有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100CP5Q
アンジェス株式会社 研究開発活動 (2017年12月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における研究開発費は26億円(前年同期比15億88百万円(△37.9%)の減少)となりました。主に、HGF遺伝子治療薬の国際第Ⅲ相臨床試験にかかる費用が減少したことにより、研究用材料費が2億円、外注費が13億99百万円減少しております。
当社グループでは、以下のプロジェクトを中心に研究開発を進めました。
■HGF遺伝子治療薬(一般名:ベペルミノゲンペルプラスミド、開発コード:AMG0001)(自社品)
<対象疾患:重症虚血肢>
重症虚血肢を対象疾患としたHGF遺伝子治療薬の開発については、国内では大阪大学医学部附属病院が主導する医師主導型臨床研究を2014年10月より実施してまいりました。今回、申請が可能となる結果を得ることができたことから、条件及び期限付承認制度(2014年11月に施行された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」で導入された再生医療等製品の早期実用化を目指した新しい承認制度)を活用し、今回の結果と既存の臨床データ等を併せ、2018年1月22日、厚生労働省に対し再生医療等製品の製造販売承認申請を行っております。
海外での開発については、2016年6月に決定した開発計画の変更に基づき、米国での新試験計画の策定を進めております。
なお、日本国内及び米国におけるHGF遺伝子治療薬の末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権の許諾について、田辺三菱製薬株式会社と契約を締結しております。
<対象疾患:リンパ浮腫>
リンパ管の障害によりリンパ流が停滞して手足等が高度に腫れる疾患であるリンパ浮腫に対する治療薬の実用化を目指したHGF遺伝子治療薬の開発については、2013年10月に原発性リンパ浮腫患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始し、2016年4月に症例登録を完了したことを発表いたしました。データ解析の結果、主要評価項目である浮腫の体積に大きな減少は認められなかったため、当社が実施する企業治験としては次の段階に進まないことを決定いたしました。ただし、医師主導治験・臨床研究の実施には協力し、よい結果が得られた場合には将来的に自社開発を再開する可能性があります。
■NF-κBデコイオリゴDNA(自社品)
<対象疾患:椎間板性腰痛症>
NF-κBデコイオリゴDNAについては椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症とした開発を進めています(開発コード:AMG0103、注射剤)。当社は、2017年4月に米国FDAから新薬臨床試験開始届け(IND)の承認を受け、2018年2月より、第Ⅰb相臨床試験を開始しております。
<対象疾患:アトピー性皮膚炎>
アトピー性皮膚炎の治療薬(開発コード:AMG0101、軟膏剤)の開発については、2015年3月から国内第Ⅲ相臨床試験を進めてまいりました。本試験については、解析速報において主要評価項目でプラセボ群に対する統計学的な有意差が示されなかったことを2016年7月5日に発表いたしました。現在、試験の詳細な解析結果に基づき、今後の開発方針について検討しております。なお、NF-κBデコイオリゴDNAのアトピー性皮膚炎を含む皮膚疾患適応について、当社は塩野義製薬株式会社に対し全世界における独占的な販売権を許諾する契約を締結しております。
<その他>
デコイオリゴDNAのその他の開発については、これまでNF-κBデコイオリゴDNAの次世代型デコイの研究を行ってきましたが、NF-κBとSTAT6という2つの転写因子を同時に抑制する働きを持った「キメラデコイ」の開発を進めております。NF-κBのみをターゲットとした従来のデコイに比べ、炎症を抑える効果が格段に高いことが期待されます。
■高血圧DNAワクチン(開発コード:AGMG0201)(自社品)
当社は、遺伝子治療薬、核酸医薬につづく遺伝子医薬の第三の事業として、DNAワクチンの開発を手がけており、最初の開発品として高血圧DNAワクチンの開発を進めています。オーストラリアにおける臨床試験開始に向け、同国の規制当局に治験届けを提出したことを2017年7月20日に発表いたしました。臨床試験準備は完了し、今後対象患者が特定され次第、第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始いたします。
■バイカル社との戦略的な事業協力
当社は、2016年12月8日にバイカル社と戦略的事業提携を締結し、共同開発を進めていくことで合意しています。本戦略的提携に基づく最初の具体案件として、2017年4月4日に慢性B型肝炎の完治を目指した遺伝子治療薬を共同開発することで合意、契約締結したことを発表いたしました。また、同契約において当社は、日本における開発・販売権を対象とした優先交渉権を獲得しております。今後も、さらなる共同開発の可能性を含め、協力の具体策を検討してまいります。
また当社は、がん治療薬 Allovectin®(アロベクチン)に関し、バイカル社よりアジアの開発権を取得しており、開発計画を検討してきましたが、有望な対象市場が存在しないことからプロジェクトを継続しないことを決定いたしました。
■CIN治療ワクチン(GLBL101c、導入・導出開発品)
当社は、韓国のBioLeaders Corporation(以下「バイオリーダース社」といいます。)より、子宮頸がん前がん病変(CIN) の治療ワクチン(CIN治療ワクチン)について日米英中の開発、製造、使用および販売の独占的実施権を取得しています。本開発品については、当社が保有する権利を森下仁丹株式会社に独占的に再許諾する契約を2016年12月に同社と締結し、本開発品の開発主体は当社から森下仁丹株式会社に移管されました。今後は商業化時のロイヤリティを受け取ります。
医薬品・医療機器の開発の状況
(自社品)
区分 | 製品名/プロジェクト | 適応症 | 地域 | 開発段階 | 主な提携先 |
医 薬 品 | HGF遺伝子治療薬 | 重症虚血肢 (閉塞性動脈硬化症及びバージャー病) | 日本 | 製造販売承認申請済み | 田辺三菱製薬株式会社 (販売権供与) |
米国 | 試験計画中 | 田辺三菱製薬株式会社 (販売権供与) | |||
高血圧DNA治療 ワクチン | 高血圧症 | 第Ⅰ/Ⅱ相試験準備完了 (オーストラリア) | 未定 | ||
NF-κBデコイオリゴDNA | アトピー性皮膚炎 | 日本 | (軟膏剤) 第Ⅲ相試験終了※1 | 塩野義製薬株式会社 (販売権供与(全世界)) | |
椎間板性腰痛症 | 第Ib相試験 (米国) | 未定 |
※1 主要評価項目においてプラセボ投与群との間に統計学的な有意差は示されませんでした。詳細な解析結果に基づき、今後の開発方針を検討中です。
(導入開発品)
区分 | 製品名/プロジェクト | 適応症 | 当社の権利 | 開発段階 | 導入元 |
医 薬 品 | CIN治療ワクチン | 子宮頸がん 前がん病変 | 日米英中の開発販売権 | 研究者主導 臨床研究 (日本) | バイオリーダース社 (韓国)から導入し、森下仁丹株式会社に導出 |
事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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