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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100CLWF

有価証券報告書抜粋 株式会社クラレ 研究開発活動 (2017年12月期)


事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


当社グループにおける研究開発活動は、私たちの使命「私たちは、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与します。」に基づいて、社内カンパニー・事業部・連結子会社に所属するディビジョン研究開発とコーポレート研究開発との緊密な連携の下に推進されています。
コーポレート研究開発は、以下3点を通じて、クラレグループ全体の業容拡大・収益向上に資することを目指しています。
① 新事業の創出:素材事業を主に、あるいはそれらに加工技術を付加した部材事業をターゲットとし、早期創出を目指します。2018年度より開始した中期経営計画「PROUD 2020」の進行中に、部材事業の事業化を推進するとともに、当社における部材事業の立ち上げにおいて、何が必要かを見極めます。
② 既存事業の強化・拡大:コーポレート機能の抜本的見直しのもと、カンパニー、グループ会社との協働・支援を強化し、全社事業の盤石化を図るとともに、新事業開発を促進します。
③ 基盤技術の保有:新事業の創出及び既存事業の強化・拡大を通じて、必要とする基盤技術を構築し、深化・深耕を図ります。
研究開発の体制として、従来は基礎段階のものを「研究開発本部」、事業化に近いものを「新事業開発本部」が担っていましたが、2017年1月に「研究開発本部」に統合・一本化しました。研究開発本部内には、くらしき研究センター、つくば研究センター及びクラレリサーチ&テクニカルセンター(KRTC:米国)、機能製品開発部、成形部材事業推進部、電材事業推進部を擁しています。なお、2018年1月より、クラレリサーチ&テクニカルセンター(KRTC)は「KAI Corporate R&D」に、電材事業推進部は「ベクスター事業推進部」に名称変更しています。生産技術に関しては、技術開発センターにおいて「原理原則と現場感覚の最適融合」による生産技術開発を推進しています。ディビジョン研究開発は、社内カンパニー・事業部・連結子会社が各事業所に研究開発部署を有しています。コーポレート研究開発とディビジョン研究開発を合わせた当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発人員数は934人です。
当連結会計年度のセグメントごとの研究開発費は、ビニルアセテート6,414百万円、イソプレン1,685百万円、機能材料2,989百万円、繊維1,676百万円、トレーディング142百万円、その他1,107百万円、全社共通(コーポレート研究開発)6,945百万円、合計20,961百万円になります。

セグメントごと及びコーポレートの研究開発活動を示すと次のとおりです。
[ビニルアセテート]
・ポバール樹脂、ポバールフィルム、PVBフィルム、樹脂の酢酸ビニルチェーンについては、世界のリーディングカンパニーとして、国内外の研究開発部署が連携し、新規用途開発、新商品開発、新規生産技術開発も併せて、研究開発活動を推進しています。
・ポバール樹脂は当社ビニルアセテートチェーンの根幹に位置する事業として日米欧亜の6工場を中心としたグローバルネットワークを強みとして市場開発を推進しています。自消、外販両面で安定かつ高い品質の原料供給を基本とし、クラレ発の新規技術を積極投入すると共に技術サービスネットワークの強化により付加価値の高いビジネス機会を提案します。
・ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ向け光学フィルムのトップメーカーとして市場を牽引すべく、さらなる高性能化、高品質化に顧客と一体となって取り組んでいます。また、洗剤包装用途を中心にますます拡大する水溶性フィルムについてもポバール樹脂メーカーである強味を活かし原料まで遡った高性能化・多機能化を加速させます。
・PVBフィルムは、自動車用途・建築用途の高付加価値品の開発を進めています。その一環として、アイオノマーシートを活用した更なる高付加価値化やPVBフィルムとのシナジー効果の発現、新規用途開発を推進しています。
・エバール樹脂を中心とするバリア材料は、日米欧の3拠点で世界各地のニーズを把握しながら、開発を推進しています。既存のエバール樹脂銘柄に加え、スーパーバリア銘柄AP、二次加工性改良銘柄SPなどの差別化エバール樹脂銘柄、さらにフィルムを、特に省エネルギー・地球環境保全に貢献する用途へ積極的に展開していきます。また、バイオマス由来のガスバリア材についても既存バリア材料事業とのシナジー効果を早期に発現させます。
[イソプレン]
・エラストマー関連では、熱可塑性エラストマー及び液状ゴムの差別化、高付加価値化に取り組んでいます。植物由来原料のファルネセンを用いた液状ゴムは、高機能タイヤの改質剤として国内外のタイヤメーカーへ採用が広がっています。ファルネセンを用いた熱可塑性エラストマーの開発も進めており更なる差別化製品の開発と市場拡大に向けて研究開発、マーケティング活動を推進しています。
・イソプレンケミカル関連では、独自性の高いC4ケミストリーをさらに進化させた化学品として、香料、溶剤や特殊インキ関連の材料開発並びに精密有機合成技術を基盤にした新規材料など機能性化学品の創出に取り組んでいます。
・耐熱性ポリアミド樹脂では、自動車樹脂部品の複合化に伴い普及しつつあるレーザー溶着に対応したレーザー透過グレードを開発し、自動車の冷却部品への販売拡大が進んでいます。また、新規に開発したハロゲンフリー難燃銘柄は幅広い厚みで難燃性を確保でき、電気電子部品用途の市場拡大が進んでいます。

[機能材料]
・メタクリル樹脂については、差別化ポリマーの拡充とメタアクリル系樹脂を活用した新規用途開発、新商品開発を主体に研究開発活動を行っています。
・メディカル事業では、クラレノリタケデンタル株式会社の無機/有機の技術の融合による新規歯科材料の開発に注力し、CAD/CAM用ジルコニア、高強度レジン等のデジタル化の流れにも対応した開発、商品化を行っています。また、人工骨インプラントに吸収性骨再生用材料を加え、配向連通孔技術を特長に、多面的な展開を進めています。
・人工皮革については、環境対応型革新プロセス(CATS)による特長を生かした新商品開発により、販売拡大が進んでいます。
・炭素材料では、「環境・エネルギー」分野をメインターゲットに、活性炭や炭素材料を用いた新規用途開発に取り組んでいます。
[繊維]
・PVA繊維については、パイロットプラントにおいて革新プロセス(VIP)によるゴム補強用フィラメントの技術確立を達成し、量産プラントの建設を進めています。既に国内外の顧客に販売を開始しており、現在は、本プロセスを用いた新しい繊維の開発も進めています。FRC(セメント補強材)は、アスベスト不使用製品が本格化する中南米など新興国を中心に拡販に努めています。
・高強力繊維は、高強度、低吸水性や耐切創性の特長が求められる高採算の中細繊度品が国内外で伸長し、収益を確保しました。
・不織布については、メルトブローン技術とスパンレース技術を融合した高付加価値不織布をコスメ用途やマスクとして国内外で展開し、販売拡大が進んでいます。また、食品用途については製造環境の衛生管理をすすめ、東南アジアを始め国内外での拡販に努めています。
・難燃繊維(ポリエーテルイミド繊維)は、耐熱性、低発煙性や分散染料可染等の特長を生かして、航空機用内装材に採用されました。高温熱可塑性の特長を生かし、炭素繊維補強熱可塑性コンポジットとして、新たな用途開拓を進め、航空機用資材や電気自動車用部材としても可能性が広がっています。
[トレーディング]
・ポリエステル長繊維では、①熱水に溶解し、生分解性をも有する特殊水溶性樹脂を用いた水溶性繊維、②要求性能に応じた多様な断面構造で高い帯電防止性能を持つ導電性繊維、③高白度でありながら透け防止性能に優れる など、環境に優しい、高機能性をキーワードにした独自素材の開発に注力しています。
[その他]
・アクア事業推進本部では、中空糸ろ過膜を用いた様々な水の製造・回収、ポリビニルアルコール(PVA)ゲルを用いた産業排水の処理・回収、海洋生態系保全のための海水処理などを通して、「高品質で安全な水の提供」と「環境負荷の低減」に貢献する素材・装置・プラント・技術開発に取り組んでいます。
・クラレプラスチックス株式会社では、当社の研究・開発部門と連携し、家電・電子部品、自動車部品、建材、生活用品、メディカル、スポーツ用品等用途でのスチレン系エラストマーを使用した機能性コンパウンド、同コンパウンドをベースとしたフィルム・シートや不織布等の二次製品、エバールフィルムに特殊コーティング加工をした新規フィルム、成型加工技術を利用したスマートハウス向け断熱換気ダクトや、機能性コンパウンドと高強力繊維 を使用し土木用途を中心に展開を図る繊維複合ホース等の開発を推進しています。
[コーポレート研究開発]
・コーポレート研究開発のミッションである①新事業の創出 ②既存事業の強化 ③基盤技術の構築・深耕の達成に向けて、改革を進めています。また、当社事業の急速なグローバル化に対応し、グループ海外拠点との連携を強化しています。2016年度からの2年間は「酢ビ系高分子研究所」と「構造・物性研究所」が中心となり、当社の一番の強みであるビニルアセテート事業に的を絞り、M&Aによって拡大した全世界の拠点を巡りテーマ・課題を集め技術面でバックアップし、一つひとつの課題を解決してきました。同じ取り組みをイソプレン事業や炭素材料事業にも展開していきます。
・リチウムイオン二次電池(LiB)の研究開発・市場開発に関し、植物を原料とし当社独自炭素構造由来の低吸湿、耐酸化性を備えたハードカーボンは、黒鉛同等の体積容量を発現する当社ハードカーボン特有の性質を利用した使用方法を市場に提案、さらに、より高容量、高出力の特性を発揮する新しい炭素材の技術開発進めています。加えて、当社ポリマー技術より低抵抗、高接着性を特徴とする水系バインダー、高接着性を特徴とする溶剤系バインダーの開発を進め、急速に市場進出が進むハイブリッド車や電気自動車などの車載用市場向けの電池部材の開発を一層加速していきます。
・酢酸ビニルチェーンの更なる事業拡大を図るべく、これまで培ったコア技術に加え、内外から新たな技術を取り込み、優れた機能を有する酢ビ系新素材の開発を進めています。酢ビ系高分子の基本構造を精密に制御する技術や安価に機能化する技術を獲得し、顧客ニーズに合致した素材を早期に提案できる開発体制を構築することで、世界のリーディングカンパニーとして確固たる地位を確立します。

・新規アクリル系の特殊フィルムの開発において、アクリルの透明性を生かしながら、新たな機能を付与させた製品の用途開拓を推進しています。展示会においては、多くの顧客からサンプル供給の要求を受けるなど、注目を集めています。光学や加飾分野での採用が見込まれ、市場展開を加速していきます。
・高周波回路基板用途の液晶ポリマーフィルムは、車載用ミリ波レーダーや5Gアンテナなど高周波による高速伝送の需要が高まる中、フレキシブルプリント配線基板として高周波領域での伝送損失が低く、加工性に優れる点が評価され数量が拡大しました。この流れは今後も加速することが予想され、積極的に事業拡大を進めていきます。
・半導体用研磨パッド(CMPパッド)は、人工皮革で培ったポリウレタンの設計及び製造技術を駆使し、従来に無い高硬度ポリウレタンを原料にしています。当社CMPパッドの特長は、高硬度なため研磨するデバイスを平坦にする能力が優れること、高硬度でありながら研磨傷が少ないこと、耐磨耗性が優れるため長時間使えること、などで、複数の顧客・複数プロセスで実証されています。また、顧客の要望に応じて適正な硬度を選定・提案し、プロセスに合ったパッドの選択が可能な環境を整えています。今後、国内に留まらず、海外への展開も視野に入れており、顧客の先端プロセスと既存プロセスの両方に対応できる事業環境を整えていく予定です。
・微細パターン設計・加工技術を用いた微細パターン付きフィルムを開発し、アミューズメント用途や次世代自動車ディスプレイ用途等での市場開拓活動を進めています。バーチャルリアリティ(VR)分野では、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)用途でマイクロレンズアレイフィルムが採用され、徐々に需要拡大が見込まれています。一方、拡張現実(AR)を取り入れたヘッドアップディスプレイ(HUD)用途での評価が車載用部材供給メーカー各社で進み、2019年度からの採用を既に決めている自動車メーカーも現れつつあります。これら二大用途を足掛かりに新規用途創出と市場拡大を目指し、新しいニーズに合った商品開発を更に加速しています。
・光学設計技術及び金型設計技術を活かしたPMMA製導光板をエッジライト方式のLED照明用途へ展開しています。高い照度、配光特性のコントロール及び異方出射特性を有するLED照明用導光板の開発に成功し、省エネ化、薄型化、軽量化された照明器具への採用実績が出てきています。特に、大手医療照明メーカーとの全国展開、オフィスビル分野での大手ゼネコンとの共同開発が進み、今後の拡大が期待されます。一方、更なる市場拡大を促進する為に、拡散板を必要としないノングレア(眩しさを抑制)タイプの新規導光板の開発に成功し、大手照明メーカーでの採用に向けて共同開発を進めています。
・微細加工成形技術を用いて開発した三次元細胞培養プレートの市場評価が進み、がんの創薬スクリーニング用途及び再生医療細胞培養用途での採用実績が徐々に出てきています。創薬スクリーニング用途においては、研究委託機関(CRO)と連携して実験事例データの構築に努め、大手製薬メーカーでの採用事例が徐々に拡大しています。一方、再生医療用途では、産学官で進めてきたプロジェクトに大きな進捗が有り、膵島細胞、肝臓細胞や心筋細胞分野で治験に向けた臨床研究が2018年度から実施される計画です。また、主戦場である米国展開に関しては、大手メディカル商社やメーカーとの提携を通してのローカル化を加速しつつあります。

事業等のリスク財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


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