岩崎電気株式会社 研究開発活動 (2018年3月期)

当社グループ(当社及び連結子会社)は、“新たな光で未来を照らす”をスローガンとし、光テクノロジーを通して豊かな社会と環境を創造するために、「環境負荷低減」「IoT技術を用いた照明制御」などの社会的要請にお応えする新技術や新材料の基礎研究を進めるとともに、「光」の機能と特性を活かした各種商品の研究開発を行っております。光の持つ潜在力を究め、照明事業ではLED照明とそれらの制御を柱とし、光・環境事業では殺菌・滅菌及び環境試験、印刷ならびにディスプレイ関連事業に注力して、省エネルギー・省力化推進と安全・安心の環境づくりに貢献するため積極的な研究開発に取り組んでおります。
研究開発体制は、まず新技術開発部において材料技術開発課及び応用技術開発課、照明技術開発課で各々社外研究機関の協力を得つつ、基礎・応用技術の研究と開発に取りくみ、得られた成果によってはソフトとハードを融合した新たな機能をもつ商品として提案して参りました。また、商品開発・設計を担当する事業部門では、照明事業と光・環境事業各々に開発(設計)課を置いて商品開発やシステム開発に注力して参りました。これら社内各部署の調査・研究や商品開発を取りまとめる企画・推進部門では、国内及び海外のグループ各社との密接な連携と協力を図り、より効率的な研究開発を進めて参りました。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、照明事業265百万円、光・環境事業191百万円の合計457百万円です。
なお、各セグメントにおける研究開発活動は以下のとおりです。


当期は、照明制御システムの機能性向上の開発を積極的に行うとともに、屋外及び施設用を中心に省エネルギーの要請に応えるLED商品の開発を行いました。
照明制御システムは、工場、体育館、スポーツ施設等の照明コントロールを行う照明制御盤「ITACS LC(アイタックスエルシー)システム」専用の無線拡張ユニット「ITACS CONNECTY(アイタックスコネクティー)」を開発しました。これにより、制御線などの面倒な設備工事を必要としない外構照明(街路照明や駐車場照明)も含めた敷地内設備の一括制御を可能にしました。
屋外用LED商品では道路灯は主力であるLEDioc(レディオック)ロードシリーズの新モデルを開発し、街路灯LEDioc(レディオック)エリアシリーズでは既設リニューアル対応の「TOLICA-L(トリカ-エル)」を開発しました。投光器は主力であるLEDioc(レディオック)フラッドネオシリーズの新モデルの開発を行うとともに、眩しさを抑えた配光性能と、4K・8K放送にも対応可能な拡張性に富むLED投光器「LEDioc FLOOD ZEST(レディオック フラッド ゼスト)」を開発しました。
施設用LED商品では防爆形照明器具の開発を積極的に行いました。国内業界初となる防爆エリアで使用できる常時・非常時兼用タイプの「LEDioc(レディオック) 防爆形非常用LED照明器具(蛍光灯代替)」の開発を行うとともに、高効率の防爆形LED照明器具「LEDioc(レディオック) 防爆形LED高天井用照明器具」を開発しました。また、一般エリアの高天井器具として「LEDioc(レディオック)ハイベイシータ」を開発しました。
LEDランプでは、水銀ランプ250Wから置き換え可能な電源内蔵の高出力LEDランプ「LEDioc (レディオック)LEDアイランプHB」を開発しました。
今後は、さらに照明器具の高機能化を進め、照明システムとしての展開を図るなどの研究開発活動に取り組み、商品の拡充を行って参ります。


光・環境事業では、殺菌・滅菌、環境試験、UV硬化、FPD関連事業などの展開に注力し、「光・環境カンパニー」として、省エネルギー推進と安全・安心の環境づくりに貢献するため、継続的に研究開発に取り組んでおります。
殺菌・滅菌事業では、水銀を使用しないパルスドキセノンランプ及び照射装置の更なる高出力化の検討を続け、菌の種類や被照射物の形状、処理速度に応じた適正照射条件の研究も並行して進めました。
環境試験事業では、構造物や立体成型品等まるごとの光照射・環境試験を可能とした複合環境試験装置EYE 4D MULTI Chamber(アイ4D マルチ チャンバー)を開発し、テストピースを対象とする超促進耐候性試験機SUVシリーズ、XERシリーズと併せて、テストピースから成形品まで光照射・環境試験が可能となる商品ラインアップが揃いました。
また、機能・操作性を向上させた新型キセノン式耐候性試験機アイスーパーキセノンテスターXER-W83、簡易的に低コストで耐候性テストを可能とした小型光照射装置EYE SUN-CUBE Xenon (アイ サンキューブ キセノン)を開発し、あらゆる耐候性試験ニーズに応えることができます。
紫外線硬化分野では、印刷市場向けUV-LED照射装置の品種拡大として、高照度化・高光量を特徴とする枚葉印刷機インターデッキ用照射装置を開発しました。これにより、デリバリ用と併せてオールUV-LEDの枚葉印刷硬化システムが実現できました。
また、UVランプを搭載する硬化装置においても、小型・軽量化など、更なる進化を続けております。
ディスプレイ市場では、第10世代(G10)液晶パネルの投資需要に向けて、G10用液晶滴下工法UV照射装置の開発を行いました。
今後も各市場トレンドに合致し、紫外線から赤外線までの電磁波エネルギー、及び電子線を利用したユニークな産業機器の研究・開発活動を行って参ります。