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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100DBQ3

有価証券報告書抜粋 ハリマ化成グループ株式会社 研究開発活動 (2018年3月期)


経営上の重要な契約等メニュー株式の総数等

当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産する唯一のメーカーとして、原料基盤を強化する中で再生可能なバイオマス原料の機能を追求し、さらに創業以来培ってきた高分子合成・評価、乳化・分散などの界面制御、接着・接合などコア技術の融合により先進的な研究開発を進めています。
主力のパインケミカル関連事業は海外市場展開を見据えた製品開発に注力しました。その基本コンセプトは「グローバル展開」、「ロジンの可能性の追求」です。その観点で、海外安全基準認証品、顧客の新たな機能付加につながる等の商品開発に注力してきました。
その結果、樹脂、製紙薬品、電子材料いずれの事業分野においても大きな足掛かりを得ることができました。引き続いて同コンセプトに基づいた商品開発に注力するとともに、開発した商品の市場導入を強力に進めていきます。またグローバル展開という観点では、ローターをはじめとした海外グループ会社との一層の緊密化を図り、国内開発品の海外への導入や新規開発テーマでの連携が進展しました。
新規分野に関しては機能性コート剤をはじめとする物質の表面、界面を科学し新しいテーマ創出を進めていきます。同時に大学等の社外研究機関との連携を活発化させ、強い要素技術の開発を進め、2~5年後をターゲットとする中期テーマの拡充を進めてまいります。
当連結会計年度の研究開発費は、24億6千4百万円、特許の登録件数は国内12件、海外が24件、国内の出願件数は19件でした。

(1)樹脂化成品
当事業においては、印刷インキ用樹脂、塗料用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム用乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム141万トン、塗料165万トン、印刷インキ35万トン、粘接着剤95万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下、当社は、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。
塗料用樹脂においては、合成樹脂調合ペイント用にホルムアルデヒド放散量を低減した弱溶剤可溶型樹脂の開発を進め、新製品として販売を開始しました。印刷インキにおいては、縮小傾向が続く平版インキ用の樹脂を、当社独自の原料であるトール油製品を利用した新製品に切り替えを進めました。また、インキの中でも市場が拡大している紫外線硬化型インキ向けにも同様の原料を使用した新製品の開発を進め、顧客での評価が進んでいます。加えて、リキッドインキ市場にロジン樹脂を投入するべく開発を進めています。粘接着剤用樹脂に関しては、粘着力を向上させた水系粘着付与剤樹脂の新製品開発を進めており、製造プロセスの改良にも着手しています。ゴム用の添加剤については、乳化重合時に使用するロジンの高機能化、後添して分散性や接着性、ポリマーの相溶化などに機能を発揮するロジン誘導体の開発を推進しており、顧客評価が進んでいます。
海外においては世界的なUV印刷化の流れに対応した樹脂の開発に取り組み始め、ローター社、海外開発拠点との協業により世界市場に投入できる製品の開発を進めています。また、水系粘着付与剤樹脂についてもグローバルでのシェアを拡大するために、樹脂とプロセス両面からの開発をローター社と進めています。
また、機能性樹脂分野では、光学フィルム用のハードコート剤など可視光の透過率に影響なく機能を付与することができる製品の量産化を進めるとともに、培った技術で光学フィルム以外の機能性フィルムへの新製品開発に着手し、一部量産化しました。また、耐擦傷性、防汚性機能を発現するコート剤を開発し、プロテクションフィルム用に販売を開始するとともに新規用途での顧客評価が進んでいます。
我々はアジア圏でトップのトールロジンメーカーとして、ロジンの機能を様々な用途に展開する開発をスタートしています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は5億9千1百万円でありました。

(2)製紙用薬品
当事業においては、水性樹脂の合成をコア技術として、紙の吸水性を制御して水性インクのにじみを防止するサイズ剤、紙の強度を高める紙力増強剤、紙の表面に塗ることで防滑性や撥水性および耐水性を付与する塗工剤といった、製紙工程で使用される機能性薬剤に関する開発を行っています。
日本国内における2017年の紙・板紙の内需量は前年比0.3%減の2,662万トン、2018年は同0.9%減の2,638万トンと予測され、8年連続のマイナス成長となる見込みです。しかし、段ボールに使用される板紙では、2018年の内需量が前年比0.8%増の1,200万トンと予測されており、3年連続のプラス成長が見込まれています。国内の製紙会社は、省資源化(省エネ・省人・省原材料など)、工場の統廃合、紙・板紙の価格修正による収益改善と共に、海外事業、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった成長分野への事業展開を進めています。
このような環境の中、国内では、板紙の中性化や軽量化(商品力向上による販売数量確保)に対応できるサイズ剤を開発し、販売を開始しました。とくにロジン系サイズ剤と硫酸バンドによるサイジングシステムの基礎研究を基に開発したロジン系エマルションサイズ剤“CESシリーズ”と新規添加法“Co-mingle®”は、従来品に対して大幅な機能向上が検証され、大手製紙会社での評価が進みつつあります。また、新たに販売を開始した、製紙工程での操業性や生産性を改善する工程薬剤(ピッチコントロール剤)“ASシリーズ”も、パルプ化や抄紙といった製紙工程での効果が確認でき、顧客評価が進んでいます。さらに、FDA(米国食品医薬品局)の認証を得たアニオン性ロジンエマルションサイズ剤“NeuRoz®シリーズ”は、BfR(ドイツ)やGB9685(中国)といった紙製食品包装用材料に対する安全規制要件をも満たし、これら認証品としての取り扱いが可能となりました。FDA認証品であるポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤“ハーマイドKSシリーズ”と併せて、紙・板紙の国際的な物流環境に対応できる商品開発を進めています。
海外においては、北南米、中国、東南アジア地域における製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の年間生産量が世界第一位(1億1129万トン/2016年)の中国では、杭州杭化哈利瑪化工有限公司(浙江省)における研究開発を強化しています。今夏稼働を目指し、山東省での新工場建設も進んでおり、紙力増強剤を軸とした中期的な需要増に対応していきます。また紙・板紙の年産量が世界第二位(7,212万トン/2016年)の米国では、プラズミン・テクノロジー,Inc.において、FDA認証品である“NeuRoz®シリーズ”や“ハーマイドKSシリーズ”の販売活動を強化しています。また、ピッチコントロール剤についても顧客評価が進んでおり、北米でも高い評価を得ています。
海外の製紙会社では、顧客からの要求項目が国内と異なっており、適合する技術開発や法規制への対応を進めることで製紙用薬品のラインナップを充実し、個別顧客の要求に応えています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は6億6千7百万円でありました。

(3)電子材料
当事業においては、主として自動車、電子機器に搭載される電子制御装置用のはんだ材料、及び自動車用熱交換器の製造に用いるろう付け材料を展開しており、「クリーン&ハイリライアビリティ」をコンセプトに、環境配慮と高性能の両立を目指した電子材料製品の開発に注力しております。
主な事業対象分野である自動車産業は、「電気自動車」、「自動運転」、「カーシェアリング」、「コネクテッド」といったキーワードで表現される大変革期にまさに突入しようとしております。このような技術革新を実現するためには、これまで以上に自動車に小型高性能化な電子制御装置を搭載する必要性が高まり、結果として、高信頼性に加えて微細性や高耐久性といった特長がはんだ接合技術に求められています。
こうした背景のもと、当事業では大手自動車部品メーカーと共同で開発した次世代対応の微細接合用鉛フリーソルダペーストの販売量が順調に伸びております。今後はグローバル拠点での採用も加速され、販売量のさらなる増加を見込んでおります。また、電動化、低燃費化を達成するための新型電子制御装置には、接合部に大きな応力負荷がかかるため耐久性の高いはんだ材料が求められております。当社ではこの要求に応えるために高耐久性鉛フリーソルダペーストを新たに開発し、現在、様々なお客様においてご評価を実施いただいている状況です。
もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上も堅調に推移しています。低燃費化を目的とした自動車の軽量化では熱交換器も小型化が進んでおり、このような技術動向に対応するため、微細なろう付けを可能とする熱分解性に優れたろう付け材製品を拡充しております。また、最近ではルームエアコンも冷暖房機能の高性能化を追求するために部材を従来の銅からアルミニウムへ変更する動きが見られます。そこで、当社では自動車分野で培ったろう付け材料技術を民生分野へ展開することを視野に入れて開発活動を進めております。
また、銅の粉末を熱硬化性の樹脂を主成分とするビヒクルと混合した当社の銅ペーストは、銅粉末の酸化膜制御により、高い導電性を実現しています。この銅ペーストは、プリント配線板の表裏の電気配線を電気的に接続する用途で、自動車用の基板やパソコン周辺機器、家電等の電子基板に広く使用されています。今後の電子基板の小型化に対応するため、微細な配線の接続にも対応可能な材料開発も進めており、更なる市場拡大を狙っています。これまで銀ペーストが使用されてきた電子部品の電極用途においても、高い導電性を有する当社の銅ペーストの展開を目指しております。
電子機器の省エネを実現するため、より高効率な半導体モジュールが求められており、半導体素子の材料が従来のシリコンから炭化ケイ素へと変化すると考えられています。新しい半導体素子材料である炭化ケイ素は、シリコンより高温での動作が想定されており、これまで半導体素子を基板に接合していたはんだでは対応が困難となります。そのため、高耐熱性の半導体接合材料が求められています。当社の焼結性接合材料は、金属のナノ粒子が持つ低温焼結性を活用し、接合は低温で行い、接合終了後は金属単体と同等の高い耐熱性を有する材料です。また、当社独自の密着性付与成分の添加により、様々な基材への高い密着性を実現しております。
当セグメントに係る研究開発費の金額は6億6千4百万円でありました。

(4)ローター
当事業においては、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。
出版インキ市場は、デジタル化の進展により世界的に市場規模が縮小していますが、欧州においては、当社が出資するスウェーデンのサンパイン社で製造されたトールロジンを活用し、安定した品質で価格面でも優位性を持たせた樹脂の開発を推進しています。
一方、包装インキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されています。特に、持続可能な社会の創造を標榜する末端顧客からは、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤にも天然由来成分を原料とした製品を使用したいとの要望が高くなってきています。このような顧客からの要求に応えるべく、当社では、独自のロジン変性技術と水分散技術によって、高性能でかつ環境にやさしい包装インキ用樹脂の開発を進めています。また、伸長が著しい紫外線硬化型または電子線硬化型のインキ市場では、ロジンの特性を活かして密着性、流動性、印刷適性等の付加価値を付与し、低エネルギーかつ短時間で硬化可能で、揮発性有機化合物(VOC)を含有しないインキ用樹脂の開発に取り組んでおります。
粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とする汎用紙ラベル用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への拡大を目指しています。
さらに、イノベーション部門の開発チームでは、既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から今後市場伸長が見込める新規事業の開発を推し進めるため、研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。
当セグメントに係る研究開発費の金額は5億4千1百万円であります。

経営上の重要な契約等株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01020] S100DBQ3)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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