有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100DALX
小野薬品工業株式会社 研究開発活動 (2018年3月期)
当社グループは、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、これまで克服されていない病気や、いまだ患者さんの治療満足度が低く、医療ニーズの高い疾患領域に挑戦し、独創的かつ画期的な医薬品の創製に向けて努力を積み重ねています。
現在、開発パイプラインには、オプジーボなどの抗体医薬品を含む抗がん剤およびそのサポーティブケアの領域の新薬候補化合物をはじめ、慢性心不全やパーキンソン病の治療薬候補などがあり、早期の上市に向けて開発を進めています。なかでも、がん治療およびそのサポーティブケアの領域はアンメット・メディカル・ニーズが高いことから、重要な戦略分野と位置づけ、がん患者さんの包括的薬物治療への貢献を目指します。
創薬研究においては、当社独自の「化合物オリエント」という創薬手法を基盤として、医療ニーズの高いがんや免疫疾患、中枢神経疾患を重点研究領域に定めて経営資源を集中的に投入しています。さらにオープンイノベーションによって、国内外の世界最先端技術を取り入れることで、医療現場に革新をもたらす医薬品の創製を目指しています。また、ライセンス活動による有望な化合物の導入にも努め、研究開発活動の一層の強化に取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発活動の主な成果(前連結会計年度末以後、本年4月下旬までのものを含む)は、以下のとおりです。
[開発品の主な進捗状況]
・昨年4月、抗KIR1)抗体「ONO-4483/BMS-986015」は、固形がんを対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
・昨年4月、「オプジーボ」は、「胆道がん」を対象に、厚生労働省が定める「先駆け審査指定制度」の対象品目として指定を受けました。
・昨年5月、「カイプロリス」は、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・昨年5月、「オプジーボ」は、敗血症を対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を開始しました。
・昨年6月、Btk2)阻害薬「ONO-4059/チラブルチニブ」は、中枢神経系原発リンパ腫を対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を開始しました。
・昨年6月、「オプジーボ」は、多発性骨髄腫を対象としたフェーズⅡ試験を開始しました。
・昨年6月、「オレンシア皮下注」は、多発性筋炎・皮膚筋炎を対象としたフェーズⅢ試験を開始しました。
・昨年8月、ペプチドワクチン「ONO-7268MX1」および「ONO-7268MX2」は、肝細胞がんを対象としたフェーズⅠ試験を実施しておりましたが、戦略上の理由により開発を中止しました。
・昨年8月、レボドパプロドラッグ「ONO-2160/CD」は、パーキンソン病を対象としたフェーズⅠ試験を実施しておりましたが、期待していた有効性を確認できなかったことから開発を中止しました。
・昨年9月、「オプジーボ」は、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・昨年9月、NSAID3)結合ヒアルロン酸「ONO-5704/SI-613」は、腱・靭帯付着部症を対象としたフェーズⅡ試験を開始しました。
・昨年9月、「オプジーボ」は、「ヤーボイ」との併用療法について、「根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認申請を行いました。
・昨年10月、「オプジーボ」は、肝細胞がんを対象としたマルチキナーゼ阻害剤「レンビマ」との併用によるフェーズⅠb試験をエーザイ株式会社とともに開始しました。
・昨年10月、抗LAG-34)抗体「ONO-4482」は、「オプジーボ」との併用による悪性黒色腫を対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を開始しました。
・昨年11月、「オノアクト」は、敗血症に伴う頻脈性不整脈を対象としたフェーズⅡ/Ⅲ試験を開始しました。
・昨年12月、「オプジーボ」は、「悪性黒色腫術後補助療法」に対する製造販売承認事項一部変更承認申請を行いました。
・昨年12月、「オプジーボ」は、「切除不能な進行又は転移性の悪性胸膜中皮腫」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認申請を行いました。
・昨年12月、「オプジーボ」について、単剤投与の用法・用量に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を行いました。
・昨年12月、Btk2)阻害薬「ONO-4059/チラブルチニブ」は、健康成人を対象としたフェーズⅠ試験を開始しました。
・昨年12月、BRAF阻害薬「ONO-7702/エンコラフェニブ」およびMEK阻害薬「ONO-7703/ビニメチニブ」は、大腸がんを対象としたフェーズⅢ試験を開始しました。
・本年1月、「オプジーボ」は、「ヤーボイ」との併用療法について、「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認申請を行いました。
・本年2月、膀胱平滑筋弛緩作用を有する「ONO-8577」は、過活動膀胱を対象としたフェーズⅡ試験を実施しておりましたが、期待していた有効性が確認できなかったことから開発を中止しました。
・本年2月、「オレンシア点滴静注用」は、「多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・本年3月、抗TIM-35)抗体「ONO-7807/BMS-986258」は、固形がんを対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を開始しました。
・本年3月、「オプジーボ」は、大腸がんを対象としたフェーズⅡ/Ⅲ試験を開始しました。
・本年4月、BRAF阻害薬「ONO-7702/エンコラフェニブ」およびMEK阻害薬「ONO-7703/ビニメチニブ」は、「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果とした製造販売承認申請を行いました。
・本年4月、チロシン水酸化酵素阻害薬「ONO-5371/メチロシン」は、「褐色細胞腫のカテコールアミン分泌過剰状態の改善並びにそれに伴う諸症状の改善」を効能・効果とした製造販売承認申請を行いました。
・昨年4月、ギリアド・サイエンシズ社は、Btk2)阻害薬「ONO-4059/チラブルチニブ」について、米国でシェーグレン症候群を対象としたフェーズⅡ試験を開始しました。
・昨年4月、「オプジーボ」は、台湾において「血管新生抑制の治療歴を有する進行期腎細胞がん」を効能・効果とした輸入販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・昨年4月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、「オプジーボ」について、欧州で「プラチナ製剤による治療中又は治療後に病勢進行した頭頸部扁平上皮がん」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・昨年5月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、「オプジーボ」について、欧米で食道がんを対象とした「ヤーボイ」との併用によるフェーズⅢ試験を開始しました。
・昨年6月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、「オプジーボ」について、欧州で「プラチナ製剤を含む前治療に不応であった局所進行の切除不能又は転移性尿路上皮がん」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・昨年8月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、「オプジーボ」について、米国で「フルオロピリミジン、オキサリプラチン及びイリノテカンによる治療後に病勢進行したMSI-H6)又はdMMR7)の転移性大腸がん」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・昨年8月、「オプジーボ」は、台湾において「プラチナ製剤による治療歴を有する再発又は転移性頭頸部扁平上皮がん」を効能・効果とした輸入販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・昨年8月、「オプジーボ」は、韓国において「治療歴を有する進行期腎細胞がん」、「自家造血幹細胞移植及び移植後のブレンツキシマブベドチンによる治療後の再発又は進行した古典的ホジキンリンパ腫」、「プラチナ製剤による治療中又は治療後に病勢進行した再発又は転移性頭頸部扁平上皮がん」、「プラチナ製剤を含む化学療法による治療中又は治療後に病勢進行した、又はプラチナ製剤を含む化学療法による術前又は術後補助療法から12カ月以内に病勢進行した、局所進行又は転移性尿路上皮がん」および「イピリムマブ併用による切除不能又は転移性の悪性黒色腫」を効能・効果とした輸入販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・昨年9月、「オプジーボ」は、韓国において「切除不能又は転移性の悪性黒色腫」を効能・効果とした輸入販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・昨年9月、「オプジーボ」は、台湾において「プラチナ製剤による治療歴を有する進行性の非扁平上皮非小細胞肺がん」を効能・効果とした輸入販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・昨年9月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、「オプジーボ」について、米国で「ソラフェニブによる治療歴を有する肝細胞がん」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・昨年10月、「オプジーボ」は、台湾において「再発又は進行した古典的ホジキンリンパ腫」、「局所進行の切除不能又は転移性尿路上皮がん」および「切除不能又は転移性の悪性黒色腫」を効能・効果とした輸入販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・昨年10月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、「オプジーボ」について、欧州で「根治切除後の高リスク進行期悪性黒色腫」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認申請が受理されたことを発表しました。
・昨年11月、「オプジーボ」は、台湾において「再発または転移性頭頸部扁平上皮がん」を効能・効果とした輸入販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・昨年11月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、「オプジーボ」と「ヤーボイ」の併用療法について、欧州で「中及び高リスクの進行腎細胞がん」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認申請が受理されたことを発表しました。
・昨年12月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、「オプジーボ」について、米国で「根治切除後のリンパ節転移を伴う又は転移性悪性黒色腫」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・昨年12月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、「オプジーボ」について、欧米で、前立腺がんを対象としたフェーズⅡ試験を開始しました。
・本年1月、「オプジーボ」は、台湾において「2レジメン以上の化学療法後の進行又は再発の胃がん又は食道胃接合部がん」を効能・効果とした輸入販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・本年2月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、「オプジーボ」について、欧州で、大腸がんを対象としたフェーズⅡ/Ⅲ試験を開始しました。
・本年2月、Trk8)阻害薬「ONO-4474」は、変形性関節症を対象としたフェーズⅡ試験を実施しておりましたが、戦略上の理由により開発を中止しました。
・本年3月、「オプジーボ」は、台湾において、「ソラフェニブによる治療歴を有する肝細胞がん」を効能・効果とした輸入販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・本年3月、「オプジーボ」は、韓国において「2レジメン以上の化学療法後の進行又は再発の胃腺がん又は食道胃接合部腺がん」を効能・効果とした輸入販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・本年3月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、「オプジーボ」と「ヤーボイ」の併用療法について、米国で「治療歴を有するMSI-HまたはdMMRの転移性大腸がん」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認申請が優先審査の対象として受理されたことを発表しました。
・本年4月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、「オプジーボ」と「ヤーボイ」の併用療法について、米国で「未治療の中及び高リスクの進行腎細胞がん」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。
・本年4月、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、「オプジーボ」について、米国で「2種類以上の前治療後に病勢進行した小細胞肺がん」を効能・効果とした製造販売承認事項一部変更承認申請が優先審査の対象として受理されたことを発表しました。
1) Killer cell immunoglobulin-like receptor
2) Bruton's tyrosine kinase
3) Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drug
4) lymphocyte activation gene 3
5) T cell immunoglobulin and mucin domain-3
6) Microsatellite instability-high
7) Mismatch repair deficient
8) Tropomyosin receptor kinase
[創薬/研究提携活動の状況]
・昨年11月、スイスのニュリミュン社と、神経変性疾患領域における新規創薬標的に対する抗体医薬品の創製を目的とした創薬提携契約を締結しました。
・昨年12月、カナダのサイクルニウム社と、同社独自の次世代中分子創薬技術を活用した創薬を目的とした提携契約を締結しました。
・昨年12月、米国のシュレーディンガー社と、同社独自のコンピューター創薬技術を駆使した創薬を目的とした提携契約を締結しました。
・本年3月、オランダのメラス社と、自己免疫疾患領域で当社が選定した創薬標的に対する二重特異性抗体の創製を目的とした創薬提携契約を締結しました。
[ライセンス/開発提携活動の状況]
・昨年5月、米国のアレイ社と、同社が開発中のMEK阻害剤「ONO-7703/ビニメチニブ」およびBRAF阻害剤「ONO-7702/エンコラフェニブ」について、日本および韓国で開発・商業化するライセンス契約を締結しました。
・昨年9月、生化学工業株式会社と、同社が開発中の変形性関節症治療剤「SI-613」の日本における共同開発および販売提携に関する契約を締結しました。
・昨年9月、エーザイ株式会社と、「オプジーボ」と同社のマルチキナーゼ阻害剤「レンビマ」との肝細胞がんに対する併用療法に関する開発提携契約を締結しました。
・昨年10月、米国のカリオファーム社と、同社が開発中の経口XPO1阻害剤「Selinexor」および第二世代の経口 XPO1阻害剤「KPT-8602」について、すべてのがん腫を対象に、日本、韓国、台湾、香港およびASEAN諸国で独占的に開発・商業化するライセンス契約を締結しました。
・昨年12月、ブリストル・マイヤーズスクイブ社と、当社が開発中のプロスタグランディンE2(PGE2)受容体の一つであるEP4受容体の選択的拮抗剤「ONO-4578」について、日本、韓国、台湾、中国およびASEAN諸国を除く全世界で開発・商業化するライセンス契約を締結しました。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、69,106百万円であります。
なお、当社グループの事業は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
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