有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100G145
オムロン株式会社 研究開発活動 (2019年3月期)
当社グループは、技術の育成・強化を目的に中長期的視野に立った技術戦略を定め研究開発を実行している。
自社の強み、コア技術として「センシング&コントロール+Think」を位置づけ、進化させている。これを技術戦略の核として、全社的視点から当社のコーポレート研究所である技術・知財本部が基盤的な技術開発を担い、各事業部門がその応用技術開発や商品開発を実施している。主力事業である制御機器事業をはじめ、ヘルスケア事業、車載事業およびエネルギーマネジメント事業に重点的に研究開発費を割当て、製品開発およびものづくり技術の強化を実施している。
当期の取り組みとしては、センシング技術、制御技術、AI技術、ロボット技術、パワーエレクトロニクス技術などの自社のコア技術の高度化を進めるとともに、オープンイノベーション、中長期を見据えた新規技術の開発の推進や人財育成・獲得の仕組みを整備・実行してきた。また、近未来デザインから戦略策定、事業検証までを一気通貫で担う全社イノベーションプラットフォームとしてのイノベーション推進本部を設立し、オムロン全社横断型でのイノベーション加速を図ってきた。
知的財産活動においては、技術者の特許に対するスキルを向上させる特許道場を国内外の研究開発拠点で実行すると共に、発明褒賞制度の実行により、技術者の知財活動に対するモチベーションを向上させ、全社的に知財活動の底上げを図ってきた。併せて、将来を見据えた知財戦略の実行により、量、質ともに特許創出力を大幅に向上させた。これらの活動の成果により、一昨年から3年連続でクラリベイト アナリティクス様が知財動向の分析をもとに世界の革新企業/機関トップ100を選定する「Top 100グローバル・イノベーター2018-19」に選出された。
グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、前連結会計年度は590億77百万円、当連結会計年度は577億77百万円である。なお、研究開発費については、技術・知財本部で行っている技術開発費用95億21百万円が含まれている。
オペレーティング・セグメント別の研究開発費は、次のとおりである。
オペレーティング・セグメント別の研究の目的、主要課題および研究成果は、次のとおりである。
(1) インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)
当セグメントは、製造業の生産現場や機械設備に関わる生産性や安全性の向上、品質歩留り改善に関して、さまざまな要素技術や生産技術を開発し、新商品を通じて価値提供を行っている。
生産性の向上では、AIを活用した画像検査技術、新たな照明技術を開発し、従来は人にしかできない製品の検査を自動化した。また、レンズ、カメラ、コントローラ一体型の画像検査機器を開発し、従来の検査性能は維持したまま、画像検査機器および装置全体の小型化を可能とした。加えて、10種の機械故障を予知するAI技術を開発、また、装置のさまざまな状態をセンシングするセンサの品揃えを拡充し、装置の突発的な停止につながる故障要因の予知可能な範囲を大幅に拡大した。
安全性の向上では、工場におけるロボットと生産設備を安全に連携させる2種類の標準ネットワークを搭載した安全コントローラを開発し、作業者の安全を確保すると同時に、製造ライン全体を統合管理することで製品の滞留を防ぎ生産性を向上させた。品質歩留まり改善では、製品品質保証に必要な個体管理を可能とする2次元コードリーダを開発し、保有するレーザーコードマーカー、標準上位通信機能を搭載したコントローラを組み合わせて、個体管理システムを構築可能とした。
(2) エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス(電子部品事業)
当セグメントは、リレー、スイッチ、コネクタを中心としたエレクトロメカニカルコンポ商品および、顔認証等の組込画像ソフト技術、光技術、MEMS技術などを用いたセンシングコンポ商品を有し、高度なものづくり技術を強みにお客様のニーズに応える新製品開発に取り組んでいる。
MEMS技術においては独自のデバイス技術を駆使し、加速度、VOCガスなど7種類のセンシング機能を小型パッケージに搭載した複合型センシングコンポーネント「USB型環境センサ」を発売した。ルータやゲートウェイなどの機器に組み込みやすく、また、センサ本体に内蔵したBluetooth®Low Energy技術によるビーコン通信や機器側のネットワークを介してクラウドサーバー等に様々な環境情報をリアルタイムに送信できる。ユーザーは、例えば収集した加速度データを元に、オムロン独自の感震アルゴリズムから地震の大きさを表わす震度階級とも相関性の高いSI値を算出することで地震を検知し、機器への電源供給を蓄電池に切り替えることができる。また、ホルムアルデヒドなどシックハウス症候群の原因となるVOCガスの早期検知による健康被害防止や宿泊施設での臭いなどを検知して空調を制御することができる。これら様々な用途においてIoTソリューションやサービス創出に貢献する。
(3) オートモーティブエレクトロニックコンポーネンツビジネス(車載事業)
当セグメントは、車の安全性やセキュリティ性を高める分野として、自動車の窓やスライドドア、ワゴン車など
の後部扉であるテールゲートの自動開閉時に乗員の安全性を確保するためのモータ制御技術、快適性や燃費向上に
貢献する分野としては、ステアリング操舵力をアシストする電動パワーステアリングコントロール技術、および利
便性を向上する分野としてキー操作不要でドアの開閉やエンジン始動認証をおこなうシステムの商品開発に取り組
んでいる。また、環境負荷低減に貢献する小型化、軽量化、省エネ化を実現する技術やアイドリングストップシス
テム用電圧制御技術、自動運転車に必要となる車内外監視用インテリジェントセンサなど、次世代商品のコアとな
る研究開発を進め、商品価値のさらなる向上を目指している。
(4) ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業)
当セグメントは、駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、AI技術・IoT技術を組み込んだ人や車の動きを検知するセンサ・システム・ロボットの開発に取り組んでいる。
また、近年大きな社会課題として注目されている、老朽化した構造物の状態把握や劣化診断をセンシングする研究開発を、大学などと共同で進めている。
(5) ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業)
当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指している。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、脳・心血管疾患の発症ゼロを目指す「循環器事業」、小児ぜんそく患者の重症化ゼロを目指す「呼吸器事業」、薬の力を借りずに痛みの緩和を目指す「ペインマネジメント事業」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指している。
当期の主な開発テーマとして、循環器事業においては、血圧と心電の同時測定が可能な機器の開発に取り組んでいる。呼吸器事業においては、小児ぜんそく患者の発作の兆候を検知する喘鳴測定器の開発に取り組んでいる。ペインマネジメント事業においては、これまでにない新たな疼痛緩和技術を搭載した低周波治療器の開発に取り組んでいる。
(6) その他
その他のセグメントは、事業の育成・強化や新規事業の探索・育成を目的とした事業を、本社直轄で担当しており、環境事業、バックライト事業などが含まれる。
環境事業では、再生可能エネルギーへの関心の高まりを受けた社会ニーズに応えるため、太陽光発電用パワーコンディショナおよび蓄電システム用機器を中心に高効率化や小型軽量化などの技術開発に継続して取り組んでいる。
バックライト事業では、ウェアラブル・VR・OA機器・アミューズ向け光制御技術と金型成形の技術開発に取り組んでいる。
自社の強み、コア技術として「センシング&コントロール+Think」を位置づけ、進化させている。これを技術戦略の核として、全社的視点から当社のコーポレート研究所である技術・知財本部が基盤的な技術開発を担い、各事業部門がその応用技術開発や商品開発を実施している。主力事業である制御機器事業をはじめ、ヘルスケア事業、車載事業およびエネルギーマネジメント事業に重点的に研究開発費を割当て、製品開発およびものづくり技術の強化を実施している。
当期の取り組みとしては、センシング技術、制御技術、AI技術、ロボット技術、パワーエレクトロニクス技術などの自社のコア技術の高度化を進めるとともに、オープンイノベーション、中長期を見据えた新規技術の開発の推進や人財育成・獲得の仕組みを整備・実行してきた。また、近未来デザインから戦略策定、事業検証までを一気通貫で担う全社イノベーションプラットフォームとしてのイノベーション推進本部を設立し、オムロン全社横断型でのイノベーション加速を図ってきた。
知的財産活動においては、技術者の特許に対するスキルを向上させる特許道場を国内外の研究開発拠点で実行すると共に、発明褒賞制度の実行により、技術者の知財活動に対するモチベーションを向上させ、全社的に知財活動の底上げを図ってきた。併せて、将来を見据えた知財戦略の実行により、量、質ともに特許創出力を大幅に向上させた。これらの活動の成果により、一昨年から3年連続でクラリベイト アナリティクス様が知財動向の分析をもとに世界の革新企業/機関トップ100を選定する「Top 100グローバル・イノベーター2018-19」に選出された。
グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、前連結会計年度は590億77百万円、当連結会計年度は577億77百万円である。なお、研究開発費については、技術・知財本部で行っている技術開発費用95億21百万円が含まれている。
オペレーティング・セグメント別の研究開発費は、次のとおりである。
セグメントの名称 | 当年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
インダストリアルオートメーションビジネス | 23,280 |
エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス | 5,119 |
オートモーティブエレクトロニックコンポーネンツビジネス | 8,370 |
ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス | 2,776 |
ヘルスケアビジネス | 6,705 |
その他 | 2,006 |
全社(共通) | 9,521 |
合計 | 57,777 |
オペレーティング・セグメント別の研究の目的、主要課題および研究成果は、次のとおりである。
(1) インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)
当セグメントは、製造業の生産現場や機械設備に関わる生産性や安全性の向上、品質歩留り改善に関して、さまざまな要素技術や生産技術を開発し、新商品を通じて価値提供を行っている。
生産性の向上では、AIを活用した画像検査技術、新たな照明技術を開発し、従来は人にしかできない製品の検査を自動化した。また、レンズ、カメラ、コントローラ一体型の画像検査機器を開発し、従来の検査性能は維持したまま、画像検査機器および装置全体の小型化を可能とした。加えて、10種の機械故障を予知するAI技術を開発、また、装置のさまざまな状態をセンシングするセンサの品揃えを拡充し、装置の突発的な停止につながる故障要因の予知可能な範囲を大幅に拡大した。
安全性の向上では、工場におけるロボットと生産設備を安全に連携させる2種類の標準ネットワークを搭載した安全コントローラを開発し、作業者の安全を確保すると同時に、製造ライン全体を統合管理することで製品の滞留を防ぎ生産性を向上させた。品質歩留まり改善では、製品品質保証に必要な個体管理を可能とする2次元コードリーダを開発し、保有するレーザーコードマーカー、標準上位通信機能を搭載したコントローラを組み合わせて、個体管理システムを構築可能とした。
(2) エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス(電子部品事業)
当セグメントは、リレー、スイッチ、コネクタを中心としたエレクトロメカニカルコンポ商品および、顔認証等の組込画像ソフト技術、光技術、MEMS技術などを用いたセンシングコンポ商品を有し、高度なものづくり技術を強みにお客様のニーズに応える新製品開発に取り組んでいる。
MEMS技術においては独自のデバイス技術を駆使し、加速度、VOCガスなど7種類のセンシング機能を小型パッケージに搭載した複合型センシングコンポーネント「USB型環境センサ」を発売した。ルータやゲートウェイなどの機器に組み込みやすく、また、センサ本体に内蔵したBluetooth®Low Energy技術によるビーコン通信や機器側のネットワークを介してクラウドサーバー等に様々な環境情報をリアルタイムに送信できる。ユーザーは、例えば収集した加速度データを元に、オムロン独自の感震アルゴリズムから地震の大きさを表わす震度階級とも相関性の高いSI値を算出することで地震を検知し、機器への電源供給を蓄電池に切り替えることができる。また、ホルムアルデヒドなどシックハウス症候群の原因となるVOCガスの早期検知による健康被害防止や宿泊施設での臭いなどを検知して空調を制御することができる。これら様々な用途においてIoTソリューションやサービス創出に貢献する。
(3) オートモーティブエレクトロニックコンポーネンツビジネス(車載事業)
当セグメントは、車の安全性やセキュリティ性を高める分野として、自動車の窓やスライドドア、ワゴン車など
の後部扉であるテールゲートの自動開閉時に乗員の安全性を確保するためのモータ制御技術、快適性や燃費向上に
貢献する分野としては、ステアリング操舵力をアシストする電動パワーステアリングコントロール技術、および利
便性を向上する分野としてキー操作不要でドアの開閉やエンジン始動認証をおこなうシステムの商品開発に取り組
んでいる。また、環境負荷低減に貢献する小型化、軽量化、省エネ化を実現する技術やアイドリングストップシス
テム用電圧制御技術、自動運転車に必要となる車内外監視用インテリジェントセンサなど、次世代商品のコアとな
る研究開発を進め、商品価値のさらなる向上を目指している。
(4) ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業)
当セグメントは、駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、AI技術・IoT技術を組み込んだ人や車の動きを検知するセンサ・システム・ロボットの開発に取り組んでいる。
また、近年大きな社会課題として注目されている、老朽化した構造物の状態把握や劣化診断をセンシングする研究開発を、大学などと共同で進めている。
(5) ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業)
当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指している。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、脳・心血管疾患の発症ゼロを目指す「循環器事業」、小児ぜんそく患者の重症化ゼロを目指す「呼吸器事業」、薬の力を借りずに痛みの緩和を目指す「ペインマネジメント事業」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指している。
当期の主な開発テーマとして、循環器事業においては、血圧と心電の同時測定が可能な機器の開発に取り組んでいる。呼吸器事業においては、小児ぜんそく患者の発作の兆候を検知する喘鳴測定器の開発に取り組んでいる。ペインマネジメント事業においては、これまでにない新たな疼痛緩和技術を搭載した低周波治療器の開発に取り組んでいる。
(6) その他
その他のセグメントは、事業の育成・強化や新規事業の探索・育成を目的とした事業を、本社直轄で担当しており、環境事業、バックライト事業などが含まれる。
環境事業では、再生可能エネルギーへの関心の高まりを受けた社会ニーズに応えるため、太陽光発電用パワーコンディショナおよび蓄電システム用機器を中心に高効率化や小型軽量化などの技術開発に継続して取り組んでいる。
バックライト事業では、ウェアラブル・VR・OA機器・アミューズ向け光制御技術と金型成形の技術開発に取り組んでいる。
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