シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100E14Q

有価証券報告書抜粋 日本国土開発株式会社 研究開発活動 (2018年5月期)


経営上の重要な契約等メニュー株式の総数等


当社グループの研究開発は、自動化・省力化など生産性を向上する差別化技術及び現場施工に密着した技術に積極的に取り組んでいることが特徴であります。
当連結会計年度の研究開発費は4億99百万円であり、セグメント別の内訳は土木事業4億28百万円、建築事業70百万円であります。主な研究開発成果は以下のとおりであります。

(土木事業)

(1) ICT(Information and Communication Technology)省力化技術の開発
省力化、生産性の向上を目的として、ICTの活用を進めております。当期は以下のテーマについて実施しております。
①ICTを利用したスクレーパのインテリジェント化
当社保有技術であるスクレーパのインテリジェント化による重機土工の技術革新を目的として、運搬土量管理システムの設計と走行締固め効果の評価を進めております。各種センサーの選定及び現場実証試験を実施し、軌跡管理システムのプロトタイプを完了しております。
②ICTを活用した土工品質管理
土工品質管理の自動化・省力化を目的として、品質管理装置を搭載した自律型走行計測台車の設計を進めております。開発はメーカーと共同で進めており、これまでにプロトタイプの計測台車を製作し、現場にて実証試験を行っております。
③ICT/CIM(Construction Information Modeling)を活用した総合的土工管理手法の開発
土工現場における測量、設計、施工計画及び施工、維持管理に至るすべてのプロセスにおいて、ICT/CIMを全面活用したきめ細かい管理手法の確立を目指しております。3次元モデルにより工事段階中に刻々と変化する現場状況を予測・再現することで、多発、巨大化する台風・豪雨時等の土砂災害リスクをタイムリーかつ適切に評価し、仮設防災計画・対策に直ちに反映させることで、現場内及び周辺地域の安心安全度の向上を図っております。また、国土交通省中国地方整備局のトンネル工事において、CIM要求事項に対しICTを活用した計測システムの導入及び実際の風景にCIMモデルを重ねて見ることのできるMR(Mixed Reality)を用いて、施工検討や顧客満足度の向上に役立てております。

(2) 回転式破砕混合工法(ツイスター工法)の高度化
当社保有技術である回転式破砕混合工法について、施工の効率化、独自技術の開発を目標に以下の課題を挙げ、取り組んでおります。
①シールド残土処理対応
大型シールド工事の残土処理を対象としたプラント組込型ツイスターの実用化を目的として、ツイスターの時間処理量拡大に向けた開発を行っております。当期は試験機による能力試験を実施し、従来型のツイスターと同等の品質で処理能力向上が図れることを確認し、実用化に向けた詳細設計を行っております。
②不良土改良技術
競争力向上のための差別化技術の開発を目的として、不良土の改良に伴う品質管理手法、及び添加材料を用いた独自改良手法の検討を行っております。現在は、河川の堤防補強盛土として製造した改良土の「推定モデル(材料評価)」の構築を目指し、回転式破砕混合工法で製造した改良土とバックホウ混合を模擬した改良土の強度・変形特性、及び透水特性について現場ごとのデータを収集し、品質性能を裏付けるモデル化への検討を行っております。
③機能性地盤材料
再生資材の有効利用技術の開発を目的として、再生資材を活用した建設発生土の性状改善効果に関する検討を大学との共同研究で進めております。現在は、長期耐久性について実施した結果の評価を進めております。また、当期はICT/AI対応を視野に入れた管理システムの開発を目指し、使用材料の土質データにより破砕・混合状態を定量的に予測できるシミュレーションについて、大学との共同研究を開始し、小型の回転式破砕混合装置を大学に導入して試験を開始しております。


(3) トンネル・シールド関連技術
トンネル・シールド関連の施工技術の開発・向上を目的として、関連する施工技術の調査・検証・開発を行い、実際に現場へ適用することで効果・問題点を明確にし、施工技術の開発を進めております。また、社員の教育活動も実施しており、トンネルに関する技術力向上に成果を上げております。当期は以下の課題を挙げ取り組んでおります。

①トンネル関連技術

トンネル切羽崩落事故防止を課題とし、コスト削減及び安全性向上につながる技術の検討に取り組んでおります。

②シールド関連技術

シールドマシンのビット耐摩耗性向上、土量管理の高度化、切羽監視等を課題とし、コスト削減及び安全性向上につながる技術の検討に取り組んでおります。

③小水力発電関連技術

小水力発電における小断面トンネル掘削の効率化を課題とし、コスト削減及び安全性向上につながる技術の検討に取り組んでおります。
(4) コンクリート関連技術
コンクリート関連技術として以下の課題を挙げ、開発に取り組んでおります。
①ADOX工法
ADOX工法は2液無溶剤型のエポキシ樹脂接着剤を使用した構造物補修・補強工法であります。一般的なエポキシ樹脂の施工環境温度が5℃以上であるのに対して、本材料は5℃以下の低温下での施工を可能にし、また施工技術の機械化を確立することにより、各種構造物に広く採用されております。
本材料のひとつは、技術名称「寒冷地用エポキシ樹脂コンクリート補修材ADOX1380W」として、NETIS(国土交通省の新技術情報提供システム)に登録済でありますが、加えて、2016年12月に新材料として、技術名称「寒冷地用軟質系エポキシ樹脂コンクリート補修材コンクレッシブ1510Ⅱ」のNETIS登録を完了致しました。これらの材料は、国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所のほかに当社を含む材料メーカー6社との共同研究「コンクリートのひび割れ注入・充填後の品質評価及び耐久性に関する研究」の試験材料に取り挙げられており、引き続き2021年3月まで研究の予定であります。
新たな市場として、道路橋コンクリート床版の耐久性向上に取り組んでおり、「ADOX床版防水工法」として、寒冷地である北海道等の北日本を中心に、さらに近畿地方においても採用が増えております。また、昨年度に引き続き、樹脂系あと施工アンカーへの適用として、太陽光発電関連の工事等で採用が増えております。更なる市場開拓として、5℃以下で施工ができる特長を生かした新製品・新工法の開発や、繊維シート補強への適用を目指した取り組みも継続しております。
②リニューアル技術
当社技術である機能性吸着材とADOXのエポキシ樹脂コンクリート補修製品を混和した、塩分吸着性能及び防錆性能を有するハイブリッドエポキシ樹脂製品の開発を行っております。その基本性能については、これまでの基礎試験結果から確認されており、2017年5月には、技術名称「ハイブリッドエポキシ樹脂」として、新材料のNETIS登録を完了しております。ひび割れ注入工法や他工法への適用を目的とした検証試験を実施するにあたり、コンクリート材料やエポキシ樹脂に関する研究実績を持つ大学との共同研究を継続し、また2017年6月からは、コンクリート構造物のライフサイクルマネジメントを専門分野とする大学との共同研究を開始しております。2017年10月には、青森県や西日本高速道路株式会社において試験施工を実施しております。
③高品質コンクリート
高品質コンクリートを製造するための、施工・品質管理に関する新技術の開発を行っております。当期は、スマートセンサを活用したトンネル二次覆工コンクリートの施工・品質管理システムの構築に向け、室内試験や施工現場での実証試験を行いました。また、コンクリートの品質に大きな影響を及ぼす養生方法について、当社が開発したLHTシート(保湿・保温養生シート)の更なる機能向上を目指し、現場実証実験を行っております。また、コンクリート表層品質の改善を目的とした型枠設置タイプの養生シートの開発を進めております。


(5) 土質・地盤改良技術
土質・地盤改良技術として以下の課題を挙げ、開発に取り組んでおります。
①処分場技術の高度化・合理化
一般廃棄物や産業廃棄物の処分場、放射性廃棄物の埋設施設に活用可能な技術として、降雨浸透抑制型覆土(キャピラリーバリア)とベントナイトを用いた遮水ライナーの研究開発を継続しております。
キャピラリーバリアについては、その設計精度の向上を目的に、上部覆土の性能について調査を行っております。そのため、自然環境下における上部覆土の性能変化を調査するために、施工済みの上部覆土の性能を調査致しました。また、長期間の降雨浸透抑制効果を把握するために、屋外の実規模土槽を用いた実証試験施設にて、2000年から現位置試験、データの取得を継続しております。
遮水ライナーについては、施工上、有利となるCa型ベントナイトを用いた遮水土を製造することを目的に、実規模を想定した混合機による遮水土の製造試験を行い、基礎データを取得致しました。
②石炭灰有効利用
沖縄電力株式会社と開発してきた頑丈土破砕材の技術をベースとして、石炭灰混合材料を大量・安定的に提供すべく技術開発を進めてまいりました。土砂よりも高品質な砕石代替材として使用できる石炭灰混合材料の製造を目標として、福島エコクリート株式会社の事業化を目指しておりましたが、本研究成果を反映した製造プラントが2018年3月に完成し、製品の製造に移行しております。事業化に向けた研究開発として、石炭灰収集・分析及び環境安全性確保に対応した配合試験データの集積、その配合や製造方法の検討、製品の物性確認、データの解析手法についてシステムの再構築・改良、実プラントを模擬した試験装置を作成し、製造条件及び品質確認を進めております。大学との共同研究では熱力学的解析とデータ駆動型解析の検証、強度特性、溶出特性の検証を進めております。
③地盤改良技術の高度化
動圧密工法は、埋立地や盛土の支持力増強や液状化対策工法として国内外で豊富な施工実績を有しておりますが、特に海外での技術競争力強化のためICTを活用した施工・品質管理の高度化、省人化を進めております。
事前混合処理工法(PREM工法)は、当社が開発した砂を対象とした液状化対策工法でありますが、近年は浚渫土、岸壁背面の掘削土等のリサイクル活用が主となっており、粘性土から礫質土にわたる多様な材料を回転式破砕混合機で改良する事例が増えてきております。そこで、多様な材料にも適用できる配合試験方法の見直しが必要であり、そのための基礎データを取得しております。
④土壌・水質改良
工場跡地の土壌汚染対策のほか、大型プロジェクト等で課題となっている自然由来の汚染土への対応技術の開発を進めております。新規不溶化材の開発や現場で実施できる簡易分析技術の確立、汚染土のトリータビリティ試験等を行っております。自然由来汚染土の不溶化技術は大学と共同で開発しております。

(6) 機能性吸着材
環境、医薬、触媒、各種添加剤等への用途開発を目的に、機能性吸着材の技術開発を実施しております。これまでに基本性能の把握、製造加工技術等の研究開発を実施し、さらに、高度水処理システム、井戸水砒素処理技術等の環境分野、各種添加剤、脱臭剤等への用途開発を進めております。


(建築事業)

(1) マンション工事の省力化施工による競争力強化
主にマンション工事の競争力強化を目的とし、工程・工法・省力化に関して検証を実施しながら、全国展開を図っております。
①工程検証
マンション工事現場の躯体工程サイクルの確認検証を、A積算時・B現場着工時・C実施工程の三段階で検証しております。検証結果を工法・技術・職人・検査等の項目で確認し、汎用性のある良い点を中心に全国水平展開し、工期短縮につなげ、生産性の向上を目指しております。
②省力化・工業化の検証
PC化・先組工法・大型パネル工法・既製品利用等の有効性を検証し、設計段階からの取組みを実施して、生産性の向上に取り組んでおります。
大阪の超高層マンション工事では、PC工事の複雑な部分は事前にモックアップを作成及び検証し、要求された品質が確保されていることを確認した上で施工を致しました。
設計施工物件においては、入手段階より設計部門と省力化・工業化の協議を開始し、生産性向上を目指しております。

(2) 生産性向上技術
①CFT造(コンクリート充填鋼管構造)技術
鋼管とコンクリートを組み合わせた複合構造により、型枠や鉄筋施工を削減し、工期短縮できるCFT造の施工技術ランクを取得しました。さらに適用範囲拡大のための、コンクリート強度70N/mm2とした実験を実施し、技術的な蓄積を行いました。都市部の超高層ホテル案件にて適用中であり、高層建物や商業施設等の受注拡大を図っております。
②柱RC造・梁S造(混合構造)技術
RC造とS造の長所を活かし、柱梁接合部を単純化することで、建物の大スパン化、省力化、工期短縮、低コスト化する技術開発に取り組んでおります。自社研究施設にて接合部の構造実験を実施し、第三者機関への審査申請を行った結果、第三者機関である一般財団法人ベターリビングの一般評定を取得しました。
この一般評定取得により本技術による設計施工が可能となり、現在、首都圏にて大型物流センターを施工中であります。今後も同様の物流センターや商業施設等の受注拡大を図ってまいります。
③IT活用技術
BIM(Building Information Modeling)の設計、施工への活用を進め、建設プロセスにおける品質や性能の向上、省力化を図っております。また、施工現場における業務効率を改善し、質の高い施工管理を目指すなど、建築技術と情報技術の融合化を推進しております。

(3) 施工品質向上技術
①環境負荷低減コンクリート
石炭火力発電所の副産物である石炭灰を加熱改質したコンクリート混和材(CfFA)を活用した技術開発を推進し、コンクリート構造物の高耐久化や長寿命化、そして資源の有効活用やCO2削減を図っております。本技術開発は、大学と共同研究で取り組んでおり、実用化の第一歩として、免震住宅の基礎部分や、首都圏の研究施設に試験的に適用しております。
②コンクリート品質向上技術
充填センサーや透明型枠を利用したコンクリート打設管理、温度ひび割れ対策としての3次元温度応力解析による内部温度・ひび割れ発生確率の推定、各種養生シートによるコンクリートの保温・保湿養生、高強度・高流動コンクリートの実機試験等をとおして高品質なコンクリート技術の確立に取り組んでおります。


(4) 免震・振動技術
仕上高さ200mm、メンテナンスフリーで高性能な「低床免震システム」は、消防署の通信指令室やエネルギー関連の監視制御室、先端技術による微細加工装置など、地震に対して最高レベルの安全性が要求される用途で、多くの導入実績をあげております。また、本免震システムの安全性、有効性を証明するため、第三者機関である一般財団法人日本建築センターに審査申請を行った結果、床免震システムでは国内初となる一般評定を2016年10月に取得致しました。

(5) 建物再生技術
スクラップ&ビルドの時代が終わり、資産の有効活用が注目される中、地震対策技術をベースに低コスト、資産価値向上の実現を図るソリューション技術「DRESS」を展開しております。建物・耐震診断をはじめ、耐震補強、内外装設備のリニューアル・リノベーション技術の研究開発に取り組んでおります。
特に的確な診断が求められる躯体調査では、直径20mmの小さなサンプルでコンクリートの劣化度・強度を判定できる「ソフトコアリング」工法や耐震補強工事で無振動、無粉塵、無騒音を可能にする接着ブレース工法や炭素繊維補強工法など、建物の状況や条件に合わせた建物再生技術の充実化を図っております。

(6) 省エネルギー・最適環境技術
持続可能な循環型社会に適した建築物を目指し、省エネルギーや長寿命化など設備・環境技術の開発に取り組んでおります。特に省エネ・環境診断で、赤外線カメラを利用した結露測定や気流・温熱解析ソフトによる室内環境の見える化(定量的評価手法)は、既存建物の環境条件をより的確に検証できる技術で、様々な用途分野の活用が期待されております。また、食品工場エンジニアリングではグローバルスタンダードであるFSSC22000等の規格・認証に対応するため、建設の観点から異物混入や虫の侵入、カビの発生等を防ぐサニテーション技術を整備し、食品工場における安全衛生環境の実現を追求しております。

(7) タブレットを活用した現場支援システムの実用化
タブレットを現場施工管理に活用する事により、業務の効率化・省力化・ペーパーレス化を図っております。また、労働時間の短縮及び、出来高生産性の向上を目指しております。
タブレットの利用目的は、配筋検査及び写真・仕上げ検査及び写真・各種工程内検査及び写真・簡易連絡メモ、各種会議対応としており、当社独自のカスタマイズを行っております。
現在、数現場で試用中でありますが、この期間で現場社員の利便性・システムの内容や改良・ハード面の整備等を確認しており、2019年6月からの全国の現場に対する展開・普及を目指し取り組んでおります。

(関連事業)

研究開発活動は特段行われておりません。

(関係会社)

福島エコクリート株式会社
①石炭灰混合材料の環境安全性の確保を目的に、研究開発で得た知見を基に実機プラント製造時の環境安全 性、製造判定手法の確立、既存の石炭灰に関する情報のデータベースの拡充を進めております。
②実機プラントの安定した製造能力の確保を目的に、製造した製品の評価と製造管理プロセス、既存設備の改善を進めております。
③石炭灰混合材料の市場拡大、競争力強化を目的に、大学との共同研究を継続するだけでなく、他の大学、研究機関との物理的特性、長期安定性の検証も合わせて進めております。

経営上の重要な契約等株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00059] S100E14Q)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。