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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100FHHS

有価証券報告書抜粋 キヤノン株式会社 研究開発活動 (2018年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当グループは、2016年からの5カ年計画「グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅤ」のもと、研究開発における主要戦略として、1.「原価率45%を実現する新生産システムの確立」、2.「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」、及び3.「オープンイノベーションによる研究開発力の強化」を掲げ、その取組みを進めています。
1.では、開発・調達・生産・製造が一体となった日本のマザー工場機能を強化するとともに、ロボットの高精度化やIoT・ビッグデータ・AIなどの次世代技術の導入による生産技術の高度化を進め、トータルコストダウンを追及していきます。
2.では、現行事業の横展開による関連多角化の強化として、従来とは異なる分野における当社技術の応用可能性を探り、新たな事業の創出・拡大を図ります。また、商業印刷、ネットワークカメラ、ヘルスケアなど将来有望な分野に重点的に開発投資を行い、補強的なM&Aも駆使して事業の早期拡大を図ります。
3.では、より開かれた研究開発体制を構築し、広く世界から最先端技術情報を取り入れて、開発のスピードアップや効果的な成果につなげます。特に基礎研究の分野について、国内外の大学や研究機関、スタートアップとも広く連携し、共同研究・委託研究を推進します。
ボストンに拠点を置くヘルスケアオプティクスリサーチラボラトリーにおいては、マサチューセッツ総合病院及びブリガム・アンド・ウィメンズ病院と連携し、医療ロボティクスや心臓血管内視鏡などの共同研究を進めています。CMSCにおいては、AI技術の一つであるディープラーニングのMRI撮像への適応に関して、熊本大学及びボルドー大学との共同研究を開始しました。
開発効率の向上に向けては、光学設計を含めた画像形成プロセスの一貫シミュレーションシステムや、製品作動音解析、熱気流解析などのシミュレーションシステムを開発し、これらのシミュレーターによって製品開発期間の短縮及び試作台数、開発費用の削減を実現しています。
当期におけるグループ全体の研究開発費は、315,842百万円であり、セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。

Ⅰ.オフィスビジネスユニット
オフィス向け複合機においては、「imageRUNNER ADVANCE」シリーズが、米国で権威あるオフィス機器の独立評価機関であるBLI(Buyers Laboratory LLC)より、A3複合機の分野で「最優秀コピアMFPラインアップ賞」を3年連続受賞※1しました。消耗品の交換しやすさ、利便性、優れた給紙能力により、生産性と信頼性が最も高いと評価されました。さらに、ワークフローの効率化とコスト削減につながるソリューションも提供することで、高品質な成果物を生み出し、あらゆるビジネスを快適にサポートする点も受賞理由として挙げられました。また、「imageRUNNER ADVANCE Gen3 2nd Edition」シリーズが、クラウドサービスとの連携を実現する新機能「uniFLOW Online Express」を提供することにより、専用サーバーの購入や維持管理が不要で、ユーザー認証、ユーザー別使用状況・本体利用状況の管理とレポート作成を容易化し、ユーザーのコスト管理・削減に貢献します。さらに、クラウド上でMFP機能を拡張するプラットフォームサービスにて、モバイル環境対応、スキャン業務の効率化など、オフィス業務を強力にサポートします。
デジタル連帳プリンターにおいては、UVインクジェット方式の高速デジタルラベルプレス「Océ LabelStream 4000」シリーズにて、ラベルプリント市場への参入を果たしました。高品位の印刷で毎分48mの高い生産性を最大基材幅410mmで実現します。ラベル印刷で重要となる不透過率の高い白インクにも対応し、PP、PE、PETなどフィルム系の基材にも印刷が可能です。
当事業セグメントに係る研究開発費は、87,967百万円であります。

※1 2018年2月 他に個別表彰として「imageRUNNER C3020F」、「Satera MF630シリーズ」、「Satera MF730シリーズ」、「Therefore Online」、「uniFLOW 2018 LTS」、「IRIS Powerscan 10(日本未発売)」が同時受賞

Ⅱ.イメージングシステムビジネスユニット
レンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)の世界市場において、2003年から15年連続で台数シェアNo.1※2を達成しました。基本コンセプトである「快速・快適・高画質」を追求し、キーデバイスであるCMOSセンサー、映像エンジン、および交換レンズを独自に開発しています。幅広い製品ラインアップに加え、多彩な表現を可能にする豊富な交換レンズ「EFレンズ」を揃え※3、多様なニーズに応え続けています。また、「EOS 6D Mark Ⅱ」、「EOS Kiss M」、「EF85mm F1.4L IS USM」、及び世界初のバウンス撮影※4の自動化機能を備えた「スピードライト470EX-AI」が、世界的に権威のある写真・映像関連の賞「TIPA アワード 2018」※5、及び「EISA アワード 2018-2019」※6の両賞を受賞しました。革新性・技術力・デザイン・使いやすさなどの観点で選定されました。
光学の可能性を広げるカメラ・レンズ、「EOS R」・「RFレンズ」で構成する新たなイメージングシステム「EOS Rシステム」を立ち上げました。新開発の「RFマウント」を採用し、レンズ設計の自由度を高める大きなマウント径とショートバックフォーカス※7、新マウント通信システムという特長を備え、さらなる高画質化と利便性の向上を実現します。今後、ラインアップを拡充し、撮影領域の拡大に貢献します。
デジタルシネマカメラにおいては、新開発の38.1×20.1mmフルサイズセンサーを搭載した「EOS C700 FF」が、最大5.9Kの豊かな映像情報を活用し、オーバーサンプリング※8による4K / 60P映像の本体内記録を可能としました。さらなる低ノイズ、15ストップを超える広い階調性、次世代放送規格「ITU-R BT.2020」を上回る色域を備えており、高画質な映像表現を実現します。
インクジェットプリンターにおいては、「WG7350F/WG7350FM」にて、A3ビジネスインクジェット複合機市場に本格参入しました。新開発「FINEラインヘッド」による最速80枚/分(A4・普通紙)の高速印刷と、両面同時読み取りADF(自動原稿送り装置)搭載による最速65ページ/分(A4横・両面)の高速スキャンが可能です。新開発インクの顔料が用紙表面に素早く定着するため、高濃度でくっきりと印字でき、高生産性と高画質印刷を実現します。また、CAD・ポスター市場向けの大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF TM」シリーズが、消音構造体の配置による印刷稼働音の低減や、用紙カット音の抑制など、新たな静音化技術により、高速印字を維持したまま、印刷稼動音約44dBを達成しました。従来機種と比べ稼動音を約60%※9削減し、少人数のオフィスやスペースに限りのある小規模な店舗でも、快適な大判プリント環境を実現します。
マルチメディアプロジェクターにおいては、ネイティブ4K解像度のLCOSパネルを搭載したレンズ交換式プロジェクター「4K6020Z/4K5020Z」が、独自のレーザー光源システムや照明光学システム「AISYS 4.2」により、世界最小・最軽量※10を実現しました。企業内のデザインレビューや美術館・博物館など高精細な表現力や高い色再現性を求められるシーンに活用できます。
放送機器においては、「UHD-DIGISUPER 122」が、4K放送用カメラ対応フィールドズームレンズとして世界最広角※11の広角端8.2mmから世界最長※11の望遠端1000mmの焦点距離で世界最高※11の122倍ズームを実現し、幅広いシーンで4K撮影ニーズに対応します。レンズの最適配置や高度な部品精度・組み立て精度を追求することで、4Kを超える高い光学性能を達成しており、画面中心から周辺部の隅々まで、高い解像力と高いコントラストを実現する高精細な映像撮影ができます。
当事業セグメントに係る研究開発費は、85,626百万円であります。

※2 2018年3月現在(当社調べ)
※3 合計93種類(エクステンダー2種類、海外モデル2種類、EFシネマレンズ14種類を含む) 2018年3月現在
※4 天井にストロボの照射光を反射させることで、背景まで広く光を回し自然な仕上がりの撮影を楽しむことができる撮影手法
※5 2018年4月 TIPA:Technical Image Press Association (欧州を中心とした14カ国・地域のカメラ、ビデオなどの分野における主要な専門誌、30誌が加盟している業界団体)より24年連続受賞、他に「EOS Kiss X9」、「PowerShot G1 X MarkⅢ」が同時受賞
※6 2018年8月 EISA:European Imaging and Sound Association (27カ国・地域のカメラ、ビデオ、オーディオなどの専門誌約53誌が加盟している欧州を代表する業界団体)より30年連続受賞
※7 無限遠に焦点を合わせたときの、レンズの最後のガラス面の頂点から撮像面までの光軸上の距離が短いこと
※8 記録画素よりも大きなデータから、記録映像を生成する手法
※9 普通紙、線画・文字、標準モードにて「TM-305/TM-300/TM-300 MFP」と従来機種「iPF780(2014年7月発売)/iPF770 School(2015年8月発売)/iPF770 MFP-2(2017年10月発売)」と比較した場合
※10 レーザー光源を搭載したネイティブ4K解像度6000lm/5000lmクラスのプロジェクターにおいて 2018年11月現在(当社調べ)
※11 2/3型センサー搭載の4K放送用カメラ対応フィールドズームレンズにおいて 2018年9月現在(当社調べ)

Ⅲ.メディカルシステムビジネスユニット
CT装置においては、AIを用いて設計したCTの画像再構成技術「AiCE (Advanced Intelligent Clear-IQ Engine) 」を開発し、「Aquilion Precision」及び「Aquilion ONE /GENESIS Edition」に搭載しました。ディープニューラルネットワークを用いてノイズ成分とシグナル成分を識別する処理を、CTの画像再構成に適用したもので、CT装置が持つ最大限の分解能を引き出しながら、高いノイズ低減効果を短い画像再構成時間※12で得られるため、より低被ばくで高画質なCT検査を提供することができます。また、内閣総理大臣表彰「第7回ものづくり日本大賞」において、「臓器の立体かつ動きを撮影でき、低被ばくで環境に優しい、4次元X線CT技術」が経済産業大臣賞を受賞※13しました。臓器の動きを4次元(3D+時間差)撮影で捉えることで、従来の臓器の形を診る形態診断から、機能を診る機能診断を可能とし、医師の診断に貢献したことが評価されました。
MRI装置においては、1.5テスラ「Vantage Orian」が、3テスラ装置で培った高画質化技術に加え、新たに開発した信号収集効率化による高速撮像技術や理想的な傾斜磁場波形を生成する高精度デジタル制御技術、SNRを向上する電子ノイズ低減技術、クラストップの消費電力削減※14技術を搭載しました。高度な臨床性能と高い採算性を両立し、病院経営に貢献します。
公益社団法人発明協会が主催する2018年度全国発明表彰において、「複数の基本波の差周波と第2高調波を利用する超音波診断装置の発明(特許第4557573号)」で「文部科学大臣賞」を受賞※15しました。従来は映像化できなかった深部の組織を高解像度で映像化する技術で、病変の早期発見が可能となると共に、消化管や筋肉・腱の高解像度の映像化により、新たな診断を確立しました。また、超音波診断装置においては、「Xario g-series」が、最大8時間の連続駆動※16が可能な大容量バッテリーの搭載やスマートスタンバイモードによるわずか2秒の高速起動、周辺機器とのワイヤレス接続など、高い機動性を備えており、手軽に院内を移動して迅速に検査することができます。
当事業セグメントに係る研究開発費は、38,421百万円であります。

※12 最速で従来の1/5程度
※13 2018年1月
※14 2018年4月現在(当社調べ)
※15 2018年5月 他に「撮像面位相差オートフォーカス方式を実現するイメージセンサの発明(特許第4500434 号)」が「内閣総理大臣賞」を受賞
※16 「Xario 200G」のみ、「Xario 100G」は最大4時間

Ⅳ.産業機器その他ビジネスユニット
半導体露光装置においては、最先端の半導体デバイスをより低コストで実現する、ナノインプリント半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」により、量産現場にて実デバイスの良品率向上に取り組んでいます。ナノレベルでの欠陥制御、重ね合わせ精度向上など数々の技術的課題を克服し、世界初となるナノインプリント技術を用いた半導体デバイスの量産化に向けた検証を進めています。
FPD露光装置においては、第8世代ガラス基板サイズ※17 に対応した「MPAsp-H1003T」が、新たに開発したミラー光学系、及び独自の加工技術により、解像力2.0 マイクロメートル(Line and Space)での一括露光範囲を65 型まで広げました。これにより、従来機種と比較して露光のタクトタイムを約37%短縮※18 しており、Ultra HD Premium※19に認定される高品位な65 型パネルを、高い生産性で量産できます。
ネットワークカメラにおいては、「ME20F-SHN」が、画素部および読み出し回路に独自技術を搭載したCMOS センサーにより、超高感度と低ノイズを両立しました。これまでのネットワークカメラでは難しかった低照度環境下での映像撮影が可能※20となり、夜間の重要施設、河川・国境や、災害現場などのモニタリングで威力を発揮します。また、7月に完全子会社化したブリーフカム社の映像要約技術を活用した映像解析ソフトウエア「BriefCam」が、オリジナル映像の約3~5%の時間に映像を短縮し、さまざまな条件での検索※21と、必要な映像へ瞬時のアクセスを可能とします。複数映像を同時に検索可能な「マルチカメラサーチ」、人物・車両の「サムネイル表示(一覧表示)」などの新機能を搭載することにより、映像分析のさらなる効率化を実現します。
宇宙関連分野においては、低価格・高性能・短納期を目指す小型地球観測衛星「CE-SAT-I」の実証実験を進めています。衛星内部にデジタル一眼レフカメラと直径約400mmの反射鏡を組み合わせた光学的画像処理システムを搭載し、地上500kmの軌道上から6km×4kmのフレームサイズで0.9mの地上分解能画像を取得できます。世界的に高まりつつある小型人工衛星打上げの需要に応えるべく、本格的な事業化へ向けた取り組みを加速していきます。
当事業セグメントに係る研究開発費は、71,996百万円であります。

※17 2,200×2,500mmサイズのガラス基板で、主にテレビ用ディスプレイの製造に用いられる
※18 第8世代ガラス基板で65型を3パネル露光するタクトタイムの比較において
※19 Ultra High Definitionプラットフォームの統合された基準を作るために設立されたUHD Allianceが定める基準をすべて満たしたディスプレイなどに与えられる認定名称
※20 最低被写体照度0.0005ルクス、星明かりなどの非常にわずかな光でもカラー撮影が可能
※21 人物や乗り物、大きさ、速度、方向、色など

また、各事業セグメントに配分できない基礎研究に係る研究開発費は31,832百万円であります。

注:製品名は日本国内での名称です。


事業等のリスク株式の総数等


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