有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100AGL5
JFEホールディングス株式会社 研究開発活動 (2017年3月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループ(当社および連結子会社)は、世界最高の技術をもって社会に貢献することを企業理念とし、顧客ニーズを先取りした独自新商品の開発、高品質な商品を効率的に生産する技術の開発、地球環境保全に寄与する商品および製造技術の開発、ならびにグループ全体としてのシナジーを活かした開発により、常に業界をリードし、新たな分野を開拓していくというグループ共通の開発コンセプトの下、各事業会社が創造性にあふれる研究開発を展開しています。
グループ全体の研究開発戦略の策定や横断的に取り組むべき重要課題の選定・推進については、当社社長を議長とする「グループ技術開発会議」の場で、各事業会社が一体となって取り組んでいます。
今後も、経営環境の変化に柔軟に対応しつつ高い収益力を確保するとともに、市場・社会からの高い信頼を獲得し、将来の経営基盤を育成・発展させるべく、積極的な研究開発に取り組んでいきます。
また、各事業会社において、IoTやビッグデータの活用を推進するための部門横断組織を設置して、製造設備の生産性や商品・サービスの付加価値向上に向けた研究開発等にも積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発費は35,536百万円であり、主要事業内訳は鉄鋼事業33,055百万円、エンジニアリング事業2,481百万円であります。
なお、当連結会計年度における主な事業別の研究の目的、主要課題および研究成果は以下のとおりです。
(1) 鉄鋼事業
鉄鋼事業では、10年先を見据えてお客様や社会のニーズを先取りした新商品・利用技術開発、世界最高水準の地球環境技術や省資源技術の開発を加速するとともに、プロセス革新による画期的新商品の創出と高品質商品製造技術の確立を強力に推進しております。
以下、当連結会計年度の主な研究成果を挙げます。
高炉プロセスでは、CO2大幅削減に向け、製鉄原料であるコークスの技術革新を進めています。低品位の石炭と鉄鉱石を混ぜ合わせた「フェロコークス」を還元反応を促進する触媒として利用することにより、鉄鉱石の還元速度を高め、通常使用するコークス量を低減することができます。コークス使用量の約10%をフェロコークスに置き換えた実証実験においてエネルギー削減効果を確認できており、引き続き実用化に向けた検討を進めていく予定です。
圧延プロセスでは、お客様からの更なる品質向上に対するご要望にお応えするため、「スマート制御技術」を活用した世界初のインテリジェント制御熱延スキンパス設備を自社開発し、世界最速の圧延速度を実現しました。「スマート制御技術」とは、IT技術を最大限に活用し、Cyber(仮想世界=各種シミュレーション)とPhysical(現実世界=各種センサーデータ)を融合させた、高度な制御を行う技術のことです。新スキンパスでは、板厚や形状ならびに通板時の蛇行など多くの変数を最適制御することで、世界最速での自動運転による圧延を可能にし、能率向上と品質安定化を同時に実現することに成功しております。
高度情報化により生み出された質的・量的に膨大なデジタルデータを高速処理・連携活用するビッグデータ解析、センシング・モニタリング技術とデバイス開発に関し、引き続き戦略的な研究開発と実用化を推進してまいります。
薄板分野では、1470MPa級冷延ハイテンを新たに開発し、耐衝撃用部品として高い強度が要求される、バンパーレインフォースメントとして実用化しました。常温で成形する自動車部品の強度としては、世界最高強度となります。高強度化するほど成形加工が難しく、またプレス成形後に脆性割れの懸念も出てくることから、これまでは主に980MPa級ハイテンが使用されていました。今回、西日本製鉄所の水焼き入れ方式の連続焼鈍プロセスを活用し、合金の添加を極限まで低減することで高強度と割れ防止を両立させることに成功しました。本鋼板は、車体軽量化によるCO2削減に寄与することが評価され、第13回エコプロダクツ大賞の経済産業大臣賞を受賞しました。
当社およびドイツ最大の鉄鋼メーカーであるティッセン・クルップ・スチール・ヨーロッパ,AG(以下、「tkSE」)は、ハイテン材を含めた自動車部品用鋼板の新成形技術のクロスライセンス契約を締結しました。これにより、当社が開発した「CP-F™」(Closed Profile - Forming)およびtkSEが開発した「T3」(thyssenkrupp Tailored Tubes)の組合せによる新しい成形技術を、自動車メーカーや自動車部品メーカーに対してグローバルに提案してまいります。
鋼材分野では、超大型コンテナ船に適用可能な、世界最大厚となる板厚100㎜の降伏応力460MPa級高アレスト鋼を新開発しました。超極厚鋼板においては世界で初めて、溶接性とアレスト性能の両立を実現しました。加熱温度や圧延温度を精緻に制御するTMCP(熱加工制御)技術の発展はもちろん、圧延時に組織中の結晶粒の向きを調整しやすいような成分設計とし、き裂の伝播に抵抗する向きの結晶粒比率を高める独自の技術により、板厚100mmでも高アレスト性能の確保を可能としました。
ジャパン マリンユナイテッド㈱と共同で、「狭開先アーク溶接技術」を開発しました。開先とは、鋼板を突き合わせて溶接する際の斜めにカットされた溝のことで、板厚が大きくなるほど開先の断面積が大きくなり、溶接工数が増えてしまいます。溶接時に飛散するスパッタが少なく、かつアークの指向性に優れた、当社のJ-STAR®溶接を用いることで、板厚の大きな鋼板であっても、従来と同等の溶接工数で溶接できるようになり、船体の製造効率向上に大きく寄与します。
建材分野では、JFEシビル㈱と共同で、座屈拘束ブレース「J-ROD®ブレース」を新たに開発しました。ブレースとは、一般的に柱や梁の間に斜めに設置し、鉄骨造の建築物に強度を持たせる部材のことです。座屈拘束ブレースは柱や梁から伝わる圧縮力を負担する芯材と、圧縮時に芯材の座屈を防止するための補剛材で構成されています。JFEシビル㈱が、芯材および補剛材ともに鋼管を用いた「二重鋼管座屈補剛ブレース」を製造・販売していますが、今回開発した「J-ROD®ブレース」は芯材に棒鋼を使用することで外径を2~3割小さくし、非常にスリムな外観を実現しました。このため、建物の外壁、窓面に取り付けるブレースとして、デザイン性を更に高めた形状となっております。
当社が開発してまいりました商品、技術は社外からも高く評価されております。例えば、当社が世界で初めて開発・実用化した省資源型Si傾斜磁性材料「JNHFコア®」、「JNSFコア®」が、公益財団法人新技術開発財団から「第49回市村産業賞貢献賞」を受賞しました。また、「表面処理鋼板の非接触通板制御装置」が、一般財団法人機械振興協会の「第14回新機械振興賞 機械振興協会会長賞」を受賞しております。当社の新機械振興賞受賞は昨年の会長賞に続き、4年連続6回目となります。そのほか、「新たな潤滑制御による冷間タンデムミルの高速圧延技術の開発」の成果が認められ、2016年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞しました。当社の同賞受賞は4年連続となります。また、従来に比べて高い成形性を有する「プレス成形性に優れた590~980MPa級GA鋼板」が、公益社団法人発明協会から、「2016年度全国発明表彰 発明賞」を受賞しました。当社の全国発明表彰受賞は3年連続で、当社発足以来7回目となります。更に、リサイクル資材「マリンストーン®」を用いた海域環境改善技術が「2016年(第26回)日経地球環境技術賞」の「優秀賞」を受賞しました。
(2) エンジニアリング事業
エンジニアリング事業では、「新商品創出と既存商品競争力強化」という方針に基づき、研究開発を推進しています。当連結会計年度は、主力事業である環境、エネルギー分野に加え、将来の成長が期待されている医療分野、ICT分野に重点的な投資を実施しました。具体的には、環境プラントの発電量最大化に関する技術、正浸透(FO)膜を用いた海水淡水化技術、がん検査用PETシステムの適用領域拡大、AI技術を用いた廃棄物発電施設の運転・管理等に取り組んでおります。
当連結会計年度の主な成果として、環境プラント分野においては、対向流燃焼を適用した低NOx型ストーカ式焼却炉の開発にて「日本燃焼学会技術賞」を受賞しました。
さらに、廃棄物焼却施設のボイラークリーニングシステムのラインナップを拡充した他、遠隔操業支援システム「JFEハイパーリモート®」を強化し、安定操業を維持しながら有利な売電サービスを提供することを可能としました。また、エネルギー分野においては、新型熱量調整装置「AtoMS®」(アトムス)で「日本ガス協会技術大賞」、高圧マイクロ減圧設備「MiReMo®」(ミレモ)にて「日本ガス協会技術賞」受賞を果たしております。
グループ全体の研究開発戦略の策定や横断的に取り組むべき重要課題の選定・推進については、当社社長を議長とする「グループ技術開発会議」の場で、各事業会社が一体となって取り組んでいます。
今後も、経営環境の変化に柔軟に対応しつつ高い収益力を確保するとともに、市場・社会からの高い信頼を獲得し、将来の経営基盤を育成・発展させるべく、積極的な研究開発に取り組んでいきます。
また、各事業会社において、IoTやビッグデータの活用を推進するための部門横断組織を設置して、製造設備の生産性や商品・サービスの付加価値向上に向けた研究開発等にも積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発費は35,536百万円であり、主要事業内訳は鉄鋼事業33,055百万円、エンジニアリング事業2,481百万円であります。
なお、当連結会計年度における主な事業別の研究の目的、主要課題および研究成果は以下のとおりです。
(1) 鉄鋼事業
鉄鋼事業では、10年先を見据えてお客様や社会のニーズを先取りした新商品・利用技術開発、世界最高水準の地球環境技術や省資源技術の開発を加速するとともに、プロセス革新による画期的新商品の創出と高品質商品製造技術の確立を強力に推進しております。
以下、当連結会計年度の主な研究成果を挙げます。
高炉プロセスでは、CO2大幅削減に向け、製鉄原料であるコークスの技術革新を進めています。低品位の石炭と鉄鉱石を混ぜ合わせた「フェロコークス」を還元反応を促進する触媒として利用することにより、鉄鉱石の還元速度を高め、通常使用するコークス量を低減することができます。コークス使用量の約10%をフェロコークスに置き換えた実証実験においてエネルギー削減効果を確認できており、引き続き実用化に向けた検討を進めていく予定です。
圧延プロセスでは、お客様からの更なる品質向上に対するご要望にお応えするため、「スマート制御技術」を活用した世界初のインテリジェント制御熱延スキンパス設備を自社開発し、世界最速の圧延速度を実現しました。「スマート制御技術」とは、IT技術を最大限に活用し、Cyber(仮想世界=各種シミュレーション)とPhysical(現実世界=各種センサーデータ)を融合させた、高度な制御を行う技術のことです。新スキンパスでは、板厚や形状ならびに通板時の蛇行など多くの変数を最適制御することで、世界最速での自動運転による圧延を可能にし、能率向上と品質安定化を同時に実現することに成功しております。
高度情報化により生み出された質的・量的に膨大なデジタルデータを高速処理・連携活用するビッグデータ解析、センシング・モニタリング技術とデバイス開発に関し、引き続き戦略的な研究開発と実用化を推進してまいります。
薄板分野では、1470MPa級冷延ハイテンを新たに開発し、耐衝撃用部品として高い強度が要求される、バンパーレインフォースメントとして実用化しました。常温で成形する自動車部品の強度としては、世界最高強度となります。高強度化するほど成形加工が難しく、またプレス成形後に脆性割れの懸念も出てくることから、これまでは主に980MPa級ハイテンが使用されていました。今回、西日本製鉄所の水焼き入れ方式の連続焼鈍プロセスを活用し、合金の添加を極限まで低減することで高強度と割れ防止を両立させることに成功しました。本鋼板は、車体軽量化によるCO2削減に寄与することが評価され、第13回エコプロダクツ大賞の経済産業大臣賞を受賞しました。
当社およびドイツ最大の鉄鋼メーカーであるティッセン・クルップ・スチール・ヨーロッパ,AG(以下、「tkSE」)は、ハイテン材を含めた自動車部品用鋼板の新成形技術のクロスライセンス契約を締結しました。これにより、当社が開発した「CP-F™」(Closed Profile - Forming)およびtkSEが開発した「T3」(thyssenkrupp Tailored Tubes)の組合せによる新しい成形技術を、自動車メーカーや自動車部品メーカーに対してグローバルに提案してまいります。
鋼材分野では、超大型コンテナ船に適用可能な、世界最大厚となる板厚100㎜の降伏応力460MPa級高アレスト鋼を新開発しました。超極厚鋼板においては世界で初めて、溶接性とアレスト性能の両立を実現しました。加熱温度や圧延温度を精緻に制御するTMCP(熱加工制御)技術の発展はもちろん、圧延時に組織中の結晶粒の向きを調整しやすいような成分設計とし、き裂の伝播に抵抗する向きの結晶粒比率を高める独自の技術により、板厚100mmでも高アレスト性能の確保を可能としました。
ジャパン マリンユナイテッド㈱と共同で、「狭開先アーク溶接技術」を開発しました。開先とは、鋼板を突き合わせて溶接する際の斜めにカットされた溝のことで、板厚が大きくなるほど開先の断面積が大きくなり、溶接工数が増えてしまいます。溶接時に飛散するスパッタが少なく、かつアークの指向性に優れた、当社のJ-STAR®溶接を用いることで、板厚の大きな鋼板であっても、従来と同等の溶接工数で溶接できるようになり、船体の製造効率向上に大きく寄与します。
建材分野では、JFEシビル㈱と共同で、座屈拘束ブレース「J-ROD®ブレース」を新たに開発しました。ブレースとは、一般的に柱や梁の間に斜めに設置し、鉄骨造の建築物に強度を持たせる部材のことです。座屈拘束ブレースは柱や梁から伝わる圧縮力を負担する芯材と、圧縮時に芯材の座屈を防止するための補剛材で構成されています。JFEシビル㈱が、芯材および補剛材ともに鋼管を用いた「二重鋼管座屈補剛ブレース」を製造・販売していますが、今回開発した「J-ROD®ブレース」は芯材に棒鋼を使用することで外径を2~3割小さくし、非常にスリムな外観を実現しました。このため、建物の外壁、窓面に取り付けるブレースとして、デザイン性を更に高めた形状となっております。
当社が開発してまいりました商品、技術は社外からも高く評価されております。例えば、当社が世界で初めて開発・実用化した省資源型Si傾斜磁性材料「JNHFコア®」、「JNSFコア®」が、公益財団法人新技術開発財団から「第49回市村産業賞貢献賞」を受賞しました。また、「表面処理鋼板の非接触通板制御装置」が、一般財団法人機械振興協会の「第14回新機械振興賞 機械振興協会会長賞」を受賞しております。当社の新機械振興賞受賞は昨年の会長賞に続き、4年連続6回目となります。そのほか、「新たな潤滑制御による冷間タンデムミルの高速圧延技術の開発」の成果が認められ、2016年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞しました。当社の同賞受賞は4年連続となります。また、従来に比べて高い成形性を有する「プレス成形性に優れた590~980MPa級GA鋼板」が、公益社団法人発明協会から、「2016年度全国発明表彰 発明賞」を受賞しました。当社の全国発明表彰受賞は3年連続で、当社発足以来7回目となります。更に、リサイクル資材「マリンストーン®」を用いた海域環境改善技術が「2016年(第26回)日経地球環境技術賞」の「優秀賞」を受賞しました。
(2) エンジニアリング事業
エンジニアリング事業では、「新商品創出と既存商品競争力強化」という方針に基づき、研究開発を推進しています。当連結会計年度は、主力事業である環境、エネルギー分野に加え、将来の成長が期待されている医療分野、ICT分野に重点的な投資を実施しました。具体的には、環境プラントの発電量最大化に関する技術、正浸透(FO)膜を用いた海水淡水化技術、がん検査用PETシステムの適用領域拡大、AI技術を用いた廃棄物発電施設の運転・管理等に取り組んでおります。
当連結会計年度の主な成果として、環境プラント分野においては、対向流燃焼を適用した低NOx型ストーカ式焼却炉の開発にて「日本燃焼学会技術賞」を受賞しました。
さらに、廃棄物焼却施設のボイラークリーニングシステムのラインナップを拡充した他、遠隔操業支援システム「JFEハイパーリモート®」を強化し、安定操業を維持しながら有利な売電サービスを提供することを可能としました。また、エネルギー分野においては、新型熱量調整装置「AtoMS®」(アトムス)で「日本ガス協会技術大賞」、高圧マイクロ減圧設備「MiReMo®」(ミレモ)にて「日本ガス協会技術賞」受賞を果たしております。
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