シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100KDZM (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 浜松ホトニクス株式会社 研究開発活動 (2020年9月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループの研究開発活動は、「光の本質に関する研究及びその応用」をメインテーマとし、主に当社の中央研究所、筑波研究所及び各事業部において行っております。
光の世界は未だその本質すら解明されていないという、多くの可能性を秘めた分野であり、光の利用という観点からみても、光の広い波長領域のうち、ごく限られた一部しか利用することができていないのが現状であります。こうした中、当社の中央研究所及び筑波研究所においては、光についての基礎研究と光の利用に関する応用研究を進めており、また、各事業部においては、製品とその応用製品及びそれらを支える要素技術、製造技術、加工技術に関する開発を行っております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、12,147百万円であり、これを事業のセグメントでみますと、電子管事業3,497百万円、光半導体事業2,026百万円、画像計測機器事業347百万円、その他事業718百万円及び各事業区分に配賦できない基礎的研究5,558百万円であります。
当連結会計年度における主要な研究開発の概要は次のとおりであります。


新型コロナウイルス検査試薬の研究開発を加速する高感度・高再現性のイムノクロマトリーダ
蛍光イムノクロマト法は、血液等の検体を含ませた試薬に光を照射した際の蛍光を測定器(イムノクロマトリーダ)で確認することで、検体中の抗原や抗体の有無を判別する検査法です。現在、新型コロナウイルス検査試薬の研究開発のため、測定器も感度向上が求められておりますが、蛍光の信号量を増やそうと照射光を強めるとノイズも増える点が課題でした。この度開発した測定器では、独自の信号処理技術により、照射光を強めるとともに増幅回路で信号量を増やしながらもノイズを低減させることに成功し、さらに部材の見直しと光学設計の最適化により測定感度を従来の10倍以上に高めました。また、長年培ってきたデータ解析技術により、再現性は従来同等の業界最高水準を確保しております。これにより、新型コロナウイルス向けをはじめとする各種試薬の研究開発の効率が向上することが期待できます。


小型・高感度を両立した携帯型分析装置向けFTIR分光器を新たに開発
FTIRとは、対象物に赤外線を照射し、反射・透過した光の種類や性質を調べることで、対象物に含まれる成分を分析する分光分析法の一種で、科学研究から産業まで様々な分野で用いられております。FTIR分析装置は据置型が主流ですが、近年、作業現場で測定できる携帯型の要求が高まっており、小型で高感度のFTIR分光器が望まれておりました。この度、当社は独自のMEMS(注1)技術を用いて光学部品を一新することで、小型化に伴う測定用光量の減少という課題を解決するとともに、構造設計を見直し、手のひらサイズながら据置型と同等の感度を有した小型FTIR分光器を開発いたしました。本分光器を用いることで、据置型の100分の1程度の大きさの携帯型FTIR分析装置の実現が可能となり、プラスチック選別や農作物の成分分析など現場でのリアルタイム計測が求められる幅広い用途への応用が期待できます。


従来品よりも暗い領域を観察可能な科学計測用CMOSカメラ「ORCA-Fusion BT」を開発
生命科学分野における生細胞の生命現象の観察には、蛍光や化学発光等の微弱光を捉えることのできるカメラが求められており、当社でもこれまで科学計測用CMOSカメラを開発・販売してまいりました。この度、新たな背面照射型センサを開発し、従来の当社製品の低ノイズ・広視野・高解像度等の特長は保持したまま量子効率(注2)を上げることで飛躍的な高感度化を実現した「ORCA-Fusion BT」を開発いたしました。より微弱な光の画像取得が可能となるため、生命科学分野以外にも、半導体ウェハ上の異物検査等、産業分野での各種検査の高精度化も期待できます。




産業分野におきましては、世界最高の耐光性能を有した空間光変調器(SLM)を開発いたしました(注3)。SLMとはレーザーなどの入射光を液晶面で制御し、反射光の分岐やパターンを任意に調整できる光デバイスです。近年、半導体や炭素強化プラスチックの加工にパルスレーザー(注4)を用いる手法が、従来の機械加工に比べ高精度に加工できると注目されております。本手法にSLMを用いることで、「点」ではなく「面」でレーザーを制御できることから、複数箇所の同時加工による加工の効率化が期待されております。一方で、分岐により加工に必要な出力が低下するため、より高出力のレーザーを照射する必要があり、高い耐光性能をもつSLMが求められておりました。このような中、当社は独自の薄膜設計技術と回路設計技術により耐光性能を従来製品の10倍以上に高めたSLMの開発に成功いたしました。本開発品により、パルスレーザーを用いた材料加工の高機能化が期待できます。
医療の分野におきましては、当社製テラヘルツ波(注5)分光分析装置を用いて、吸湿による薬剤の分子配列の変化の途中経過を世界で初めて測定いたしました(注6)。薬剤によっては、保管や服用時に吸湿し、分子配列が変化して効能が低下する場合があるため、分子配列の変化を事前に評価することが重要ですが、テラヘルツ波を用いた従来の測定法や装置では含水物の測定や変化の途中経過を安定的に測定することは困難でした。本装置は、含水物にも対応した測定法の採用及び独自技術を用いた設計によりその課題を解決しております。今後も、当社独自の技術を用いた薬剤評価の応用研究を進めてまいります。
また、PET検査における取得画像の画質改善・ノイズ除去手法として、事前の学習データを必要としないAIを用いる手法の開発を進めております。近年、AIを用いる手法は注目されておりますが、事前に大量のPET画像データをAIに学習させる必要があり、前例の少ない症例への適用が課題となっておりました。このような中、当社は、画像中の生体構造や輪郭等の情報をノイズよりも優先的に認識する性質をもつAIを用いることで、学習データが存在しない状況においても高画質な画像の取得を実現いたしました。今後は、前例の少ない症例の診断や新規の検査薬開発時などへの応用が期待できます。


(注)1 MEMSとは、半導体材料を三次元的に微細加工する最先端技術です。
2 量子効率とは、入射光を電荷に変換する効率です。
3 本開発の一部は、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「光・量子を活用したSociety5.0実現化技術」の委託事業によって実施されました。
4 パルスレーザーとは、短期間に高出力のエネルギーを繰り返し照射するレーザーで、発熱が少ないため材料に損傷を与えにくく、高精度な材料加工に適しております。
5 テラヘルツ波とは、光と電波の中間の電磁波です。
6 本研究成果は、国立医薬品食品衛生研究所との共同研究によるものです。気管支拡張剤テオフィリンが乾燥状態から吸湿状態に変化する際の分子配列の途中経過を測定いたしました。




事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01955] S100KDZM)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。