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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100DIHQ

有価証券報告書抜粋 富士フイルムホールディングス株式会社 研究開発活動 (2018年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、写真感光材料やドキュメント等の事業で培った材料化学、光学、解析、画像等の幅広い基盤技術のもと、機能性材料、ファインケミカル、エレクトロニクス、メカトロニクス、生産プロセス等の技術領域で多様なコア技術を有しています。現在、さまざまな分野でビジネスを展開している当社グループでは、これらの基盤技術とコア技術を融合した商品設計によって、重点事業分野への研究開発を進める一方、将来を担う新規事業の創出も進めています。2018年3月には、富士フイルム㈱において、「バイオサイエンス&テクノロジー開発センター」と「精密プロセス技術センター」を設立しました。生産プロセス技術の応用展開の強化によるバイオ医療の研究開発の加速、革新的なモノづくり基盤技術や新規事業創出を支える生産プロセス技術の開発を目指します。
富士フイルム㈱は、2018年3月に、細胞培養に必要な培地のリーディングカンパニーであるISUSおよびISJの発行済全株式を取得する株式売買契約を締結し、2018年6月に買収手続きを完了しました。今後、写真フィルムで培った高度な化学合成力・設計力、富士フイルムグループの細胞の作製・培養技術などを活かして、培地事業のさらなる成長を図り、なおかつ培地事業以外でもシナジーを最大化させていきます。
また、富士フイルム㈱は、写真フィルムで培った粒子形成技術やナノフォトニクス技術などを活かし、非標識・無染色で組織の代謝物を大面積で高精度に分析できるSERSイメージング技術を開発し、2018年4月に研究成果を発表しました。本技術を応用した慶應義塾大学との共同研究において、マウス生体切片中のがん組織の分布を、自動的に可視化することに世界で初めて成功しており、これはがんの自動病理診断に繋がる画期的な成果です。
当社グループでは、これまで開発してきた優れた材料・製品を支える基盤技術やコア技術、開発中の新しい技術・材料・製品を直接触れていただきながら、ビジネスパートナーにソリューションを提案する施設「Open Innovation Hub」を日・米・欧3拠点で展開しています。「Open Innovation Hub」では、ビジネスパートナーが持つ課題やアイデア、潜在的なニーズと自社の技術を結びつけ、画期的な新しい製品・技術・サービスを生み出す「共創」活動が日々活発に行なわれており、花王㈱との共同研究により非反応型染毛染料「レインボー染料」の開発に成功するなど、「共創」活動が新しい技術へ結実しています。
このように、富士フイルム㈱、富士ゼロックス㈱及び富山化学工業㈱等のグループシナジーを強化するとともに、他社とのアライアンス、M&A及び産官学との連携を強力に推進し、新たな成長軌道を確立していきます。
当連結会計年度における研究開発費の総額は166,331百万円(前年度比3.8%増)、売上高比6.8%となりました。各セグメントに配賦していない汎用性の高い上記基盤技術の強化、新規事業創出のための基礎研究費は25,267百万円です。
当連結会計年度の主な研究開発の成果は次のとおりであります。
(1)イメージング ソリューション部門
フォトイメージング事業では、新開発した当社独自の4色インク「ViViDiA D-photo」や1200×1200dpiの高解像度を実現するインクジェットヘッド、専用インクジェットペーパー、画像処理技術「Image Intelligence™」の組み合わせにより、4色インクながら従来のコンパクトタイプのインクジェットプリンターを凌駕する高画質を実現した小型インクジェットプリンター「Frontier DE100」を発売しました。
光学・電子映像事業では、新開発の高剛性・高耐久ボディ、究極の高画質、快適な操作性を実現したミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-H1」と、「Xシリーズ」用交換レンズとして高い光学性能を実現したシネマレンズ2本を発売し、静止画のみならず動画撮影にも最適なミラーレスデジタルカメラのラインアップを拡大しました。「FUJIFILM X-H1」は、新開発の高剛性・高耐久ボディに、ボディ内5軸・最大5.5段手ブレ補正機能を「Xシリーズ」で初めて搭載しており、また不安定な光源下でも安定した露出を実現する「フリッカー低減撮影機能」も搭載しています。さらに、多彩な色調を実現する「フィルムシミュレーション」には当社映画用フィルムの色・階調を再現した「ETERNA(エテルナ)」モードを新たに備えました。「Xシリーズ」用交換レンズである「フジノンレンズ MKX18-55mmT2.9」と「フジノンレンズ MKX50-135mmT2.9」は、約1kgの軽量設計ながら、世界中の映画制作などで採用されている「FUJINON シネレンズ」の高い描写力を実現しています。4K対応放送用レンズでは、コンパクトボディながら、広角7.8mmから187mmの焦点距離をカバーする24倍高倍率ズームを備え、高い機動力と運用性を発揮するポータブルズームレンズ「FUJINON UA24×7.8BERD」を発売しました。
本部門の研究開発費は、8,994百万円となりました。

(2)ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門
メディカルシステム事業では、特性の異なる2種類のX線検出部を積層した「デュアル構造」のデジタルX線画像診断装置「FUJIFILM DR CALNEO Dual」を新たに開発しました。「CALNEO Dual」は、一度のX線照射で、高精細な一般X線画像に加え骨密度測定用の骨強調画像を同時に取得できるため、撮影時間の短縮と被検者の身体的負荷軽減に貢献し、また一般X線画像の撮影とDXA法による骨密度測定が1台でできるため、省スペース化にも貢献します。さらに、当社のX線動画技術と、X線動画全体のコントラストを最適化する画像処理技術「Dynamic Visualization2」で構成されるX線動画処理エンジン「Dynamic Core Engine」を搭載した、外科用Cアーム型デジタル透視システム「COREVISION 3D」を新たに開発しました。「COREVISION 3D」は、2D動画だけでなく、術中に対象部位を180°相当スキャンして3D画像を描出することで、医師の正確な手技をサポートします。内視鏡分野では、臓器の粘膜表層の微細な血管や、粘膜の微細な構造などを強調して表示する機能「BLI」や、画像の赤色領域のわずかな色の違いを強調して表示する機能「LCI」などの画像強調機能により、微小な病変の発見をサポートするLED光源搭載内視鏡システム「6000システム」を発売しました。そして「6000システム」にも装着可能なキセノン光源搭載の内視鏡システム「Advancia(アドバンシア)」用スコープのラインアップとして、スコープ先端の軟性部に弾発性が高い素材を採用した「高追従挿入部」を搭載した十二指腸用処置スコープ「ED-580T」も発売しました。
医薬品事業では、米国において進行性の固形がんを対象とする抗がん剤「FF-10832」の臨床第Ⅰ相試験を開始しました。「FF-10832」は、高度なナノ分散技術や解析技術、プロセス技術などを活かして、既存の水溶性薬剤である抗がん剤「ゲムシタビン」をリポソームに内包したリポソーム製剤です。リポソームとは、体内で必要な量の薬剤を必要な部位に必要なタイミングで送達する技術であるドラッグ・デリバリー・システム技術の一種で、薬剤をリポソーム製剤にすることで、がん組織に薬剤を選択的に送達し、副作用を抑制して薬効を高めることができると期待されています。さらに、抗がん剤「FF-10101」では、米国において、再発・難治性の急性骨髄性白血病の患者を対象とした臨床第Ⅰ相試験を開始しました。「FF-10101」は、富士フイルム㈱が写真フィルムなどで培った、化合物の高い合成力、設計力を活かして自社で創製したFLT3阻害剤で、FLT3に含まれるアミノ酸と不可逆的に結合してその働きを阻害し、白血病細胞の異常増殖を抑制します。細胞実験では、「FF-10101」が、他のFLT3阻害剤に耐性を示すTKD変異が発現している白血病細胞の増殖に対し強力な阻害作用を示しており、さらに白血病の患者細胞を用いたマウス実験でも高い効果を発揮していることから、ヒトでの有効性が期待されています。また、富山化学工業㈱は、横浜市立大学、産業技術総合研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所との共同研究により、富山化学工業㈱が創製した化合物「edonerpic maleate」が脳損傷後の機能回復のメカニズムである脳の可塑性を向上させることを明らかにし、脳損傷後の「edonerpic maleate」投与で、リハビリテーションによる運動機能回復効果が改善することをモデルで示すことに成功しました。富山化学工業㈱は承認取得に向けて脳卒中後の回復期リハビリテーションを行っている患者を対象とした治験を実施します。
再生医療事業では、武田薬品工業㈱に対して、iPS細胞由来心筋細胞を用いた再生医療製品の全世界での共同事業化に関する優先交渉権を付与する契約を締結しました。今後、複数のiPS細胞由来心筋細胞の薬効・安全性評価、実用化に向けたプロセス開発などについて共同研究を実施します。また、富士フイルム㈱の子会社であるセルトラスト・アニマル・セラピューティクス㈱では、犬の眼疾患である難治性の乾性角結膜炎を対象に細胞を用いた治療法の有効性を確認しました。本治療法は、動物医療分野では初めて、人の再生医療と同等の品質管理基準に基づき培養された他家細胞を用いる画期的なものです。
ライフサイエンス事業では、「ASTALIFT」のプレステージシリーズ「ASTALIFT IN-FOCUS」を新たに展開し、総合エイジングケア美容液「アスタリフト イン・フォーカス セルアクティブセラム」を発売しました。「アスタリフト イン・フォーカス セルアクティブセラム」は、「アスタキサンチン」と「ニコチン酸トコフェロール」を組み合わせて独自技術でナノ分散した美容成分「ナノアスタキサンチンCP+」のほかに、「ナノボスウェリン酸」を含む成分「ナノセルアクティブ」を配合しています。また、美容成分を含んだオイルを微細な粒子にして高密度に配合する処方技術「イオンセンシング技術」を開発し、肌に載せると、肌と一体化するように溶けて浸透します。さらに、近年の動物の健康に対する関心の高まりを受け、馬の腸内環境を整える作用を持つサプリメント「ピュア サラシア」を発売しました。馬に本製品を継続摂取させた結果、馬の腸内で善玉菌に分類される乳酸菌の比率が顕著に増加することが明らかになり、また、エネルギー吸収を向上させる腸内細菌の比率が増加する一方、エネルギー吸収の低下を招く腸内細菌の比率が減少することも分かっています。
産業機材事業では、ひび割れ点検業務を大幅に効率化する社会インフラ画像診断サービス「ひびみっけ」の提供を開始しました。「ひびみっけ」は、富士フイルム㈱が医療用画像診断システムで培った高精度な画像解析技術を用いて開発したサービスで、AIを活用した画像解析などにより、人手による従来の点検業務に比べて作業時間を半減することができます。
ファインケミカル事業では、原料を連続的に供給し混合・反応させる化学合成法である「フロー合成法」を活用した新たな化成品の製造受託サービスを開始しました。富士フイルムが持つ、合成処方設計から高精度な反応制御、生産プロセス開発を一貫して行える多様な技術と、富士フイルム和光純薬㈱が保有する生産設備を組み合わせて、多品種少量生産から大量生産まで対応可能な受託体制を構築しており、化成品の高純度化ニーズに応えます。
記録メディア事業では、「バリウムフェライト(BaFe)磁性体」を世界で初めて採用した大容量磁気テープの開発に携わった7名が、第7回ものづくり日本大賞「内閣総理大臣賞」(製品・技術開発部門)を受賞しました。「ものづくり日本大賞」は、ものづくりの現場で活躍し新たな付加価値を提供できる人材を顕彰する内閣総理大臣表彰であり、「活用が進むビッグデータを安全・安価・長期に保管したい」という社会のニーズに応えたこと、また、磁気テープの今後のさらなる大容量化の道を拓いた点が高く評価されました。
本部門の研究開発費は、69,737百万円となりました。

当社グループにおける新薬開発状況は以下のとおりです。(2018年6月現在)
開発番号薬効・適応症剤形地域開発段階
T-705抗インフルエンザウィルス薬経口米国PhⅢ
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)治療薬経口日本PhⅢ
T-3811キノロン系合成抗菌薬経口中国承認申請中
T-2307抗真菌薬注射米国PhⅠ
T-817MAアルツハイマー型認知症治療薬経口米国
日本
PhⅡ
PhⅡ
T-4288新規フルオロケトライド系抗菌薬経口日本PhⅢ
ITK-1去勢抵抗性前立腺がん治療薬注射日本PhⅢ
FF-10501骨髄異形成症候群治療薬経口日本
米国
PhⅠ
PhⅡ
FF-10502進行・再発固形がん治療薬注射米国PhⅡ
FF-21101進行・再発固形がん治療薬(Armed抗体)注射米国PhⅠ
F-1311前立腺がん診断薬(放射性医薬品)注射日本PhⅡ
FF-10101急性骨髄性白血病治療薬経口米国PhⅠ
F-1515神経内分泌腫瘍治療薬(放射性医薬品)注射日本PhⅠ
FF-10832進行性固形がん治療薬(ゲムシタビンリポソーム)注射米国PhⅠ
F-1614難治性褐色細胞腫治療薬(放射性医薬品)注射日本PhⅡ

(3)ドキュメント ソリューション部門
ドキュメント事業領域では多様な働き方をサポートする商品・サービスを提供しており、クラウドサービス「Working Folder」と連携するなどモバイルワーク向け機能を強化したドキュメントハンドリング・ソフトウェアの新バージョン「DocuWorks 9」の発売を開始しました。DocuWorksシリーズは国内販売累計500万ライセンスを突破し有効なツールとして認知されています。また小規模企業向けには「直観的でシンプルな操作」「モバイル・クラウド連携」機能を強化し多様な働き方を支援するフルカラー複合機「DocuCentre C2000」を発売しました。その他、セブン-イレブン店舗の「マルチコピー機」で、ユーザー情報の登録無しで「ネットプリント」が利用可能なサービスを開始しました。
カラープロダクション市場向けには、業界初1パス6色のプリントエンジンで複数の特殊色を一度に印刷可能な「IridesseTM Production Press」を発売開始し、新たなデジタルプリンティング市場を創出していきます。また「Xerox iGen 5 150 Press」のオプショントナーとしてホワイトトナーを発売、濃色用紙や透明紙への印刷を可能とし訴求効果の高い印刷アプリケーションで印刷業のお客様のビジネス拡大に貢献していきます。
また複写技術を進化させた独自のアルゴリズムにより工業製品など物体表面に偶然生成された固有のランダムパターンを識別する「Yoctrace®」技術を開発しました。特に印刷業で有価証券の偽造防止などの目的に本技術をセキュリティー媒体として活用し、高い真贋判定や認証サービスの実現に向けて支援します。
さらに知的財産交流を通して、自社の特許を開放し新たな事業創出を支援する特許ライセンスビジネスを本格展開しました。この第1号案件として、自己修復性能を有する樹脂材料の特許技術に関する契約を神奈川県内の企業と締結しました。
2018年3月には、社会課題である働き方改革の実現に向けて、より創造的な働き方への変革を促す新たな価値提供戦略「Smart Work Innovation」を発表しました。この戦略実現に向けてAI(人工知能)およびIoT(Internet of Things)・IoH(Internet of Humans)技術を活用した新たなサービスを順次提供します。
本部門の研究開発費は、62,333百万円となりました。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00988] S100DIHQ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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