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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100D74S

有価証券報告書抜粋 株式会社ヤクルト本社 研究開発活動 (2018年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当社グループは、腸内菌叢(腸内フローラ)を構成する微生物のヒトへの役割を中心とした生命科学の追究により、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献するという企業理念の達成を目指しています。その中にあって当社研究開発部門は、長期的展望に立った基礎研究を行うとともに、それら基礎研究の成果を活かした食品・医薬品・化粧品などの研究開発に取り組んでいます。あわせて、事業戦略上求められる研究開発課題の解決や社会の要請に応じた商品の安全性確保と環境対策に関する研究にも力を注いでいます。
当連結会計年度の研究開発費の総額は10,207百万円で、セグメント情報にかかわる研究開発活動の概要は、次のとおりです。

(1) 基礎研究開発分野

基礎研究開発分野においては、腸内フローラとヒトの健康との関わりを明らかにするために、分子生物学・微生物学・免疫学・生理学・栄養学などの多面的な研究を行っています。プロバイオティクスとしての乳酸菌・ビフィズス菌がヒトの健康維持・増進に果たす役割の解明に重点をおくと同時に、新規の微生物や天然物の探索を行い、食品・医薬品・化粧品などへの利用を目指した機能性素材の開発に積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究成果は次のとおりです。
① 順天堂大学との共同研究で、日本人2型糖尿病患者を対象とした「L.カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含むプロバイオティクス飲料の飲用試験を実施した結果、本飲料を継続的に飲用することにより腸内フローラが変化し、慢性炎症の原因となる腸内細菌の血液中への移行(バクテリアルトランスロケーション)が抑制されることを明らかにしました。本研究により、プロバイオティクス飲料の継続飲用による腸管バリア機能の強化が、慢性炎症による糖尿病患者の病態悪化の抑制に役立つことが期待されます。本研究成果は、学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。
② 健康な勤労者を対象とした「L.カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含むプロバイオティクス飲料の飲用試験を実施した結果、本飲料の飲用期間中における上気道感染症の罹患率および発症回数の低下ならびに有病日数および発症時の症状持続日数の短縮が認められました。さらに、免疫力の指標となるNK細胞活性の低下およびストレスの指標となる唾液コルチゾールの上昇がそれぞれ抑制されることを明らかにしました。本研究により、プロバイオティクス飲料の継続飲用による免疫機能の修飾を介して上気道感染症発症リスクが軽減される可能性が示されました。本研究成果は、学術誌「European Journal of Nutrition」に掲載されました。
③ 徳島大学との共同研究で、進級のための学術試験を受ける健康な医学部生を対象とした「L.カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含むプロバイオティクス飲料の飲用試験を実施した結果、プロバイオティクスを含まないプラセボ飲用群では学術試験が近づくにつれて睡眠状態(起床時眠気、睡眠時間)が悪化しましたが、プロバイオティクス飲用群では睡眠状態の悪化が軽減されることが認められました。さらに、睡眠脳波解析の結果、プロバイオティクス飲料は深い眠りであるノンレム睡眠ステージ3の維持およびデルタパワーの増加により睡眠状態の体感を改善させることが認められました。本研究により、プロバイオティクス飲料の継続飲用はストレス状況下での睡眠状態の悪化を軽減させる可能性が示されました。本研究成果は、学術誌「Beneficial Microbes」に掲載されました。
④ 大阪国際がんセンターとの共同研究で、胸部食道癌患者を対象としたシンバイオティクス「BL整腸薬(乳酸菌、ビフィズス菌)、オリゴメイトS-HP(ガラクトオリゴ糖)」の投与試験を実施した結果、シンバイオティクスの服用により化学療法後の発熱性好中球減少症、下痢およびリンパ球減少といった重篤な有害事象を軽減させることが認められました。本研究により、食道癌術前化学療法中のシンバイオティクス投与が、化学療法による腸内細菌叢や腸内環境の乱れを改善し、有害事象の軽減に有用であることを明らかにしました。本研究成果は、学術誌「Clinical Nutrition」に掲載されました。
⑤ 関東労災病院との共同研究で、日本人2型糖尿病患者を対象とした「オリゴメイトS-HP(ガラクトオリゴ糖)」の飲用試験を実施した結果、低下していたビフィズス菌の占有率の回復が認められました。本研究により、ガラクトオリゴ糖の飲用は、炎症やインスリン感受性に関連すると考えられている血液中のLPS結合タンパク質(LBP)や耐糖能への影響は認められなかったものの、腸内フローラの異常を改善し、日本人2型糖尿病の改善に有望な手法となる可能性が示されました。本研究成果は、学術誌「Beneficial Microbes」に掲載されました。
⑥ 閉経前の健常女性を対象とした「L.カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含む発酵豆乳飲料の飲用試験を実施した結果、発酵豆乳および豆乳(対照飲料)の飲用により体内のイソフラボンレベルが上昇し、肌性状が改善することが認められました。さらに、発酵豆乳の飲用群では、腸内の乳酸菌およびビフィズス菌の増加ならびに大腸菌群の減少が認められました。本研究により、発酵豆乳は肌性状および腸内フローラの改善に寄与する可能性が示されました。本研究成果は、学術誌「Beneficial Microbes」に掲載されました。
⑦ 順天堂大学との共同研究で、同じ学生寮に居住する大学生を対象とした食習慣が腸内細菌叢に及ぼす影響を検討する試験を実施した結果、共通した環境の健康な若年成人においてヨーグルトの摂取頻度と腸内細菌叢との関連性およびその関連性には性差があることが認められました。本研究成果は、学術誌「Frontiers in Microbiology」に掲載されました。

今後も、最先端のバイオテクノロジーに基づく腸内フローラ研究を推進し、プロバイオティクスの健康維持・増進機能の検証と解明に取り組んでいきます。さらに、生活習慣病予防をターゲットとした次世代プロバイオティクスや新規機能性素材の研究開発に重点的に力を注いでいきます。
当分野の研究開発費は1,697百万円です。

(2) 飲料および食品製造販売事業分野

飲料および食品研究開発分野においては、ヒトの健康に積極的に寄与する商品開発を目指しています。特に、研究開発の対象としては、生活環境の変化や加齢によってバランスのくずれた免疫調節機能を正常化する生体防御面と、世代を超えて拡大している生活習慣病の予防に配慮した生理・代謝機能面に着目しています。具体的には、プロバイオティクスのパイオニアとして「乳酸菌 シロタ株」や「ビフィズス菌 BY株」「B.ビフィダム Y株」などを利用した食品や、自然界に存在する多くの機能性素材を利用した食品の研究開発に力を注いでいます。
また、より一層お客さまのニーズに応えるため、プロバイオティクスを使用した乳製品およびジュース・清涼飲料のラインアップの充実を図っています。
当連結会計年度の成果は次のとおりです。
① 乳製品
ア. 生きて腸内に到達する「乳酸菌 シロタ株」と腸内のビフィズス菌を増やす「ガラクトオリゴ糖」を一緒に摂ることができるパーソナルタイプの乳製品乳酸菌飲料「シンバイオティクス ヤクルト W」を昨年10月に導入しました。
イ. 当社のロングセラー商品である「ジョア」について、期間限定アイテムとして、「手摘みキウイ」を昨年5月に、「旬のピーチ」を7月に、「まろやかハニー」を10月に、「手摘みりんご」を本年2月に導入しました。
ウ. ハードタイプヨーグルト「ソフール」について、期間限定アイテムとして、温州みかん果汁とデコポン果汁をミックスした爽やかな果汁感とヨーグルトの風味がマッチした「温州みかん&デコポン」を昨年10月に導入しました。
エ.当社独自のビフィズス菌「B.ビフィダム Y株」を含んだ乳製品乳酸菌飲料「BF-1」について、紙とポリエチレンの複合容器から宅配チャネルでの積載効率に優れたストロー付紙容器に変更し、昨年9月に導入しました。
② ジュース・清涼飲料等
ア. 栄養ドリンク「タフマン」について、アルコール含量を0.9%から0.7%に低減し、昨年5月に導入しました。また、「タフマン」シリーズ初の缶容器入りで、スタイリッシュなデザインが特長のカフェインレス炭酸タイプリフレッシュドリンク「Tough-Man Refresh(タフマン リフレッシュ)」を本年3月に導入しました。
イ. 野菜系飲料「きになる野菜」シリーズについて、「アップル&キャロット」および「白ぶどう&ほうれん草」に一新し、昨年9月に導入しました。さらに、「きになる野菜100」シリーズについて、「緑黄色野菜ミックス」および「紫野菜ミックス」は野菜の使用量を1食分相当量に増量し、それぞれ「β-カロテン」「ポリフェノール」を訴求するとともに、「贅沢野菜1日分」は野菜の使用量はそのままにすっきりとした風味に変更し、昨年9月に導入しました。
ウ.「ジョア」の原料はっ酵乳を使用した乳性飲料「ミルージュ」シリーズの新商品として、ヨーグルト風味の白色系乳清飲料「ミルージュ ホワイトウォーター」を昨年10月に導入しました。
エ.特定保健用食品「ヤクルト 蕃爽麗茶」に含まれるグァバ葉ポリフェノールが手軽に摂れる粉末タイプの健康茶「手軽に蕃爽麗茶」を昨年9月に導入しました。
オ.乾めん「佐賀の神埼」シリーズについて、「ひやむぎ」、「うどん」および「そば」の処方などを一部変更し、本年3月に導入しました。
③ その他海外事業支援
インドヤクルト・ダノン株式会社が本年2月に導入した、「ヤクルト」と比較してカロリーを50%低減した「ヤクルトライト」の技術支援を行いました。
当分野の研究開発費は4,624百万円です。

(3) 医薬品製造販売事業分野

医薬品研究開発分野においては、抗がん剤を中心とした薬剤の研究開発を進めています。
ドイツの4SC AG社から導入したHDAC阻害剤「レスミノスタット」については、胆道がんおよび膵がんを対象とした第Ⅰ相臨床試験が終了し、本年3月から胆道がんについて第Ⅱ相臨床試験を実施しています。さらに、4SC AG社が実施している皮膚T細胞リンパ腫を対象とした第Ⅱ相国際共同臨床試験に、本年3月から当社も参加しています。なお、肝細胞がんを対象とした第Ⅱ相臨床試験が終了しましたが、標準治療環境の変化を考慮し、肝がんでの開発戦略を検討中です。
日産化学工業株式会社から導入した血小板増加薬「YHI-1501」については、日本人健常人を対象とした第Ⅰ相臨床試験が終了し、現在、今後の開発計画を検討中です。
「結腸・直腸がん」「胃がん」などの標準的治療薬として広く用いられている抗悪性腫瘍剤「エルプラット」(一般名:オキサリプラチン)については、「進行・再発胃がん」の用法・用量の追加を目的とした第Ⅲ相臨床試験を大鵬薬品工業株式会社と共同で実施中です。なお、本年4月に開催された厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の事前評価に基づいて、「エルプラット」は、本年5月に「小腸がん」に対する効能・効果追加を公知申請しました。
基礎創薬研究分野では、抗がん剤およびその周辺領域でのシーズを確保するための研究を引き続き実施しています。
当分野の研究開発費は3,262百万円です。

(4) その他事業分野

その他事業分野のうち化粧品研究開発分野においては、多様化するお客さまのニーズに応えることを目指し、「美」と「健康」の追究と当社独自の乳酸菌はっ酵技術を活かした「高機能・高品質で安全性の高い化粧品」の開発を志向しています。
基礎化粧品については、永年積み重ねた当社の乳酸菌研究と植物研究の成果を結集し、開発された基礎化粧品「リベシィ」シリーズのリニューアルを昨年6月に実施しました。さらに、化粧品機能評価法ガイドラインに基づく各種試験により、乾燥による小ジワを目立たなくする効果が実証された高機能クリーム状美容液「エジティックス モイストリペア エッセンス」のリニューアルを昨年11月に導入しました。
仕上化粧品については、流行や季節に応じた新色を開発し、口紅やアイシャドウなどのポイントメイクを導入することにより、「グランティア EX」シリーズのラインアップの充実を図りました。
当分野の研究開発費は623百万円です。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00406] S100D74S)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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