有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100GB62
日産自動車株式会社 研究開発活動 (2019年3月期)
当社グループは、将来にわたって持続性のある車社会の実現に向けて、環境や安全など様々な分野での研究開発活動を積極的に行っている。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は5,231億円であった。
当社グループの研究開発体制及び活動成果は次のとおりである。
(1) 研究開発体制
当社グループの日本における研究開発は、日産テクニカルセンター(神奈川県厚木市)を中心に車両開発を日産車体(株)、(株)日産オートモーティブテクノロジー、ユニット開発を愛知機械工業(株)、ジヤトコ(株)などの関係各社が担当し、当社と密接な連携のもとで推進している。米欧地域においては、米国の北米日産会社、メキシコのメキシコ日産自動車会社、英国の英国日産自動車製造会社、スペインの日産モトール・イベリカ会社において、一部車種のデザイン及び設計開発業務を行っている。また、米国の日産総合研究所シリコンバレーオフィスにおいて、自動運転車両の研究、最先端のICT(Information and Communication Technology)技術開発を行っている。
アジア地域では、中国の日産(中国)投資有限公司、東風汽車集団股份有限公司との合弁会社である東風汽車有限公司、台湾の裕隆汽車製造股份有限公司との合弁会社である裕隆日産汽車股份有限公司、タイのアジア・パシフィック日産自動車会社及びインドのルノー日産テクノロジー&ビジネスセンターインディア社において一部車種のデザイン及び設計開発業務を行っている。
また、南米地域のブラジル日産自動車会社、南アフリカの日産サウスアフリカ会社においても現地生産車の一部開発業務を行っている。
ルノー、三菱自動車工業(株)及び当社は2017年9月に発表した中期計画アライアンス2022により、さらなる経営資源の効率化を目指し、次世代技術、プラットフォーム、パワートレインの開発を分担し共用化を加速させている。また、ダイムラーとの戦略的協力関係においては、パワートレインやプラットフォームの共用に取り組んでいる。
(2) 新商品の開発状況
国内にて、新型「日産デイズ」、「日産リーフe+」を発売、「ノート」に4WD仕様を追加した。海外では、北米において新型「アルティマ」、「日産リーフe+」、「キックス」を発売、中国において、「シルフィ ゼロ・エミッション」を発売した。(3) 新技術の開発状況
環境面においては、中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2022」のもと、新車からのCO2排出量を2022年までに2010年比40%削減することを目指しており、車両の電動化をはじめとするモノづくりの技術革新により、燃料消費量やCO2排出量を削減していく。電気自動車(EV)では、51ヵ国・地域に投入されている「日産リーフ」の販売台数は着実に増加している。2019年3月時点で、「日産リーフ」のグローバル累計販売台数は40万台を突破、「e-NV200」、「シルフィ ゼロ・エミッション」、ヴェヌーシア「e30」、東風ブランドを含めた電気自動車全体のグローバル累計販売台数では51万台を超えた。2018年度には「日産リーフe+」が日本、米国で追加され、より幅広いお客様ニーズにこたえている。「日産リーフ」は世界中で高く評価されており、国内では、日本自動車殿堂(JAHFA)にて「カーテクノロジーオブザイヤー」を受賞、米国では、2018 CES (Consumer Electronics Show)にて「Best of Innovation award winners for 2018」を、2018 New York International Auto Showにて「2018 World Green Car」を受賞、欧州では、2018 What Car? Awardsにて「Best Electric Car」を受賞した。「e-NV200」については、2019年3月現在、欧州、日本、香港で発売されている。スペインのバルセロナやオランダのアムステルダムでは「e-NV200」タクシーが運行を始めており、日本でも都市部の貨物配送事業者や地方自治体など様々なビジネスシーンで使用されている。
車両の電動化では、2016年度に「ノート」に初搭載したe-POWERを国内向けの「セレナ」に拡大採用して好評を得ており、2019年次「RJCテクノロジーオブザイヤー」を受賞した。このe-POWER技術は100%モーターで動力を制御し、エンジンは発電のみに特化することで最も効率の良い運転条件で発電が可能となり、クルマが使われる頻度の高い市街地走行時において従来型ハイブリッドシステム車に対し、クラストップの燃費(*1)を実現している。
内燃機関の改善では、世界初の量産型の可変圧縮比エンジンである「VCターボ」を、インフィニティ新型「QX50」に搭載し、さらに米国では、新型「アルティマ」に拡大採用する。「VCターボ」エンジンは、米国にて2019年ワーズ「10ベストエンジン賞 (Wards 10 Best Engines)」を受賞するなど、高い評価を受けている。可変圧縮比技術は、ピストンの上死点位置をシームレスに変化させることができるマルチリンクシステムを活用しており、最適な圧縮比に素早く変化させることができ、パワー、力強いトルク、効率性を併せ持つエンジンを実現できる。
車両の軽量化も燃費向上に向けた重要な取り組みのひとつであり、日産は、構造の合理化、工法、材料置換の3つの手法により、車両の軽量化を推進している。2013年には高強度と高成形性を両立できる世界初1.2GPa級高成形性超ハイテン材をインフィニティ「Q50」(日本では「スカイライン」)に採用し、「ムラーノ」、インフィニティ「Q60」などに採用を拡大した。さらに2018年には衝突時のエネルギー吸収性をさらに高めた980MPa級高成形性超ハイテン材をインフィニティ新型「QX50」に採用した。超ハイテン材については採用拡大を順次進めており、2018年新型「アルティマ」(1.2GPa級、980MPa級)及び2019年新型「日産デイズ」(1.2GPa級)の車体骨格部材にも採用した。また、これらの超ハイテン材は鋼材使用量低減や既存ラインでの生産が可能なため、薄肉化による軽量化を実現しながらトータルコストを削減できる。
当社は「電気自動車を作って売る」だけでなく、環境の整備をはじめEVのある生活・社会をより豊かなものにするための様々なソリューション「ニッサン エナジー」を提供しており、それらを合わせた「EVエコシステム」を構築してきた。「ニッサン エナジー」は次の3つの領域で構成される。
・ニッサン エナジー サプライ:安心・便利なEVライフのための各種充電ソリューションを提供
・ニッサン エナジー シェア:電気自動車のバッテリーに貯めた電力を、住宅と「シェア」することで、新たな価値を提供。さらにビル、地域社会へ拡大する取り組みを推進
・ニッサン エナジー ストレージ:日産の電気自動車のバッテリーはクルマで使用された後でも高い性能を有しており、電気自動車がさらに普及する将来を見据え、二次利用のためのソリューションを提供
2018年度は、東北電力(株)や三井物産(株)、三菱地所(株)と共同で、電気自動車のバッテリーを活用し、電力系統に接続して充放電する技術の実証プロジェクトを開始している。また、福島県浪江町発の世界初量産型マルチ超急速充電器、独立電源街路灯には「日産リーフ」の再生バッテリーが使用されている。
安全面においては、日産車がかかわる死者数を2015年までに1995年比で半減させることを目指し、日本、米国、欧州(英国)で達成。現在は、2020年までに日本、米国、欧州(英国)でさらに半減させるという高い目標に向かって活動を続けており、死者数を実質ゼロにすることが日産の究極の目標である。目標の達成に向けて、事故そのものの削減が重要と考え、「クルマが人を守る」という考え方“セーフティ・シールド”に基づき、人を危険に近づけないようクルマがサポートする技術開発を進めている。
日本では、予防安全性能アセスメント(JNCAP)にて「日産デイズルークス」が最高評価となるASV+++を獲得した。米国では、米国新車アセスメントプログラム(US-NCAP)にて「パスファインダー」、インフィニティ「QX60」が最高評価となる5つ星を獲得した。米国道路安全保険協会(IIHS)にて、「パスファインダー(*2)」、「キックス」、新型「アルティマ」が「2019 トップセーフティピック(TSP)」を獲得(LEDヘッドライト搭載車)、欧州では、欧州新車アセスメントプログラム(ユーロNCAP)にて、「日産リーフ」が最高評価となる5つ星を獲得した。
さらに、当社は交通事故低減に大きな効果が期待できる自動運転技術の採用を推進している。2016年8月には、「プロパイロット」を「セレナ」に搭載した。「プロパイロット」は、渋滞走行と長時間の巡航走行の2つのシーンで、アクセル、ブレーキ、ステアリングをシステムが自動で制御し、運転操作を支援する。当社は「プロパイロット」の採用をグローバルに進めており、これまでに日本では「セレナ」、「エクストレイル」、「日産リーフ」、新型「日産デイズ」に、米国では「ローグ」、「日産リーフ」、新型「アルティマ」、インフィニティ新型「QX50」に、欧州では「日産リーフ」、「キャシュカイ」に搭載、2019年3月末までに「プロパイロット」搭載車のグローバル累計販売台数は30万台を突破した。今後、高速道路における複数車線に対応した「プロパイロット」を実用化する予定である。また、当社は2022年までに「プロパイロット」を20車種に搭載し、20の市場に投入する計画を発表しており、2022年までに「プロパイロット」搭載車の販売台数が年間100万台になると見込んでいる。
同時に将来に向け、モビリティサービスにも取り組んでいる。2018年3月には、無人運転車両を活用した(株)ディー・エヌ・エーと共同開発中の新しい交通サービス「Easy Ride(イージーライド)」の実証実験を神奈川県横浜市のみなとみらい地区周辺で開始、2019年2月には対象エリアの拡大や乗車地・目的地の自由な設定など、より実際のサービスに近い形で実証実験を実施した。
当社グループは、Nissan M.O.V.E.to 2022達成を目指し、今後も競争力のある商品、将来に向けた先端技術等のための研究開発活動に積極的に取り組んでいく。
*1: 発売時点。「セレナ e-POWER」は、26.2km/L(日本基準)
*2: 2018年8月以降の生産車
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02142] S100GB62)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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