な工具の開発を材料技術から強化しています。
(4) 電子デバイス関連事業
スマートフォンをはじめとする通信端末では、高機能化に加えマルチバンド化により部品の小型化と高信頼性が要求されています。当社は、これらの市場要求に応える小型高容量で温度や湿度への信頼性を高めたセラミックコンデンサや小型低損失かつ高信頼性のSAWデバイス、並びに小型高特性の水晶部品や狭ピッチ・低背のコネクタ等の開発を進めています。
自動車や産業機器市場向けには、高温信頼性や耐圧性を高めたセラミックコンデンサやコネクタに加え、ディスクリート及びパワーモジュールを含むパワー半導体、TFT液晶ディスプレイやLTPS(Low-Temperature Polycrystalline Silicon、低温ポリシリコン)技術を使用した液晶ディスプレイ、さらに、システム化まで含めたセンターインフォメーションディスプレイ等の付加価値の高い液晶関連製品の開発を行っています。
また、主に商業印刷市場向けに展開しているインクジェットプリントヘッドでは、デジタル印刷で要求される高速化、高画質化に加え、耐久性を高めた製品開発や他用途への展開にも取り組んでいます。
(5) 通信機器関連事業
当社は防水、防塵、耐衝撃性等に優れた通信端末の開発を強化するとともに、国内外で販売する端末のプラットフォームやモジュールの共通化を進め、特長ある端末の開発及び開発期間の短縮に努めています。また、当社の端末及び部品やシステム技術の融合により、車載向けや低消費電力で広い範囲の無線通信に対応したIoT市場向けに通信モジュールの開発を強化しています。
(6) 情報機器関連事業
競合他社との差別化を図るため、当社の最大の特長である環境性と経済性に優れたプリンター及び複合機の開発を進めています。部品の耐久性を追求し、消耗品であるトナーの交換だけで使用できる当社独自の長寿命技術の開発に取り組んでいます。交換する部品を極小におさえ、お客様のランニングコストの低減と、地球環境にやさしい製品の提供に努めています。また、高画質かつ省エネルギーを追求した新トナーの開発にも取り組んでいます。
ドキュメントソリューションサービス関連では、モバイル機器やクラウド環境、並びに顧客が所有するドキュメント管理システムとの連携によって、情報共有や業務効率に貢献するアプリケーションソフトウェア等の開発を進めています。さらに、企業内の情報を電子化し、包括的かつ効率的に運用するECM(Enterprise Contents Management)事業等を強化しています。
(7) その他の事業
京セラコミュニケーションシステム㈱では、画像解析やテキスト解析等のAI(Artificial Intelligence、人工知能)を活用した新たなサービスの展開に必要なプラットフォームやソフトウェアの開発に取り組んでいます。また、IoTの普及により複雑化・高度化する顧客ニーズに対して、日々新たに発生する脅威や様々な端末に対応するセキュリティソフトの開発にも取り組んでいます。IoT市場については、LPWA(Low Power Wide Area、低消費電力広域ネットワーク)技術によるワイヤレスネットワークシステム網の拡大に向けて、パートナー企業を中心にセンサー等の開発支援に取り組んでいます。
(百万円) |
研究開発費 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減率(%) | |
ファインセラミック部品関連事業 | 3,731 | 4,531 | 21.4 | |
半導体部品関連事業 | 3,078 | 3,398 | 10.4 | |
ファインセラミック応用品関連事業 | 4,348 | 3,795 | △12.7 | |
電子デバイス関連事業 | 7,686 | 8,129 | 5.8 | |
部品事業計 | 18,843 | 19,853 | 5.4 | |
通信機器関連事業 | 3,868 | 2,348 | △39.3 | |
情報機器関連事業 | 24,021 | 21,674 | △9.8 | |
機器事業計 | 27,889 | 24,022 | △13.9 | |
その他の事業 | 12,023 | 11,536 | △4.1 | |
研究開発費計 | 58,755 | 55,411 | △5.7 | |
(売上高比率) | (4.0%) | (3.9%) |
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