有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100DE0W
株式会社三井E&S 研究開発活動 (2018年3月期)
当社グループは、4事業分野に対応した研究開発セグメントを設定し、それぞれの事業分野の中核技術を基軸として、製品競争力強化と事業拡大につながる研究開発を積極的に推進しております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、45億68百万円であり、この中には受託研究等の費用10億36百万円が含まれております。なお、各事業部門における主な研究開発は以下のとおりであります。
(1)船舶
・商船に関しては、省エネ、環境対応技術を取り入れた新ルール対応型ばら積み貨物運搬船を開発し、営業活動を行っています。省エネ船の先行ヤードである当社の強みを維持するために、引き続き新船型開発や省エネ技術開発を進め、neoシリーズのラインナップ拡充を図ってまいります。艦船・官公庁船については、次世代艦艇として30DDを開発して参りましたが、2隻受注を果たしました。
・自動船位保持装置(DPS)は世界的に顧客ニーズが増加しており、2017年度は基本機能を充実させる開発を行いました。本DPSは自律型海上輸送システムの基幹システムとしての発展も見据えて開発を行っております。
・2017年度より自律型海上輸送システムの開発に着手いたしました。本件は、国土交通省交通運輸技術開発推進制度の補助金対象テーマとなっており、大学、官庁、商船会社等で形成された開発グループの中で当社が中核企業として開発を推進してまいります。
・共同研究チーム“Team KUROSHIO”を結成し共同研究を進めている超広域高速海底マッピングに関する開発は2年目を迎えています。マッピング技術を競う国際コンペティション(XPRIZE)において国内では唯一ラウンド1を通過し、2018年10月頃に開催される決勝ラウンドへの進出が決定いたしました。
・2017年度より、国土交通省補助事業として、Digital Twinによる造船工程の高度化の研究を開始しました。コンピュータ上の仮想(理想)現場と実現場の乖離を見える化し、問題の処理を早期に行い、造船事業の効率化を目指すものであります。
当事業に係る研究開発費は、4億14百万円であります。
(2)海洋開発
・海洋開発では、海洋での天然ガス開発に関わる新技術の開発、及び新規事業分野での既存技術活用に向けた研究を行っております。
・新市場開拓のための製品開発としては、FPSOに搭載の発電プラントの技術や係留技術を生かし、島嶼部や新興国向けに電力や淡水を供給する洋上発電・造水設備を開発しました。LNGを燃料とする大容量の発電プラントや造水装置を搭載する本設備は、環境に優しく、短納期、高い発電効率を特長としており、新たな市場への参入を目指してプロジェクトの受注に注力しております。
・新規事業分野としては、FPSOで培った技術経験を生かした洋上風力発電事業の検討を進めております。この他、当社グループがこれまでに蓄積した技術を、レアアースやメタンハイドレートといった海洋鉱物資源及びエネルギー資源の開発に応用するための研究を推進しております。
当事業に係る研究開発費は、1億60百万円であります。
(3)機械
・基幹製品関連では、当社が開発した低硫黄燃料対応型の排気再循環システムEGR(High-pressure Exhaust Gas Recirculation)が今治造船株式会社建造の石炭運搬船向け当社製大型舶用ディーゼルエンジンに搭載されることになりました。本EGRは、実機ベースでNOx低減技術を始め各種環境規制対応技術を適用し、陸上試験及び就航試験を行い、開発を進めてきたものです。さらに、船舶用低速ディーゼルエンジンに装備可能なNOx三次規制対応の新型の選択触媒還元システム(High-pressure SCR(Selective Catalytic Reduction))については、ライセンサーであるMAN Diesel & Turbo SE社が開発し、当社玉野事業所のテストエンジン(4S50ME-T)を用いた共同検証試験が完了しました。
また、CO2削減に寄与する次世代型油圧式廃熱回収システム(THS2)を開発しました。THS2は、過給機により回収した油圧エネルギーを電子制御機関の油圧動力として直接供給するため、機器が簡略化されコンパクトになり、従来は難しかった小型の機関にも採用が可能です。シンプルな構造のため、他の廃熱回収技術と比較して安価に設置が可能であり、機関内で完結するシステムのため、設計面で船体側へ与える影響が小さい点も特長です。
・LNG燃料船向け燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System、以下FGSS)用高圧往復動式ポンプを開発し、販売を開始しました。既に販売中のLNG運搬船向けFGSS用ガス圧縮機に加えて、主機関であるガスインジェクションエンジン(ME-GI)とセットで供給する体制が整いました。
・当社の100%出資子会社である三造テクノサービス株式会社は、MOL LNG Transport(Europe) Ltd.と、同社の管理する三井 MAN B&W舶用主機関(ディーゼルエンジン)を対象にした20年間の長期メンテナンス契約を2017年9月に締結し、サービスを開始しました。対象船は、当社製の舶用主機関6S70ME-C8.2を各2基搭載している4隻で、定期検査等と部品供給、技師派遣による技術サービスを20年間一括で提供します。これら対象船4隻には株式会社ClassNKコンサルティングサービスと当社が共同で開発したCMAXS e-GICSXが搭載される予定です。このシステムは、ビッグデータを活用した船内での異常診断及び陸上での状態診断を自動で行い、主機関異常の早期発見、重大事故の未然防止をサポートします。
・運搬機事業関連では、環境に優しいHybrid型ヤード用トランスファークレーンを開発しました。従来のエンジン駆動に加えリチウムイオン電池を搭載することにより、今まで熱として消費していた回生エネルギーを蓄積し最大限に再利用することで、従来型比で最大60%の燃料消費量削減を達成し、CO2排出量も最大60%削減します。また、CO2排出量の削減のみならず、省燃費によるランニングコスト及び最大20dBの騒音低減を実現し、顧客にも優しい製品となっています。フィリピン・マニラ向けの港湾荷役用に本クレーン16基を受注しました。
当事業に係る研究開発費は、20億18百万円であります。
(4)エンジニアリング
・中小規模のごみ焼却炉の未利用廃熱を利用して効率的に発電する設備を開発しました。連結子会社である三井造船環境エンジニアリング株式会社(MKE)が佐賀県唐津市から受注した『唐津市清掃センター長寿命化事業基幹的設備改良工事』において、当該設備が設置され、実運転でその性能が確認されました。この設備は、連結子会社である三井造船マシナリー・サービス株式会社製マイクロスチームタービンを使用した小規模蒸気発電設備を組み合わせた第1号機となります。
・都市ごみ清掃工場から排出される溶融スラグを原料として高比表面積シリカを製造する技術を、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で開発しました。これは高比表面積材料として市販されている合成シリカ材料と同等以上の比表面積値で、各種吸着剤等の様々な用途展開が期待できます。
・当社が開発したバイオガスによる発電設備を併設した油温減圧乾燥方式による食品廃棄物の飼料化設備の第2号施設として、MKEが株式会社アルフォから受注した「城南島第2飼料化センター建設工事」は、性能を確認の上、2017年6月に竣工しました。
当事業に係る研究開発費は、1億25百万円であります。
(5)その他
・2011年度にNEDOに採択された波力発電技術の開発は、2017年度に実海域での実証試験を完了しました。
・IoT活用による生産性向上については、競争力の強化を目指して工場と協力して取り組みを進めております。ICタグを使用した調達品の管理、遠隔モニタリングによる工作機械の稼働率向上などの成果を生産活動で利用開始するとともに、新たな研究テーマにも取り組みます。
・海底にある次世代資源の開発・事業化を目指し活動を行っています。天然ガスの主成分であるメタンを有する表層型メタンハイドレートに関して、2016年度から開始されている、国による表層型メタンハイドレートの回収技術の研究開発に参加するとともに、採掘技術を確立するため、業界トップレベルの海底掘削技術、サービスを世界中に提供しているドイツのMHWirth GmbH社との協業を開始しています。さらに、急速に進む自動車の電気化等で注目されるレアアースを含んでいるレアアース泥に関して、2017年度から開始された、国による揚収技術の研究開発に参加しています。
・その他、環境・エネルギー関連技術等の新規技術開発及び材料・制御・CAE解析技術等の基盤技術開発を実施しております。
・連結子会社の三井造船システム技研株式会社の主要製品である医薬安全性試験システム「MiTOX」については、機能強化及びその周辺システムの開発を継続するとともに、新勤怠管理システム「TIME-3X」についても機能強化を図っています。
当事業に係る研究開発費は、18億48百万円であります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、45億68百万円であり、この中には受託研究等の費用10億36百万円が含まれております。なお、各事業部門における主な研究開発は以下のとおりであります。
(1)船舶
・商船に関しては、省エネ、環境対応技術を取り入れた新ルール対応型ばら積み貨物運搬船を開発し、営業活動を行っています。省エネ船の先行ヤードである当社の強みを維持するために、引き続き新船型開発や省エネ技術開発を進め、neoシリーズのラインナップ拡充を図ってまいります。艦船・官公庁船については、次世代艦艇として30DDを開発して参りましたが、2隻受注を果たしました。
・自動船位保持装置(DPS)は世界的に顧客ニーズが増加しており、2017年度は基本機能を充実させる開発を行いました。本DPSは自律型海上輸送システムの基幹システムとしての発展も見据えて開発を行っております。
・2017年度より自律型海上輸送システムの開発に着手いたしました。本件は、国土交通省交通運輸技術開発推進制度の補助金対象テーマとなっており、大学、官庁、商船会社等で形成された開発グループの中で当社が中核企業として開発を推進してまいります。
・共同研究チーム“Team KUROSHIO”を結成し共同研究を進めている超広域高速海底マッピングに関する開発は2年目を迎えています。マッピング技術を競う国際コンペティション(XPRIZE)において国内では唯一ラウンド1を通過し、2018年10月頃に開催される決勝ラウンドへの進出が決定いたしました。
・2017年度より、国土交通省補助事業として、Digital Twinによる造船工程の高度化の研究を開始しました。コンピュータ上の仮想(理想)現場と実現場の乖離を見える化し、問題の処理を早期に行い、造船事業の効率化を目指すものであります。
当事業に係る研究開発費は、4億14百万円であります。
(2)海洋開発
・海洋開発では、海洋での天然ガス開発に関わる新技術の開発、及び新規事業分野での既存技術活用に向けた研究を行っております。
・新市場開拓のための製品開発としては、FPSOに搭載の発電プラントの技術や係留技術を生かし、島嶼部や新興国向けに電力や淡水を供給する洋上発電・造水設備を開発しました。LNGを燃料とする大容量の発電プラントや造水装置を搭載する本設備は、環境に優しく、短納期、高い発電効率を特長としており、新たな市場への参入を目指してプロジェクトの受注に注力しております。
・新規事業分野としては、FPSOで培った技術経験を生かした洋上風力発電事業の検討を進めております。この他、当社グループがこれまでに蓄積した技術を、レアアースやメタンハイドレートといった海洋鉱物資源及びエネルギー資源の開発に応用するための研究を推進しております。
当事業に係る研究開発費は、1億60百万円であります。
(3)機械
・基幹製品関連では、当社が開発した低硫黄燃料対応型の排気再循環システムEGR(High-pressure Exhaust Gas Recirculation)が今治造船株式会社建造の石炭運搬船向け当社製大型舶用ディーゼルエンジンに搭載されることになりました。本EGRは、実機ベースでNOx低減技術を始め各種環境規制対応技術を適用し、陸上試験及び就航試験を行い、開発を進めてきたものです。さらに、船舶用低速ディーゼルエンジンに装備可能なNOx三次規制対応の新型の選択触媒還元システム(High-pressure SCR(Selective Catalytic Reduction))については、ライセンサーであるMAN Diesel & Turbo SE社が開発し、当社玉野事業所のテストエンジン(4S50ME-T)を用いた共同検証試験が完了しました。
また、CO2削減に寄与する次世代型油圧式廃熱回収システム(THS2)を開発しました。THS2は、過給機により回収した油圧エネルギーを電子制御機関の油圧動力として直接供給するため、機器が簡略化されコンパクトになり、従来は難しかった小型の機関にも採用が可能です。シンプルな構造のため、他の廃熱回収技術と比較して安価に設置が可能であり、機関内で完結するシステムのため、設計面で船体側へ与える影響が小さい点も特長です。
・LNG燃料船向け燃料ガス供給システム(Fuel Gas Supply System、以下FGSS)用高圧往復動式ポンプを開発し、販売を開始しました。既に販売中のLNG運搬船向けFGSS用ガス圧縮機に加えて、主機関であるガスインジェクションエンジン(ME-GI)とセットで供給する体制が整いました。
・当社の100%出資子会社である三造テクノサービス株式会社は、MOL LNG Transport(Europe) Ltd.と、同社の管理する三井 MAN B&W舶用主機関(ディーゼルエンジン)を対象にした20年間の長期メンテナンス契約を2017年9月に締結し、サービスを開始しました。対象船は、当社製の舶用主機関6S70ME-C8.2を各2基搭載している4隻で、定期検査等と部品供給、技師派遣による技術サービスを20年間一括で提供します。これら対象船4隻には株式会社ClassNKコンサルティングサービスと当社が共同で開発したCMAXS e-GICSXが搭載される予定です。このシステムは、ビッグデータを活用した船内での異常診断及び陸上での状態診断を自動で行い、主機関異常の早期発見、重大事故の未然防止をサポートします。
・運搬機事業関連では、環境に優しいHybrid型ヤード用トランスファークレーンを開発しました。従来のエンジン駆動に加えリチウムイオン電池を搭載することにより、今まで熱として消費していた回生エネルギーを蓄積し最大限に再利用することで、従来型比で最大60%の燃料消費量削減を達成し、CO2排出量も最大60%削減します。また、CO2排出量の削減のみならず、省燃費によるランニングコスト及び最大20dBの騒音低減を実現し、顧客にも優しい製品となっています。フィリピン・マニラ向けの港湾荷役用に本クレーン16基を受注しました。
当事業に係る研究開発費は、20億18百万円であります。
(4)エンジニアリング
・中小規模のごみ焼却炉の未利用廃熱を利用して効率的に発電する設備を開発しました。連結子会社である三井造船環境エンジニアリング株式会社(MKE)が佐賀県唐津市から受注した『唐津市清掃センター長寿命化事業基幹的設備改良工事』において、当該設備が設置され、実運転でその性能が確認されました。この設備は、連結子会社である三井造船マシナリー・サービス株式会社製マイクロスチームタービンを使用した小規模蒸気発電設備を組み合わせた第1号機となります。
・都市ごみ清掃工場から排出される溶融スラグを原料として高比表面積シリカを製造する技術を、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で開発しました。これは高比表面積材料として市販されている合成シリカ材料と同等以上の比表面積値で、各種吸着剤等の様々な用途展開が期待できます。
・当社が開発したバイオガスによる発電設備を併設した油温減圧乾燥方式による食品廃棄物の飼料化設備の第2号施設として、MKEが株式会社アルフォから受注した「城南島第2飼料化センター建設工事」は、性能を確認の上、2017年6月に竣工しました。
当事業に係る研究開発費は、1億25百万円であります。
(5)その他
・2011年度にNEDOに採択された波力発電技術の開発は、2017年度に実海域での実証試験を完了しました。
・IoT活用による生産性向上については、競争力の強化を目指して工場と協力して取り組みを進めております。ICタグを使用した調達品の管理、遠隔モニタリングによる工作機械の稼働率向上などの成果を生産活動で利用開始するとともに、新たな研究テーマにも取り組みます。
・海底にある次世代資源の開発・事業化を目指し活動を行っています。天然ガスの主成分であるメタンを有する表層型メタンハイドレートに関して、2016年度から開始されている、国による表層型メタンハイドレートの回収技術の研究開発に参加するとともに、採掘技術を確立するため、業界トップレベルの海底掘削技術、サービスを世界中に提供しているドイツのMHWirth GmbH社との協業を開始しています。さらに、急速に進む自動車の電気化等で注目されるレアアースを含んでいるレアアース泥に関して、2017年度から開始された、国による揚収技術の研究開発に参加しています。
・その他、環境・エネルギー関連技術等の新規技術開発及び材料・制御・CAE解析技術等の基盤技術開発を実施しております。
・連結子会社の三井造船システム技研株式会社の主要製品である医薬安全性試験システム「MiTOX」については、機能強化及びその周辺システムの開発を継続するとともに、新勤怠管理システム「TIME-3X」についても機能強化を図っています。
当事業に係る研究開発費は、18億48百万円であります。
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