有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100DFS9
株式会社淺沼組 研究開発活動 (2018年3月期)
当社グループは、創業理念である「和の精神」「誠意・熱意・創意」の下、「仕事が仕事を生む」の企業精神に則り、事業活動を通じ誠実なモノづくりに専心し、社会の安全・安心・快適の増進に寄与することを基本理念として、変化する社会やお客様のニーズに対応できる技術開発を、技術研究所を拠点に推進している。
当社では、高度化する建設技術へのニーズに対応し、新たな価値創出を加速するため、前連結会計年度から3ヵ年をかけて、技術研究所の施設および設備を一新し、研究開発機能を強化している。当連結会計年度では、全社員の教育研修を担う施設として、改修した既存研究棟の活用も開始した。さらに、既設の水平垂直2軸振動台試験機に代えて3軸同時永久磁石振動台システムを導入するとともに、200kN油圧式疲労試験機、卓上電子顕微鏡などを新たに購入し、試験や調査能力の強化をはかった。本年3月から実地型技術研修にも利用できる多目的実験スペースおよび倉庫をもつ増築棟の建設を開始し、次期連結会計年度中の完成を目指している。
研究開発活動としては、免震および制震技術などの高品質・高性能な構造物を実現する技術、ストック活用・再生技術、環境技術および施工改善・生産性向上に資する技術の研究開発と商品化に注力している。さらに、研究開発活動の幅を広げ、効率を高めるため、大学、同業他社および異業種企業との共同研究を積極的に行っている。
当連結会計年度における研究開発費の総額は2億2千9百万円である。
当連結会計年度の主要な研究開発活動は以下のとおりである。なお、子会社においては研究開発活動は特段行われていない。
(建築及び土木)
[高品質・高性能な構造物の実現技術]
(1) 免震および制震技術の高度化
建築物の免震および制震技術について、設計技術の高度化と当該技術による合理化を目指して大学と共同研究を進めている。当連結会計年度では、物流施設、集合住宅などを対象とした免震構造における設計・施工の合理化方法の研究開発を進めた。その結果、物流施設などの杭頭免震構造を対象とした淺沼式杭頭接合部定着工法を開発し、実物件に適用して合理化をはかることができた。さらに、免震建物において地盤条件に適した杭基礎の選定が可能となる淺沼式免震杭基礎最適化手法を開発した。(2) 鉄筋コンクリート造壁のひび割れ誘発目地工法「CCB―NAC工法」の展開
当社では、鉄筋コンクリート造壁に不可避な乾燥収縮によるひび割れを、壁に設けた目地内で確実に誘発させ、高品質な壁を築造する「CCB工法」、この技術を発展させた「CCB―NAC工法」を開発してきた。前連結会計年度に一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得したことで、当連結会計年度では実物件への適用を本格化させ、16物件に採用された。(3) 低炭素型環境配慮コンクリートの開発
コンクリートの主原料であるセメントはその製造時にCO2を大量に排出し、鉄筋コンクリート造建物を施工する際に排出するCO2総量の半分近くを占め、温暖化対策の面で課題となっていた。当社では、セメントの一部に代えて製鉄所の副産物である高炉スラグ微粉末を混和材料として使用して、CO2の排出量を削減した環境配慮型コンクリートの開発をすすめている。今後、技術性能証明を取得し、利用拡大をはかることを目指している。[ストック活用・再生に関する技術]
(4) 収縮低減型の中・高流動コンクリート「スムースフィルクリート」の展開
耐震補強工事などに用いる低コストで製造方法も簡便な収縮低減型の中・高流動コンクリート「スムースフィルクリート」を開発し、前連結会計年度に一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得したことで、当連結会計年度では実物件への適用を本格化させ、耐震改修工事など2物件に採用された。[施工改善・生産性向上に資する技術]
(5) 鉄骨造建物を対象とした合理化技術の開発
近年、建築現場の人手不足にともない、建築着工の比率が増加している鉄骨造を対象とした合理化技術の開発を強化している。当連結会計年度においては、間柱の埋め込み柱脚の省力化工法の実物件への本格的な適用をすすめ、3物件(350箇所)に採用された。(6)タイル剥落防止工法の開発
外壁タイルの落下は、第三者災害を引き起こす可能性があり、特に、大地震時に建物からのタイルの剥落を防止する工法が求められている。当社では、独自の「繊維植え込みシートを用いたタイル剥落防止工法」を既に開発しているが、本工法の適用を拡大するため、前連結会計年度から一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明の取得に向けて実験などの作業をすすめてきた。次期連結会計年度での性能証明取得を目指している。
(7)ICTを用いた品質・生産性向上のための開発
当社での設計・施工におけるBIM(ビルディングインフォメーションモデリング)活用はBIM推進室を中心に、全社的にすすめている。技術研究所ではVR(バーチャルリアリティー)を駆使し、コンピュータ上の仮想空間を利用した技術教育システムの構築およびMR(複合現実)を利用した品質管理システムの可能性の調査研究などをすすめている。
(8)熟練技能維持システムの開発
土木現場で技能労働者に受信機を付けたセンサーを装着させ、個々の作業員の動線をデータ化し、統計解析や映像分析になどにより、熟練技能労働者と未熟練技能労働者の動き方の違いを「見える化」することで、未熟練技能労働者の作業改善につなげるシステムの開発を行っている。
将来的には次世代建設生産の活性化への対応として、IOTを活用した生産管理システムの構築を目指していく。
また、「その他」の事業においては研究開発活動は特段行われていない。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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