有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100H15K
プレシジョン・システム・サイエンス株式会社 事業等のリスク (2019年6月期)
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年9月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) DNA自動抽出装置等への依存について
当社グループの売上高の本装置への依存度は61.5%(2019年6月期)と高くなっております。そのため、当社グループの業績は、ユーザーの本装置への需要の変化、本装置の他社製品との競合状況の影響を受けることが予測されます。
また、本装置はOEM販売(相手先ブランドによる販売)を中心に展開しており、その販売力に依存しているため、当社グループにおける経営計画の策定根拠の中に不確実性が相当程度含まれることは否めません。また、同様の理由により、過年度の経営成績だけでは、今後の当社グループ業績の判断材料としては不十分な面があると考えられます。
当社グループは、3ヶ年の中期事業計画を策定し、臨床診断分野での利用を目的とした新製品群の事業展開により、事業規模の拡大とDNA自動抽出装置等への依存度低下を図っております。新製品群の中の全自動遺伝子検査装置「geneLEAD」につきましては、OEM先であるエリテック社との間で2015年9月の市場投入が開始されました。また、当該装置で使用するDNA抽出試薬についても、大館試薬センターにおける生産体制を拡充しております。しかし、新製品群の事業展開が当社グループの期待どおりに進捗しない場合は、引続きDNA自動抽出装置等への依存度が高水準で推移することになり、上記に記載した不確実性等が継続することになります。
さらに、今後当社グループが予想しない支出、投資などが発生し、当社グループの事業戦略が変更される又は経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 特定の販売先への依存について
当社グループ売上高のうち、エリテックグループ、ロシュグループ、キアゲングループ向けの売上高が50.5%(2019年6月期)を占めております。
当社グループにとって、上記3グループはいずれも安定的な取引先であると認識しておりますが、このような関係が今後とも継続するという保証はなく、また、当社グループの事業戦略及び経営成績は、上記3グループの経営成績や財政状態、事業戦略により重大な影響を受ける可能性があります。
上記(1) で記載したように、当社グループは新製品群による事業展開により事業規模の拡大を図り、これに伴い販売先の多様化を図っております。しかし、新製品群の事業展開が当社グループの期待どおりに進捗しない場合は、引続き当該3グループへの依存度が相当程度を占めることになります。
(3) OEM契約について
当社グループは、DNA自動抽出装置等について、現在、複数の会社とOEM契約を締結しております。いずれの会社とのOEM契約も、供給先試薬メーカー向けにカスタマイズした製品に関してはOEM供給先が独占的に購入するという契約内容となっておりますが、原則、当社グループがスタンダード製品等の自社製品を製作・販売・供給することについては何ら制限しておりません。したがって、当社グループが他社に対して自社製品を製作・販売することや他の試薬メーカー等とOEM契約を結ぶことは現時点では制限されておりません。
上記のとおり、DNA自動抽出装置等に関する当社グループの販売活動はOEM先に依存しております。各契約の内容については、将来的に見直し又は解消が行われる可能性があります。仮にこれらの各契約が将来において見直しあるいは解消された場合、現段階では特定のOEM供給先に対する売上依存度が高いことから、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしては、より多くのOEM先を確保し、事業拡大及びリスク低減を図るべく、今後とも努める方針でありますが、当社グループのOEM先確保が計画どおり進展するという保証はありません。
(4) 大館試薬センターにおける設備投資について
当社グループは、装置の組立て等を外注先に生産委託していることもあり、これまで大規模な生産設備を保有していませんでした。しかし、新製品群による事業展開の一環として試薬の供給体制を拡充する必要性から、2014年6月に大館試薬センターを設立、同年11月より本格的稼働を開始して、さらに生産能力を増強するための投資を計画しております。
当社グループとしましては、販売先の需要動向をヒアリング等しながら、需要に見合う設備投資として慎重に行っていく方針であります。しかし、試薬販売が当社グループの期待どおりに拡大しなかった場合は、稼働率低下による固定費の負担が増加し、さらには固定資産の減損損失を計上するリスクがあります。
(5) 為替リスクについて
当社グループの海外売上高は3,395百万円となっており、売上高の77.5%(2019年6月期)を占めております。海外売上高の大半は欧米のOEM先向けのものであり、その取引価格はユーロ建、ドル建、円建価格のものが混在しております。価格に対する為替の影響については、概ねその為替差損益について両社で折半し、取引価格に加減算する契約となっておりますが、いずれにせよ為替変動の影響を受けるものとなっております。
当社グループは、為替変動の影響を極力排除する目的から、ロシュグループ向け及びキアゲングループ向けプラスチック消耗品の一部につき、欧州子会社にて外注先を利用した現地生産・販売をしておりますが、海外売上高の構成比は高く、為替動向によっては当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。
(6) 特定の仕入先、外注先への依存について
当社グループは、自社でハードウェア設計を行いますが、上記(4) で記載した大館試薬センターの拡充計画はあるものの、現時点においては大規模な製造設備を持たず人員的にも少人数のため、一部の製品を子会社で製造していることを除き、原則、製造にあたっては外注先を活用しております。外注先に関しては、一部の消耗品に関しては海外現地生産を実施しておりますが、更なる多様化を進めていく方針であります。
なお、これらの外注先の経営状態、生産能力、品質管理能力その他の理由により、適切な時期に装置を製造することができない場合又は当社グループとこれらの外注先との関係に変化が生じた場合、当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 遺伝子関連業界の将来性について
当社グループは、国内外の遺伝子関連業界(バイオ市場)において、DNA自動抽出装置等を製造販売しております。当社グループは、当社グループが属するこれらのバイオ市場は今後とも拡大していくものと予想しておりますが、これらの市場は未だ黎明期にあり、既に確立されたものではありません。その動向については不明確かつ不確実な部分も極めて多く、客観的な情報が著しく乏しいのが現状であります。従いまして、今後必ずしも当社グループの予測どおりに市場が進展するという保証があるものではありません。
(8) 法的規制について
医療用機器の取扱いに関しては、研究用機器とは異なる多くの規制が存在しますが、国内と海外においてこの取扱いは異なっております。
国内において、当社は医療機器製造販売業許可(第三種)/製造業登録/修理業許可/販売業許可を受けております。当社グループの提供するDNA自動抽出装置等の中には、医療機器として届出したものもございます。また将来はPCR試薬の事業展開を行う方針のため、体外診断用医薬品製造販売業許可/製造業登録を受けており、試薬の製造を行うダイアジェノード社(ベルギー)は体外診断用医薬品外国製造業者として登録を受けております。
海外において、当社グループのDNA自動抽出装置等は、欧州において体外診断用医療機器としてのCE-IVDマーキングを取得しております。また、中国においては、核酸抽出装置を医療機器として届出しました。
当社グループは、今後、遺伝子抽出から診断までの一貫自動化システムに各種試薬も搭載し、臨床検査分野に進出する方針であるため、必要な許認可の取得を進めて参りましたが、当社グループがこれを維持できるという保証はありません。仮に維持できない場合には、国内/海外の臨床診断マーケットという大市場を逸し、当社グループの事業計画及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社グループの事業に対して将来新たな法的規制が課された場合、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 研究開発活動について
当社グループの属する遺伝子関連業界は、未だ黎明期にあって技術革新がめまぐるしい業界であります。こういった市場変化にきめ細かく対応するためには、小回りの利く柔軟な組織体を持ち、特許戦略を適確に推進しながら、ターゲットを絞った研究開発テーマに迅速に取り組むことが極めて重要であります。変化が激しく流動的な市場であるからこそ、当社グループのようなベンチャー企業でも並居る大手企業に伍して市場の覇権を握るチャンスが十分にあると考えています。
その実現のために当社グループでは、市場の需要を先読みした完成度の高い製品を先行販売し、それがもたらすデファクト・スタンダード化の実現に重点を置いた研究開発活動を推進すべきと考えております。
現在、当社グループでは、上記を踏まえた研究開発プロジェクトを推進しておりますが、これらをはじめとした研究開発活動には多額の資金と効果的な設備、そして多くの優秀な人材を要するものであります。そのため、当社グループは今後とも、かかる経営資源の一層の充実・確保に務める方針です。しかしながら、かかる経営資源の確保や研究開発活動が当社グループの計画どおりに順調に行われるという保証はなく、また、技術環境等の変化如何によっては、各プロジェクトの目指す開発目標が変更を余儀なくされ、当社グループの企業体力に比べて適正な規模や内容ではなくなる可能性があります。そのような場合、研究開発プロジェクトの遅延につながることとなり、投下資本の回収に遅れを生じたり、過重な有利子負債を抱える可能性があるほか、当社グループが業界の技術革新に乗り遅れる結果として、当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 国内外の顧客対応及び競合について
遺伝子関連業界において、現時点におけるマーケットの中心は米国、欧州にあります。したがって、当社グループ製品もその需要を海外に求める必要があり、現実に日本からの輸出が先行した事業展開となっております。当社グループとしては、国内外を問わず今後更なる事業展開を図るため、自社販売製品のメンテナンス体制及びOEM量産機種及びプラスチック消耗品の現地生産を重要な課題と認識し、欧米市場向け製品供給体制の強化に取り組んでおります。ただし、現地国の国情や法令制度あるいは取引慣行等の諸事情により、国内外への事業展開が当社グループの計画どおり進展しない可能性があり、この場合、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を与える可能性があります。また、このように当社グループの属する市場が国内外を問わないことから、日本国内のみならず世界中の同業他社との競合が発生し激化する可能性があります。かかる国内外での競合が当社グループの事業計画又は経営成績に影響を与えることは十分予測されるところであります。
(11) 知的財産権について
① 当社の特許戦略について
当社グループは、主として遺伝子、免疫、タンパク質等の自動測定システムや試薬の要素技術に関し、国内外で多くの特許出願、意匠出願、商標登録出願を行っております。それらの要素技術の特許を取得し、当社製品のオリジナリティーを確保し、新しい事業と分野を切り開いて行くことは、当社グループ事業基盤にとって極めて重要性が高いものと考えております。
しかしながら、遺伝子関連業界においては、日々新しい技術の開発が進められています。したがって、当社グループが当社グループの技術を特許権等により保全したとしても、例えば当社の主力製品であるDNA抽出に関する新たな概念の技術が発明され、当社グループの特許技術が淘汰されるリスクは常に存在しております。仮に、当社グループの技術を超えるような優れた他の技術が開発された場合、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、産業や事業における特許制度の趣旨やその影響について常に考慮し、他社の特許を侵害しないよう十分な調査を行い、必要な場合は正式にライセンス契約締結を行う等知的財産上の問題を発生させないための努力を行ってまいります。
② 知的財産権に関する訴訟、クレームについて
当連結会計年度末現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。
当社グループでは、知的財産権に関する問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては特許事務所を活用して知的財産権の侵害等に関する事前調査を行っておりますが、当社グループのような技術開発型企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。
また、仮に当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、個別ケースに応じて法的対応策を考えていく方針でありますが、当該第三者の主張に正当性があるなしにかかわらず、その解決に多大な時間と費用を要する可能性があり、場合によっては当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、競争が激しいバイオ関連市場でオリジナル技術を核に事業拡大していくため積極的な研究開
発活動を行っているほか、売上拡大を目指し自社販売網の確立にも注力しております。その結果、これら先行投
資により、継続的に営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスが生じた結果として、継続企業の前提に重要
な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
しかしながら当社グループは、2019年6月期決算において営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純
利益を計上しています。また、直近の資金調達により2017年5月15日には株式会社日立ハイテクノロジーズと資
本業務提携契約を締結して資本増強と、そして2018年8月27日に契約締結をして、第三者割当された新株予約権
の権利行使に伴う新株発行による資金調達により、当連結会計年度末の手元資金(現金及び預金)残高は1,845
百万円と財務基盤は安定しています。このため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
当社グループでは、当該状況を解消ならびに事業拡大に向けた中期事業計画の方針として、①既存OEM取引の
深耕及び新規OEM契約の獲得、②自社製品のラインアップの充実と販売強化、③試薬・試薬ビジネスをはじめとする製品コストダウンによる利益率の向上を掲げ、売上拡大と利益確保を目指してまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年9月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) DNA自動抽出装置等への依存について
当社グループの売上高の本装置への依存度は61.5%(2019年6月期)と高くなっております。そのため、当社グループの業績は、ユーザーの本装置への需要の変化、本装置の他社製品との競合状況の影響を受けることが予測されます。
また、本装置はOEM販売(相手先ブランドによる販売)を中心に展開しており、その販売力に依存しているため、当社グループにおける経営計画の策定根拠の中に不確実性が相当程度含まれることは否めません。また、同様の理由により、過年度の経営成績だけでは、今後の当社グループ業績の判断材料としては不十分な面があると考えられます。
当社グループは、3ヶ年の中期事業計画を策定し、臨床診断分野での利用を目的とした新製品群の事業展開により、事業規模の拡大とDNA自動抽出装置等への依存度低下を図っております。新製品群の中の全自動遺伝子検査装置「geneLEAD」につきましては、OEM先であるエリテック社との間で2015年9月の市場投入が開始されました。また、当該装置で使用するDNA抽出試薬についても、大館試薬センターにおける生産体制を拡充しております。しかし、新製品群の事業展開が当社グループの期待どおりに進捗しない場合は、引続きDNA自動抽出装置等への依存度が高水準で推移することになり、上記に記載した不確実性等が継続することになります。
さらに、今後当社グループが予想しない支出、投資などが発生し、当社グループの事業戦略が変更される又は経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 特定の販売先への依存について
当社グループ売上高のうち、エリテックグループ、ロシュグループ、キアゲングループ向けの売上高が50.5%(2019年6月期)を占めております。
当社グループにとって、上記3グループはいずれも安定的な取引先であると認識しておりますが、このような関係が今後とも継続するという保証はなく、また、当社グループの事業戦略及び経営成績は、上記3グループの経営成績や財政状態、事業戦略により重大な影響を受ける可能性があります。
上記(1) で記載したように、当社グループは新製品群による事業展開により事業規模の拡大を図り、これに伴い販売先の多様化を図っております。しかし、新製品群の事業展開が当社グループの期待どおりに進捗しない場合は、引続き当該3グループへの依存度が相当程度を占めることになります。
(3) OEM契約について
当社グループは、DNA自動抽出装置等について、現在、複数の会社とOEM契約を締結しております。いずれの会社とのOEM契約も、供給先試薬メーカー向けにカスタマイズした製品に関してはOEM供給先が独占的に購入するという契約内容となっておりますが、原則、当社グループがスタンダード製品等の自社製品を製作・販売・供給することについては何ら制限しておりません。したがって、当社グループが他社に対して自社製品を製作・販売することや他の試薬メーカー等とOEM契約を結ぶことは現時点では制限されておりません。
上記のとおり、DNA自動抽出装置等に関する当社グループの販売活動はOEM先に依存しております。各契約の内容については、将来的に見直し又は解消が行われる可能性があります。仮にこれらの各契約が将来において見直しあるいは解消された場合、現段階では特定のOEM供給先に対する売上依存度が高いことから、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしては、より多くのOEM先を確保し、事業拡大及びリスク低減を図るべく、今後とも努める方針でありますが、当社グループのOEM先確保が計画どおり進展するという保証はありません。
(4) 大館試薬センターにおける設備投資について
当社グループは、装置の組立て等を外注先に生産委託していることもあり、これまで大規模な生産設備を保有していませんでした。しかし、新製品群による事業展開の一環として試薬の供給体制を拡充する必要性から、2014年6月に大館試薬センターを設立、同年11月より本格的稼働を開始して、さらに生産能力を増強するための投資を計画しております。
当社グループとしましては、販売先の需要動向をヒアリング等しながら、需要に見合う設備投資として慎重に行っていく方針であります。しかし、試薬販売が当社グループの期待どおりに拡大しなかった場合は、稼働率低下による固定費の負担が増加し、さらには固定資産の減損損失を計上するリスクがあります。
(5) 為替リスクについて
当社グループの海外売上高は3,395百万円となっており、売上高の77.5%(2019年6月期)を占めております。海外売上高の大半は欧米のOEM先向けのものであり、その取引価格はユーロ建、ドル建、円建価格のものが混在しております。価格に対する為替の影響については、概ねその為替差損益について両社で折半し、取引価格に加減算する契約となっておりますが、いずれにせよ為替変動の影響を受けるものとなっております。
当社グループは、為替変動の影響を極力排除する目的から、ロシュグループ向け及びキアゲングループ向けプラスチック消耗品の一部につき、欧州子会社にて外注先を利用した現地生産・販売をしておりますが、海外売上高の構成比は高く、為替動向によっては当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。
(6) 特定の仕入先、外注先への依存について
当社グループは、自社でハードウェア設計を行いますが、上記(4) で記載した大館試薬センターの拡充計画はあるものの、現時点においては大規模な製造設備を持たず人員的にも少人数のため、一部の製品を子会社で製造していることを除き、原則、製造にあたっては外注先を活用しております。外注先に関しては、一部の消耗品に関しては海外現地生産を実施しておりますが、更なる多様化を進めていく方針であります。
なお、これらの外注先の経営状態、生産能力、品質管理能力その他の理由により、適切な時期に装置を製造することができない場合又は当社グループとこれらの外注先との関係に変化が生じた場合、当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 遺伝子関連業界の将来性について
当社グループは、国内外の遺伝子関連業界(バイオ市場)において、DNA自動抽出装置等を製造販売しております。当社グループは、当社グループが属するこれらのバイオ市場は今後とも拡大していくものと予想しておりますが、これらの市場は未だ黎明期にあり、既に確立されたものではありません。その動向については不明確かつ不確実な部分も極めて多く、客観的な情報が著しく乏しいのが現状であります。従いまして、今後必ずしも当社グループの予測どおりに市場が進展するという保証があるものではありません。
(8) 法的規制について
医療用機器の取扱いに関しては、研究用機器とは異なる多くの規制が存在しますが、国内と海外においてこの取扱いは異なっております。
国内において、当社は医療機器製造販売業許可(第三種)/製造業登録/修理業許可/販売業許可を受けております。当社グループの提供するDNA自動抽出装置等の中には、医療機器として届出したものもございます。また将来はPCR試薬の事業展開を行う方針のため、体外診断用医薬品製造販売業許可/製造業登録を受けており、試薬の製造を行うダイアジェノード社(ベルギー)は体外診断用医薬品外国製造業者として登録を受けております。
海外において、当社グループのDNA自動抽出装置等は、欧州において体外診断用医療機器としてのCE-IVDマーキングを取得しております。また、中国においては、核酸抽出装置を医療機器として届出しました。
当社グループは、今後、遺伝子抽出から診断までの一貫自動化システムに各種試薬も搭載し、臨床検査分野に進出する方針であるため、必要な許認可の取得を進めて参りましたが、当社グループがこれを維持できるという保証はありません。仮に維持できない場合には、国内/海外の臨床診断マーケットという大市場を逸し、当社グループの事業計画及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社グループの事業に対して将来新たな法的規制が課された場合、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 研究開発活動について
当社グループの属する遺伝子関連業界は、未だ黎明期にあって技術革新がめまぐるしい業界であります。こういった市場変化にきめ細かく対応するためには、小回りの利く柔軟な組織体を持ち、特許戦略を適確に推進しながら、ターゲットを絞った研究開発テーマに迅速に取り組むことが極めて重要であります。変化が激しく流動的な市場であるからこそ、当社グループのようなベンチャー企業でも並居る大手企業に伍して市場の覇権を握るチャンスが十分にあると考えています。
その実現のために当社グループでは、市場の需要を先読みした完成度の高い製品を先行販売し、それがもたらすデファクト・スタンダード化の実現に重点を置いた研究開発活動を推進すべきと考えております。
現在、当社グループでは、上記を踏まえた研究開発プロジェクトを推進しておりますが、これらをはじめとした研究開発活動には多額の資金と効果的な設備、そして多くの優秀な人材を要するものであります。そのため、当社グループは今後とも、かかる経営資源の一層の充実・確保に務める方針です。しかしながら、かかる経営資源の確保や研究開発活動が当社グループの計画どおりに順調に行われるという保証はなく、また、技術環境等の変化如何によっては、各プロジェクトの目指す開発目標が変更を余儀なくされ、当社グループの企業体力に比べて適正な規模や内容ではなくなる可能性があります。そのような場合、研究開発プロジェクトの遅延につながることとなり、投下資本の回収に遅れを生じたり、過重な有利子負債を抱える可能性があるほか、当社グループが業界の技術革新に乗り遅れる結果として、当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 国内外の顧客対応及び競合について
遺伝子関連業界において、現時点におけるマーケットの中心は米国、欧州にあります。したがって、当社グループ製品もその需要を海外に求める必要があり、現実に日本からの輸出が先行した事業展開となっております。当社グループとしては、国内外を問わず今後更なる事業展開を図るため、自社販売製品のメンテナンス体制及びOEM量産機種及びプラスチック消耗品の現地生産を重要な課題と認識し、欧米市場向け製品供給体制の強化に取り組んでおります。ただし、現地国の国情や法令制度あるいは取引慣行等の諸事情により、国内外への事業展開が当社グループの計画どおり進展しない可能性があり、この場合、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を与える可能性があります。また、このように当社グループの属する市場が国内外を問わないことから、日本国内のみならず世界中の同業他社との競合が発生し激化する可能性があります。かかる国内外での競合が当社グループの事業計画又は経営成績に影響を与えることは十分予測されるところであります。
(11) 知的財産権について
① 当社の特許戦略について
当社グループは、主として遺伝子、免疫、タンパク質等の自動測定システムや試薬の要素技術に関し、国内外で多くの特許出願、意匠出願、商標登録出願を行っております。それらの要素技術の特許を取得し、当社製品のオリジナリティーを確保し、新しい事業と分野を切り開いて行くことは、当社グループ事業基盤にとって極めて重要性が高いものと考えております。
しかしながら、遺伝子関連業界においては、日々新しい技術の開発が進められています。したがって、当社グループが当社グループの技術を特許権等により保全したとしても、例えば当社の主力製品であるDNA抽出に関する新たな概念の技術が発明され、当社グループの特許技術が淘汰されるリスクは常に存在しております。仮に、当社グループの技術を超えるような優れた他の技術が開発された場合、当社グループの事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、産業や事業における特許制度の趣旨やその影響について常に考慮し、他社の特許を侵害しないよう十分な調査を行い、必要な場合は正式にライセンス契約締結を行う等知的財産上の問題を発生させないための努力を行ってまいります。
② 知的財産権に関する訴訟、クレームについて
当連結会計年度末現在において、当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。
当社グループでは、知的財産権に関する問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては特許事務所を活用して知的財産権の侵害等に関する事前調査を行っておりますが、当社グループのような技術開発型企業にとって、このような知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。
また、仮に当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、個別ケースに応じて法的対応策を考えていく方針でありますが、当該第三者の主張に正当性があるなしにかかわらず、その解決に多大な時間と費用を要する可能性があり、場合によっては当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、競争が激しいバイオ関連市場でオリジナル技術を核に事業拡大していくため積極的な研究開
発活動を行っているほか、売上拡大を目指し自社販売網の確立にも注力しております。その結果、これら先行投
資により、継続的に営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスが生じた結果として、継続企業の前提に重要
な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
しかしながら当社グループは、2019年6月期決算において営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純
利益を計上しています。また、直近の資金調達により2017年5月15日には株式会社日立ハイテクノロジーズと資
本業務提携契約を締結して資本増強と、そして2018年8月27日に契約締結をして、第三者割当された新株予約権
の権利行使に伴う新株発行による資金調達により、当連結会計年度末の手元資金(現金及び預金)残高は1,845
百万円と財務基盤は安定しています。このため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
当社グループでは、当該状況を解消ならびに事業拡大に向けた中期事業計画の方針として、①既存OEM取引の
深耕及び新規OEM契約の獲得、②自社製品のラインアップの充実と販売強化、③試薬・試薬ビジネスをはじめとする製品コストダウンによる利益率の向上を掲げ、売上拡大と利益確保を目指してまいります。
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