有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100H1B7
テクノプロ・ホールディングス株式会社 事業等のリスク (2019年6月期)
当社グループの事業運営、業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。また、必ずしも重要な影響を及ぼすリスク要因に該当しない事項についても、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。当社グループでは、事業の持続的成長のため、現在及び中長期におけるリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であり、当社株式に関する投資判断は、主に以下の記載事項を検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日時点において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的であると判断したものであります。また、当社グループで発生しうるリスク及び投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主なリスクは、これらに限られるものではありません。
A.事業運営及びコンプライアンス上のリスク
(1)技術革新への対応
技術の変化のスピードは現代において加速度的に増しており、技術を核としたグローバル人材サービスを顧客に提供する当社グループは、技術革新に適時適切に対応していく必要があります。このような技術革新に関しては、以下のようなリスクがあり、これらに対応できない場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループが技術変化の方向性を正しく予測・認識できない場合や、たとえできたとしても当社グループの技術者の有する技術スキルの向上が間に合わず、技術が陳腐化するリスク
・新たな技術により研究開発やITシステム開発の工数が大幅に縮減し、技術人材への需要が減少することによって、当社グループに余剰人員が発生するリスク
・新たな技術に対応できる技術者の確保又は育成に、多額の費用が発生するリスク
・HRテックやリモートワーク等の技術の発展により、顧客による直接雇用やフリーランスの技術者に需要を奪われるリスク
一方で、技術革新により顧客の技術人材に対するニーズが高まれば、当社グループへの需要がさらに増える可能性があります。
当社グループでは、技術者の有する能力やスキルの高度化、新たな技術の習得等を支援するために様々な教育研修の機会を整備するとともに、教育研修投資の資本効率の向上に努めています。また、当社グループでは、持続的な成長のために、将来の技術動向を分析し、長期に渡って強い需要が見込まれる技術分野を「戦略技術分野」と定め、その分野の技術を持つ技術者の確保・育成を進めています。
(2)関連法制の動向
当社グループは、労働者派遣法、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(1986年労働省告示第37号)、その他の関連法令の規定に従い、労働者派遣事業を行っており、法令に抵触した場合には、労働者派遣事業の許可の取消、事業停止の処分等を受けるおそれがあります。労働者派遣法その他の関連法令に抵触する行為が当社グループで発生した場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、組織・規程・役職員教育を含めて、厳格な法令遵守体制を構築・運用しています。
また、労働者派遣法をはじめとする関係諸法令は、経済環境・社会環境の変化に伴い、継続的な見直しが行われており、当社グループの業態に著しく不利な改訂が将来的に実施された場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。近年では労働者派遣法以外にも、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の時季指定、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保、高年齢者雇用確保措置等の改訂が実施されており、当社グループでは当該改訂に対応するための諸施策を採っておりますが、今後の更なる改訂によっては、対応のために多額の費用が発生する可能性があります。
一方で、規制の厳格化によって中小派遣事業者が淘汰され、当社グループへの需要がさらに増え、市場シェア拡大につながる可能性があります。
なお、当社グループが許認可を受けている労働者派遣事業及び有料職業紹介事業に関して、事業廃止又は許可取消、事業停止となる事由は労働者派遣法第14条及び職業安定法第32条に定められております。本書提出日現在において、当社グループが認識している限り、当社グループにはこれら事業廃止又は許可取消、事業停止の事由に該当する事実及びその兆候はありません。
(3)顧客の属する業界の景気動向
当社グループは、2019年6月30日時点で国内に19,293人の技術者を擁しており、そのうち88.9%(17,160人)が無期雇用となっております。顧客の属する業界の景気が悪化した場合には、就業時間の短縮化、契約条件の悪化、さらには派遣契約期間中での中途解約等が起こる可能性があります。多くの無期雇用技術者を擁しているが故に、景気下降局面では無期雇用の非稼働技術者の人件費負担が大きくなり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、技術者の付加価値を高めるための教育研修を強化しており、2012年6月期以降、技術者の稼働率は95%超と安定的に推移しています。また、R&Dアウトソーシング分野では多様な業界・顧客と取引することで、特定の業界や特定の顧客の業況に大きく影響を受けない、リスクを分散した事業運営を行っています。なお、当社グループにおける顧客上位10社の売上高占有率は13.3%(当連結会計年度)です。
(4)企業買収(M&A)
当社グループは、中期経営計画に基づく成長戦略の一環として、M&Aや出資、新会社の設立を実行することがあります。M&Aや出資に際しては、対象となる企業について詳細なデューディリジェンスを実施し、リスク回避に努めておりますが、買収後に偶発債務等の発生が判明した場合、当該事業が当初想定した収益計画を達成できない場合、投資先の経営に対して十分なコントロールやモニタリングができず、事業運営に支障をきたすような事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、資本コストを常に意識した事業運営を行っており、投資時における価格交渉や投資後の統合作業(PMI)の手続きにおいて、資本コストを上回る投下資本利益率(ROIC)を重要な経営指標の一つとして位置付け、価値を創造しながらの持続的成長を目指しています。
(5)減損会計の適用
当社グループは、2019年6月30日現在、連結財政状態計算書に合計396億75百万円のれんと無形資産を計上しております。これらは総資産の42.3%を占めており、主要な内訳は、機械、電気・電子領域(146億51百万円)、組込制御、ITインフラ領域(79億69百万円)になります。当社グループでは、国内及び海外において積極的にM&Aを推進している結果、のれんと無形資産は増加傾向にありますが、当社グループの収益性に認識可能な低下がみられる場合、事業環境等の変化によってM&Aにおいて期待された成果が得られないと判断される場合には、のれんや無形資産の減損が生じているか否かについての判断が必要となります。のれんや無形資産に関する減損損失が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、これらのうち、のれんは非償却性資産であります。
また、M&Aや出資にあたり、ダウンサイドリスクの回避を意識しながら、当初の投資額や取得比率を抑えて減損の潜在額を小さくすることや、売主である創業者にインセンティブを与え、当該事業の経営リスクを軽減することを目的として、少数株主にプット・オプションを付与している場合があります。当該事業が当初想定した収益計画から大きく乖離した場合には、オプションの公正価値に変化が生じているか否かの判断が必要になり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、減損リスクを意識することで、M&Aへの取組みに規律を働かせています。M&Aを実行するに際し、投資検討におけるデューディリジェンスの過程から、事業部門やPMI担当者によるチームを組成し、投資後の計画を先行的に策定し、投資後においては各種施策を早期に開始し、当該事業の経営改善やグループ間連携の強化による想定シナジーの早期実現に努めています。
(6)人材の確保
近年、国内における技術者需給は逼迫しており、今後の技術者採用市場の動向によっては、技術者人材の確保が難航するおそれもあり、結果として当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
採用力は当社グループの強みの一つであり、優秀な技術者の獲得は成長の推進力です。当社グループでは、従前の既卒者を中心とした中途採用に加えて、新卒採用の強化を図っています。また、採用チャネルについても、従前のWeb媒体やハローワーク等に加えて、人材紹介事業者の活用や知人紹介等に多角化することで、採用経費の効率化と人材の質の向上等を目指しながら、必要とされる技術者の確保に努めています。これらの取組みの結果、技術者採用数と総在籍技術者数は下表のとおり順調に推移しています。
また、当社グループでは、毎年従業員満足度調査を実施し、その結果を元に処遇改善施策を実施する等、採用競争力の強化と退職率の低減に努めています。
(技術者採用数、総在籍技術者数ともに国内(M&Aによる技術者増加を含む)。また、総在籍技術者数は年度末時点。)
さらに、当社グループは、技術者数の急激な増加と組織の拡大に対応すべく、安定した事業運営に必要な数の管理社員を採用・育成する必要があり、当該人材の確保が難航した場合には、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、技術者の採用には競争力があるものの、管理社員の採用には、逼迫した労働市場において業種を問わない競合との厳しい獲得競争にさらされています。当社グループでは、最新のIT技術の導入や業務フローの見直しによって管理社員の生産性を上げるべく、技術者派遣事業のコアプロセスを強化するプラットフォーム構築を目的としたIT投資を積極化する一方、業務改革プロジェクトを発足し、営業・人事・会計といった当社基幹システムの抜本的な見直しを進め、事務機能の強化を図っています。
(7)労務
当社グループは、技術者に加え管理社員を含めると、20,000人を超える従業員を雇用しており、また毎年多数の従業員を採用しております。このため、労働安全衛生や雇用関係等に関して従業員との間で紛争が発生する可能性もあり、その場合には当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、経営理念の一つとして、「エンジニア一人ひとりに誠実に向き合い、夢の実現をサポートするパートナーです。」を掲げ、採用時の人材品質確保、コンプライアンスを重視した労務管理を含む技術者管理の充実、教育研修体制の強化、従業員満足度向上等の取組みを実践しています。
(8)コンプライアンス
当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。当社グループ役職員により、コンプライアンスを軽視した社会的倫理に反する行為等が行われた場合には、社会や顧客が被る損害への賠償やレピュテーションの悪化等を通じて、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当社代表取締役を委員長とし当社グループの取締役・監査役等で構成するCSR委員会において「統合リスク管理計画」を策定し、重視すべきコンプライアンスリスクの特定とその重点管理を行っています。実務面では、グループ横断のコンプライアンス専任部門の設置、トラブル発生時のエスカレーションルール徹底、内部監査の実施と是正活動、内部通報制度の周知等を通して、重大なコンプライアンス違反発生を防ぐことに努めています。
(9)情報セキュリティ
当社グループの技術者は、業務上、顧客の研究開発等の機密情報を知り得る可能性があります。当社グループの技術者によって、顧客の機密情報の外部流出が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ情報システムにおけるデータ損失や漏洩により、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティに関する各種規程を整備・運用し、役職員への教育研修等を通じて、情報及び情報機器の適正な取扱いを浸透させています。また、当社グループでは、ネットワークセキュリティ等を強化することで、当社グループ情報システムのデータ損失や漏洩への対策を進めています。
(10)事業イメージ・レピュテーション
当社グループの主要な事業である技術者派遣事業は、多くの人材を雇用する社会的責任の大きな事業であり、当社グループ役職員により社会的信用や企業イメージを棄損する行為が行われた場合には、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。また、技術者派遣市場は事業者数が多く細分化されており、当社グループのみならず、類似の事業を営む他社においてコンプライアンスを軽視した社会的倫理に反する行為等が行われた場合にも、業界全体に対するイメージの悪化を通じて、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
(11)個人情報保護
当社グループは、技術者を含む従業員や、採用応募者の個人情報を大量に保有しており、個人情報の外部流出が発生した場合には、当社グループへの社会的信用の失墜等により、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、個人情報の適正な管理は極めて重要であると認識しており、役職員への継続的な教育研修等を通じて、個人情報の適正な取扱いを浸透させています。また、当社CSR推進部長を個人情報保護責任者と定め、個人情報保護規程の整備・運用及び情報システム面も含めた個人情報に関するセキュリティ対策を講じています。
(12)自然災害・事故
当社グループは、全国に200ヵ所以上の事業拠点を有しており、当社グループの技術者は国内2,000社以上の顧客先にて勤務しています。そのため、地震や洪水等の自然災害や予期せぬ事故等により、当社グループあるいは顧客の設備が損壊する等の被害が発生した場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、自然災害や事故について事業継続計画及び企業危機対策規程を定め、また情報システム障害に関してはデータリカバリーセンターを活用する等の対策を講じています。
B.中長期の視点から事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク
(1)グローバル化の進展
近年、当社グループの主要顧客である大手日系企業は、研究開発やITシステム開発のグローバル化を進めており、この動きは今後益々加速するものと考えられます。また、新興国の技術力向上により、欧米においては重要な開発プロジェクトであっても、安価なオフショアリング開発が用いられるようになってきています。日本でも将来的には、国内における開発プロジェクトが縮小して技術開発サービス需要が減少し、かつこのような変化に当社グループが対応できない場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、当社グループがグローバル規模で顧客の需要に応える事業基盤を確立し、各地域で最適な技術開発サービスをソリューションとして提案することができれば、当社グループの新たな成長機会となる可能性があります。
当社グループでは、中期経営計画に基づく成長戦略の一環としてグローバル化を推進しており、2019年6月30日現在、中国、シンガポール、インド、イギリス等の海外拠点の技術者数は、合計で1,608名になります。
(2)雇用慣行の変化
日本において技術開発サービスの需要が強い背景の一つとして、日本的雇用慣行では迅速な直接雇用人員の調整が困難であり、研究開発やITシステム開発のプロジェクトにおいて、適時適切な人材を確保することが難しいことがあります。近年、日本では雇用慣行が徐々に変化しつつあり、将来的に雇用の流動化が一層進展し、顧客が開発プロジェクトごとに必要な人材を直接雇用することが一般化した場合には、人材のアウトソース需要が減少し、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、中期経営計画に基づき、最先端の技術を有する技術者の育成や技術コンサルティング、技術者を中心とした人材紹介業等、より高付加価値な技術開発サービスへと事業の多角化を進めています。
(3)顧客の需要動向の変化
近年、デジタル化やソフトウェア化の進展により、研究開発やITシステム開発の手法も大きく変化しています。欧米では、従来からITシステム開発の内製化やパッケージ化が広く浸透しており、日本でも将来的には、技術の進化によって顧客の開発手法が変化することが想定されます。このような変化に当社グループが対応できない場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、当社グループによる新たな開発手法を習得した技術者の育成やグローバルでの開発リソースの最適化等によって、顧客が技術の変化に対応するための技術開発サービスをソリューションとして提案することができれば、当社グループの新たな成長機会となる可能性があります。
(4)国内の人口推移
当社グループの事業の過半は国内で行われていますが、国内では総人口及び技術者数が継続的に減少すると見込まれており、当社グループが事業を展開する市場の縮小や、新卒・中途採用の競争激化により、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、国内での技術人材需要は継続的に高止まりが予想され、グローバル人材の採用や技術開発の効率化によって顧客の技術開発ニーズに応えることができれば、当社グループの新たな成長機会となる可能性があります。
(5)世界的な経済情勢の長期的趨勢
当社グループへの需要は、顧客の研究開発やITシステム開発への投資に強く連動しています。当社グループの主要顧客である大手日系企業は、将来にわたる国際競争力を維持するため、積極的な研究開発投資を継続的に行っており、当社グループの成長の要因となっています。
しかしながら、近年の世界的な保護主義への回帰や、自由経済への制約が将来にわたって継続し、多くの日系企業が研究開発投資に消極的な姿勢に転換した場合には、技術人材への需要が減少し、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日時点において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的であると判断したものであります。また、当社グループで発生しうるリスク及び投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主なリスクは、これらに限られるものではありません。
A.事業運営及びコンプライアンス上のリスク
(1)技術革新への対応
技術の変化のスピードは現代において加速度的に増しており、技術を核としたグローバル人材サービスを顧客に提供する当社グループは、技術革新に適時適切に対応していく必要があります。このような技術革新に関しては、以下のようなリスクがあり、これらに対応できない場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループが技術変化の方向性を正しく予測・認識できない場合や、たとえできたとしても当社グループの技術者の有する技術スキルの向上が間に合わず、技術が陳腐化するリスク
・新たな技術により研究開発やITシステム開発の工数が大幅に縮減し、技術人材への需要が減少することによって、当社グループに余剰人員が発生するリスク
・新たな技術に対応できる技術者の確保又は育成に、多額の費用が発生するリスク
・HRテックやリモートワーク等の技術の発展により、顧客による直接雇用やフリーランスの技術者に需要を奪われるリスク
一方で、技術革新により顧客の技術人材に対するニーズが高まれば、当社グループへの需要がさらに増える可能性があります。
当社グループでは、技術者の有する能力やスキルの高度化、新たな技術の習得等を支援するために様々な教育研修の機会を整備するとともに、教育研修投資の資本効率の向上に努めています。また、当社グループでは、持続的な成長のために、将来の技術動向を分析し、長期に渡って強い需要が見込まれる技術分野を「戦略技術分野」と定め、その分野の技術を持つ技術者の確保・育成を進めています。
(2)関連法制の動向
当社グループは、労働者派遣法、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(1986年労働省告示第37号)、その他の関連法令の規定に従い、労働者派遣事業を行っており、法令に抵触した場合には、労働者派遣事業の許可の取消、事業停止の処分等を受けるおそれがあります。労働者派遣法その他の関連法令に抵触する行為が当社グループで発生した場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、組織・規程・役職員教育を含めて、厳格な法令遵守体制を構築・運用しています。
また、労働者派遣法をはじめとする関係諸法令は、経済環境・社会環境の変化に伴い、継続的な見直しが行われており、当社グループの業態に著しく不利な改訂が将来的に実施された場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。近年では労働者派遣法以外にも、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の時季指定、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保、高年齢者雇用確保措置等の改訂が実施されており、当社グループでは当該改訂に対応するための諸施策を採っておりますが、今後の更なる改訂によっては、対応のために多額の費用が発生する可能性があります。
一方で、規制の厳格化によって中小派遣事業者が淘汰され、当社グループへの需要がさらに増え、市場シェア拡大につながる可能性があります。
なお、当社グループが許認可を受けている労働者派遣事業及び有料職業紹介事業に関して、事業廃止又は許可取消、事業停止となる事由は労働者派遣法第14条及び職業安定法第32条に定められております。本書提出日現在において、当社グループが認識している限り、当社グループにはこれら事業廃止又は許可取消、事業停止の事由に該当する事実及びその兆候はありません。
(3)顧客の属する業界の景気動向
当社グループは、2019年6月30日時点で国内に19,293人の技術者を擁しており、そのうち88.9%(17,160人)が無期雇用となっております。顧客の属する業界の景気が悪化した場合には、就業時間の短縮化、契約条件の悪化、さらには派遣契約期間中での中途解約等が起こる可能性があります。多くの無期雇用技術者を擁しているが故に、景気下降局面では無期雇用の非稼働技術者の人件費負担が大きくなり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、技術者の付加価値を高めるための教育研修を強化しており、2012年6月期以降、技術者の稼働率は95%超と安定的に推移しています。また、R&Dアウトソーシング分野では多様な業界・顧客と取引することで、特定の業界や特定の顧客の業況に大きく影響を受けない、リスクを分散した事業運営を行っています。なお、当社グループにおける顧客上位10社の売上高占有率は13.3%(当連結会計年度)です。
(4)企業買収(M&A)
当社グループは、中期経営計画に基づく成長戦略の一環として、M&Aや出資、新会社の設立を実行することがあります。M&Aや出資に際しては、対象となる企業について詳細なデューディリジェンスを実施し、リスク回避に努めておりますが、買収後に偶発債務等の発生が判明した場合、当該事業が当初想定した収益計画を達成できない場合、投資先の経営に対して十分なコントロールやモニタリングができず、事業運営に支障をきたすような事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、資本コストを常に意識した事業運営を行っており、投資時における価格交渉や投資後の統合作業(PMI)の手続きにおいて、資本コストを上回る投下資本利益率(ROIC)を重要な経営指標の一つとして位置付け、価値を創造しながらの持続的成長を目指しています。
(5)減損会計の適用
当社グループは、2019年6月30日現在、連結財政状態計算書に合計396億75百万円のれんと無形資産を計上しております。これらは総資産の42.3%を占めており、主要な内訳は、機械、電気・電子領域(146億51百万円)、組込制御、ITインフラ領域(79億69百万円)になります。当社グループでは、国内及び海外において積極的にM&Aを推進している結果、のれんと無形資産は増加傾向にありますが、当社グループの収益性に認識可能な低下がみられる場合、事業環境等の変化によってM&Aにおいて期待された成果が得られないと判断される場合には、のれんや無形資産の減損が生じているか否かについての判断が必要となります。のれんや無形資産に関する減損損失が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、これらのうち、のれんは非償却性資産であります。
また、M&Aや出資にあたり、ダウンサイドリスクの回避を意識しながら、当初の投資額や取得比率を抑えて減損の潜在額を小さくすることや、売主である創業者にインセンティブを与え、当該事業の経営リスクを軽減することを目的として、少数株主にプット・オプションを付与している場合があります。当該事業が当初想定した収益計画から大きく乖離した場合には、オプションの公正価値に変化が生じているか否かの判断が必要になり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、減損リスクを意識することで、M&Aへの取組みに規律を働かせています。M&Aを実行するに際し、投資検討におけるデューディリジェンスの過程から、事業部門やPMI担当者によるチームを組成し、投資後の計画を先行的に策定し、投資後においては各種施策を早期に開始し、当該事業の経営改善やグループ間連携の強化による想定シナジーの早期実現に努めています。
(6)人材の確保
近年、国内における技術者需給は逼迫しており、今後の技術者採用市場の動向によっては、技術者人材の確保が難航するおそれもあり、結果として当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
採用力は当社グループの強みの一つであり、優秀な技術者の獲得は成長の推進力です。当社グループでは、従前の既卒者を中心とした中途採用に加えて、新卒採用の強化を図っています。また、採用チャネルについても、従前のWeb媒体やハローワーク等に加えて、人材紹介事業者の活用や知人紹介等に多角化することで、採用経費の効率化と人材の質の向上等を目指しながら、必要とされる技術者の確保に努めています。これらの取組みの結果、技術者採用数と総在籍技術者数は下表のとおり順調に推移しています。
また、当社グループでは、毎年従業員満足度調査を実施し、その結果を元に処遇改善施策を実施する等、採用競争力の強化と退職率の低減に努めています。
2015年6月期 | 2016年6月期 | 2017年6月期 | 2018年6月期 | 2019年6月期 | |
技術者採用数(人) | 2,413 | 2,541 | 2,684 | 4,151 | 4,512 |
総在籍技術者数(人) | 11,969 | 13,127 | 14,346 | 16,797 | 19,293 |
さらに、当社グループは、技術者数の急激な増加と組織の拡大に対応すべく、安定した事業運営に必要な数の管理社員を採用・育成する必要があり、当該人材の確保が難航した場合には、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、技術者の採用には競争力があるものの、管理社員の採用には、逼迫した労働市場において業種を問わない競合との厳しい獲得競争にさらされています。当社グループでは、最新のIT技術の導入や業務フローの見直しによって管理社員の生産性を上げるべく、技術者派遣事業のコアプロセスを強化するプラットフォーム構築を目的としたIT投資を積極化する一方、業務改革プロジェクトを発足し、営業・人事・会計といった当社基幹システムの抜本的な見直しを進め、事務機能の強化を図っています。
(7)労務
当社グループは、技術者に加え管理社員を含めると、20,000人を超える従業員を雇用しており、また毎年多数の従業員を採用しております。このため、労働安全衛生や雇用関係等に関して従業員との間で紛争が発生する可能性もあり、その場合には当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、経営理念の一つとして、「エンジニア一人ひとりに誠実に向き合い、夢の実現をサポートするパートナーです。」を掲げ、採用時の人材品質確保、コンプライアンスを重視した労務管理を含む技術者管理の充実、教育研修体制の強化、従業員満足度向上等の取組みを実践しています。
(8)コンプライアンス
当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。当社グループ役職員により、コンプライアンスを軽視した社会的倫理に反する行為等が行われた場合には、社会や顧客が被る損害への賠償やレピュテーションの悪化等を通じて、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当社代表取締役を委員長とし当社グループの取締役・監査役等で構成するCSR委員会において「統合リスク管理計画」を策定し、重視すべきコンプライアンスリスクの特定とその重点管理を行っています。実務面では、グループ横断のコンプライアンス専任部門の設置、トラブル発生時のエスカレーションルール徹底、内部監査の実施と是正活動、内部通報制度の周知等を通して、重大なコンプライアンス違反発生を防ぐことに努めています。
(9)情報セキュリティ
当社グループの技術者は、業務上、顧客の研究開発等の機密情報を知り得る可能性があります。当社グループの技術者によって、顧客の機密情報の外部流出が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ情報システムにおけるデータ損失や漏洩により、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティに関する各種規程を整備・運用し、役職員への教育研修等を通じて、情報及び情報機器の適正な取扱いを浸透させています。また、当社グループでは、ネットワークセキュリティ等を強化することで、当社グループ情報システムのデータ損失や漏洩への対策を進めています。
(10)事業イメージ・レピュテーション
当社グループの主要な事業である技術者派遣事業は、多くの人材を雇用する社会的責任の大きな事業であり、当社グループ役職員により社会的信用や企業イメージを棄損する行為が行われた場合には、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。また、技術者派遣市場は事業者数が多く細分化されており、当社グループのみならず、類似の事業を営む他社においてコンプライアンスを軽視した社会的倫理に反する行為等が行われた場合にも、業界全体に対するイメージの悪化を通じて、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
(11)個人情報保護
当社グループは、技術者を含む従業員や、採用応募者の個人情報を大量に保有しており、個人情報の外部流出が発生した場合には、当社グループへの社会的信用の失墜等により、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、個人情報の適正な管理は極めて重要であると認識しており、役職員への継続的な教育研修等を通じて、個人情報の適正な取扱いを浸透させています。また、当社CSR推進部長を個人情報保護責任者と定め、個人情報保護規程の整備・運用及び情報システム面も含めた個人情報に関するセキュリティ対策を講じています。
(12)自然災害・事故
当社グループは、全国に200ヵ所以上の事業拠点を有しており、当社グループの技術者は国内2,000社以上の顧客先にて勤務しています。そのため、地震や洪水等の自然災害や予期せぬ事故等により、当社グループあるいは顧客の設備が損壊する等の被害が発生した場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、自然災害や事故について事業継続計画及び企業危機対策規程を定め、また情報システム障害に関してはデータリカバリーセンターを活用する等の対策を講じています。
B.中長期の視点から事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク
(1)グローバル化の進展
近年、当社グループの主要顧客である大手日系企業は、研究開発やITシステム開発のグローバル化を進めており、この動きは今後益々加速するものと考えられます。また、新興国の技術力向上により、欧米においては重要な開発プロジェクトであっても、安価なオフショアリング開発が用いられるようになってきています。日本でも将来的には、国内における開発プロジェクトが縮小して技術開発サービス需要が減少し、かつこのような変化に当社グループが対応できない場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、当社グループがグローバル規模で顧客の需要に応える事業基盤を確立し、各地域で最適な技術開発サービスをソリューションとして提案することができれば、当社グループの新たな成長機会となる可能性があります。
当社グループでは、中期経営計画に基づく成長戦略の一環としてグローバル化を推進しており、2019年6月30日現在、中国、シンガポール、インド、イギリス等の海外拠点の技術者数は、合計で1,608名になります。
(2)雇用慣行の変化
日本において技術開発サービスの需要が強い背景の一つとして、日本的雇用慣行では迅速な直接雇用人員の調整が困難であり、研究開発やITシステム開発のプロジェクトにおいて、適時適切な人材を確保することが難しいことがあります。近年、日本では雇用慣行が徐々に変化しつつあり、将来的に雇用の流動化が一層進展し、顧客が開発プロジェクトごとに必要な人材を直接雇用することが一般化した場合には、人材のアウトソース需要が減少し、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、中期経営計画に基づき、最先端の技術を有する技術者の育成や技術コンサルティング、技術者を中心とした人材紹介業等、より高付加価値な技術開発サービスへと事業の多角化を進めています。
(3)顧客の需要動向の変化
近年、デジタル化やソフトウェア化の進展により、研究開発やITシステム開発の手法も大きく変化しています。欧米では、従来からITシステム開発の内製化やパッケージ化が広く浸透しており、日本でも将来的には、技術の進化によって顧客の開発手法が変化することが想定されます。このような変化に当社グループが対応できない場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、当社グループによる新たな開発手法を習得した技術者の育成やグローバルでの開発リソースの最適化等によって、顧客が技術の変化に対応するための技術開発サービスをソリューションとして提案することができれば、当社グループの新たな成長機会となる可能性があります。
(4)国内の人口推移
当社グループの事業の過半は国内で行われていますが、国内では総人口及び技術者数が継続的に減少すると見込まれており、当社グループが事業を展開する市場の縮小や、新卒・中途採用の競争激化により、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、国内での技術人材需要は継続的に高止まりが予想され、グローバル人材の採用や技術開発の効率化によって顧客の技術開発ニーズに応えることができれば、当社グループの新たな成長機会となる可能性があります。
(5)世界的な経済情勢の長期的趨勢
当社グループへの需要は、顧客の研究開発やITシステム開発への投資に強く連動しています。当社グループの主要顧客である大手日系企業は、将来にわたる国際競争力を維持するため、積極的な研究開発投資を継続的に行っており、当社グループの成長の要因となっています。
しかしながら、近年の世界的な保護主義への回帰や、自由経済への制約が将来にわたって継続し、多くの日系企業が研究開発投資に消極的な姿勢に転換した場合には、技術人材への需要が減少し、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
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