有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100E0VY
前澤工業株式会社 研究開発活動 (2018年5月期)
当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は406百万円であり、生活環境分野で使用される水処理装置及び機器メーカーとして、社会に貢献する製品の開発を進めております。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1) 環境事業
上水道分野では、重点製品としてMIEX®(帯磁性イオン交換樹脂)による有機物除去システムの販売を推進しております。MIEX®処理システムは水中に溶存する有機物を除去する新しい処理方式です。有機物、色度、トリハロメタン対策などに有効であり、東京都小笠原村扇浦浄水場へ納入して良好な処理が行われております。大規模浄水場への適用に向けたプラント実験及び社内プロジェクト委員会を立上げ、大型物件受注のための準備を行っています。また、2015年4月より水道水質基準のハロ酢酸類の水質が強化されましたが、兵庫県内で行ったプラント実験によりMIEX®(帯磁性イオン交換樹脂)を使用した前処理設備がハロ酢酸類の低減に有効であることが確認され、今後の適用分野の一つとして期待されています。
独自技術であるPTFE製膜ろ過は、浸漬型、ケーシング収納型を開発し、上水・下水・産業排水向けなどに実績を積み重ねており、今後もMIEX®処理システムと同様に重点製品として販売を推進してまいります。
下水道分野では、共同研究を行っていた「高効率固液分離技術と二点DO制御を用いた省エネ型水処理技術の実証事業」(国土交通省B-DASHプロジェクト)の成果をまとめ、国土交通省より2017年3月にガイドラインとして発刊されました。省エネ型高度処理として共同研究を行った(株)石垣とともに販売戦略を進行中です。2014年度に地方共同法人日本下水道事業団の新技術Ⅰ類に登録され、2015年度に、国土交通大臣賞のグランプリ、及び公益社団法人日本水環境学会の技術賞を受賞しました「OD法における二点DO制御システム」の2号機を2016年9月に糸魚川市青海浄化センター水処理施設として受注し、実設備として2018年4月より稼働しました。更に、2017年3月に公益財団法人日本下水道新技術機構の建設技術審査証明を取得し、販売契約を結んでいるアトラスコプコ(株)社製のZSブロワを新しい機構の省エネ型送風機として販売推進を進めています。当社の得意とする沈砂池設備では省エネルギー化や高性能化を目的に、揚砂装置、除塵機、沈砂分離機(エスカルゴ)、し渣分離脱水機等の開発も実施しております。
また、2017年度は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から産業技術開発助成金の提供を受けて、北海道大学との共同研究による仕切板挿入型膜分離活性汚泥法(B-MBR)の開発を進めており、新たな海外向け水処理システムとして完成を目指しています。
水質試験分野では、分析センターの水質分析精度管理を向上させることによって、高い評価を受けております。水道法20条に基づく登録水質検査機関として、また、クリプトスポリジウムの検査機関として高い信頼を得ております。また、環境計量証明事業者として、下水や工場排水等の分析業務も行っております。水質検査は、水処理システムの運転・維持管理のための評価判定指標のひとつとして重要な位置づけであり、今後も精度管理を徹底し、新たな分析手法・項目に挑戦してまいります。
このセグメントの研究開発費は331百万円であります。
(2) バルブ事業
バルブ事業では、「持続可能な上下水道」および、「次世代水道・新世代下水道」をキーワードにバルブ・ゲート関連の開発を行っております。
近年、水道事業においては、設備の老朽化や維持管理技術の継承等の対策としてCPS(Cyber Physical System)/IoT(Internet of things)技術の検討が進められております。機器をインターネットに接続してデータを収集し、収集したデータを分析して、設備の予防保全や人の実行支援等に役立てる技術です。当社においてもCPS/IoT技術に対応した製品開発に取り組んでおります。
また、バルブ製品については、性能や品質の向上を狙い、最適化設計や長寿命化に取組んでおります。バルブの耐用年数を向上させる新素材については、大学との共同研究を本年も継続しております。このような共同研究を通じて、さらなる技術の裾野の拡大と飛躍を目指して参ります。
このセグメントの研究開発費は74百万円であります。
(3) メンテナンス事業
手動開閉機付ゲートの開閉操作を簡易的に操作できる2号機の改良と製作コスト低減の検討見直しを行い、3号機の試作装置を完成しました。製作コストは、2号機に比べ50%削減できました。また、電動開閉機への応用アタッチメントの設計・製作を行いました。
今後は、実際の現場で使い勝手の検証を実施して行きます。
このセグメントの研究開発費は0百万円であります。
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