有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100DAPJ
株式会社A&Dホロンホールディングス 研究開発活動 (2018年3月期)
当社グループは“はかる”を事業領域として様々な計測機器を開発しておりますが、顧客要求に応える機器開発及び未来を支える計測技術の追求を研究開発活動の基本としております。
現在の研究開発は主として当社の設計開発本部において推進しておりますが、研究開発スタッフは、当社グループ総従業員数の約14.9% 381名、当連結会計年度における研究開発費の総額は4,676百万円であり、セグメント別の研究開発の状況は次のとおりであります。
(1)計測・計量機器事業
当事業における研究開発スタッフは314名、当連結会計年度における研究開発費は3,854百万円であり、分野別の主要課題及び成果は次のとおりであります。①計測・制御・シミュレーションシステム(DSPシステム)
DSPシステムは、計測・制御・シミュレーション・解析等が必要な様々な分野に応用が可能なフレキシブルなシステムでありますが、当連結会計年度は前期に引き続き製品ラインナップの強化及びアプリケーションシステムの充実に努めました。車両の電動化、先進運転支援システム(ADAS)、自動運転などにより、車両システムが複雑化しています。車両システムの制御開発・検証で用いられるHILS(Hardware in The Loop Simulation)は、パワートレイン系HILS(エンジン・トランスミッション・バッテリなど)/ボディー系HILS/車両の周囲環境/気象環境/操縦安定性などの複数のHILSが用いられます。当社はこれらを一つのシステムにまとめる統合HILSを構築するための、拡張性の高いHILSプラットフォーム(HELIOS)の開発を行いました。本プラットフォームは既に自動車会社での実運用が始まっており、システムの拡張性について高い評価を得ております。
2015年7月に日本アビオニクス㈱より事業譲受した工業計測機器に関しましては、DSP事業との連携が進んでおり、宇宙航空産業向けの大型試験装置の分野では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)で開発中の次期基幹ロケットH3用のエンジン燃焼試験設備用の計測設備について、第1段エンジン(JAXA種子島宇宙センター、2016年受注)、第2段エンジン(JAXA角田宇宙センター、2017年受注)に引き続き、当連結会計年度は第 1 段厚肉タンクステージ燃焼試験(三菱重工業株式会社 田代試験場)の計測システムの開発及び提供を行いました。このシステムにおいては、DSP事業で蓄積した分散計測技術や音振動解析技術が貢献しております。
DSP応用試験機では、ムービングベルト式タイヤ試験機の標準型を開発・発表しました。内外のタイヤメーカーより好評をいただき、9月には1号機を受注いたしました。また、騒音試験路(N路)と振動試験路(V路)の台上での試験を可能とするN/Vドラム試験機については、自動車開発におけるMBD(モデルベース開発)化に貢献する、複合機能化(疑似路面、FMSセンサー搭載)試験機を開発・発表し、大きな反響と引き合いをいただいております。
②計測機器
計測機器では,引張・圧縮試験機テンシロンRTF/RTGおよび各種試験治具の標準化と販売資料の充実を進めました。これらにより短納期の自動引張試験機・自動曲げ試験機・自動圧縮試験機の受注を可能にしました。また、テンシロンRTFにおいては標準仕様の2倍、5倍、15倍の試験速度を有するRTF-HSシリーズを開発し、市場投入しました。③半導体露光装置関連ユニット
電子ビーム偏向制御用のデジタル/アナログ変換器(D/A変換器)につきましては、いっそう厳しくなってきた廃止保守デバイスに関連して、Rohs対応や代替デバイスの実験と評価と性能向上(耐ノイズ、セトリング、耐負荷)を目指しての開発に取り組みました。一方ビームユニットにつきましては、前年度と同様に新半導体検査用のSEM用の電子銃のさらなる安定化を図る開発を進めております。また高圧電源の分野では電子線露光装置の電子銃用の高安定電源の試作を進め、顧客要望を満たす高精度電源(高安定、低リップル、高放電耐性)を開発しました。
④計量機器
計量機器につきましては、当社の汎用電子天秤の中心機種であるGXシリーズの新製品GXAシリーズを開発し、市場投入いたしました。GXシリーズは十数年以上好調な売上を維持しておりますが、更なる売上増加を目指し、新機能の追加、使い易さの改善等を行いました。既に市場では旧製品以上の評価を受け、順調に売上を伸ばしております。また、昨年発売開始した汎用台秤HV/W-Cシリーズのラインナップ拡充のため、取引証明用に使用できる特定計量器シリーズを開発、市場投入しました。さらに小型安価防水秤として、UH-WPシリーズも開発いたしました。重量インジケータ部門では、組み込み用インジケータAD-4430シリーズにアナログ出力タイプ、また、Modbusインターフェースを付加したモデルを追加いたしました。これでAD-4430としては4機種のラインナップとなり、次年度以降の売上増が期待されます。
またロードセルは、トラックスケール用デジタルロードセルLCCD20シリーズを開発、市場投入いたしました。
近年ウエイトチェッカ、金属検出機と新規参入してまいりました検査機マーケットにつきましては、当連結会計年度におきましては、新規参入としてX線検査機の製品開発を行い新製品発表を行いました。X線検査機につきましては、マーケットの要求が年々増加しており、その要求に応えるべく開発され、2018年度の発売を予定しております。
その他に、2015年に日本アビオニクス㈱より事業譲渡を受けた工業計測機器につきまして、レコーダのマイナーチェンジ機種として、オムニエースRA-2300MKIIを開発、市場投入いたしました。
(2) 医療・健康機器事業
当事業における研究開発スタッフは67名、当連結会計年度における研究開発費は822百万円であり、分野別の主要課題及び成果は次のとおりであります。① 医療機器
医療用血圧計につきましては、携帯型自動血圧計(ABPM)TM-2441の開発を行い、まずは国内での販売を開始いたしました。前機種TM-2430シリーズの後継機種として20年ぶりのフルモデルチェンジを行い、超小型設計(前機種体積比約80%)に加え、基本機能である血圧のインターバル測定のほかマルチセンサにより身体活動、脈波波形、気温・気圧の環境因子も同時に記録することが可能で、取得したデータを解析することにより、個人の環境・生活リズムを考慮した循環器疾患の個別治療への利活用が期待されます。ABPMは、高血圧の診断と治療において重要な役割を果たしており、日本高血圧学会による高血圧ガイドライン2014においても推奨されております。
医療用計量器につきましては、主力のバリアフリースケールシリーズのモデルチェンジを行っておりますが、当連結会計年度は、第一弾としてAD-6107Rを開発し、市場投入いたしました。ハニカム構造を採用し大幅な軽量化を実現するとともに回路方式の刷新によりメンテナンス性を向上させることができました。医療・介護現場の負担軽減に大きく寄与いたします。
②健康機器
健康機器につきましては、手首血圧計UB-522、UB-525、UB-533の3機種を開発し、市場投入しました。UB-522はローコストタイプ、UB-533は手首の最適位置を知らせる高機能タイプで、今後は現行製品をこれらの機種に置き換えてまいります。また、新しいカテゴリーの製品として、リストバンド型活動量計ライフレコーダUW-302BLEを開発し、市場投入いたしました。当社製のBLE(Bluetooth Low Energy)通信機能付き血圧計や体重計と連携できるHub機能を搭載しており、リストバンドに個人認証、血圧、体重データを一時保存でき、日々の健康データを管理するのに最適な製品です。
その他、内閣府プロジェクトのImPACTに参加し、上記TM-2441やUW-302を使用して「血行動態ビッグデータに基づくリアルタイムICT・個別循環予見医学」の活動を行いました。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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