有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100CN71
キヤノン株式会社 研究開発活動 (2017年12月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当グループは、2016年からの5カ年計画「グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅤ」のもと、研究開発における主要戦略として、1.「原価率45%を実現する新生産システムの確立」、2.「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」、及び3.「オープンイノベーションによる研究開発力の強化」を掲げ、その取組みを進めています。
1.では、開発・調達・生産・製造が一体となった日本のマザー工場機能を強化するとともに、ロボットの高精度化やIoT・ビッグデータ・AIなどの次世代技術の導入による生産技術の高度化を進め、トータルコストダウンを追及していきます。
2.では、現行事業の横展開による関連多角化の強化として、従来とは異なる分野における当社技術の応用可能性を探り、新たな事業の創出・拡大を図ります。また、商業印刷、ネットワークカメラ、ヘルスケアなど将来有望な分野に重点的に開発投資を行い、補強的なM&Aも駆使して事業の早期拡大を図ります。
3.では、より開かれた研究開発体制を構築し、広く世界から最先端技術情報を取り入れて、開発のスピードアップや効果的な成果につなげます。特に基礎研究の分野について、国内外の大学や研究機関、ベンチャーとも広く連携し、共同研究・委託研究を推進します。
2014年に内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)に採択された「イノベーティブな可視化技術による新成長産業の創出」においては、非侵襲・無被曝な医療検査装置の実現に向けて研究開発を進めています。また、2013年に開設した米国ヘルスケアオプティクスリサーチラボにおいては、マサチューセッツ総合病院及びブリガム・アンド・ウィメンズ病院との間で生体医学に関する光イメージングや医用ロボットなどに関する共同研究を進めています。TMSCにおいては、仏ボルドー大学と超高分解能技術を搭載したMRIの共同研究を開始しました。
開発効率の向上に向けては、光学設計を含めた画像形成プロセスの一貫シミュレーションシステムや、製品作動音解析、熱気流解析などのシミュレーションシステムを開発し、これらのシミュレーターによって製品開発期間の短縮及び試作台数、開発費用の削減を実現しています。
当期におけるグループ全体の研究開発費は、330,053百万円であり、事業の種類別セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。
Ⅰ.オフィスビジネスユニット
オフィス向け複合機においては、「imageRUNNER ADVANCE」シリーズが、米国で権威あるオフィス機器の独立評価機関であるBLIより、A3複合機の分野で「最優秀A3 MFPラインアップ賞」を2年連続受賞※1しました。優れた操作性や機器の稼働時間の長さ、さらにはワークフローの合理化とコスト削減につながるソリューション・サービスを提供していることが高く評価されました。また、ソリューション部門で、「優秀インフォメーション・マネジメント・プラットフォーム」として「Therefore 2016※2」が、「優秀アウトプット・マネジメント・プラットフォーム」として「uniFLOW V5.4※2」が、それぞれ受賞しました。
レーザープリンターにおいては、法人向けサービス「Remote Service for Satera※3」に対応したプリンター・複合機のラインアップを大幅に拡充しました。A4モノクロレーザープリンター「Satera LBP312i」は、従来機種※4に比べ体積の約36%小型化と最大2,660 枚の給紙※5を実現し、スペースが限られる小売業の店頭や医療機関の窓口などで高速かつ大量の印刷ニーズに応えます。
デジタルプロダクションプリンティングシステムにおいては、「Océ VarioPrint 6330」が、カット紙のモノクロプロダクションプリンターで業界最速の印刷速度※6となる毎分328ページ(A4両面)を実現しました。安定した用紙搬送と優れた両面印刷時の表裏の見当合わせ精度により、書籍やマニュアル、教材の分野で高品位な成果物を提供します。また、サイン&ディスプレイ市場向けの64インチ対応ワイドフォーマットプリンター「Océ Colorado 1640」が、新開発の「UVジェルテクノロジー」により、最速毎時159m2の高い生産性を実現しているほか、熱に弱いとされるオフセットコート紙や粘着紙、壁紙など幅広いメディアへの出力に対応します。
当事業セグメントに係る研究開発費は、91,763百万円であります。
※1 BLI:Buyers Laboratory LLC(米国に本社を置き、50 年以上高い信頼を得ている、ビジネスユーザー向けのオフィス機器に対する独立評価機関)、他に本体部門で「A3 カラーMFP(31-40ppm)優秀製品賞」として「imageRUNNER ADVANCE C5535/C5535F」、「A3 カラーMFP(41-50ppm)優秀製品賞」として「imageRUNNER ADVANCE C5550/C5550F」が同時受賞
※2 「Therefore 2016」、「uniFLOW V5.4」は日本未発売
※3 機器の快適な稼働環境を提供する総合サービス
※4 「Satera LBP6710i」
※5 「ペーパーフィーダー・PF-C1」装着時
※6 2017年8月現在(当社調べ)
Ⅱ.イメージングシステムビジネスユニット
レンズ交換式デジタルカメラの世界市場において、2003年から14 年連続で台数シェアNo.1※7を達成しました。キーデバイスであるCMOS センサー、映像エンジン、及び交換レンズを独自開発しており、強力なラインアップを揃えることで、幅広いニーズに応えています。また、デジタル一眼レフカメラ「EOS 5D Mark Ⅳ」が、世界的に権威のある写真・映像関連の賞「TIPA アワード 2017」※8、及び「EISA アワード 2017-2018」※9の両賞を受賞しました。有効画素数約3040万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーと、映像エンジン「DIGIC 6+(プラス)」を搭載し、静止画撮影における最高約7コマ/秒の連写性能に加え、4K/30pの高精細な動画撮影ができることや、ネットワーク機能を内蔵していることなどが評価されました。ミラーレスカメラ「EOS M6」は、独自のAF技術である「デュアルピクセルCMOS AF」の搭載により、素早く動く被写体や暗いシーンなどの撮影環境下でも高精度なAFを可能とし、動画撮影時も連続した位相差AFによる滑らかなフォーカスを実現しました。
デジタルシネマカメラにおいては、「EOS C200/EOS C200B」が、新開発の映像処理プラットフォーム「デュアル DIGIC DV 6」の搭載により、映像の情報量を維持しながらデータサイズを軽量化した新ビデオフォーマット「Cinema RAW Light※10」や、「MP4※10」で撮影した4K映像を本体内に記録可能とすることで、効率的に4K映像制作を行うことができます。また、大判(スーパー35mm相当)のセンサーを搭載した4Kカメラに対応する映像制作用ズームレンズ群の開発を評価され、米国のテレビ芸術科学アカデミーより、第69回「テクノロジー&エンジニアリングエミー®賞」※11を受賞しました。放送業界における技術開発及びイノベーションを評価するもので、業界の発展に目覚ましい貢献をした企業や団体、個人に対して授与されます。
インクジェットプリンターにおいては、家庭用インクジェットプリンター「PIXUS XK70/XK50」が、新6色インクの採用により、赤領域の色域が拡大したことで、光沢紙における発色性が向上し、より鮮やかなプリントを可能としました。また、新開発のフォトブルーインクにより、粒状感を低減した滑らかなプリント表現を実現しています。CAD・ポスター市場向けの大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF TX-4000/TX-3000」は、新開発のプリントヘッドと印刷処理の最適化により、A1 横サイズで約19 秒※12の高速プリントを実現したほか、ロール紙を本体給紙部に置くだけで、自動で用紙を給紙、調整する「自動ロール紙セット」機構を業界で初めて※13搭載し、ユーザーの作業負荷を軽減します。
マルチメディアプロジェクターにおいては、「4K600Z」が、独自のレーザー光源システムと光学システム「AISYS」により、 4Kレーザー光源プロジェクターで世界最小・最軽量※14を実現しました。4Kデジタルシネマを上回る4096×2400画素のLCOS方式のネイティブ4Kパネルを採用することで、4K映像を忠実に表現することができ、格子感がなく滑らかで臨場感のある映像投射が可能です。
長年培ってきたイメージング技術を用いた映像ソリューションとして、スポーツイベントなどにおける活用を想定し、「自由視点映像生成システム」の開発に取り組んでいます。さまざまな視点や角度からの映像体験を実現し、さらなる映像表現の拡大と映像文化の発展に寄与していきます。
当事業セグメントに係る研究開発費は、91,784百万円であります。
※7 2017年3月現在(当社調べ)
※8 2017年4月 TIPA:Technical Image Press Association (欧州を中心とした5大陸15カ国・地域のカメラ、ビデオなどの分野における主要な専門誌、30誌が加盟している業界団体)より23年連続受賞、他にズームレンズ「EF 24-105mm F4L IS II USM」、4Kデジタルビデオカメラ「XC15」が同時受賞
※9 2017年8月 EISA:European Imaging and Sound Association (欧州23カ国・地域のカメラ、ビデオ、オーディオなどの専門誌約50誌が加盟している業界団体)より29年連続受賞、他に「EOS 9000D」、「EF16-35mm F2.8L Ⅲ USM」が同時受賞
※10 「Cinema RAW Light」は4K DCI(4096×2160)/60P、「MP4」は4K UHD(3840×2160)/60P
※11 2017年10月 ATAS:The Academy of Television Arts & Science より「CN-E(単焦点レンズを除く)」、「COMPACT-SERVO」、「CINE-SERVO」シリーズなどの映像制作用ズームレンズ群が受賞
※12 プロッター用紙、「線画速い」モード
※13 大判インクジェットプリンター(A2以上の用紙サイズ対応)において 2017年12月現在(当社調べ)
※14 レーザー光源を搭載したネイティブ4K解像度以上 5000lmクラスのプロジェターおいて 体積約7万cm3、重量 約26㎏ 2017年11月現在(当社調べ)
Ⅲ.メディカルシステムビジネスユニット
デジタルラジオグラフィにおいては、X線デジタル撮影装置「CXDI-710C Wireless」が、カーボン素材を新採用し、業界最軽量※15の約2.3kg を実現したほか、コントロールPCを使わずに撮影が可能な「スタンドアローンモード」を新搭載するなど、撮影現場での作業効率を追求しました。
CT装置においては、「Aquilion Precision」が、X線検出器/X線管装置/撮影寝台など、核となるすべてのコンポーネントを刷新し、従来に比べ面内・体軸方向にそれぞれ2倍となる空間分解能を実現しました。これまで検出不可能だった細かな生体情報を得ることができる世界で唯一の高精細CT装置※16として、新たな臨床価値を提供します。
MRI装置においては、1.5テスラ「Vantage Elan / Zen Edition」が、撮像の際の電流波形の変動を限りなく小さくすることにより、検査時の騒音を最大99%※17低減する静音化技術「Pianissimo Zen」を搭載し、快適な検査空間を実現します。
超音波診断装置においては、「Aplio i」シリーズが、「2016年日経優秀製品・サービス賞」において、最高位の「日本経済新聞賞最優秀賞」を受賞※18しました。浅部から深部まで細く均一な超音波のビームを高密度で送受信できる技術開発により、均一で高精細な画像を描出可能とし、検査効率の向上に貢献します。
当事業セグメントに係る研究開発費は、36,210百万円であります。
※15 半切サイズのDR方式ワイヤレスX線デジタル撮影装置において(バッテリーパックを含む) 2017年3月現在(当社調べ)
※16 0.25mm×160列マルチスライス、空間分解能0.15mm 2017年4月現在(当社調べ)
※17 使用条件、撮像条件による(当社調べ)
※18 2017年1月
Ⅳ.産業機器その他ビジネスユニット
半導体露光装置においては、数々の技術的課題を克服し、従来の光露光装置に比べ、より微細な10nm台の回路パターンをより低コストで実現する、ナノインプリント技術を用いた次世代半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」及び、ナノインプリント用のマスターマスクを低コストで複製する、量産用マスクレプリカ製造装置「FPA-1100NR2」を製品化しました。これらにより、世界初となるナノインプリント技術を用いた半導体メモリーの量産に向けた取り組みが、大きく加速します。
ネットワークカメラにおいては、「VB-H45/VB-M44」が、高感度CMOS センサーの搭載により、カラー撮影における最低被写体照度0.05 ルクスを実現しました。暗いシーンでも、ノイズの少ない映像で、細部までクリアに認識することができ、夜間警備などに威力を発揮します。また、ネットワークカメラの映像から、人の特徴を検知し解析することで、大人数※19を精度よくカウントするソフトウエア「People Counter Version 1.0」は、マイルストーンシステムズ社のビデオ管理ソフトウエア「XProtect」への機能追加や、アクシス社のネットワークカメラ本体で動作可能とするソフトウエアなど、ラインアップを拡充※20しました。さまざまな施設で、混雑状況や人の流れを把握し、安全対策に加え、マーケティングでの活用にも貢献します。
当事業セグメントに係る研究開発費は、68,131百万円であります。
※19 フルHDで撮影した映像において約1,500人までの人数
※20 「People Counter for Milestone XProtect Version 1.0」及び「People Counter for ACAP Version 1.0」
また、各事業セグメントに配分できない基礎研究に係る研究開発費は42,165百万円であります。
注:製品名は日本国内での名称です。
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