元旦ビューティ工業株式会社 研究開発活動 (2018年3月期)

当社の研究開発活動には、発明研究と基礎研究開発、製品化のための応用研究開発及び既存製品のための改良研究開発があり、主に技術開発チーム(2018年3月31日現在6名)と白州技術センター(2018年3月31日現在7名)が連携して担当しております。
当期における研究開発費の総額は104,643千円であります。なお、当社は社内研究が主であり、担当者が複数の案件に携わっているため、研究開発内容別の費用算出が困難であり、記載を省略しております。
なお、研究開発内容別の研究目的、主要課題及び研究成果については次のとおりであります。

(1)新断熱横葺屋根(断熱ビューティルーフ2型)の研究開発

新断熱横葺屋根の研究開発が終了し、生産設備の構築を行うとともに販売を開始いたしました。
これまでにも断熱材を使用した横葺屋根は販売しておりましたが、今回の新断熱横葺屋根は、屋根材と断熱材を交互に施工するのではなく、断熱材のみを先行して施工することで部材ごとの単一作業となることや、吊子が不要であることから施工効率の向上につながり、人件費の削減が期待できます。さらに、断熱材自体が防水機能を持つため、施工途中でも簡易的な雨養生になり、下葺材の飛散防止にもなるため、より効率的な施工が可能となりました。
また、ハゼ(屋根材の接合部)を二重にすることで積雪荷重に強いこともこの製品の特徴です。

(2)金属製雨どい(元旦内樋)及び取付部材の研究開発

金属製雨どいの研究開発が終了し、生産設備の構築を行うとともに販売を開始いたしました。
屋根との一体感を保ったデザインでありながら、当社開発の特殊なカバーを雨どいに設けることで、落ち葉やほこりなどによる詰まりを防ぎ、設置後のメンテナンスを軽減できるなどユーザーのニーズに応えた製品を開発いたしました。素材には金属を使用することで耐久性が高く、積雪による変形・脱落等のトラブルを回避できるため、積雪地域への市場拡大が見込めます。
また、従来は金属製雨どいの取付箇所(鼻隠し)の角度に応じて、取り付け部材を物件ごとに追加加工し角度を調整していましたが、角度調整が容易な専用の取付部材を開発することで、現場毎の状況に合わせた部材を製作する必要がなくなり、軒先への取付部材を規格化することで製造の効率化や施工品質の向上が期待できます。

(3)二重防水システム(ジャバラルーフ 二重防水システム) の研究開発

二重防水システムの研究開発が終了し、生産設備の構築を行うとともに販売を開始いたしました。
従来よりデッキプレートをシート防水の下地材として使用しておりますが、下地材施工後に雨や雪で濡れてしまうと漏水の恐れがあり、下地材が完全に乾くまでシート防水の施工ができず、内装・床工事が出来ないデメリットがありました。そこで二重防水システムは、デッキプレートと同じ機能を持ちながら防水性を確保出来る下葺専用屋根材(ジャバラルーフ)を開発し、シート防水と組み合わせることで防水性を二重に確保出来るシステムです。
下葺専用屋根材は、デッキプレートと異なり、流れ方向につなぎ目がないために施工が完了すれば室内への漏水の心配はなく、内装・床工事をはじめ断熱材やシート防水の施工を同時に進めることができるようになります。これにより、少ない職人でも工期に合わせた対応が可能となるため、職人不足に対応したシステムと言えます。

(4)特殊嵌合(かんごう)式縦葺屋根(TRX-4Y型)の研究開発

特殊嵌合式縦葺屋根の研究開発が終了し、生産設備の構築を行うとともに販売に向けて準備が整いました。
従来の嵌合式縦葺屋根では積雪地域において、すが漏れ等の漏水が問題となるケースがあります。そこで今回の特殊嵌合式縦葺屋根は、これまで培ってきた当社独自の嵌合方式に溶接工法を組合せることで、すが漏れによる漏水を防止し、特殊嵌合による高強度を実現しました。他にも、従来の2倍のスピードで溶接出来ることや屋根材を仮置きした状態で耐風圧強度を発揮できるなどのメリットがあり、本製品を市場に投入することで他社との差別が図られ、市場競争力の向上につながります。

(5)金属屋根の性能に関する研究開発

本年度は防耐火構造の国土交通大臣認定を3件取得しました。また、屋根の耐風圧性能試験を2製品で実施し、高い性能を有していることを確認しました。これらの高い性能評価を得ることで他社との差別化が図られ、市場競争力の向上につながります。