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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100ALWX

有価証券報告書抜粋 CYBERDYNE株式会社 事業の内容 (2017年3月期)


沿革メニュー関係会社の状況

当社は、社会が直面する様々な課題を解決するため、サイバニクスを駆使して、革新技術(イノベーション技術)の創出と基礎的研究開発から社会実装までを一貫した事業スキームとして事業展開し、革新技術の研究開発と新産業創出による市場開拓、これらの挑戦を通じた人材育成を上向きにスパイラルを描くように同時展開する未来開拓型企業です。
「テクノロジーは人や社会の役に立ってこそ意味がある」との理念のもと、HAL®に代表される「メイドインジャパンの革新的ロボット医療機器/革新的人支援機器/革新的医療機器」の研究開発・社会実装及び当該技術を核とした世界規模でのサービス産業を創出し、健康長寿社会を支える人支援産業(ロボット・ヘルスケア産業を含む)のリーディング企業として国際事業展開・市場開拓を行い、重介護ゼロ®社会の実現に挑戦します。今後、世界の先進各国は超高齢社会に直面しますが、そこには医療・福祉・生活(職場環境含む)分野での新産業創出の機会があり、1980年代に産業用ロボットが成し遂げた生産革命を超えるパラダイムシフト(サイバニクス革命)によって人や社会に役立つことが、当社グループの事業ミッションです。

(1) サイバニクス技術による事業分野
サイバニクスは、人とロボットと情報系が融合複合したトータルシステムを「基礎研究レベルから社会実装」に至るまで取り扱うことのできるものとなっています。当社グループは、このサイバニクス技術を駆使して、医療、福祉、生活(職場環境含む)分野の事業展開を行います。HAL®は、人・ロボット・情報系が融合複合したサイバニクスを駆使して研究開発された革新技術の代表的成果であり、これを中心として下記のような事業分野に展開しております。

1) 医療サービス分野:脳・神経・筋系疾患の患者へのサイバニクス治療サービスを提供する事業分野。
2) 医療機器分野:医療用HAL®に代表される脳・神経・筋系疾患の患者向けのサイバニクス治療を行う医療機器や手のひらサイズで動脈硬化度や心電位を計測するバイタルセンサーの研究開発・製造・販売及びそれらに関連する事業分野。
3) 生活支援サービス分野(介護福祉を含む):高齢者や障がい者への健康トレーニングを提供する事業分野。
4) 生活支援機器分野(介護福祉を含む):高齢者や障がい者の自立動作をサポートするHAL®福祉用(下肢タイプ)・自立支援用(単関節タイプ)、作業者や介護者の重作業をサポートするHAL®作業支援用・介護支援用(腰タイプ)、人工知能AI搭載型の搬送ロボットやクリーニングロボットなどの介護福祉・職場環境等を含む生活支援を行う生活支援ロボットの研究開発・製造・販売及びそれらに関連する事業分野。その他、災害現場でのレスキュー活動を支援する災害対策ロボットの研究開発及びそれに関連する事業分野。


(2) 中核技術としてのHAL®の動作原理と制御方法
HAL®は、人が装着して利用します。HAL®の技術は様々な分野で利用でき、当社グループの事業の中核となるものです。HAL®は、装着者の脳神経系からの動作意思を反映した微弱な生体電位信号(Bio-Electrical Signal:BES)で機能する「サイバニック随意制御系」、姿勢や重心バランス等の装着者の動作情報を人工知能処理し機能する「サイバニック自律制御系」、装着者の人間特性に適応調整される「サイバニックインピーダンス制御系」、及びこれらを組み合わせた「サイバニックハイブリッド制御系」などで構成される革新的サイバニックシステムです。
人が体を動かそうとする際、その運動意思は微弱なイオン電流の神経系指令信号として、脳、脊髄、運動神経、筋肉へと伝達され、最終的に筋骨格系が動くことになります。その際、微弱な生体電位信号が皮膚表面にも到達してくるので、これを検出できれば運動意思を捉えたことになります。HAL®はこの微弱な生体電位信号を装着者の皮膚表面に貼付けられたセンサーで検出し、これを活用して機能します。これにより、装着者が身体を動かそうとすると、その運動意思に従ってHAL®が駆動します。HAL®は身体に密着しているため、装着者の意思によって駆動すると同時に、脚などの装着部位を動かすことになり、筋紡錘(※1)からの求心性ニューロン(※2)の信号が感覚神経、脊髄を経て脳に戻る(フィードバックされる)ことになります。更に、このような体内の感覚神経系情報に加え視聴覚情報も脳にフィードバックされることになります。このようにして、「脳→脊髄→運動神経→筋肉→HAL®」、そして、「HAL®→筋紡錘→感覚神経→脊髄→脳」という脳と身体とHAL®との間でインタラクティブなバイオフィードバックが構成されることになります。
これが基本的な「サイバニック随意制御」であり、機能的に人間とロボットとを一体化させることに成功した新しい制御手法の動作原理の一つです。また、重度の運動機能障害を有する場合、特に、生体電位信号がまだ検出できないような状態では、「サイバニック随意制御」が機能しないため、人間の基本運動パターンや動作メカニズムの解析結果を元に予め準備されたプログラムによってロボットのように動作する「サイバニック自律制御」が機能します。また、HAL®の質量・慣性モーメント・粘性摩擦等の機械インピーダンスを補償し、装着感に関する物理パラメータを任意に調整することができるサイバニックインピーダンス制御も組み込まれています。目的に応じて、これらの制御を自在に組み合わせたサイバニックハイブリッド制御を構成できることがHAL®の大きな特徴となります。

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図1 HAL®の動作原理



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図2 HAL®の制御方法

※1.筋紡錘
筋肉の内部の紡錘型の筋繊維にらせん状に巻き付いている感覚受容器です。筋肉の長さや張力に応じて神経伝達物質が生じるため関節の角度や身体の姿勢や筋肉が発揮している力などの身体の内部の感覚を起こします。

※2.求心性ニューロン
末梢の感覚受容器からの刺激を脊髄や脳など中枢に伝達する知覚神経のニューロンです。

(3) HAL®の医療機器認証/承認と保険収載のプロセス

スウェーデンのカロリンスカ研究所のダンドリード病院で急性期・回復期を対象にした脳卒中患者に対してHAL®の臨床試験が実施され、歩行機能の他、さまざまな身体機能の改善が認められています。また、ドイツのBG RCI(公的労災保険組合)の傘下のベルクマンスハイル大学病院では、外傷性の麻痺患者(主に脊髄損傷患者)に対してHAL®による集中的な治療を実施し、優れた歩行機能改善を実証しております(※)。
上記のような取り組みにより、HAL®は国内外の医療機関で実証された臨床データによって身体機能改善と臨床的な安全性が確かめられ、ロボット治療機器として世界で初めてEUにおける医療機器認証(CEマーキング)を取得しました。なお、適用疾患の範囲は脳・神経・筋系の疾患(具体的には、脳卒中・脊髄損傷に起因する運動麻痺、廃用、進行性疾患など)となっております。医療機器としての認証はEU圏内で効力を有するため、認証規制面でのプロセスは既にクリアしております。今後は欧州各国での各種保険適用のプロセスを順次進める予定です。
ドイツにおいては、HAL®によるサイバニクス治療に対して、DGUV(ドイツ法的損害保険)により公的労災保険の適用を受けることになりました。2013年8月より適用された当該公的労災保険での治療や臨床試験における臨床データを収集・蓄積して、新たに公的医療保険への適用を目指して、2015年10月にはInEK(ドイツ病院医療報酬制度協会)に対して急性期から回復期に相当する期間のすべての対麻痺患者に対する診療報酬に関する申請を提出するとともに、G-BA(ドイツ連邦合同委員会)に対して急性期から回復期に相当する期間を終えたすべての対麻痺患者に対する診療報酬に関する申請手続きを進めております。
なお、HAL®は人種や民族により安全性や有効性に関する差異がでにくいという特徴があります。また、非侵襲でリスクレベルも高くないため、各国の各種保険制度にはほぼ共通の臨床データを利用することができます。したがって、高レベルの臨床データを蓄積することで、その後の展開(ドイツ国内だけでなくEU圏内の各種保険適用)を迅速に進めることができるようになります。

※ 関連する主な学術論文は、下記の通りです。
・“Locomotion training using voluntary driven exoskeleton (HAL) in acute incomplete SCI” Neurology (2014)
・“Voluntary driven exoskeleton as a new tool for rehabilitation in chronic spinal cord injury — A pilot study” The Spine Journal (2014)
・“Gait training early after stroke with a new exoskeleton — the hybrid assistive limb: a study of safety and feasibility” Journal of Neuro Engineering and Rehabilitation (2014)
・“The Effectiveness and Safety of Exoskeletons as Assistive and Rehabilitation Devices in the Treatment of Neurologic Gait Disorders in Patients with Spinal Cord Injury: A Systematic Review” Global Spine Journal (2016)
・“Against the odds: what to expect in rehabilitation of chronic spinal cord injury with a neurologically controlled Hybrid Assistive Limb exoskeleton. A subgroup analysis of 55 patients according to age and lesion level”Neurosurgical Focus (2017)



米国での医療機器承認については、2014年11月よりFDA(米国食品医薬品局)に対する申請手続きを進めております。当社は、医療用HAL®の革新性に関して、他に類のない新しいロボット治療機器であることを識別可能な形式での承認に向け、FDAと協議を行なっており、米国における各種保険適用等、承認取得後の事業展開を見据え、引き続き戦略的に推進しております。


筑波大学附属病院で行われた「運動器不安定症患者およびその基礎疾患を有する患者に対する Hybrid Assistive Limb (HAL®)装着による運動機能改善効果の探索的研究(UMIN試験ID:UMIN000002969)」により、機能回復が一定水準に達した脳卒中、脊髄損傷、神経筋疾患、運動器疾患等の患者に対して有意な歩行機能の改善が認められており、現在も臨床研究を進めております(※1)。本臨床データ等に基づき作成されたプロトコルによって、医薬品医療機器総合機構(PMDA)による治験実施許可が得られ、2013年3月より国立病院機構新潟病院の中島孝医師を中心に、希少性難治性の神経・筋難病疾患の患者に対して、厚生労働省の厚生科学研究費補助金による医師主導治験が実施されました。また医療用HAL®(下肢タイプ)は2014年12月には希少疾病用医療機器の厚生労働大臣指定を受け、製造販売承認申請後の優先審査対象になりました。2015年3月に医療用HAL®(下肢タイプ)について、筋ジストロフィーやALS等(※2)の希少性難治性の神経・筋難病疾患に対する「新医療機器」としての製造販売承認申請を行い、2015年11月に厚生労働省より医療機器として製造販売承認を取得し、2016年1月に世界で初めて公的医療保険適用が決定しました。2016年9月より神経・筋難病疾患の患者に対する公的医療保険による診療が開始されています。また、2014年9月より対象疾患を希少性難治性の脊髄疾患に適用拡大して医師主導多施設共同治験が実施されています。
今後は脳卒中や脊髄損傷などへの適用範囲の拡大を図り、臨床研究を進め、さらに医療保険収載のプロセスについても、医療機器承認の範囲拡大と平行してまいります。2016年9月より脳卒中患者を対象とした医師主導治験が実施されています。

※1.主な学術論文は、下記の通りです。
・“Pilot study of locomotion improvement using hybrid assistive limb in chronic stroke patients” BMC Neurology (2013)
・“Feasibility of rehabilitation training with a newly developed wearable robot for patients with limited mobility” Archives of Physical Medicine and Rehabilitation (2013)
・“Gait training of subacute stroke patients using a hybrid assistive limb: a pilot study”
NeuroRehabilitation (2017)

※2.医療機器製造販売承認申請の対象となった希少性神経・筋難病疾患は、下記の通りです。
脊髄性筋萎縮症(SMA)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)、遠位型ミオパチー、封入体筋炎(sIBM)、先天性ミオパチー、筋ジストロフィー

(4) 当社グループ製品の内容
当社グループでは、多様な技術分野において製品開発を推進しておりますが、現時点での当社グループの事業はHAL®が中心となっています。HAL®は、その使用目的別に、①医療分野での患者の身体機能改善/機能再生を目的としたロボット治療機器、②介護福祉分野での自立動作支援を目的とした福祉機器や生活支援機器、③介護施設や建設・工場など重作業現場での作業者に対する作業支援機器などとして、人が装着して活用することで様々な用途展開を可能とするものです。HAL®以外には、AIを搭載した搬送ロボットやクリーニングロボットを製品化しています。また、病気を未然に防ぐための、手のひらサイズの動脈硬化度・心電計であるバイタルセンサーなどの開発を行っています。

(5) 当社グループの事業系統図
以上に述べた事項を、以下の事業系統図に示します。なお、当社グループのセグメントはロボット関連事業のみの単一セグメントであります。

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HAL®を製品として出荷するために、研究開発の手順から製造・管理に至るまで、高品質の研究開発・製造・管理体制を整備しつつ、①専門家ユーザー(利用施設:医療機関、介護福祉施設、企業等)向けに当社機器のレンタル・リース販売及び保守サービスを提供し、更に②エンドユーザー(患者等)向けにサイバニクス治療およびトレーニングサービスの提供を行っております。

沿革関係会社の状況


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