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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100CNA1

有価証券報告書抜粋 株式会社福田組 研究開発活動 (2017年12月期)


経営上の重要な契約等メニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの研究開発活動は、「価値創造」の経営理念のもと、生産性向上・品質向上・自然環境の保全に加え、新たな分野への市場参入を目的とした新工法の実証実験等を中心に取り組んでおります。
また、現場に密着した研究開発ニーズと独創的なアイディアの発掘を目的として、広く社員から意見を募り研究開発活動に反映させております。
なお、当連結会計年度は研究開発費として、199百万円を投入しております。
当連結会計年度の主な研究テーマは次のとおりであります。

( 建設事業 )
(1) 当社
① 免震技術、免震ゴム交換方法の研究
免震建築物については9棟の施工実績を有しております(内6棟は設計・施工)。
また、建物に既に設置されている免震ゴムの交換方法について研究を進めており、免震ゴム交換のためのPC鋼棒による基礎補強方法について縮小試験体を用いた加力実験を行い、PC鋼棒による打増し補強部と既存部の境界面の摩擦係数、補強方法の妥当性などの検証を行っております。
② CFT構造の設計・施工技術の研究
高層建築物など、高軸力かつ高曲げ耐力を求められる柱を有する構造物への対応を目的に、CFT構造に関する設計・施工技術の研究を進めております。また、実大3層柱による施工試験を行い(社)新都市ハウジング協会による技術指導を終了しております。
③ 既存建築物の改修技術の研究
既存建築物の耐震性向上や耐久性改善等の長寿命化及びコンバート対応できるリニューアル技術を研究し、ストック価値を高める構・工法の開発を目指しております。特に、居ながら補強を目的とした外付耐震改修構法については需要が高く、設計・施工による実績も増加しており、耐震補強に関する提案力の向上及びその受注に向けた取り組みを行っております。
④ 荷取り構台の開発
新築や改修などで使用できる、従来よりコンパクトで軽量な荷取ステージの開発を行っており、いくつかの現場で試作品による施工実験などを実施しました。今後、それら施工実験結果をもとに改良を行い、水平展開を図って行く予定でおります。
⑤ コンクリートの長さ変化、ひび割れに関する調査・研究
コンクリート強度、骨材、混和材などをパラメータとして、コンクリートの長さ変化やひび割れの観察など
の調査・研究を行っており、今後、そのデータを現場で活用して行く予定でおります。
⑥ BIM・3Dプリンター活用への取り組み
BIMについてはいくつかのモデル現場を選定し、配筋の納まりの確認や施工ステップの3D化など、現場での活用に向けた取り組みを行っており、今後も継続して行く予定でおります。
⑦ シールド工事等で発生する自然由来ひ素汚染汚泥の浄化技術の開発
自然由来のひ素を含有し環境基準値を超過する地域は全国的に分布しているため、建設工事において発生土や汚泥がひ素に汚染されている事例は多く見られます。一方、環境関連法の強化、土壌汚染に対する認識の高まりから、汚染土壌の処理コストが高騰しており、それらの効率的かつ経済的に処理する技術の開発が求められております。特に都市部におけるシールド工事等においては多量の余剰汚泥が発生し、それらの処理技術の開発は喫緊の課題であるため、自然由来ひ素汚染汚泥を低コストかつ効率的に浄化する技術の開発に取り組んでおります。
⑧ トンネル切羽前方探査システム
トンネル切羽前方の地質や地下水の状態を精度よく調査するために、トンネル切羽より前方にボーリングして、そのボーリング孔を利用した電気探査トモグラフィーの探査方法と解析方法を開発し、トンネル現場での活用を目指しております。
⑨ 自由面発破における自由面形成パターンの合理的検討手法に関する研究
山岳トンネル工事で、発破振動を大幅に低減することが求められる場合において、掘削面に自由面を形成させることで大幅に振動を低減させる自由面発破が有効であります。しかしながら、コストや工程に与える影響も少なくないことから、合理的な自由面発破パターンの検討手法を確立するための研究を行っております。
⑩ 高耐久コンクリートの開発
新潟県を含む日本海側の沿岸部は厳しい塩害環境にあり、また、沿岸部以外でも積雪寒冷地であることから凍結防止剤による塩害を受けております。他方、社会インフラの維持更新時代を迎え、鉄筋コンクリート構造物の長寿命・高耐久化が求められております。そこで、セメントに各種混和材を混合した高耐久コンクリート(耐塩害)の開発を目的として研究開発を進めております。
⑪ 橋梁維持更新(吊足場)
橋梁における維持管理及び補修においての作業床の敷設施工における作業員の安全性の向上、敷設の円滑化による作業効率の向上を目的とした吊足場の実証実験を進め、実用化に向けた開発を進めております。
⑫ 中・高層建築物の階上解体工法の改善
解体する建物が高く、周囲に解体重機の稼動空間がない場合に、スラブ・梁を多数の強力パイプサポートで鉛直・複数階にわたって補強支持し、解体重機を吊り上げて上層から解体する工法が採用されます。1本の強力パイプサポートは60kgと重く運搬設置作業が重労働でありますが、スラブへの鉛直設置では補強効果が小さいため、工事費低減と安全性向上を図る検討を行っております。
⑬ コンクリート構造物の補強工法
高度経済成長期に建設した社会インフラが今後一斉に老朽化し、建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に増加することが予想されています。これらのインフラを効果的に維持管理・延命化することを目的に複合パネルを用いた補強工法の開発に取り組んでおります。
⑭ デュアルシールドマシンコントロール
都市土木の地下トンネル工事ではシールド掘進機を使用して施工を行っておりますが、現場作業員の高齢化に伴い、掘進機の熟練オペレーター不足が今後懸念され、新規にオペレーターを育成し技術を習得させるにも年単位の時間が掛かってまいります。熟練オペレーターの判断内容を現場の実施工操作データとして解析し、思考のプロセス・ノウハウを習得することで、オペレーターの技量を問わず掘進機操作が可能となるシステムの開発に取り組んでおります。

(2) 福田道路㈱
1. 技術開発
① 「マルチファインアイ(画像損傷診断システム)」について
2015年1月より、NECと共同で、AI(人口知能)技術を活用し、路面の映像から「わだち掘れ」と「ひび割れ」、「パッチング」を同時に検出することが可能なシステム「マルチファインアイ(画像損傷診断システム)」を開発し、本年度では、当システムを立ち上げるべく
・ 2017年1月31日/開発プレスリリース
・ 2017年10月/精度向上のための追加学習終了
・ 2017年12月13日/記者発表(東京都内)
・ 2017年12月14日/サービス提供
を実施し、サービス提供に伴う「閲覧アプリ」の共同開発や公道での精度向上を図りました。
また、公的な評価を得るため、国土交通省/四国地方整備局が公募した「路面性状を簡単に把握可能な技術」(道路のメンテナンス時代に対し簡易な路面性状調査が求められ、同一路面で公募18技術が測定しました。公表は2018年3月末予定)に参加し、測定(2017年11月21日)、データの提出を行いました。

※参考:「マルチファインアイ(画像損傷診断システム)」とは
「NEC」の先端技術AI(人工知能)技術の一つである「ディープラーニング技術」を搭載した「RAPID機械学習」を活用し、一般的なビデオカメラを取り付けた自動車から撮影した路面の映像を分析することで、路面の「ひび割れ」と「わだち掘れ」、「パッチング」を検出し、路面状況の劣化レベルの判定を可能としました。また、路面の撮影と同時に記録したGPSによる位置情報の活用により、地図データ上で路面状況の確認(閲覧アプリ)できるシステムです。
従来の目視点検技術や専用機器調査に比べ、安価で効率的に「路面の健全度」の見える化を実現しました。
② 「ヒートドレッシング工法」の改良と試験施工
昨年度から、経済的で環境に優しい工法である「ヒートドレッシング工法」の改良を行っており、本年度は改良した施工機械の完成(「ヒータ車」2017年1月、「リミキサ」2017年3月に納車)による調整、キャリブレーションを実施し技術研究所内で試験施工(2017年4月27日)を行いました。(改良点:①ヒータ車の加熱能力アップによる台数削減、②特殊添加剤の改良とタンクの加熱装置新設等)
※参考:「ヒートドレッシング工法」とは
この工法は、「ひび割れ」の発生している既設路面を複数の特殊ヒータ車で加熱し、その路面を掻きほぐした後、添加剤を散布し、新しい舗装材料と混合させることで路面の平坦性向上を図り、舗装表面をリフレッシュさせる原位置リサイクル工法です。
③ 「おとなしくん(車両誘導システム)」について
現場作業で発生する各種車両誘導を周辺環境に考慮して無音で行うシステム「おとなしくん」を㈱ソーキと共同開発しました。このシステムは、「LEDディスプレイ」に解りやすい各種インフォメーションを表示し誘導を行うとともに、FMトランスミッターにより誘導車両(車載しているFMラジオ)への音声ガイダンスを同時に行います。
誘導される車両のドライバーは、バックミラーや窓から顔を出してのディスプレイ表示の確認と車載しているFMラジオから流れる音声ガイダンスを聞くことによって安全に行動することができるシステムです。現在、2件の新設高速道路建設に使用しています。
④ 中温化材(施工性改善材)について
昨年から検討していた中温化材については、各種類、比較検討を行った結果、伊藤製油㈱(四日市)の協力で、「安価」・「取り扱いが容易」・「品質低下しない」材料を選定することができ、混合物の製造工場であるプラントでの試験練り、民間工事での試験施工を2プラント(相模原合材工場/アステック庄内)で実施しました。現在、当社プラントで冬期などの施工性改善材として使用しています。

※参考:中温化材とは
アスファルト混合物は、温度依存性が高く、温度低下による品質異常(密度不足、仕上がり面のできばえ)が顕在します。中温化材は、通常の温度域よりも30℃低下しても規定の締固め度を確保することができます。また、今では気温の低い冬期などの施工性の改善材として使用することが多くなっています。
⑤ 明石高専との共同研究
関西エリアで数少ない舗装関係の教育/研究機関である明石高専の鍋島教授と、当社/協和道路㈱の三者で「溶融スラグ入りアスファルト舗装の実証実験」を行っています。溶接スラグの将来的なリサイクル方法の一つとして、アスファルト混合物への利用を考慮した予備試験を「二見浄化センター構内(兵庫県明石市/自治体の施設内)」で実施しました。いままで、経年変化や溶融スラグ自身の変化など検証していない事例があり、学生の参加も視野に入れた活動(プラント見学会、各種試験の体験、研究)を予定しています。現在の進捗としては、2017年1月に構内で予備試験のための施工を実施し、経過観測中です。
⑥ 再生添加剤の検討
アスファルトプラントで再生混合物に必要不可欠な材料である「再生用添加剤」の素材検討をしています。既設舗装から発生する再生材は、現在数回再生されていることから、今後再生材の品質劣化が想定されます。その対策として優れた性能を持つ素材を求めるべく、各種比較試験を実施しています。

2. 各種登録について
① NETIS登録
開発した技術を新規に1件登録しました。また、申請中の技術は1件となります。今後とも積極的に登録を行います。
・登録済:マルチファインアイ(HR-170003-A)
・申請中:おとなしくん
② 特許申請等
開発した技術の特許申請を1件(おとなしくん)しています。
3. その他
追跡調査
実施している追跡調査は3技術あります。
・ファインシート(多機能性凍結抑制舗装技術)
・RCCP(ローラ転圧式コンクリート舗装)
・ヒートドレッシング・Jr(加熱式クラック補修工法)
(3) ㈱興和
① KVSストレーナ
水質が悪く、井戸の耐久性の低下が懸念される地域に対する井戸構造材料として、耐食材料『塩化ビニル管(VP)、ステンレス巻線(SUS)』を組み合わせ、長さ5.5mの“KVSストレーナ”を開発し、販売を開始いたしました。亜鉛メッキ巻線を使用しておらず、地下への亜鉛溶出がなく環境性能が高いこともPR材料となっております。本製品は2010年にNETIS 及びMade in 新潟に登録されており、2017年度は、自社施工、他社販売も含め約527本の販売を行っております。加えて、2017年度には、Made in 新潟のゴールド技術登録にあたり、県知事表彰を受けております。
② 法面作業用アシストロリップ
法面作業を行う際は、立木やアンカーに結んだ「命綱」と作業員の腰部につけた「安全帯」、それと命綱と安全帯を接続する『ロリップ』を用いて身体を支持してます。しかし、ロリップは『握ると動き』『離すと止まる』という仕組みを持っているものの、落ちそうになった時、咄嗟にロリップを握ってしまう事例もあり、逆に墜落してしまう重大事故も発生しておりました。こうした人間の本能(反射)に反する面もあり、改善が望まれていました。
そこで、ヒューマンエラーによる事故防止を目的に、ロリップの下に追加設置する補助装置(アシストロリップ)を開発いたしました。本製品は2011年にNETIS 及びMade in 新潟に登録されており、平成23~29年度で727個の販売実績があり、労働安全衛生規則第593条の2に対応する改良を検討中であります。
③ フレキシブル伸縮計
地すべり地の地盤変状の監視には、従来インバー線を用いた伸縮計が一般的に用いられてきました。しかし、インバー線は細く、動物や木の枝などが触れると簡単に破断するため、厳重に保護する必要があり、設置費や設置労務が掛かるといった問題があります。また、積雪地域では、通常の保護方法の他に、必ず雪囲いが必要となります。
これに比べフレキシブル伸縮計は、インバー線の代わりにφ5mm程度の炭素繊維ケーブルを用いて、簡易な保護で地盤形状に合わせて設置可能であり、設置費や設置労力が少なくてすみます。
フレキシブル伸縮計の炭素繊維ケーブルは、2010年にNETIS 及びMade in 新潟に登録されており、平成18~2017年で約4,460m(20m/箇所)の実績があり、今後も販売拡大が見込まれます。
④ 遠隔監視制御機器(ネットワークロガー)
下水道流域のマンホールポンプの運転状況や故障、マンホール内の水位を管理事務所で監視できる遠隔監視制御装置を開発いたしました。この機器は、平成17~29年度まで1,019台の販売実績があり、今後も下水道関係の他に、農場関係の揚水ポンプや道路排水ポンプ、消雪用ポンプの遠隔監視用に販売が見込まれております。
⑤ 集水井カメラ
砂防関係施設の点検において、現存施設の機能及び性能を的確に把握しておくことが重要とされています。砂防関係施設のうち、集水井工は地すべり対策工として地下水排除を目的とする重要施設となりますが、現行の点検方法では集水井工の構造や形状、立坑内の環境による問題点が多く、困難な作業となっております。
このため、経済的かつ簡易で正確に立坑内の状況や機能の確認が確認出来る“立坑(集水井工)内の点検装置(集水井カメラ)”を開発しました。本点検装置は2016年に特許(特許6089069号)を取得しております。これまでに国土交通省及び新潟県等発注の砂防施設点検業務を中心に使用し、57箇所の防止区域427基の集水井工において点検を行っております。今後も砂防関係施設点検への活用が期待されております。
⑥ MR(複合現実)技術の活用
現実世界と仮想モデルを相互に融合するMR(複合現実)に着目し、建設業界での利活用方法を模索してきました。2017年度から新潟県内のゲーム・アニメ等のコンテンツ開発会社とMR出力システムの共同開発を行っております。
現在は、地中熱ヒートパイプ融雪、下水熱利用融雪システムのMRモデルを制作し、客先とのイメージ共有やPRに利用しております。また、現場測量に応用可能な三次元座標出力システムを開発し、現場において精度検証などを進めており、将来的には、公共的な構造物などの3D台帳化による維持管理などが見込まれております。
⑦ TRT(熱応答試験)装置
地中熱利用設備の設計に必要な地中採熱量等の調査に使用するTRT(熱応答試験)装置を開発しました。そして、2017年4月から始まった建築物の省エネ基準適合性判定に対応するため特定非営利活動法人地中熱利用促進協会が創設したTRT装置認定制度における全国第1号認定を2017年3月に受けております。
地下100mにわたる深度別温度計測機能、WEBを通じた遠隔監視制御機能など、他社には見られない優位な機能を有しており、自社で使用するほかシステムの販売も開始しております。
⑧ 場所打ち杭工事等における無溶接鉄筋篭組立工法
場所打ち杭工事等においては、通常の鉄筋コンクリート工事と異なり、組み立てた鉄筋を吊上げて建込みをするため堅固な鉄筋篭の現場製造が求められております。しかし、2012年の道路橋示方書改訂以降、現場溶接が禁止されたことから、鉄筋篭崩壊事例が散見されております。
改訂前から無溶接による鉄筋篭組立に着目し、開発グループの一員となって組立工法開発に取り組み、2011年度にNETIS登録をして、資材販売を始めております。2017年度は、新潟県内でも国道バイパス工事に採用されはじめ、徐々に当工法の優位性が浸透しつつあります。

(4) ㈱レックス
① 表面含浸材塗布装置の開発
近年増えている表面含浸材の塗布によるコンクリート構造物補修工事では、人力施工が主体であり、施工管理手法が確立されておりません。そこで、機械化施工による施工や管理の効率化及び施工品質の向上を図るため、「表面含浸材塗布装置」の開発を行い、2009年にMade in 新潟登録を行っております。2011年度には、作業性や信頼性を向上させた改良型の装置を開発しております。
これまでに、国土交通省、新潟県等の発注工事において活用されております。
② 防護柵清掃工法(GRクリーン工法)の開発
消雪パイプ設置区間において防護柵類に付着した錆汚れは、視線誘導機能や美観を損なうものであり、汚れの除去が困難であるため問題となっておりました。
そこで、洗剤メーカーと共同で防護柵清掃専用洗剤による「GRクリーン工法」を開発し、洗浄後の排水処理手法も含めた防護柵清掃工法を開発し、2010年にはMade in 新潟登録を行っております。
③ 社会インフラ維持管理上の課題を解決するため技術・工法の開発
橋梁の長寿命化に寄与する補修工法や維持管理技術、トンネルの清掃機械、農業水利施設の補修材料等、道路構造物をはじめとした社会インフラの維持管理上の課題を解決するための技術や工法の開発に取り組んでおります。
( 不動産事業及びその他 )
研究開発活動は、特段行われておりません。

経営上の重要な契約等財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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