有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100DGNP
三井住友建設株式会社 研究開発活動 (2018年3月期)
当社グループでは、技術の信頼、受注の拡大、利益の向上を目指して、顧客ニーズに応える技術開発をタイムリーに推進することを技術開発の基本方針とし、技術本部、土木本部、建築本部、事業開発推進本部を中心として、技術開発を積極的に進めてきました。
当連結会計年度の技術開発に要した費用の総額は、2,067百万円です。なお、当該費用については、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しています。
当連結会計年度における主な技術開発成果は次のとおりです。
(1)腐食劣化と決別した超高耐久床版「Dura-Slab」を開発
コンクリート橋を対象に、耐久性を向上させて維持管理費用を低減すること、および鋼材腐食によるコンクリート片はく落などによる第三者被害を防止することを目指し、2010年より非鉄製材料(アラミドFRPロッド)を用いた超高耐久橋梁「Dura-Bridge (Durable Bridge)」の共同研究を、西日本高速道路株式会社と進めています。本共同研究のこれまでの成果を応用し、鉄筋やPC鋼材などの鋼部材を一切用いない超高耐久床版「Dura-Slab」を開発しました。様々な構造検討や実物大モデルの輪荷重走行実験を行い、実橋へ適用するのに十分な強度と疲労耐久性を有することを確認しています。今後、急速に拡大することが見込まれる高速道路橋などの大規模更新等工事において、高い耐久性が望まれる箇所への本床版構造の適用を検討していきます。
(2)独自のプレキャストコンクリート工法「スクライム工法」の海外展開を開始
国内で主に超高層集合住宅の急速施工法として展開し、多くの実績を重ねてきたプレキャスト(PCa)工法「スクライム工法」を、海外の大規模プロジェクト向けに再構築し、マレーシアでの石油精製・石油化学プラント建設プロジェクトのパイプラック工事において初めて適用しました。本プロジェクトの敷地は、電気・水道・物流網が未整備であり、主要資材は100km以上離れた都市から陸送し、従来の現場打ちコンクリートによる施工は現地に専用プラントを新設して供給する必要がありました。そこで、現場打ちコンクリートが無く、さらに高所作業車での施工による完全無足場工法を可能にする「スクライム工法」を採用することで、約3倍の施工生産性向上による労務費などの削減をはかり、従来工法とのコスト差を生じさせることなく高効率化を実現しました。海外特有の様々な制約条件(地理的制約、施工技能者のレベル、文化の違いなど)のあるコンクリート構造物の建設においても、短工期・高品質・経済性や施工性などのニーズに幅広く対応していきます。
(3)品質・高速施工・省力化を実現する「スクライム-サット工法」を開発
ホテルや住宅などの建築物において、仕上げ工事をユニット化して工場で製造し、プレキャスト(PCa)部材と同様に現場に搬入・設置する「スクライム-サット工法」を、株式会社サトコウと共同で開発しました。本工法は、当社のPCa工法「スクライム、スクライム-H工法」と、サトコウの現場で組み立てるだけの鉄骨造内外装仕上げユニット「SSUT(サット)工法」を組み合わせた工法で、躯体構築から内外装仕上げまでを1フロア最短4日で施工することも可能な新たな建築生産方式です。本工法によって、今後人手不足が予想される現場での省力化が図れ、高所での作業が少なくなり安全性を高めることができます。加えてほぼ全ての部材が工場生産のため、工期短縮だけでなく建築廃棄物の大幅削減や品質を向上させることができます。
(4)計測作業・管理の省人化を実現する「SMC-Oneナビ」を開発・適用
スマートフォンと自動追尾機能付き測量機器を用いて、橋梁の建設現場で行う計測とその管理業務を大幅に省人化する「SMC-Oneナビ」を開発し、実用化しました。自社開発したスマートフォンの専用アプリで測量機器を自動制御することで、複数人で行っていた計測作業から調書作成までを職員一人で簡単に行うことが可能になりました。また、システム一連の作業を全てデジタルデータで管理するため、計測値の読み違いや記録ミスなどのヒューマンエラーを確実に防止して品質の向上にも寄与します。
(5)プレキャスト壁高欄「eQ-Wall」の開発と実橋での初適用
今後本格化する高速道路などの大規模インフラ更新事業や橋梁の新設工事における工期短縮や施工の合理化を図ることを目的に、部材接合部に「Trunc-head(※1)」を用いて無収縮モルタルで定着させる、新しい構造のプレキャスト(PCa)壁高欄「eQ-Wall」を開発し、実橋に初適用しました。従来のPCa壁高欄に比べて設置作業が簡単で、現場打ちとなるブロック間の接合部を最小化しているため、一層の急速施工・省力化が可能です。高速道路などの大規模インフラ更新事業で適用することによって、交通規制期間の短縮を図り、社会の経済損失の軽減に貢献します。
※1 端部を鍛造により円錐台形状に加工した機械式定着鉄筋(意匠登録番号1551641)
(6)橋梁建設の生産性向上を図るプラットフォーム「SMC-Bridge」を開発・適用
橋梁建設における3Dモデルをベースとする設計から施工にいたる様々なデータと、管理を効率化する各種ICTシステムを連携させ、プラットフォーム上で一元的な管理・運用を行うトータルシステム「SMC-Bridge」を開発しました。全ての関係者間で情報の共有が可能で、各種管理書類を自動作成するなど、ICTを活用した業務の効率化により生産性向上に大きく寄与するシステムです。現在、岩手県久慈市の国道45号夏井高架橋工事での適用を開始しています。「SMC-Bridge」に格納された各種データは、今後、構造物の維持管理にまで利用することを視野に入れており、国が推進する「i-Construction」を橋梁に展開した「i-Bridge」構想の実現を目指していきます。
(7)持続可能性に貢献する高性能コンクリート「サスティンクリート」を開発
下記の5つの特徴を有する、これまでにない新しいコンクリート「サスティンクリート」を東京大学、東京理科大学との共同で開発しました。「サスティンクリート」は、以下の5つの特徴を有するファイブスターのコンクリートです。
☆超低収縮:ひび割れの原因となる、乾燥収縮と自己収縮がほぼゼロである
☆超低発熱:硬化時の発熱が極めて小さく、大型構造物の品質と生産性が向上する
☆超低炭素:ポルトランドセメントを使用しない条件でも製造が可能であり、CO2排出量を大幅に削減できる
☆高流動 :流動性が高いため、充填不良による不具合の防止や、工事の省力化(生産性の向上)、新しい建築デザインに貢献できる
☆高強度 :高強度コンクリート(ゼロセメントで70~150N/mm2以上)であり、高層の構造物も建設可能である
今後は、建築・土木分野における幅広い適用を推進し、コンクリート構造物の超高耐久性を追及することで、社会の持続可能性に大きく貢献することを目指していきます。
当連結会計年度の技術開発に要した費用の総額は、2,067百万円です。なお、当該費用については、セグメントに共通する費用を区分することが困難であるため、総額のみを記載しています。
当連結会計年度における主な技術開発成果は次のとおりです。
(1)腐食劣化と決別した超高耐久床版「Dura-Slab」を開発
コンクリート橋を対象に、耐久性を向上させて維持管理費用を低減すること、および鋼材腐食によるコンクリート片はく落などによる第三者被害を防止することを目指し、2010年より非鉄製材料(アラミドFRPロッド)を用いた超高耐久橋梁「Dura-Bridge (Durable Bridge)」の共同研究を、西日本高速道路株式会社と進めています。本共同研究のこれまでの成果を応用し、鉄筋やPC鋼材などの鋼部材を一切用いない超高耐久床版「Dura-Slab」を開発しました。様々な構造検討や実物大モデルの輪荷重走行実験を行い、実橋へ適用するのに十分な強度と疲労耐久性を有することを確認しています。今後、急速に拡大することが見込まれる高速道路橋などの大規模更新等工事において、高い耐久性が望まれる箇所への本床版構造の適用を検討していきます。
(2)独自のプレキャストコンクリート工法「スクライム工法」の海外展開を開始
国内で主に超高層集合住宅の急速施工法として展開し、多くの実績を重ねてきたプレキャスト(PCa)工法「スクライム工法」を、海外の大規模プロジェクト向けに再構築し、マレーシアでの石油精製・石油化学プラント建設プロジェクトのパイプラック工事において初めて適用しました。本プロジェクトの敷地は、電気・水道・物流網が未整備であり、主要資材は100km以上離れた都市から陸送し、従来の現場打ちコンクリートによる施工は現地に専用プラントを新設して供給する必要がありました。そこで、現場打ちコンクリートが無く、さらに高所作業車での施工による完全無足場工法を可能にする「スクライム工法」を採用することで、約3倍の施工生産性向上による労務費などの削減をはかり、従来工法とのコスト差を生じさせることなく高効率化を実現しました。海外特有の様々な制約条件(地理的制約、施工技能者のレベル、文化の違いなど)のあるコンクリート構造物の建設においても、短工期・高品質・経済性や施工性などのニーズに幅広く対応していきます。
(3)品質・高速施工・省力化を実現する「スクライム-サット工法」を開発
ホテルや住宅などの建築物において、仕上げ工事をユニット化して工場で製造し、プレキャスト(PCa)部材と同様に現場に搬入・設置する「スクライム-サット工法」を、株式会社サトコウと共同で開発しました。本工法は、当社のPCa工法「スクライム、スクライム-H工法」と、サトコウの現場で組み立てるだけの鉄骨造内外装仕上げユニット「SSUT(サット)工法」を組み合わせた工法で、躯体構築から内外装仕上げまでを1フロア最短4日で施工することも可能な新たな建築生産方式です。本工法によって、今後人手不足が予想される現場での省力化が図れ、高所での作業が少なくなり安全性を高めることができます。加えてほぼ全ての部材が工場生産のため、工期短縮だけでなく建築廃棄物の大幅削減や品質を向上させることができます。
(4)計測作業・管理の省人化を実現する「SMC-Oneナビ」を開発・適用
スマートフォンと自動追尾機能付き測量機器を用いて、橋梁の建設現場で行う計測とその管理業務を大幅に省人化する「SMC-Oneナビ」を開発し、実用化しました。自社開発したスマートフォンの専用アプリで測量機器を自動制御することで、複数人で行っていた計測作業から調書作成までを職員一人で簡単に行うことが可能になりました。また、システム一連の作業を全てデジタルデータで管理するため、計測値の読み違いや記録ミスなどのヒューマンエラーを確実に防止して品質の向上にも寄与します。
(5)プレキャスト壁高欄「eQ-Wall」の開発と実橋での初適用
今後本格化する高速道路などの大規模インフラ更新事業や橋梁の新設工事における工期短縮や施工の合理化を図ることを目的に、部材接合部に「Trunc-head(※1)」を用いて無収縮モルタルで定着させる、新しい構造のプレキャスト(PCa)壁高欄「eQ-Wall」を開発し、実橋に初適用しました。従来のPCa壁高欄に比べて設置作業が簡単で、現場打ちとなるブロック間の接合部を最小化しているため、一層の急速施工・省力化が可能です。高速道路などの大規模インフラ更新事業で適用することによって、交通規制期間の短縮を図り、社会の経済損失の軽減に貢献します。
※1 端部を鍛造により円錐台形状に加工した機械式定着鉄筋(意匠登録番号1551641)
(6)橋梁建設の生産性向上を図るプラットフォーム「SMC-Bridge」を開発・適用
橋梁建設における3Dモデルをベースとする設計から施工にいたる様々なデータと、管理を効率化する各種ICTシステムを連携させ、プラットフォーム上で一元的な管理・運用を行うトータルシステム「SMC-Bridge」を開発しました。全ての関係者間で情報の共有が可能で、各種管理書類を自動作成するなど、ICTを活用した業務の効率化により生産性向上に大きく寄与するシステムです。現在、岩手県久慈市の国道45号夏井高架橋工事での適用を開始しています。「SMC-Bridge」に格納された各種データは、今後、構造物の維持管理にまで利用することを視野に入れており、国が推進する「i-Construction」を橋梁に展開した「i-Bridge」構想の実現を目指していきます。
(7)持続可能性に貢献する高性能コンクリート「サスティンクリート」を開発
下記の5つの特徴を有する、これまでにない新しいコンクリート「サスティンクリート」を東京大学、東京理科大学との共同で開発しました。「サスティンクリート」は、以下の5つの特徴を有するファイブスターのコンクリートです。
☆超低収縮:ひび割れの原因となる、乾燥収縮と自己収縮がほぼゼロである
☆超低発熱:硬化時の発熱が極めて小さく、大型構造物の品質と生産性が向上する
☆超低炭素:ポルトランドセメントを使用しない条件でも製造が可能であり、CO2排出量を大幅に削減できる
☆高流動 :流動性が高いため、充填不良による不具合の防止や、工事の省力化(生産性の向上)、新しい建築デザインに貢献できる
☆高強度 :高強度コンクリート(ゼロセメントで70~150N/mm2以上)であり、高層の構造物も建設可能である
今後は、建築・土木分野における幅広い適用を推進し、コンクリート構造物の超高耐久性を追及することで、社会の持続可能性に大きく貢献することを目指していきます。
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このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00085] S100DGNP)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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