有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100L02E (EDINETへの外部リンク)
株式会社JMC 事業の内容 (2020年12月期)
製造業におけるJMCという強固なブランドを確立するため、「MADE BY JMC」という経営理念及び「ものづくりに知性を。」というビジョンのもと、3次元CADデータ技術を用いて「樹脂を素材とする3Dプリンター」と「金属を素材とする砂型鋳造」の両成型法を利用、発展させながら、製造業を中心に幅広い業種の「試作品」から「最終製品」までの「ものづくり」をトータルサポートすることを主たる事業としております。
当社の事業は、3Dプリンター出力事業、鋳造事業及びCT事業から構成されており、報告セグメントの区分も当該事業によっております。3つの事業を持つことで、3次元CADデータのノウハウを共有するだけでなく、人員のローテーションや設備の共同利用など社内のハード・ソフト資源を有効に活用することが可能になります。
3Dプリンター出力事業につきましては、製品開発を行っている顧客からの試作の依頼を3Dプリンターで作製し、提供するサービスを行っております。製造だけではなく、3次元CADデータの特殊な処理や装置のメンテナンスも自社で行うことで、メーカーと受託サービス会社が持つノウハウを一貫して有しております。
なお、当該事業は年中無休の稼働体制で顧客のニーズに合わせてサービスを提供しております。
また、3Dプリンターの技術を用いて開発を進めている心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID」は、国内外で心臓カテーテル治療に携わる医師やデバイスメーカー向けに、「HEARTROID PROJECT」(大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学、フヨー株式会社及び当社)を通じて自社製品としてラインアップの増強を進めております。
加えて当社は、「高度医療機器販売業・貸与業(許可番号:第111120352号)」、「医療機器製造業(登録番号14BZ200303」、「第1種医療機器製造販売業(許可番号:14B1X10020)」の許可を取得しており、一般医療機器から高度管理医療機器まで、すべての医療機器の設計・開発・製造・薬事申請・販売を一貫して行うことが可能であります。自社で医療機器の設計・製造・販売を行うことにより、当社の製造技術やノウハウを医療分野へ積極的に活用でき、事業部間のシナジー効果が見込めることや、国内外の医療機器関連企業とのアライアンスにより、利益構造を一層強化できるようになります。また、国外で開発された医療機器の輸入販売や、自社開発医療機器をJMCブランドとして輸出販売も可能となり、グローバルな事業展開を推進できるようになります。
鋳造事業につきましては、多品種少量生産に適した砂型鋳造法を採用しております。また、多くの鋳造業者が鋳造以外の工程の外注化を図っているのに対し、当社では木型、鋳造、熱処理、機械加工、検査まで一貫した製造工程を内製化したことにより、顧客メーカーの要求に応える安定した製品品質と短納期化を実現しております。従来の「伝統の職人技」と言える部分を精緻な3次元CADデータの取り込みなどを通して、砂型鋳造の精度をダイカスト法(注1)と同等レベルまで向上させたことで、試作品のみならず最終製品の受託も手掛けており、最終製品と同素材の試作品を顧客に販売することで、製品に対する需要を把握するテストマーケティングにも利用されております。
また、日本ベーカーヒューズ株式会社(旧GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社)製の産業用CTを複数機種導入し、自動車や航空宇宙分野で求められる品質検査体制を構築しております。
このように品質検査体制と短納期を強みとして、一部の完成車メーカーからTier1(注2)企業として選定されています。
CT事業につきましては、製品評価やリバースエンジニアリング(注3)等の高度な検査・測定サービスの受託に加えて、日本ベーカーヒューズ株式会社(旧GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社)製の産業用CT及び関連サービスの販売業務を行っております。
また、産業用CTの販売に関連して、ボリュームグラフィックス株式会社製の産業用CT/ボクセルデータ用ソフトウェアの販売業務を行っております。
[事業系統図]
(注)1.ダイカスト法
金型鋳造法のひとつで、金型に溶融した金属を圧入することにより、高い寸法精度の鋳造品を短時間で大量に生産する鋳造方式のことです。
2.Tier1
メーカーに部品を直接納入する一次サプライヤーのことです。一次請負とも言われています。
3.リバースエンジニアリング
物体を産業用CTでスキャンし、データをコンピュータに取り込み、そのデータから物体形状のCADデータを再構築することです。
4.撮像
産業用CTのスキャンで得られた被写体の全方向からのX線透過画像を解析し、断面画像を得ることです。
[事業フロー]
(1)3Dプリンター出力事業
3Dプリンター出力事業では、製品開発を行っている顧客に対して試作品を3Dプリンターで作製し、提供するサービスを行っております。当社が保有する3Dプリンターは、光造形方式8台、粉末焼結(ナイロン造形)方式6台(うち5台は2020年12月テクニカルセンター閉鎖により除却)、インクジェット方式1台の合計15台と、現在業界で採用されている主要な工法を備えております。工法が多岐にわたることに加えて、当社では顧客への短納期化を実現するために、自社による見積データの解析・補正サービスや年中無休の稼働体制を敷いております。また、3Dプリンターでの作製後の各種後加工(塗装・染色・ネジ加工・アルミ真空蒸着(注5)・真空注型(注6))も行っております。
同事業においては、医療分野でも3Dプリンターによる製品の作製サービスを行っております。脳外科、口腔外科分野において、患者のCT・MRIデータから頭蓋骨や下顎骨のデータを作成し、3Dプリンターで実体モデルを作製しております。実体モデルは、手術前のシミュレーションや手術方式の説明等に利用されております。また、3Dプリンターと真空注型を組み合わせた独自の技術(特許番号5236103号)を保有しております。これは、臓器の複雑な形状を忠実に再現するため、型を3Dプリンターで作製し、シリコーンゴムなどの軟質材料を注入することで、軟質の臓器モデルを作製するものです。臓器モデルは医療機器の機能評価やカテーテル、内視鏡手術のトレーニングに利用されております。
3Dプリンターのそれぞれの方式の特徴は以下のとおりであります。
a. 光造形方式
工業製品の高速試作に用いられる3Dプリンターであります。液体樹脂にレーザーをあて、硬化させながら層を積み重ねていくことで作製します。他の3Dプリンターに比べて高精度な製品を作製することができる一方、導入コストが高額であり、運用には高度なノウハウが必要なため、ハイクラスなサービスビューロー(注7)や大企業の研究開発部等が導入するプロユースの装置であります。用途の例としては、医療機器の試作品、部品の接続の機能検証用のモデル、可視化用の透明モデル等になります。
b. 粉末焼結(ナイロン造形)方式
ナイロン粉末をCO2レーザーで焼き固め、積み重ねていくことで、モデルを作製する3Dプリンターであり、強度や耐熱性が求められるモデルの作製に用いられます。装置は3Dプリンターの中で高額な部類に属し、また、材料費も高価なため導入に対する障壁が高い方式であります。用途の例としては、自動車の動作確認用部品モデルや内装部品の試作品等になります。
c. インクジェット方式
紫外線硬化型樹脂をプリンターヘッドから微細な液滴として吐出し、紫外線ランプで硬化させてモデルを作製する3Dプリンターです。装置は光造形に比べて小型で、モデルの後処理が容易であり、大型の洗浄装置が必要ない方式です。用途の例としては、複雑な内部形状を持つモデル、流路解析用モデル等になります。
(注)5.アルミ真空蒸着
真空内でアルミニウムを加熱して、気化・昇華させ、離れた位置に置かれた基材・基板の表面に付着・堆積させて薄膜を形成する技術のことです。
6.真空注型
光造形品や切削加工品をマスターモデルにして、シリコーンゴム等の複製用の型を作製します。その型に樹脂を流し込み固化させた後、型を外して複製品を作製する工法のことです。
7.サービスビューロー
商用印刷やデスクトップパブリッシングに関連するサービスを行う業者のことで、出力センターとも呼ばれています。ページレイアウトソフトで作成したデータの出力や、スキャニングなど様々なサービスを行います。
(2)鋳造事業
鋳造は、製品の形状を反転させた型に、鉄・銅・アルミニウム・マグネシウム等の溶かした金属を流し込み、製品を作製する工法になります。この時に用いる型を“鋳型(いがた)”と呼び、素材により金型・砂型・石膏型等、数種類に分けられます。
鋳造工法は、複数の工程から成っており、顧客から受領したCAD(注8)データから型データの作成、木型の作製、砂型の作製、鋳込み(注9)、仕上げ、熱処理、機械加工、検査を経て、製品が完成いたします。これまでの鋳造業界では、その各工程をそれぞれ別会社が営んでおり、工程間のデリバリー時間が発生することや、工程間の情報共有不足による不良品発生が問題となっております。当社も事業開始時は砂型の作製、鋳込み、仕上げ工程のみ自社で行っており、それ以外の工程を外部委託しておりましたが、顧客からの短納期や品質向上の要求に応えるためには、完全素加一貫(注10)の生産体制を構築する必要があり、1工程ずつ着実に内製化してきました。3Dプリンター出力事業と同様に、顧客からはコストよりも短納期が重視される傾向があるため、当社のスピードが付加価値となり、価格競争面で有利に働く要素となっております。
当社の砂型鋳造は、金型を使用するダイカスト工法に近い品質を実現しております。それは、切削機械で木型を作製し、同業の砂型鋳造業者よりも細かい粒径の鋳物砂(注11)を使用しているからであります。また、組織の密度等鋳造品の物性において、ダイカスト工法よりも砂型鋳造が優れており、表面粗さと寸法精度が担保されれば、品質は砂型鋳造品が優ると考えております。
なお、当社では、主にアルミニウム合金及びマグネシウム合金による鋳造を行っております。
(注)8.CAD(Computer Aided Design)
コンピュータ支援設計とも訳され、コンピュータを用いて設計をすること、あるいはコンピュータによる設計支援ツール(CADシステム)のことです。
9.鋳込み
溶かした金属を鋳型に流し入れることです。
10.素加一貫
素材(鋳造品)の作製から後加工まで一貫するという意味で、型作製から検査まですべて自社内で完結させることです。
11.鋳物砂
鋳造品用の鋳型(砂型)を作製するために用いる砂のことです。耐火性・通気性・伸縮性などが良いものを使います。
(3)CT事業
① 検査・測定サービス
産業用CTによる非破壊検査や三次元測定などを提供するサービスです。
当社では、日本ベーカーヒューズ株式会社(旧GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社)製の産業用CT「phoenix v|tome|x c450」(ミリフォーカスCT)、「phoenix nanotom m」(ナノフォーカスCT)及び「phoenix v|tome|x m」(マイクロフォーカスCT)を導入しております。これらの装置は、自動車、航空宇宙、電力等の幅広い分野において品質検査を行う用途に最適化されており、非破壊検査や三次元測定に活かされます。産業用CTによる撮像技術は製品現品の品質検査が求められる分野においては不可欠であり、製造規格やメーカー独自の品質検査レベルをクリアするために有効なものであります。当社の主なサービスは下記のとおりであります。
a. 鋳造品の内部品質評価
鋳巣欠陥(注12)は、様々な要因によって発生します。産業用CTは素材内部の欠陥を簡単に検出することができるため、より質の高い製品開発をサポートできます。
b. 鋳造品中子(注13)形状の寸法測定
産業用CTは、測定困難な内部形状や構造を測定するのに有効であるため、中子ズレ等切断面による評価を必要とするケースでも、フラットパネルによる高速スキャンを利用して、短時間で広範囲の評価を行うことができます。
c. リバースエンジニアリング
産業用CTは品質検査だけではなく、図面のない製品や自然物のデータ化にも活用できます。更に当社では3Dプリンター出力事業の豊富な実績から、3Dプリンター出力用のデータの編集も可能であり、リバースエンジニアリングによるものづくりをサポートすることができます。
d. 素形材の解析
カーボンの素材強度に影響するカーボン繊維の配向の解析サービスを行っております。
e. 放射線照射
産業用CTにて放射線を物体に照射し続けることで、物体がどのように変化、変質していくのかを確認するサービスを行っております。
② 産業用CT販売
日本ベーカーヒューズ株式会社(旧GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社)製の産業用CT及び関連サービスの販売を行っております。
(注)12.鋳巣欠陥
鋳巣欠陥とは、鋳造品の内部に空洞が発生するという不良のことです。
13.中子
中空の鋳造品を作製する際に、中空となる部分に入れる鋳型のことです。
当社の事業は、3Dプリンター出力事業、鋳造事業及びCT事業から構成されており、報告セグメントの区分も当該事業によっております。3つの事業を持つことで、3次元CADデータのノウハウを共有するだけでなく、人員のローテーションや設備の共同利用など社内のハード・ソフト資源を有効に活用することが可能になります。
3Dプリンター出力事業につきましては、製品開発を行っている顧客からの試作の依頼を3Dプリンターで作製し、提供するサービスを行っております。製造だけではなく、3次元CADデータの特殊な処理や装置のメンテナンスも自社で行うことで、メーカーと受託サービス会社が持つノウハウを一貫して有しております。
なお、当該事業は年中無休の稼働体制で顧客のニーズに合わせてサービスを提供しております。
また、3Dプリンターの技術を用いて開発を進めている心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID」は、国内外で心臓カテーテル治療に携わる医師やデバイスメーカー向けに、「HEARTROID PROJECT」(大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学、フヨー株式会社及び当社)を通じて自社製品としてラインアップの増強を進めております。
加えて当社は、「高度医療機器販売業・貸与業(許可番号:第111120352号)」、「医療機器製造業(登録番号14BZ200303」、「第1種医療機器製造販売業(許可番号:14B1X10020)」の許可を取得しており、一般医療機器から高度管理医療機器まで、すべての医療機器の設計・開発・製造・薬事申請・販売を一貫して行うことが可能であります。自社で医療機器の設計・製造・販売を行うことにより、当社の製造技術やノウハウを医療分野へ積極的に活用でき、事業部間のシナジー効果が見込めることや、国内外の医療機器関連企業とのアライアンスにより、利益構造を一層強化できるようになります。また、国外で開発された医療機器の輸入販売や、自社開発医療機器をJMCブランドとして輸出販売も可能となり、グローバルな事業展開を推進できるようになります。
鋳造事業につきましては、多品種少量生産に適した砂型鋳造法を採用しております。また、多くの鋳造業者が鋳造以外の工程の外注化を図っているのに対し、当社では木型、鋳造、熱処理、機械加工、検査まで一貫した製造工程を内製化したことにより、顧客メーカーの要求に応える安定した製品品質と短納期化を実現しております。従来の「伝統の職人技」と言える部分を精緻な3次元CADデータの取り込みなどを通して、砂型鋳造の精度をダイカスト法(注1)と同等レベルまで向上させたことで、試作品のみならず最終製品の受託も手掛けており、最終製品と同素材の試作品を顧客に販売することで、製品に対する需要を把握するテストマーケティングにも利用されております。
また、日本ベーカーヒューズ株式会社(旧GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社)製の産業用CTを複数機種導入し、自動車や航空宇宙分野で求められる品質検査体制を構築しております。
このように品質検査体制と短納期を強みとして、一部の完成車メーカーからTier1(注2)企業として選定されています。
CT事業につきましては、製品評価やリバースエンジニアリング(注3)等の高度な検査・測定サービスの受託に加えて、日本ベーカーヒューズ株式会社(旧GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社)製の産業用CT及び関連サービスの販売業務を行っております。
また、産業用CTの販売に関連して、ボリュームグラフィックス株式会社製の産業用CT/ボクセルデータ用ソフトウェアの販売業務を行っております。
[事業系統図]
(注)1.ダイカスト法
金型鋳造法のひとつで、金型に溶融した金属を圧入することにより、高い寸法精度の鋳造品を短時間で大量に生産する鋳造方式のことです。
2.Tier1
メーカーに部品を直接納入する一次サプライヤーのことです。一次請負とも言われています。
3.リバースエンジニアリング
物体を産業用CTでスキャンし、データをコンピュータに取り込み、そのデータから物体形状のCADデータを再構築することです。
4.撮像
産業用CTのスキャンで得られた被写体の全方向からのX線透過画像を解析し、断面画像を得ることです。
[事業フロー]
(1)3Dプリンター出力事業
3Dプリンター出力事業では、製品開発を行っている顧客に対して試作品を3Dプリンターで作製し、提供するサービスを行っております。当社が保有する3Dプリンターは、光造形方式8台、粉末焼結(ナイロン造形)方式6台(うち5台は2020年12月テクニカルセンター閉鎖により除却)、インクジェット方式1台の合計15台と、現在業界で採用されている主要な工法を備えております。工法が多岐にわたることに加えて、当社では顧客への短納期化を実現するために、自社による見積データの解析・補正サービスや年中無休の稼働体制を敷いております。また、3Dプリンターでの作製後の各種後加工(塗装・染色・ネジ加工・アルミ真空蒸着(注5)・真空注型(注6))も行っております。
同事業においては、医療分野でも3Dプリンターによる製品の作製サービスを行っております。脳外科、口腔外科分野において、患者のCT・MRIデータから頭蓋骨や下顎骨のデータを作成し、3Dプリンターで実体モデルを作製しております。実体モデルは、手術前のシミュレーションや手術方式の説明等に利用されております。また、3Dプリンターと真空注型を組み合わせた独自の技術(特許番号5236103号)を保有しております。これは、臓器の複雑な形状を忠実に再現するため、型を3Dプリンターで作製し、シリコーンゴムなどの軟質材料を注入することで、軟質の臓器モデルを作製するものです。臓器モデルは医療機器の機能評価やカテーテル、内視鏡手術のトレーニングに利用されております。
3Dプリンターのそれぞれの方式の特徴は以下のとおりであります。
a. 光造形方式
工業製品の高速試作に用いられる3Dプリンターであります。液体樹脂にレーザーをあて、硬化させながら層を積み重ねていくことで作製します。他の3Dプリンターに比べて高精度な製品を作製することができる一方、導入コストが高額であり、運用には高度なノウハウが必要なため、ハイクラスなサービスビューロー(注7)や大企業の研究開発部等が導入するプロユースの装置であります。用途の例としては、医療機器の試作品、部品の接続の機能検証用のモデル、可視化用の透明モデル等になります。
b. 粉末焼結(ナイロン造形)方式
ナイロン粉末をCO2レーザーで焼き固め、積み重ねていくことで、モデルを作製する3Dプリンターであり、強度や耐熱性が求められるモデルの作製に用いられます。装置は3Dプリンターの中で高額な部類に属し、また、材料費も高価なため導入に対する障壁が高い方式であります。用途の例としては、自動車の動作確認用部品モデルや内装部品の試作品等になります。
c. インクジェット方式
紫外線硬化型樹脂をプリンターヘッドから微細な液滴として吐出し、紫外線ランプで硬化させてモデルを作製する3Dプリンターです。装置は光造形に比べて小型で、モデルの後処理が容易であり、大型の洗浄装置が必要ない方式です。用途の例としては、複雑な内部形状を持つモデル、流路解析用モデル等になります。
(注)5.アルミ真空蒸着
真空内でアルミニウムを加熱して、気化・昇華させ、離れた位置に置かれた基材・基板の表面に付着・堆積させて薄膜を形成する技術のことです。
6.真空注型
光造形品や切削加工品をマスターモデルにして、シリコーンゴム等の複製用の型を作製します。その型に樹脂を流し込み固化させた後、型を外して複製品を作製する工法のことです。
7.サービスビューロー
商用印刷やデスクトップパブリッシングに関連するサービスを行う業者のことで、出力センターとも呼ばれています。ページレイアウトソフトで作成したデータの出力や、スキャニングなど様々なサービスを行います。
(2)鋳造事業
鋳造は、製品の形状を反転させた型に、鉄・銅・アルミニウム・マグネシウム等の溶かした金属を流し込み、製品を作製する工法になります。この時に用いる型を“鋳型(いがた)”と呼び、素材により金型・砂型・石膏型等、数種類に分けられます。
鋳造工法は、複数の工程から成っており、顧客から受領したCAD(注8)データから型データの作成、木型の作製、砂型の作製、鋳込み(注9)、仕上げ、熱処理、機械加工、検査を経て、製品が完成いたします。これまでの鋳造業界では、その各工程をそれぞれ別会社が営んでおり、工程間のデリバリー時間が発生することや、工程間の情報共有不足による不良品発生が問題となっております。当社も事業開始時は砂型の作製、鋳込み、仕上げ工程のみ自社で行っており、それ以外の工程を外部委託しておりましたが、顧客からの短納期や品質向上の要求に応えるためには、完全素加一貫(注10)の生産体制を構築する必要があり、1工程ずつ着実に内製化してきました。3Dプリンター出力事業と同様に、顧客からはコストよりも短納期が重視される傾向があるため、当社のスピードが付加価値となり、価格競争面で有利に働く要素となっております。
当社の砂型鋳造は、金型を使用するダイカスト工法に近い品質を実現しております。それは、切削機械で木型を作製し、同業の砂型鋳造業者よりも細かい粒径の鋳物砂(注11)を使用しているからであります。また、組織の密度等鋳造品の物性において、ダイカスト工法よりも砂型鋳造が優れており、表面粗さと寸法精度が担保されれば、品質は砂型鋳造品が優ると考えております。
なお、当社では、主にアルミニウム合金及びマグネシウム合金による鋳造を行っております。
(注)8.CAD(Computer Aided Design)
コンピュータ支援設計とも訳され、コンピュータを用いて設計をすること、あるいはコンピュータによる設計支援ツール(CADシステム)のことです。
9.鋳込み
溶かした金属を鋳型に流し入れることです。
10.素加一貫
素材(鋳造品)の作製から後加工まで一貫するという意味で、型作製から検査まですべて自社内で完結させることです。
11.鋳物砂
鋳造品用の鋳型(砂型)を作製するために用いる砂のことです。耐火性・通気性・伸縮性などが良いものを使います。
(3)CT事業
① 検査・測定サービス
産業用CTによる非破壊検査や三次元測定などを提供するサービスです。
当社では、日本ベーカーヒューズ株式会社(旧GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社)製の産業用CT「phoenix v|tome|x c450」(ミリフォーカスCT)、「phoenix nanotom m」(ナノフォーカスCT)及び「phoenix v|tome|x m」(マイクロフォーカスCT)を導入しております。これらの装置は、自動車、航空宇宙、電力等の幅広い分野において品質検査を行う用途に最適化されており、非破壊検査や三次元測定に活かされます。産業用CTによる撮像技術は製品現品の品質検査が求められる分野においては不可欠であり、製造規格やメーカー独自の品質検査レベルをクリアするために有効なものであります。当社の主なサービスは下記のとおりであります。
a. 鋳造品の内部品質評価
鋳巣欠陥(注12)は、様々な要因によって発生します。産業用CTは素材内部の欠陥を簡単に検出することができるため、より質の高い製品開発をサポートできます。
b. 鋳造品中子(注13)形状の寸法測定
産業用CTは、測定困難な内部形状や構造を測定するのに有効であるため、中子ズレ等切断面による評価を必要とするケースでも、フラットパネルによる高速スキャンを利用して、短時間で広範囲の評価を行うことができます。
c. リバースエンジニアリング
産業用CTは品質検査だけではなく、図面のない製品や自然物のデータ化にも活用できます。更に当社では3Dプリンター出力事業の豊富な実績から、3Dプリンター出力用のデータの編集も可能であり、リバースエンジニアリングによるものづくりをサポートすることができます。
d. 素形材の解析
カーボンの素材強度に影響するカーボン繊維の配向の解析サービスを行っております。
e. 放射線照射
産業用CTにて放射線を物体に照射し続けることで、物体がどのように変化、変質していくのかを確認するサービスを行っております。
② 産業用CT販売
日本ベーカーヒューズ株式会社(旧GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社)製の産業用CT及び関連サービスの販売を行っております。
(注)12.鋳巣欠陥
鋳巣欠陥とは、鋳造品の内部に空洞が発生するという不良のことです。
13.中子
中空の鋳造品を作製する際に、中空となる部分に入れる鋳型のことです。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E32770] S100L02E)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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