有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100CO25
TOYO TIRE株式会社 研究開発活動 (2017年12月期)
事業等のリスクメニュー財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの研究開発活動は、2017年から2020年に向けて新中期経営計画「中計'17」に沿って進めております。
技術統括部門方針として、『技術革新と差別化技術により、顧客に「感動や驚き」のある商品を提供する』を掲げ、顧客感動に繋がる技術をスピーディーに具現化すべく取り組んでおります。
基盤技術センターでは、事業部門と連携し、事業の成長戦略に繋がるテーマの選択と集中による研究資源の有効活用と開発のスピードアップをはかり、開発領域をモビリティー分野に定め、未来のニーズとそれに合致する新技術・新商品を確立、提供すべく先端的研究や基盤技術力の強化を行ってきました。これまで、中央研究所とタイヤ事業部門が連携し、空気充填を不要としながらもタイヤの基本性能を担保するという新しい概念をテーマとして、エアレスタイヤの研究に取り組んできたことにより、コンセプトタイヤとして「noair(ノアイア)」を開発いたしました。引き続き、実用化を展望した研究と技術開発の進化に取り組んでおります。
また、「スピード感あふれる研究所」へ変革のため、技術人材育成計画を改訂いたしました。中堅・若手のスキル向上を目的として、研究開発に重要な資質「論理的思考・技術専門性・伝える力」や「技術シーズ先行型から顧客ニーズ思考型へ」を備えた人材を育成すべく教育を展開しております。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は109億43百万円であります。うち、基盤技術センターで行っている各事業部門に配分できない基礎研究の費用は10億73百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。
(1)タイヤ事業
国内市販用タイヤにおいては、NITTOブランドタイヤとして、ハイエンドカー向けのUHP(ウルトラ・ハイ・パフォ-マンス)タイヤ「NT555 G2(エヌティーゴウゴウゴウジーツー)」と優れた低燃費性能を持つSUV(多目的スポーツ車)用タイヤ「NT421Q(エヌティーヨンニイイチキュー)」の新商品2種を発売いたしました。「NT555 G2」は操縦安定性や優れたドライグリップ性能を継承し、UHPタイヤでありながら転がり抵抗性能とウェットグリップ性能を高い次元で両立した低燃費性能を備えております。また、「NT421Q」はウェットグリップ性能と転がり抵抗性能を高次元で両立するとともに、ユニークでスタイリッシュな非対称トレッドパターンを採用し、街乗りでも快適な静粛性と乗り心地を実現しております。TOYOブランドタイヤとして、SUV用タイヤの新商品「OPEN COUNTRY A/T plus(オープンカントリーエーティープラス)」とUHPタイヤの当社グローバル・フラッグシップブランド「PROXES(プロクセス)」シリーズより、プレミアムスポーツタイヤ「PROXES Sport(スポーツ)」を発売いたしました。「OPEN COUNTRY A/T plus」は、オフロード走行における優れたトラクション性能を有しつつ、オンロード走行時での静粛性を確保した「All Terrain(A/T:オール・テレイン、全天候型)タイプ」のタイヤであります。リブパターン基調を採用することで、国際基準ECE R117-2(国連欧州経済委員会(UN/ECE)がタイヤ騒音の低減対策として策定した国際基準)をクリアした高い静粛性とトラクション性能も高い次元で両立させております。新配合のトレッドコンパウンドによってウェットグリップ及び転がり抵抗性能の低減とロングライフを実現し、高剛性構造を採用することで高速操縦安定性を向上させております。また、「PROXES Sport」は、国内タイヤラベリング制度におけるウェットグリップ性能において、最高グレードの「a」を満たしたプレミアムスポーツタイヤであります。「Nano Balance Technology(ナノバランステクノロジー)」によって実用化した新配合ゴムを採用し、転がり抵抗性能と高いレベルでのウェットグリップ性能という相反する性能の両立を実現いたしました。さらに、タイヤの路面接地面積にかかる圧力(接地圧)を解析し、その圧力を均一に分散することによって、ウェットブレーキ性能を向上、また、ドライ操縦安定性やウェット操縦安定性能、ウェットグリップ性能、乗り心地、摩耗ライフ、転がり抵抗性能など、8つの性能をそれぞれ向上し、高い次元でバランスさせております。また、ハイト系SUV・ミニバン車両用スタッドレスタイヤ「Winter TRANPATH TX(ウィンタートランパスティーエックス)」を発売いたしました。「NEO吸着ナノゲルゴム」「3Dダブルウェーブグリップサイプ」「鬼クルミ」などの採用により、アイスブレーキ性能を向上、「高剛性・スーパーハイターンアップ構造」「トリプルトレッド構造」の採用により、コーナリングやレーンチェンジ時のふらつきを極小化し、アイス性能がさらに進化いたしました。
海外市販用タイヤにおいては、ピックアップトラック/SUV/CUV用タイヤ「PROXES S/TⅢ(エスティースリー)」を全米で発売いたしました。アグレッシブでスポーティーな方向性パターンを採用し、パターン中央部の先鋭な矢じりデザイン(Arrowhead Taper)は操縦安定性を確保し、稲妻模様の縦溝(Lightning Grooves)がウェットパフォーマンスの向上に寄与し、ウェットグリップ性能が従来品(「PROXES S/TⅡ(エスティーツー)」)比で向上するなど、デザイン性と走行性能の両立を高い次元で実現しております。
トラック・バス用タイヤ新商品に関し、日本市場において、低燃費タイヤブランド「NANOENERGY(ナノエナジー)」シリーズのトラック・バス用タイヤのスタッドレス新商品「NANOENERGY M966(エムキュウロクロク)」を発売いたしました。環境意識が高まる中、装着されるタイヤにもより高い燃費性能や摩耗性能が求められております。「NANOENERGY M966」は、独自のトラック・バス用タイヤ基盤技術「e-balance(イーバランス)」と材料設計基盤技術「Nano Balance Technology」を駆使し、低燃費・低メンテナンス型を追及したトラック・バス用スタッドレスタイヤで、さらなる低燃費化を実現した高付加価値商品であります。
また、定評ある耐摩耗性を維持しながら優れたトラクション性能を高次元で両立したダンプ用ラグタイヤ「M520P(エムゴウニイマルピー)」を発売いたしました。「M520P」は、摩耗末期まで縦溝横溝をできるだけ残すことによりトラクション性を追求し、さらにワイドトレッドと新プロファイルの採用により優れたトラクション性能と摩耗性能の両立を実現いたしました。
また、除雪トラック用スノーラジアルタイヤ「M925(エムキュウニイゴウ)」を発売いたしました。ホイールローダー、グレーダーなど除雪用大型建機では、バイアスタイヤが主流でありますが、高速道路・幹線道路の除雪には高速化が求められるようになり、大型建機に代わり除雪トラックが主流となりつつあります。「M925」は独自のワンウェイパターンの採用により、雪路・凍結路でのトラクション効果及び牽引力のアップとともに横すべり抵抗が増大し、優れた機動性を確保いたしました。
北米市場においては、ヘビーマッド路のオフロード走行性と一般走行性能を両立した深溝ブロックパターン新商品「M588(エムゴウハチハチ)」を発売いたしました。シェールガスオイル掘削の需要に伴い、ヘビーマッドやスノーのオフロード走行における優れたトラクション性能と一般走行性能の両立が求められております。「M588」は、深溝新パターンにより摩耗末期まで溝を残し、優れたトラクション性能を、耐悪路配合採用により優れた耐カット性と摩耗性能を実現し、オフロード走行性と一般走行性能の高次元での両立を実現いたしました。また、独自の新サイドプロテクター採用によりチェーンによるダメージも向上いたしました。
当事業に係る研究開発費は73億9百万円であります。
(2) ダイバーテック事業
自動車用防振ゴム部品については、グローバルでの自動車販売先の多様化に対応すべく、従来の耐熱性を重視した製品に加え、耐寒性、高耐久性を兼ね備えた製品の開発、上市を行っております。また、カーメーカーのコモンモジュール化に対して、最適化検討を行い、多くの部品を受注し、開発を行っております。
先行技術開発においては、高性能化、軽量化を軸に開発を進め、次世代車両への適用を目指しております。
解析技術においては、実車性能と設備評価との相関を求めるなど、解析精度を高めることにより、最適設計(軽量化、コストダウン)に取り組んでおり、高機能部品の受注増と確実な開発を図っております。
トラック・バス用部品については、自動車用防振ゴムの技術を流用し、一部の鋼製部品の樹脂化により、コストダウン、軽量化を図り、競争力向上を目指しております。
シートクッションの分野においては、低燃費化(軽量化)、車室空間の確保(シートの薄肉化)、環境負荷物質の低減化、低コスト化の高いニーズがある中で、お客様との共同開発・評価も精力的に行い、お客様に喜んでいただける材料・製品開発を行っております。
また、乗り心地性能向上の観点でも材料・製品開発を行い、より良い自動車作りの役に立てるよう、提案活動を行っております。
当事業に係る研究開発費は25億60百万円であります。
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