有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AI48
愛知製鋼株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)
経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループは、産業の発展と社会貢献を通じて収益に結びつくオンリーワン技術の開発をめざして、自動車向け特殊鋼の開発、ステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、さらには電磁品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。
当連結会計年度の研究開発費は、3,304百万円、研究開発人員は約250名であります。
なお、セグメント別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。
(1) 鋼材事業
自動車部品用の新しい特殊鋼やステンレス鋼の研究及び製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。
特殊鋼における製造プロセスの革新として、
①新連続鋳造機を起点とした取組みを更に発展(前後工程スルーでの品質ロス低減、生産効率向上活動の実施)
②分塊大形圧延工程リエンジニアリングの効果最大発揮(物流整流化により生産能力向上、品質安定化を達成)
③精整検査工程の搬送設備を増強。建設中の最新精整ライン設置により、出荷リードタイム短縮と検査能力向上を図り高度化する顧客ニーズへの対応力を向上
自動車向け特殊鋼の開発として、
④燃費改善に貢献する「トラック用高強度板ばね用鋼」を実用化
⑤燃費向上に重要なエンジン部品(クランクシャフト、コンロッド)及び駆動伝達部品(ギヤ、シャフト)の軽量化に貢献する高強度な素材・プロセスの研究開発を強力に推進
⑥低コスト化に寄与するモリブデン含有量を低減した歯車用鋼のレパートリーを拡充。拡販に向けた取組みを加速
ステンレス鋼の開発及び市場創出として、
⑦将来の需要増が見込まれるエネルギー・インフラ分野を狙ったステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡充及びステンレス部材ビジネスの拡大
⑧水素社会に対応する高圧水素用ステンレス鋼“AUS316L-H2”の拡販と水素社会のさらなる拡大に向けた省合金化による低コスト化を実現する高圧水素用ステンレス鋼の実用化開発
当事業に係わる研究開発費は2,255百万円であります。
(2) 鍛造品事業
自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。
“魅せる工場づくり”として、
①世界一“きれい”な鍛造工場を目指した工場美化活動を、モデル工場からスタート
鍛造プロセスの高効率製造・鍛造品の低コスト化として、
②CVT(※1)用熱間鍛造プレスラインを2ライン建設
(1)高速自動鍛造化により、CVT車に搭載されるシャフト部品の世界トップクラスの生産性を達成
(2)最新のFIA(※2)炉を採用することでエネルギー効率を高め、省エネルギー・CO2削減を図るともに物流改善により生産リードタイムを短縮
(3)従来より進めてきた材料切断から機械加工までの全製造工程スルーでの生産性向上・エネルギー削減・生産リードタイム短縮を完了
③誘導加熱用コイルの保温性能向上による省エネルギー・低CO2化
④鍛造金型の長寿命化を目的とした表面処理技術開発と適用部品拡大
当事業に係わる研究開発費は38百万円であります。
※1 CVT(Continuously Variable Transmission):無断階変速機。変速比を連続的に変化させるトランスミッション
※2 FIA(Forging Isothermal Annealing):熱間鍛造時の保有エネルギーを利用した熱処理
(3) 電磁品事業
MIセンサの開発、モータ用磁石の開発、歯科用磁性アタッチメントの開発、車載電子機器用放熱部品の開発等を行っております。当連結会計年度の主な成果は、2016年8月に革新工法「一体射出成形技術」によるDyフリーボンド磁石マグファイン®で充電式チェンソー用モータに採用されました。また次世代自動車向け高効率モータ用磁性材料技術開発(NEDO委託業務研究組合)にも参画し、国家プロジェクトでの次世代磁石開発の第一フェーズを終了しました。本年度からは、実用化開発フェーズでNEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」で推進して参ります。
一方、MIセンサの開発では、平成28~29年度の内閣府SIP(※3)の「自動運転」内のプロジェクトにおいて、磁気式レーンガイドシステムの開発を行っております。本システムでは、自動車に搭載されたMIセンサが道路上の磁気マーカの磁力を検知し、レーン内を自動で走行する支援を行います。当社は今後、自動運転バスに搭載する実証実験に参画し、高齢者が多く住む地域へ新たな交通手段を提供し、生活の足を守るとともに交通事故の未然防止につなげ、自動運転の安全性向上に貢献できるよう、鋭意開発に取り組んでおります。
当事業に係わる研究開発費は1,010百万円であります。
※3 SIP:戦略的イノベーション創造プログラム。科学技術イノベーション実現のために内閣府が創設した国家プロジェクト
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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