大建工業株式会社 研究開発活動 (2018年3月期)

長期ビジョン「GP25」のもと、“エコ”と“空間の質的向上”への取組みを通して社会と共通の価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献する研究開発を進める一方で、将来の国内新設住宅着工に影響されない市場・分野に向けて、その土台となる技術の開発を進めております。
具体的には、当社保有技術の強みを活かし、循環利用可能な木材・木質材料を広く、多く利用するための技術開発や、住宅での快適性、安全性を追求しながらも生活のエネルギー消費を抑える技術開発、ユーザー目線でデザインを発想し、「くらしの価値(美しさ、使いやすさ、心地よさ)」を創造する製品開発を進め、住宅リフォーム市場、公共・商業建築分野や建築以外の市場・分野向けの新提案へと繋げております。
研究開発活動に直接携わる研究開発員は125名で、支出した研究開発費の総額は1,551百万円であります。なお、当社グループの研究開発活動は、主に住空間事業とエコ事業で実施しておりますが、研究開発内容は事業分野を跨り相互に関連していることから、研究開発員の人員数及び研究開発費については、セグメントに関連付けて記載しておりません。


(住空間事業)
住宅市場での地位をより強固にするべく、主力商品である床材やドアとトータルコーディネートが可能な新デザイン壁材「ハピアウォール」を発売いたしました。
また、重点市場である住宅リフォーム市場に対し、WPC天然木化粧単板を採用した「耐傷性」「デザイン性」に優れた上貼り施工可能な床材「エクオスファイン6T」や、クロスの上から施工可能な音環境改善天井材「クリアトーン9 オンクロス対応品」、システム収納(MiSEL等)を既存壁の補強なしで設置可能にした「オンボード工法」を開発し、従来よりも施工期間や施工費用を抑えることができるようになりました。
公共・商業建築分野では、多くの方が利用する空間に特化した機能、デザインを有する片開きドア「ハピア パブリック」を発売いたしました。

(エコ事業)
鳥取県日南町における「木材総合カスケード利用」事業化検討プロジェクトの第一弾として、防風林の客土形成などに使用する土木用土壌改良材「DWファイバー」を発売いたしました。さらに、土木分野だけでなく農業分野へ用途展開するべく、木材の土壌化技術の開発を進めており、さらなる利用拡大の可能性を探索しております。
防火規制の多い公共・商業建築分野では、軽量で加工性に優れたダイライトを基材とする不燃壁材「GRAVIO(グラビオ)」に耐水性及び耐熱性を付与したタイプを追加発売いたしました。さらに、ダイライトの不燃性、加工性などの特長を活かしつつ、デザイン性に優れた壁材の開発を進めました。また、防災防火対象物に指定されている公共施設に提案可能な防炎製品として、規格畳「ここち和座 置き敷きタイプ 清流」を発売いたしました。

(エンジニアリング事業)
天井工事において、耐震天井工法「ダイケンハイブリッド天井」に、新たに3グレードの耐震対策工法を開発いたしました。法規制対象の特定天井対応の既存工法と合わせて、耐震安全性の異なる4グレードに拡充することで、法規制対象でない吊り天井において、より省施工で安価かつ一定の耐震安全性を確保することが可能となります。

(その他)
国産材総合利用として、防火規制の厳しい公共空間向けに木材の不燃化技術の研究開発を引き続き行っております。
また、かねてより研究開発を行ってきました潜熱蓄熱技術を活用した蓄熱床下地材の販売を特定顧客に開始するとともに、蓄熱コンソーシアムに参画し潜熱蓄熱材の評価方法の標準化やシミュレーションソフトの開発など普及促進に協力しております。