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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100DIXZ

有価証券報告書抜粋 株式会社リボミック 事業等のリスク (2018年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資家の判断にとって重要であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在現在において当社が判断したものであります。

① 創薬・医薬品開発事業全般に関する事項
当社は、医薬品開発における初期段階(探索研究及び前臨床試験)での研究開発を中心とした創薬事業を主たる事業としております。本分野は、国際的な巨大企業を含む国内外の多数の企業や研究機関等が競い合っています。また、研究開発から製造販売のための承認・許可の取得、上市に至る過程において様々な薬事規制に従い、しかも長期間にわたって多額の資金を投入する必要があります。この創薬事業は下記のとおり不確実性及びリスクを伴うものであります。

(イ) 医薬品開発の不確実性について
一つの開発候補化合物が医薬品として承認され上市に至るまでには、ヒトでの臨床試験を含む様々な試験によって有効性・安全性が確認されるのみならず、製造・販売に至るまでに様々な関門があり、その全てをクリアする必要があります。
開発過程の各段階において、開発続行の可否を判断する際、中止の決定を行うことは稀なことではありません。このような成功の不確実性は、自社で開発した場合も、あるいは製薬企業にライセンス・アウトした場合においても、避けては通れないものです。このリスクを低減・分散するため、当社は以下の基本的な対応をとっております。
・一つのターゲット(ターゲットタンパク質)に結合するアプタマーについて、有力なものが得られても、幾つかのバック・アップ品を準備することによって、プロジェクトの持続を図る。
・互いに独立した複数の開発パイプラインを保有する。
これらによって、一つの開発候補化合物について開発途上で何らかの障害が発生した場合でも、それに伴う事業遂行上のリスクやロスを最小限に留めるよう努めております。
しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、自社創薬か共同研究かを問わず、開発パイプラインから品目が脱落する影響は大きく、その場合には当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(ロ) 治験の実施について
当社は、米国での臨床開発を推進する拠点として100%子会社であるRIBOMIC USA Inc.を2017年8月に設立し、RBM-007(抗FGF2アプタマー)について加齢黄斑変性症を対象とした治験計画届出を2019年3月期に米国FDAに、また、日本国内においては、軟骨無形成症を対象とした治験計画届出を2020年3月期にPMDAに行い臨床開発を進める予定ですが、有効性及び安全性の評価に関し規制当局からの承認が必要とされ、有効性及び安全性に良い評価が得られなかった場合、外部環境の変化等で事業性の喪失が懸念された場合などには、次の臨床開発段階への進行が遅れる可能性や、臨床開発自体を終了・中止せざるを得ない状況になる可能性があります。
当社は、このような不確実性を低減するために、米国においては、眼科領域を専門とするYusuf Ali氏(Ph.D.)が米国子会社のCEOに着任すると共に、米国の眼科専門医3名からなる科学諮問委員会の設置、開発ターゲットの疾患領域に精通する医師(キー・オピニオン・リーダー)、非臨床試験・臨床試験・CMC(Chemistry, Manufacturing and Control:原薬及び治験薬の開発)・薬事それぞれに精通する外部専門家(コンサルタント)、並びに規制当局との事前相談を通じた情報収集に基づき試験を設計し実施してまいります。
しかしながら、予めすべての要因を想定することは極めて困難であり、臨床開発の大幅な遅れや中止の可能性、規制当局から追加の試験を求められるなどの事態が発生する可能性があります。このような事象が発生した場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(ハ) 収益の不確実性について
通常、医薬品(開発途上の製品を含む)のライセンスにおいては、契約締結に伴う契約一時金、開発途上におけるマイルストーン収入及び製品上市後のロイヤルティーの受領を予定しています。
しかし、契約を成立させるためには、ライセンシー(ライセンスを受ける相手先)の評価をクリアする一定の条件(有効性等に関する信頼できる試験データ、特許の存在、競合品との優位性の根拠資料等)を有した医薬候補品を創製する必要があり、また、マイルストーン収入を獲得するためには、ライセンシーによって開発が順調に進み、一定の段階をクリアすることが必要であり、さらにロイヤルティーを得るには、許認可当局からの承認の取得、製造及び販売の全ての段階において成功を収めることが必要であります。
当社は比較的早期の段階の研究開発を基本としているため、その後の開発進捗の不確実性が比較的高い可能性があり、当社及びライセンシーが前述の一連の活動において成功しない、あるいは、製品化(製品の承認取得、製造販売)に成功したとしても、薬価や市場性の問題等から、当該製品に関する事業活動を継続するために必要な採算性を確保する十分な収益を得ることができない可能性があります。
当社は、上記開発プロジェクトの適応疾患の選定及び共同研究やライセンス契約等の提携契約の締結に際して、競合品となる可能性のある既存の医薬品の市場規模等を基に市場性や採算性を検討しておりますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生した場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(ニ) 遵守すべき法的規制等及び医療保険制度等の不確実性について
当社が参画する医薬品業界は、各国における事業規制法及び医療保険制度、その他関係法令等により、様々な規制を受けております。すなわち新規医薬品を製造発売するに当たっては、対象となる全ての国で当該国が定める薬事関連法規に従って一定の基準の下で承認や許可を受ける必要があり、また臨床試験の開始などについても、多くの国で厳しい薬事規制が設けられています。
当社の事業計画は現行の医薬品に関する日本など先進国での承認基準や薬事規制を前提として策定されておりますが、これらの基準及び規制は科学技術の発展に伴って、適時、改定されています。
長期間を要する新薬開発においては、その間にこれらの基準や規制、制度、価格設定動向等が大きく変動する可能性がないとはいえず、また、薬事に関する法的規制等及び医療保険制度等に変更等が生じた場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(ホ) 開発品目に関する潜在的な競合について
当社の潜在的な競合相手は、国内外の大手製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。
アプタマー創薬を行っている企業は、現時点では当社やドイツのNOXXON社が代表的な会社であり、この分野で公開されている各社の開発ターゲット(開発品目)を見る限り、競合はほとんどありません。
しかし、アプタマー医薬は抗体医薬と類似した作用メカニズムや投与方法などから、ターゲット疾患によっては抗体医薬との開発競争や市場での競合が起こりえます。それら競合相手の中には、マーケティング力、財務状況等について当社やその提携先より優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する製品(特に抗体医薬)を効率よく開発し、生産及び販売する可能性があります。
したがって、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争が生じた場合、また、核酸医薬、特にアプタマー医薬のポテンシーや将来性が大手製薬企業に認識され、参入企業が増加し競争が激化する場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(ヘ) 賠償問題発生リスクについて
医薬品の臨床試験を実施する際には、薬剤の副作用などに伴う健康被害に対する賠償問題が発生するリスクを伴います。これに関し、治験薬保険などの保険への加入によって、こうした事態が発生した場合の財政的負担を最小限にする対応を図ってまいります。
また、医薬品の製造及び販売に伴う副作用等での健康被害に対し、製造物責任により賠償を負うケースが発生する可能性があります。
開発段階での候補品のライセンス・アウトを予定している当社の事業形態からは、販売後の医薬品が引き起こす健康被害による製造物責任を当社が負う可能性は極めて低いものです。しかし、開発に関与した者として何らかの責任を追及され、ライセンシーから賠償金を請求される可能性は皆無とはいえず、このような場合等には当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(ト) 技術革新について
当社は「RiboARTシステム」というアプタマー創薬に関する基盤技術を保有しており、あらゆるターゲットに対応したアプタマー医薬の開発を可能にしているという点で優位性を有していると認識しております。医薬品産業においては技術革新が活発であり、当社が認識している優位性を維持し続けるためには、これまでに培った「RiboARTシステム」のさらなる発展、向上を図るだけでなく、新規技術の開発に鋭意取り組む必要があります。
しかしながら、当社の計画どおりに研究開発が進捗しない場合や急激な技術革新等により新技術への対応に遅れが生じた場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

② 当社事業遂行上の事項
(イ) アプタマー創薬について
当社の創薬対象であるアプタマー医薬は、これまで医薬品として用いられてきた低分子医薬品、ワクチン、抗体医薬品に次ぐ新しいカテゴリーである核酸医薬品に属するものです。
核酸医薬品は開発の歴史が浅く、現在までに5品目が上市されただけで、多くは開発途上にあります。このため、製品の効果や安全性、製造方法及び製造コストなどにつき十分な経験、実績が確立されているとはいえず、予期せぬ副作用や製造上の問題または課題が発生する可能性があり、このような場合等には当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社はアプタマー創薬の基盤技術であるSELEX法に関する特許の使用許諾を米国・アルケミックス社より受けていましたが、当該特許は、日本及びヨーロッパにおいて2011年6月、米国において2014年9月に失効しました。これに伴い、当社はアルケミックス社との契約を終結させ、自由にSELEX法を実施できる環境となりました。
しかし、同時に、こうした状況下では大手製薬企業等によるアプタマー創薬への新規参入が想定されます。その場合には、わが国で先駆的にアプタマー創薬に着手してきた当社の研究者の引き抜きや流出に加えて、限られた原薬製造設備の争奪が生じる可能性もあります。
当社としては、将来のこうした状況に備えて、独自の「RiboARTシステム」の開発、知財の取得、ノウハウの蓄積に鋭意努力すると同時に、研究員のリテンションのための施策を講じ、また、アプタマー原薬の製造会社との良好な取引関係の推進や、核酸科学やアプタマーの研究者・研究機関とのネットワークの維持等の対応を行っております。しかし、アプタマー創薬への新規参入企業が増加する場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(ロ) 特定の提携契約に依存した事業計画について
当社は、現時点で、特定の製薬企業との限られた少数の共同研究契約及びライセンス契約を主軸とする事業計画を有しております。
しかしながらこのような提携契約は、相手先企業の経営環境の極端な悪化や経営方針の変更など、当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に終了する可能性及び当社の想定と異なる事態が生じる可能性があります。
このような事態が発生した場合には、他の製薬企業との新たな提携等により当社事業計画への影響を最小限に食い止める所存ではありますが、これが適時に実現できる保証はなく、このため当社の希望どおりの事業活動ができず、若しくは制約を受け、その結果、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社が現時点で有している主な提携契約としては、大正製薬株式会社との共同研究契約及びアステラス製薬株式会社との共同研究契約並びに藤本製薬株式会社と2014年4月に締結したRBM004(抗NGFアプタマー)に関するライセンス契約、大塚製薬株式会社と2017年5月に締結したRBM001(抗MKアプタマー)に関するライセンス契約があります。これらを含め、当社の事業展開上、重要と思われる契約の概要は「第2 事業の状況 4.経営上の重要な契約等」に記載しておりますが、当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合若しくは当社にとって不利な改定が行われた場合、または契約の相手方の財務状況が悪化したり、経営方針が変更されたりした場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このうちライセンス契約によるライセンス・アウト後の収入については、所定条件の達成による収益であることから、ライセンス・アウト後の開発の進捗状況によっては予定された収益の計上時期が遅れたり、それが得られない等により、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、「第2 事業の状況 4.経営上の重要な契約等」に記載した契約の中には、一定の解除事由を定めているものがあります。

(ハ) 新規パイプライン創出について
当社は、今後も新規医薬品の候補アプタマーを自社あるいはアカデミアとの連携を通じて創出し、自社創薬品目あるいは共同研究品目の候補としていくことを基本戦略としております。
この戦略を確実に推進するため、製薬企業との情報交換による需要の発掘やアカデミアとの産学連携等により、Unmet Medical Needsを満たす新規パイプラインの選定・獲得・創出の可能性を高める努力を続けております。
また、国内外の製薬企業との情報ネットワークを活用して需要のある候補ターゲットを早期に探知し、新規パイプラインの可能性を追求してまいります。
しかしながら、現在すでに開発途中にあるもの以外の候補アプタマーを、適宜、創出できる保証が100%あるとはいえず、そのような場合には、当社の事業計画の変更を余儀なくされる等により、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

③ 会社組織に関する事項
(イ) 小規模組織であることについて
当社の人員は、本書提出日現在、役員9名(取締役6名、監査役3名)、従業員21名と小規模であります。当社の研究開発活動については、比較的少人数による体制(取締役1名、従業員16名)を敷いておりますが、研究開発段階における提携関係と業務受託企業の積極活用により、既存パイプラインの開発並びに新規薬剤候補化合物の探索を推進しております。今後は、既存パイプラインの開発推進及び新規薬剤候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しております。
また、管理部門(内部監査室を含む)の人員は本書提出日現在で7名(取締役2名、従業員5名)であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。今後の事業拡大に伴い、管理部門につきましても増員を図る方針であります。
しかしながら、計画通りの人員の確保ができない場合、あるいは既存人員の流出が生じた場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(ロ) 特定人物への依存について
当社はこれまで、創業者で当社の競争力の源となっている「RiboARTシステム」の創出者であり、多くの社有特許の発明者でもある東京大学医科学研究所教授であった中村義一(現 当社代表取締役社長、東京大学名誉教授)を中心として、基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してまいりました。当社設立は、同氏の研究成果の事業化を目的とするものであり、また、現在の当社と東京大学との共同研究においても中心となっていることから、当社の研究開発活動において重要な位置付けを有しており、その依存度は極めて高いと考えられます。
当社は、今後においても代表取締役としての同氏の会社経営の執行が必要不可欠であると考えており、何らかの理由により同氏の会社経営の執行が困難となった場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(ハ) 研究開発に関する一部外部委託について
当社は、広く社外にも専門的な意見を求め、さらに機動的な事業運営を図るため、主に以下に掲げる研究開発項目の一部について、外部機関に業務委託を行っております。
・原薬(前臨床試験用及び臨床試験用の各種アプタマー)、治験薬の製造業務
・前臨床試験の実施
・臨床試験の実施
特に、原薬製造元との製造委託取引は今後も継続していく方針であり、また代替先も確保しておりますが、自然災害や所在国における不測の事態等により、当該製造元から安定的な原薬供給が受けられなくなり、かつ速やかに代替先への移行が行われなかった場合、当社の研究開発の推進に支障をきたし、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、上記以外の業務の委託についても、当社にとって不利な契約改訂が行われた場合または予期せぬ事情により契約が終了した場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、今後の事業の拡大に合わせて上記以外の業務についても、機動的な事業運営を図るため、外部機関に業務委託を行ってまいりますが、速やかに適切な業務委託先が確保出来なかった場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(ニ) 自然災害について
当社は、事業活動の中心となる研究設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができておりません。この地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞等により、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(ホ) 大学等との共同研究について
当社は東京大学を含め、複数の大学等公的機関と共同研究を実施してまいりました。今後もこれらの共同研究を継続していく考えでおります。
東京大学医科学研究所には社会連携講座(「RNA医科学」社会連携研究部門)を設置し共同研究を実施しており、その下で同研究所の施設(実験区画、動物試験施設等)や各種のインフラの利用が可能となっており、当社の研究推進に大きく寄与しております。
しかしながら、法令改正等、何らかの事情により東京大学の社会連携講座が大学において継続されず、または共同研究契約が解消された場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

④ 大株主に関する事項
2018年3月31日時点で大塚製薬株式会社は当社発行済株式総数の28.14%(4,000,000株)を保有しておりますが、重要性の観点から非持分法適用会社となっております。また、大塚製薬株式会社は大株主ではありますが、当社の経営的支配を目的として出資をしていないため、当社の経営判断等に関して影響力を行使するなどの制約を当社に与えておりません。
また、大塚製薬株式会社とはライセンス契約が締結されております。当社はライセンス品目の事業化に向け、大塚製薬株式会社との協力関係を維持してまいりますが、将来において大塚製薬株式会社の経営方針やグループ戦略が変更され、協力関係が解消された場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(イ) 大塚製薬株式会社との取引関係
大塚製薬株式会社との間において、2018年3月期における取引はありますが、重要性が乏しいため記載を省略しております。

(ロ) 大塚製薬株式会社とのその他特別な関係
大塚製薬株式会社との間において特別な関係はありません。

⑤ 知的財産権に関する事項
(イ) 特許の状況について
当社の出願中の各特許については、特許出願時に特許性等に関する調査を行ってはおりますが、全ての特許出願について特許査定が受けられるとは限りません。開発品をカバーする出願中の特許が成立しなかったり、カバーする範囲が狭い場合、ライセンス・アウトが出来ず、または出来たとしても低額な対価しか得られず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。また、特許が成立した場合にも、これらの権利を維持していくための費用が今後当社の負担になる可能性もあります。
さらに、医薬品業界においては、日々熾烈な新薬の開発競争が世界的に繰り広げられており、他社において優れた発明が行われる可能性は常に存在し、当社の特許が成立し、当社技術を保護できた場合においても、他社の特許や技術により、当社の特許が淘汰または無力化される可能性は否定できません。
なお、本項に記載した事項については、現在、当社が開発中のプロジェクトに関して、その実施に支障若しくは支障の発生を懸念される事項は、調査した限りにおいて、存在しておりません。

(ロ) 訴訟及びクレームについて
当社においては、その事業が第三者の特許権等に抵触することを未然に防止するため、事業の着手及びその過程において、特許事務所や専門家による特許調査を適宜実施しており、現時点において第三者特許への抵触の可能性は低いものと認識しております。
また、本書提出日現在において、当社の事業に関する特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟及びクレームが発生している事実はありません。
しかしながら、当社のような創薬を事業とする研究開発型の企業にとって、事業に対する差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難であります。万が一、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、案件によっては解決に時間及び多大の費用を要する可能性があります。特に第三者の特許権等を侵害して事業を行っていた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料の請求等により、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(ハ) 特許の確保について
当社は、事業に必要となる職務発明につき、その発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「金銭その他の経済上の利益(相当の利益)」を与えなければなりません。当社は社内に周知された規程に則り、発明者の認定及び金銭の支払を実施しているため、これまでに金銭の額等について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、その可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。


(ニ) 情報管理について
当社の事業において、研究若しくは開発途上の知見、技術、ノウハウ等は非常に重要な機密情報であります。その流出リスクを低減するため、当社は、役職員、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するなど、厳重な情報管理に努めております。
しかしながら、役職員、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、このような場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 経営成績に関する事項
(イ) 過年度における業績推移について
当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりであります。
回次第11期第12期第13期第14期第15期
決算年月2014年3月2015年3月2016年3月2017年3月2018年3月
事業収益(千円)151,220479,871121,91193,77364,727
営業利益又は営業損失(△)(千円)△414,4756,180△532,389△785,903△899,894
経常利益又は経常損失(△)(千円)△210,88113,195△322,103△658,864△751,609
営業活動によるキャッシュ・フロー(千円)△162,525134,584△324,703△706,894△694,797

当社は、2003年8月に設立された業歴の浅い企業であります。したがって、今後当社が継続的な成長や、経常的な営業キャッシュ・フローを獲得できるか等を予測する客観的な判断材料としては、過年度の経営成績だけでは、不十分な面があると考えられます。

(ロ) マイナスの繰越利益剰余金を計上していることについて
当社は、医薬品の研究開発を事業とするベンチャー企業であり、製薬企業との共同研究や開発品の製薬企業へのライセンス・アウトにより収益を得ることを事業の中核としております。医薬品の研究開発では当初から多額の資金が必要になる反面、安定的な収益の計上にいたるまでには相当な期間を要し、当初は期間損益がマイナスになるのが一般的な傾向です。2015年3月期を除き、創業以来、2018年3月期まで当期純損失を計上してまいりました。当社は既にライセンス・アウトしたパイプラインに続く、後続のパイプラインのライセンス・アウトや新規共同研究契約の獲得を推し進めてまいりますが、将来においてこれらの施策が計画通りに進展しない場合、予定した当期純利益を計上できず、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。

(ハ) 資金調達について
当社は、研究開発型企業として多額の研究開発資金を必要といたします。事業計画が計画通りに進展しない等の理由から資金不足が生じた場合には、提携内容の変更、新規提携契約の獲得、新株発行等の方法により資金需要に対応してまいります。しかし必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社プロジェクトの推進や事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。
また、今後において、さらなる事業拡大等のための資金調達の方法として新株や新株予約権証券などを発行する可能性があります。新株発行の結果、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。

⑦ 潜在株式の行使による当社株式価値の希簿化に関する事項
当社は、優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、株主総会の決議において承認を受け、新株予約権を取締役、従業員及び社外協力者に対して付与いたしました。これらの潜在株式の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを必要に応じて実施することを検討いたします。したがって今後付与される新株予約権の行使が行われた場合にも同様に、当社の1株当たりの株式価値は希簿化する可能性があります。

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