有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100G5KA
株式会社みずほフィナンシャルグループ 事業等のリスク (2019年3月期)
本項は、当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項や、リスク要因に該当しない事項であっても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項について記載しています。これらのリスクは互いに独立するものではなく、ある事象の発生により複数のリスクが増大する可能性があります。なお、当社は、これらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生を回避するための施策を講じるとともに、発生した場合には迅速かつ適切な対応に努める所存です。
なお、本項に含まれている将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
1.財務面に関するリスク
(1) 不良債権処理等に係るリスク
① 与信関係費用の増加等による追加的損失の発生
当社グループは、多くの与信先についてメインバンクとなっているとともに、相当程度大口の与信先があります。また、与信先の業種については分散に努めておりますが、製造業、不動産業、金融・保険業向けの与信の割合が相対的に高い状況にあります。
当社グループは、個々の与信先の信用状態や再建計画の進捗状況を継続的にモニタリングするとともに、企業グループやリスク事象発現時に影響が想定される特定業種への与信集中状況等を定期的にモニタリングするポートフォリオ管理を実施しているほか、クレジットデリバティブの活用によるヘッジ及び信用リスクの減殺を行っております。また、与信先から差入れを受けている担保や保証の価値についても定期的に検証しております。
しかしながら、国内外のクレジットサイクルの変調、特定の業界における経営環境の変化、不動産等の資産価格下落等によっては、想定を超える新たな不良債権の発生、メインバンク先や大口与信先の信用状態の急激な悪化、特定の業界の与信先の信用状態の悪化、担保・保証の価値下落等が生じる可能性があります。こうした事象によって、与信関係費用が増加する等追加的損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 貸倒引当金の状況
当社グループは、自己査定基準、償却・引当基準に基づき、与信先の状況、差入れられた担保の価値及び経済動向を考慮した上で、貸倒引当金を計上しております。
償却・引当の計上にあたっては、貸出資産を適正に評価し、市場売却を想定した厳正な担保評価を行っておりますが、国内外の経済情勢の悪化、与信先の業況の悪化、担保価値の下落等により、多くの与信先で貸倒引当金及び貸倒償却等の与信関係費用や不良債権残高が増加する可能性があり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 保有資産等の価格変動等に係るリスク
① 株価下落による追加的損失の発生
当社グループは、国内上場企業の普通株式を中心に、市場性のある株式を大量に保有しております。当社グループでは、「上場株式の政策保有に関する方針」を掲げ、株価変動リスクが財務状況に大きな影響を与えうることに鑑み、その保有の意義が認められる場合を除き、上場株式を政策保有しないことを基本方針としており、売却を計画的に進めております。また、必要に応じて部分的にヘッジを行うことによりリスク削減にも努めております。しかしながら、これらの保有株式の株価が下落した場合には評価損や売却損が発生する可能性があります。
また、当社グループの自己資本比率の計算においては、自己資本の算出にあたり、保有株式の含み損益を勘案していることから、株価が下落した場合には、自己資本比率が低下する可能性があります。
その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
「上場株式の政策保有に関する方針」及び政策保有株式の保有意義検証等の概要については、当社「コーポレートガバナンスに関する報告書」をご覧ください。
https://www.mizuho-fg.co.jp/company/structure/governance/pdf/g_report.pdf
② 金利の変動による追加的損失の発生
当社グループは、投資等を目的として国債をはじめとする市場性のある債券等を大量に保有しているため、金利上昇に伴う価格の下落により、評価損や売却損が発生する可能性があります。また、当社グループの金融資産と負債の間では満期等に違いがあるため、金利変動により損失が発生する可能性があります。当社グループは、厳格なリスク管理体制の下、必要に応じて債券の売却や銘柄の入れ替え、デリバティブ取引等によるヘッジを行う等、適切な管理を行っておりますが、金融政策の変更や、財政悪化等によるソブリンリスク顕在化、その他市場動向等により大幅に金利が変動した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 外国為替相場の変動による追加的損失の発生
当社グループは、資産及び負債の一部を米ドル等の外貨建てで有しております。外貨建ての資産と負債が通貨毎に同額ではなく互いに相殺されない場合には、その資産と負債の差額について、為替相場の変動により円貨換算額が変動し、評価損や実現損が発生する可能性があります。当社グループでは、必要に応じ適切なヘッジを行っておりますが、予想を超える大幅な為替相場の変動が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 保有資産の市場流動性低下による追加的損失の発生
当社グループは、市場で取引される様々な資産を保有しておりますが、金融市場の混乱等により保有資産の市場流動性が著しく低下し、その結果、保有資産の価値が下落する可能性があります。グローバルな金融市場混乱や経済・金融環境の悪化等により、保有資産の市場流動性が著しく低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 退職給付債務等の変動による追加的損失の発生
当社グループの退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、株式相場並びに金利環境の急変等により、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件に変更があった場合には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また、当社グループの退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 繰延税金資産に係る財務上の影響
繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得見積りを合理的に行った上で計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ ヘッジ目的等の金融取引に係る財務上の影響
ヘッジ目的等で利用するクレジットデリバティブや株式関連デリバティブ等の金融取引については、ヘッジ対象資産と会計上の取扱いや評価方法が異なる場合があります。そのため、市場の変動等により、ある特定の期間において、ヘッジ対象資産の評価が上昇しても、当該金融取引から損失のみが発生する場合があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 固定資産の減損に係るリスク
当社グループは、保有する有形固定資産及び無形固定資産について、現行の会計基準に従い減損会計を適用しておりますが、当該資産に係る収益性の低下や時価の下落等により、投資額の回収が見込めなくなった場合は減損損失を認識する可能性があります。減損損失を認識した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 資金調達等に係るリスク
① 資金調達が困難となることによる追加的損失の発生
当社グループの資金調達は、主に預金、債券発行及び市場からの調達により行っております。特に、外貨資金は、円貨資金に比べ市場からの調達の依存度が高くなっております。そのため、資金調達の安定性の観点から、市場からの調達上限額の設定や資金繰りの状況に応じた対応方針の策定等、厳格な管理を行っております。
しかしながら、国内外の景気悪化、金融システム不安、金融市場の混乱等により資金流動性が低下した場合、あるいは当社グループの業績や財務状況の悪化、格付の低下や風説・風評の流布等が発生し、予想外の資金流出が発生した場合には、資金調達コストの増加や、外貨資金調達等に困難が生じることがあり、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 格付引き下げによる悪影響
当社や銀行子会社等、当社グループの一部の会社は、格付機関から格付を取得しております。格付の水準は、当社グループから格付機関に提供する情報のほか、格付機関が独自に収集した情報に基づいています。また、日本国債の格付や日本の金融システム全体に対する評価等の影響も受けているため、常に格付機関による見直し・停止・取下げが行われる可能性があります。
仮に格付が引き下げられた場合には、資金調達コストの上昇や資金調達の困難化、市場関連取引における追加担保の提供、既存取引の解約等が発生する可能性があり、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
例えば、当社グループのデリバティブ契約に基づき格下げによる追加担保の金額を試算すると、他の条件が不変であれば、2019年3月末に1ノッチの格下げがあった場合は約37億円、2ノッチの格下げの場合は約90億円となります。
(4) 自己資本比率等に係るリスク
① 自己資本比率規制
当社グループには、2013年3月期より、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢテキスト(銀行の自己資本と流動性に係る国際的な基準の詳細を示すもの)に基づき金融庁の定める自己資本比率規制が段階的に適用されております。また、バーゼル銀行監督委員会は、2017年12月に、バーゼルⅢ規制の見直しに係る最終規則文書を公表しており、当該見直し後の規制は2022年から段階的に適用される予定です。
当社グループは、海外営業拠点を有しておりますので、連結自己資本比率を「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第20号)に定められる国際統一基準以上に維持する必要があります。また、当社の銀行子会社であるみずほ銀行及びみずほ信託銀行も、海外営業拠点を有しておりますので、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められる国際統一基準以上に維持する必要があります。
さらに、当社グループは、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)として選定されており、より高い水準の自己資本比率が求められることとなります。また、G-SIBsのグループ及び追加的に求められる資本水準は年次で更新されるため、今後、当社グループに対して更に高い資本水準が求められる可能性があります。
当社グループは、事業戦略と一体となったリスクアセット運用計画、資本の効率性並びに本項に示した各種リスクの状況等を踏まえ、適正かつ十分な水準の自己資本比率を維持することに努めておりますが、本項に示した各種リスクの顕在化や自己資本比率の計測手法の変更等により、当社グループや銀行子会社の自己資本比率が低下する可能性があります。また、自己資本比率規制においては、のれん及びその他の無形固定資産、繰延税金資産、金融機関等の資本調達手段の保有等、調整項目については所定の要件のもとで自己資本から控除されますが、かかる規制により、当社グループや銀行子会社の自己資本の額が減少し、自己資本比率が低下する可能性もあります。
仮に当社グループや銀行子会社の自己資本比率が一定基準を下回った場合には、自己資本比率の水準に応じて、金融庁から、社外流出の制限計画や資本の増強を含む改善計画の提出、さらには総資産の圧縮又は増加の抑制、一部の業務の縮小、子会社等の株式の処分、業務の全部又は一部の停止等の是正措置を求められる可能性があります。加えて、当社グループの一部銀行子会社は、米国その他の事業を行う諸外国において、自己資本比率規制を受けており、当該規制に抵触した場合には、現地当局から様々な規制及び命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② レバレッジ比率規制
2017年12月にバーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢ規制の見直しに係る最終規則文書において、レバレッジ比率規制の枠組みが最終化され、2019年3月に金融庁は、当該文書に基づくレバレッジ比率規制に係る府省令の一部改正及び関連する告示等を公表し、2019年3月31日より当社グループ及び当社の銀行子会社に対して一定比率以上のレバレッジ比率の維持を求めるレバレッジ比率規制の段階的な適用が開始されております。当該規制は、自己資本比率規制上の国際統一基準が適用される銀行持株会社及び銀行に対して、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率を一定比率以上に維持することを求めるものであり、当該規制により、仮に当社グループや当社の銀行子会社のレバレッジ比率が一定基準を下回った場合には、レバレッジ比率の水準に応じて、金融庁から、資本の増強に係る措置を含む改善計画の提出、さらには総資産の圧縮又は増加の抑制、一部の業務の縮小、子会社等の株式の処分、業務の全部又は一部の停止等の是正措置を求められる可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 総損失吸収力(TLAC)規制
2015年11月にFSBは、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)に対して、一定比率以上の総損失吸収力(TLAC)を求める最終文書を公表しており、2019年3月に金融庁は、当該文書に基づくTLAC規制に係る銀行法施行規則の一部改正及び関連する告示を公表し、2019年3月31日より当社グループ及び当社の主要子会社に対して本邦TLAC規制の段階的な適用が開始されております。当該規制は、当社グループを含むG-SIBsに対して、自己資本比率規制に加えて追加的に適用される規制であり、当該規制により、仮に当社グループや当社の主要子会社のTLAC比率が一定基準を下回った場合には、金融庁から、TLAC比率の向上に係る改善策の報告を求められる可能性や、業務改善命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 資本調達
普通株式等Tier1資本を除き、当社グループの資本調達(TLAC規制に対応した調達を含む)は、主に債券発行により行っております。しかしながら、当社グループの業績や財務状況の悪化、格付の低下や風説・風評の流布等が発生した場合、あるいは国内外の景気悪化、金融システム不安や金融市場の混乱等が生じた場合には、資本調達コストの増加や、十分な資本調達が出来ないことで企図した水準への自己資本比率等の向上が図れない等の事象が生じることがあり、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.業務面等に関するリスク
① システムリスクの顕在化による悪影響
当社グループは、勘定系・決済系等の巨大なコンピュータシステムを保有しており、国内外の拠点をはじめ、お客さまや各種決済機構等のシステムとグローバルなネットワークで接続されています。
当社グループは、日頃よりシステムの安定稼動の維持に努めるとともに、重要なシステムについては、原則としてバックアップを確保する等、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しております。また、株式会社みずほ銀行及びみずほ信託銀行株式会社は、お客さまへのサービス提供力の向上等を目的に、2018年6月から2019年7月にかけて、順次、次期勘定系システムへ移行しており、株式会社みずほ銀行は新システムへの移行を完了しました。2019年7月に予定している株式会社みずほ信託銀行における新システムへの移行にあたっては、移行作業期間中のオンラインサービスを休止するなど、安全・着実な移行に万全を期すための対応を行っております。
しかしながら、過失、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新等により重大なシステム障害が発生し、こうした対策が有効に機能しない可能性があります。システムリスクが顕在化した場合には、情報の流出、誤作動、業務の停止及びそれに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② サイバー攻撃等による悪影響
当社グループが保有する多くのシステムは、国内外の拠点をはじめ、お客さまや各種決済機構等のシステムと、グローバルなネットワークで接続されております。当社グループは、サイバー攻撃の高度化・裾野拡大を踏まえて、サイバーセキュリティ対策を経営の重要課題と認識し、経営主導のもと、サイバーセキュリティ戦略を策定するとともに、2018年6月には「サイバーセキュリティ経営宣言」を公表しています。
Mizuho-CIRT*1を中心に、高度なプロフェッショナル人材を配置し、統合SOC*2等による監視、ウイルス解析、多層的防御等の態勢強化に努めるとともに、人材育成、サプライチェーン対策、お客さまの意識啓発にも注力しております。
しかしながら、こうした強化策が奏功せず、サイバー攻撃によるサービス停止、データ改ざん、情報漏えい、不正送金が発生した場合には、それに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
*1 Cyber Incident Response Team
*2 Security Operation Center
③ 個人情報等の漏洩等の発生による悪影響
当社グループは、多数の法人・個人のお客さまの情報を保有しているほか、様々な内部情報を有しております。特に、個人情報については、情報の漏洩や不正なアクセスを防止するため、個人情報保護法の下で、より厳格な管理が要求されております。当社においても情報管理に関するポリシーや事務手続等を策定しており、役職員等に対する教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策等を行い、外部委託先についても同様に情報管理態勢を監督しておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。今後、仮に重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策上の不備に係るリスク
金融犯罪が多様化かつ高度化し、世界各所でテロ犯罪が継続的に発生する等、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(以下、「マネロン対策」という。)の重要性が急速に高まる中、我が国のマネロン対策に関する法規制の遵守状況及び対策の実効性を審査するFATF第4次対日相互審査が2019年に実施される予定です。かかる審査も踏まえ、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」が本邦金融当局から発出されるなど、金融機関のマネロン対策の強化が課題となっています。当社グループは、国内外において事業活動を行う上で、国内外の法令諸規制の適用及びそれに基づく国内外の金融当局の監督を受けており、当社グループでは、国内外の法令諸規制を遵守する態勢を整備するとともに、マネロン対策の更なる強化を継続的に実施しております。
しかしながら、マネロン対策が有効に機能せず、仮に法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 米国国務省によりテロ支援国家と指定された国に所在する者との取引に関するリスク
米国法上、米国人は、米国国務省によりテロ支援国家と指定された国(イラン、スーダン、シリア、北朝鮮。以下、「指定国」という。)と事業を行うことが一般的に禁止されており(スーダンは2017年10月に一部規制解除)、当社グループは、関係する米国法を遵守する態勢を整備しております。但し、米国外の拠点において、関係法令の遵守を前提に、顧客による輸出入取引に伴う貿易金融やコルレス口座の維持等、指定国に関連する業務を限定的に行っております。なお、イランには、駐在員事務所を設置しています。指定国に関係するこれらの業務は、当社グループ全体の事業、業績及び財務状態に比し小規模であり、また、関係する日本及び米国の法令を遵守する態勢を整備しております。
指定国が関与する取引に関わる規制は今後強化もしくは改定されていく可能性があり、当社グループの法令遵守態勢が米国における規制に十分対応できていないと米国政府に判断された場合には、当社グループの業務運営に悪影響を及ぼすような、米国政府による何らかの規制上の措置の対象となる可能性があります。また、顧客や投資家を失う、ないしは当社グループのレピュテーションが毀損することで、当社グループの事業又は当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 不公正な市場取引に係るリスク
当社グループは、国内外において市場業務を行う上で、不公正な市場取引に係る本邦及び他国の法令諸規制や取引所規則等の適用とともに国内外の金融当局の監督を受けております。
当社グループは、不公正な市場取引に係る法令諸規制や取引所規則等が遵守されるよう、役職員に対するコンプライアンスの徹底やコンプライアンス・リスク管理等を行っておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。
今後、仮に不公正な市場取引に係る法令諸規制の違反等が発生した場合には、関係当局からの処分やレピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 法令違反等の発生による悪影響
当社グループは、国内において事業活動を行う上で、会社法や独占禁止法等、会社経営に係る一般的な法令諸規制や、銀行法、金融商品取引法、信託業法等の金融関連法令諸規制の適用、さらには金融当局の監督を受けております。また、海外での事業活動については、それぞれの国や地域の法令諸規制の適用とともに金融当局の監督を受けております。
当社グループは、法令諸規制が遵守されるよう、役職員に対するコンプライアンスの徹底や法務リスク管理等を行っておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。
今後、仮に法令違反等が発生した場合には、行政処分やレピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 当社グループの戦略、施策が奏効しないリスク
当社グループは、2019年5月に発表した、2019年度から2023年度までの5年間を計画期間とする当社グループの経営計画等、様々な戦略や施策を実行しております。
しかしながら、こうした戦略や施策が実行できない、あるいは、たとえ戦略や施策が実行できた場合でも当初想定した成果の実現に至らない可能性、本項に示した各種リスクの顕在化又は経済環境の変化等により発表した数値目標を達成できない可能性があります。
なお、当社グループの経営計画の内容につきましては、有価証券報告書「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご覧ください。
⑨ 業務範囲の拡大等に伴う新たなリスクの発生による悪影響
当社グループは、総合金融コンサルティンググループとして、銀行業・信託業・証券業をはじめとする様々な業務を行っております。さらに、お客さまのニーズの高度化や多様化、ないしは規制緩和の進展等に応じた新たな業務分野への進出や各種業務提携、資本提携を実施しております。当社グループは、こうした新たな業務等に伴って発生する種々のリスクについても適切に管理する体制を整備しております。しかしながら、想定を超えるリスクが顕在化すること等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 事務リスクの顕在化による悪影響
当社グループは、幅広い金融業務において大量の事務処理を行っております。これらの多様な業務の遂行に際して、役職員による過失等に起因する不適切な事務が行われることにより、損失が発生する可能性があります。
当社グループは、各業務の事務取扱を明確に定めた事務手続を制定するとともに、事務処理状況の定期的な点検を行っており、さらに本部による事務指導の強化や管理者の育成、システム化等を推進しておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。今後、仮に重大な事務リスクが顕在化した場合には、損失の発生、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 人事上のリスクの顕在化による悪影響
当社グループは、多数の従業員を雇用しており、日頃より有能な人材の確保や育成等に努めております。しかしながら、十分な人材を確保・育成できない場合には、当社グループの競争力や効率性が低下し、業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 財務報告に係る内部統制の構築等に関するリスク
当社は、ニューヨーク証券取引所上場企業であり、当社グループは、米国サーベンス・オクスリー法に準拠した開示体制及び内部統制の強化を行っております。同法により、当社経営者及び監査法人はそれぞれ当社の財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その評価結果をForm20-Fにより報告することが求められています。
また、金融商品取引法においても、当社経営者による財務報告に係る内部統制の有効性の評価、及び経営者評価に対する監査法人の意見を内部統制報告書及び内部統制監査報告書により報告することが求められています。
当社グループは、上記に従い財務報告に係る内部統制の構築を行っており、評価の過程で発見された問題点は速やかに改善するべく努力しております。しかしながら、改善が間に合わない場合や、経営者が内部統制を適正と評価したとしても監査法人は不適正とする場合があり、その場合、当社グループの財務報告の信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 訴訟に関するリスク
当社グループは、国内外において銀行業務を中心に様々な金融業務を行っておりますが、こうした業務を行うにあたり、損害賠償請求訴訟等の提起を受ける可能性があります。
なお、当社海外連結子会社は、インドネシアにおいて、現地企業グループが過去に発行した社債の担保管理人に就任していたため、当該現地企業グループより社債権者等と共に訴訟の提起を受けております。これまでの担保管理に係る手続に問題はなく、本件訴訟は法的妥当性を全く欠く不当訴訟であるとの主張を裁判手続において行っておりますが、訴訟の動向によっては、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑭ リスク管理の方針及び手続が有効に機能しないリスク
当社グループは、リスク管理の方針及び手続に則りリスク管理の強化に注力しております。しかしながら、急速な業務展開に伴い、リスクを特定・管理するための方針及び手続が、必ずしも有効に機能するとは限りません。また、当社グループのリスク管理手法は、過去の市場動向に基づいている部分があることから、将来発生するリスクを正確に予測できるとは限りません。当社グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 分配可能額等に関するリスク
持株会社である当社は、その収入の大部分を傘下の銀行子会社等から受領する配当金に依存しておりますが、会社法の制限等により、当該銀行子会社等が当社に対して配当金を支払わない可能性があります。また、当社の業績及び財務状況の悪化や、会社法の制限や銀行の自己資本規制の強化に伴う配当制限等により、当社株主への配当の支払や当社グループが発行する一部の資本性証券の配当又は利払いが困難もしくは不可能となる可能性があります。
3.金融諸環境等に関するリスク
① 金融経済環境の変化による悪影響
当社グループは、日本国内の各地域及び米国や欧州、アジアなどの海外諸国において幅広く事業を行っております。日本やこれらの国、地域における経済状況が悪化した場合、あるいは、金融市場の著しい変動等が生じた場合には、当社グループの事業の低迷や資産内容の悪化等が生じ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 法令諸規制の改正等による悪影響
当社グループは、国内において事業活動を行う上で、会社法、独占禁止法や会計基準等、会社経営に係る一般的な法令諸規制や、自己資本比率規制を含む銀行法、金融商品取引法、信託業法等の金融関連法令諸規制の適用を受けております。また、海外での事業活動については、それぞれの国や地域の法令諸規制の適用も受けております。
これらの法令諸規制は将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては、商品・サービスの提供の制限や、追加でのシステム開発負担につながる等、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ LIBOR等の指標金利に関するリスク
当社グループは、多数の法人・個人等のお客さまにローン・預金・債券・デリバティブ等の広範な商品、サービスを提供しておりますが、これらには米ドルをはじめとする多くの通貨でロンドン銀行間取引金利(以下、「LIBOR」という。)等の指標金利を参照する商品・サービスが含まれています。また、当社グループは、このような指標金利を参照する商品等を保有し、当該指標金利を参照する負債等を有し、さらに当該指標金利は、社内における金融商品の評価等においても利用されております。
2012年以降に顕在化した、一連のLIBOR不正操作問題などを踏まえ、金融安定理事会(FSB)は、2014年7月に公表した報告書の中で、金融指標の信頼性・透明性向上を図るべく、指標金利としてリスクフリーレートの構築を提言しました。また、2017年7月には英国の金融行動監視機構長官が、2021年末以降はLIBOR維持のためにパネル行にレート呈示を強制する権限を行使しない旨を表明し、同時期以降のLIBOR公表停止の蓋然性が高まりました。
LIBOR等の指標金利の公表停止及び後継指標への移行に向けて、当社グループでは、グループ全体での対応を行う観点から、専門部署を設置する等の対応策を講じております。しかしながら、後継指標の選定、導入時期、ヘッジ会計上の取扱い等、未だ決定されていない事項が多く、参照金利や評価方法の変更等により、指標金利を参照する当社の金融資産及び金融負債につき損失が発生し、また、商品・サービスの提供の制限や、既存の商品・サービスに関する訴訟リスクの増大や追加でのシステム開発が必要になること等に伴う費用の増加等の要因により当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 金融業界の競争激化による悪影響
当社グループは、「銀行・信託・証券」を中心にグローバルに総合金融サービスを提供しており、国内外の大手金融機関やノンバンク等との激しい競争環境に晒されています。また、昨今は様々なテクノロジー(いわゆるFinTech)の進展により業種の垣根を越えて多くの企業による金融領域への新規参入が相次ぐなど、当社グループを取り巻く競争環境はますます激化する可能性があります。さらに、先の金融危機以降進められてきた金融規制改革により、競合他社との戦略の差別化が難しくなり、特定のビジネスにおける競争環境が激化していく惧れもあります。当社グループが、競争に十分対応することができない場合には、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、競争激化等に伴い、金融業界において金融機関の再編が進み、当社グループの競争力や当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 災害等の発生による悪影響
当社グループは、国内外において店舗、事務所や電算センター等の施設等を保有しておりますが、このような施設等は常に地震や台風等の災害やテロ・犯罪等の発生による被害を受ける可能性があります。また、新型インフルエンザ等感染症の流行により、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。当社グループは、各種緊急事態を想定したコンティンジェンシープランを策定し、バックアップオフィスの構築等、緊急時における態勢整備を行っておりますが、被害の程度によっては、当社グループの業務の一部が停止する等、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、2011年3月に発生した東日本大震災のような大規模な災害に起因して、景気の悪化、多数の企業の経営状態の悪化、株価の下落等が生じる可能性があります。その結果、当社グループの不良債権及び与信関係費用が増加したり、保有株式や金融商品等において売却損や評価損が生じること等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 風説・風評の発生による悪影響
当社グループの事業は預金者等のお客さまや市場関係者からの信用に大きく依存しております。そのため、当社グループや金融業界等に対する風説・風評が、マスコミ報道・市場関係者への情報伝播・インターネット上の掲示板への書き込み等により発生・拡散した場合には、お客さまや市場関係者が当社グループについて事実と異なる理解・認識をされる可能性があります。当社グループは、こうした風説・風評の早期発見に努めるとともに、その影響度・拡散度等の観点から適時かつ適切に対応することで、影響の極小化を図るよう努めておりますが、悪質な風説・風評が拡散した場合には、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況、ないしは当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 環境・社会に配慮しない投融資等に係るリスク
当社グループは、金融の円滑化を図り、経済・社会の持続可能な発展に貢献するため、社会的責任と公共的使命の重みを常に認識し、適切なリスク管理態勢のもと、高度なリスクテイク能力を活用した金融仲介機能の発揮に努めています。
昨今、気候変動問題などの環境・社会課題の顕在化に伴い、当社グループを取り巻くステークホルダーからは、資金提供者として、環境・社会に一層配慮することが期待されています。かかる背景から、当社グループは、取引を通じて環境・社会に対する負の影響を助長する可能性が高いセクターに関する取組方針を制定するなど、環境・社会リスクの低減・回避に向けた取組みを強化しています。
しかしながら、ステークホルダーからの期待・目線は日増しに高まっており、当社グループの取組みが期待から大きく乖離した場合等には、当社グループのレピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
トップリスク
当社グループは、当社グループに重大な影響を及ぼすリスク認識を「トップリスク」として決定するトップリスク運営を導入しています。リスク認識に対する蓋然性や影響度等の評価に基づき、経営陣での議論を踏まえてトップリスクを決定するトップリスク運営を通じて、当社グループ内のリスクコミュニケーションを深め、リスク認識に対する目線の統一を図り、各リスク管理等態勢におけるリスク認識に整合性を確保しています。選定したトップリスクについては、コントロール状況等を確認し必要に応じて追加的なリスクコントロール策を検討すること等に活用します。また、トップリスクを決定する際は、一年程度をリスク顕在化の時期・蓋然性として考慮しており、半年に一度、見直します。
2019年3月現在、以下をトップリスクとして選定しております。
・与信関係費用の反転増加
・保有資産の急激な価値下落
・外貨調達の不安定化
・大規模システム障害
・サイバー攻撃
・マネロン・テロ資金供与
・不公正な市場取引
なお、「事業等のリスク」は、トップリスクも踏まえて選定しています。
なお、本項に含まれている将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
1.財務面に関するリスク
(1) 不良債権処理等に係るリスク
① 与信関係費用の増加等による追加的損失の発生
当社グループは、多くの与信先についてメインバンクとなっているとともに、相当程度大口の与信先があります。また、与信先の業種については分散に努めておりますが、製造業、不動産業、金融・保険業向けの与信の割合が相対的に高い状況にあります。
当社グループは、個々の与信先の信用状態や再建計画の進捗状況を継続的にモニタリングするとともに、企業グループやリスク事象発現時に影響が想定される特定業種への与信集中状況等を定期的にモニタリングするポートフォリオ管理を実施しているほか、クレジットデリバティブの活用によるヘッジ及び信用リスクの減殺を行っております。また、与信先から差入れを受けている担保や保証の価値についても定期的に検証しております。
しかしながら、国内外のクレジットサイクルの変調、特定の業界における経営環境の変化、不動産等の資産価格下落等によっては、想定を超える新たな不良債権の発生、メインバンク先や大口与信先の信用状態の急激な悪化、特定の業界の与信先の信用状態の悪化、担保・保証の価値下落等が生じる可能性があります。こうした事象によって、与信関係費用が増加する等追加的損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 貸倒引当金の状況
当社グループは、自己査定基準、償却・引当基準に基づき、与信先の状況、差入れられた担保の価値及び経済動向を考慮した上で、貸倒引当金を計上しております。
償却・引当の計上にあたっては、貸出資産を適正に評価し、市場売却を想定した厳正な担保評価を行っておりますが、国内外の経済情勢の悪化、与信先の業況の悪化、担保価値の下落等により、多くの与信先で貸倒引当金及び貸倒償却等の与信関係費用や不良債権残高が増加する可能性があり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 保有資産等の価格変動等に係るリスク
① 株価下落による追加的損失の発生
当社グループは、国内上場企業の普通株式を中心に、市場性のある株式を大量に保有しております。当社グループでは、「上場株式の政策保有に関する方針」を掲げ、株価変動リスクが財務状況に大きな影響を与えうることに鑑み、その保有の意義が認められる場合を除き、上場株式を政策保有しないことを基本方針としており、売却を計画的に進めております。また、必要に応じて部分的にヘッジを行うことによりリスク削減にも努めております。しかしながら、これらの保有株式の株価が下落した場合には評価損や売却損が発生する可能性があります。
また、当社グループの自己資本比率の計算においては、自己資本の算出にあたり、保有株式の含み損益を勘案していることから、株価が下落した場合には、自己資本比率が低下する可能性があります。
その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
「上場株式の政策保有に関する方針」及び政策保有株式の保有意義検証等の概要については、当社「コーポレートガバナンスに関する報告書」をご覧ください。
https://www.mizuho-fg.co.jp/company/structure/governance/pdf/g_report.pdf
② 金利の変動による追加的損失の発生
当社グループは、投資等を目的として国債をはじめとする市場性のある債券等を大量に保有しているため、金利上昇に伴う価格の下落により、評価損や売却損が発生する可能性があります。また、当社グループの金融資産と負債の間では満期等に違いがあるため、金利変動により損失が発生する可能性があります。当社グループは、厳格なリスク管理体制の下、必要に応じて債券の売却や銘柄の入れ替え、デリバティブ取引等によるヘッジを行う等、適切な管理を行っておりますが、金融政策の変更や、財政悪化等によるソブリンリスク顕在化、その他市場動向等により大幅に金利が変動した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 外国為替相場の変動による追加的損失の発生
当社グループは、資産及び負債の一部を米ドル等の外貨建てで有しております。外貨建ての資産と負債が通貨毎に同額ではなく互いに相殺されない場合には、その資産と負債の差額について、為替相場の変動により円貨換算額が変動し、評価損や実現損が発生する可能性があります。当社グループでは、必要に応じ適切なヘッジを行っておりますが、予想を超える大幅な為替相場の変動が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 保有資産の市場流動性低下による追加的損失の発生
当社グループは、市場で取引される様々な資産を保有しておりますが、金融市場の混乱等により保有資産の市場流動性が著しく低下し、その結果、保有資産の価値が下落する可能性があります。グローバルな金融市場混乱や経済・金融環境の悪化等により、保有資産の市場流動性が著しく低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 退職給付債務等の変動による追加的損失の発生
当社グループの退職給付費用及び債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、株式相場並びに金利環境の急変等により、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件に変更があった場合には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また、当社グループの退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 繰延税金資産に係る財務上の影響
繰延税金資産については、現行の会計基準に従い、将来の課税所得見積りを合理的に行った上で計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産が減少し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ ヘッジ目的等の金融取引に係る財務上の影響
ヘッジ目的等で利用するクレジットデリバティブや株式関連デリバティブ等の金融取引については、ヘッジ対象資産と会計上の取扱いや評価方法が異なる場合があります。そのため、市場の変動等により、ある特定の期間において、ヘッジ対象資産の評価が上昇しても、当該金融取引から損失のみが発生する場合があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 固定資産の減損に係るリスク
当社グループは、保有する有形固定資産及び無形固定資産について、現行の会計基準に従い減損会計を適用しておりますが、当該資産に係る収益性の低下や時価の下落等により、投資額の回収が見込めなくなった場合は減損損失を認識する可能性があります。減損損失を認識した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 資金調達等に係るリスク
① 資金調達が困難となることによる追加的損失の発生
当社グループの資金調達は、主に預金、債券発行及び市場からの調達により行っております。特に、外貨資金は、円貨資金に比べ市場からの調達の依存度が高くなっております。そのため、資金調達の安定性の観点から、市場からの調達上限額の設定や資金繰りの状況に応じた対応方針の策定等、厳格な管理を行っております。
しかしながら、国内外の景気悪化、金融システム不安、金融市場の混乱等により資金流動性が低下した場合、あるいは当社グループの業績や財務状況の悪化、格付の低下や風説・風評の流布等が発生し、予想外の資金流出が発生した場合には、資金調達コストの増加や、外貨資金調達等に困難が生じることがあり、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 格付引き下げによる悪影響
当社や銀行子会社等、当社グループの一部の会社は、格付機関から格付を取得しております。格付の水準は、当社グループから格付機関に提供する情報のほか、格付機関が独自に収集した情報に基づいています。また、日本国債の格付や日本の金融システム全体に対する評価等の影響も受けているため、常に格付機関による見直し・停止・取下げが行われる可能性があります。
仮に格付が引き下げられた場合には、資金調達コストの上昇や資金調達の困難化、市場関連取引における追加担保の提供、既存取引の解約等が発生する可能性があり、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
例えば、当社グループのデリバティブ契約に基づき格下げによる追加担保の金額を試算すると、他の条件が不変であれば、2019年3月末に1ノッチの格下げがあった場合は約37億円、2ノッチの格下げの場合は約90億円となります。
(4) 自己資本比率等に係るリスク
① 自己資本比率規制
当社グループには、2013年3月期より、バーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢテキスト(銀行の自己資本と流動性に係る国際的な基準の詳細を示すもの)に基づき金融庁の定める自己資本比率規制が段階的に適用されております。また、バーゼル銀行監督委員会は、2017年12月に、バーゼルⅢ規制の見直しに係る最終規則文書を公表しており、当該見直し後の規制は2022年から段階的に適用される予定です。
当社グループは、海外営業拠点を有しておりますので、連結自己資本比率を「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第20号)に定められる国際統一基準以上に維持する必要があります。また、当社の銀行子会社であるみずほ銀行及びみずほ信託銀行も、海外営業拠点を有しておりますので、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められる国際統一基準以上に維持する必要があります。
さらに、当社グループは、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)として選定されており、より高い水準の自己資本比率が求められることとなります。また、G-SIBsのグループ及び追加的に求められる資本水準は年次で更新されるため、今後、当社グループに対して更に高い資本水準が求められる可能性があります。
当社グループは、事業戦略と一体となったリスクアセット運用計画、資本の効率性並びに本項に示した各種リスクの状況等を踏まえ、適正かつ十分な水準の自己資本比率を維持することに努めておりますが、本項に示した各種リスクの顕在化や自己資本比率の計測手法の変更等により、当社グループや銀行子会社の自己資本比率が低下する可能性があります。また、自己資本比率規制においては、のれん及びその他の無形固定資産、繰延税金資産、金融機関等の資本調達手段の保有等、調整項目については所定の要件のもとで自己資本から控除されますが、かかる規制により、当社グループや銀行子会社の自己資本の額が減少し、自己資本比率が低下する可能性もあります。
仮に当社グループや銀行子会社の自己資本比率が一定基準を下回った場合には、自己資本比率の水準に応じて、金融庁から、社外流出の制限計画や資本の増強を含む改善計画の提出、さらには総資産の圧縮又は増加の抑制、一部の業務の縮小、子会社等の株式の処分、業務の全部又は一部の停止等の是正措置を求められる可能性があります。加えて、当社グループの一部銀行子会社は、米国その他の事業を行う諸外国において、自己資本比率規制を受けており、当該規制に抵触した場合には、現地当局から様々な規制及び命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② レバレッジ比率規制
2017年12月にバーゼル銀行監督委員会が公表したバーゼルⅢ規制の見直しに係る最終規則文書において、レバレッジ比率規制の枠組みが最終化され、2019年3月に金融庁は、当該文書に基づくレバレッジ比率規制に係る府省令の一部改正及び関連する告示等を公表し、2019年3月31日より当社グループ及び当社の銀行子会社に対して一定比率以上のレバレッジ比率の維持を求めるレバレッジ比率規制の段階的な適用が開始されております。当該規制は、自己資本比率規制上の国際統一基準が適用される銀行持株会社及び銀行に対して、自己資本比率の補完的指標であるレバレッジ比率を一定比率以上に維持することを求めるものであり、当該規制により、仮に当社グループや当社の銀行子会社のレバレッジ比率が一定基準を下回った場合には、レバレッジ比率の水準に応じて、金融庁から、資本の増強に係る措置を含む改善計画の提出、さらには総資産の圧縮又は増加の抑制、一部の業務の縮小、子会社等の株式の処分、業務の全部又は一部の停止等の是正措置を求められる可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 総損失吸収力(TLAC)規制
2015年11月にFSBは、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)に対して、一定比率以上の総損失吸収力(TLAC)を求める最終文書を公表しており、2019年3月に金融庁は、当該文書に基づくTLAC規制に係る銀行法施行規則の一部改正及び関連する告示を公表し、2019年3月31日より当社グループ及び当社の主要子会社に対して本邦TLAC規制の段階的な適用が開始されております。当該規制は、当社グループを含むG-SIBsに対して、自己資本比率規制に加えて追加的に適用される規制であり、当該規制により、仮に当社グループや当社の主要子会社のTLAC比率が一定基準を下回った場合には、金融庁から、TLAC比率の向上に係る改善策の報告を求められる可能性や、業務改善命令を受ける可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 資本調達
普通株式等Tier1資本を除き、当社グループの資本調達(TLAC規制に対応した調達を含む)は、主に債券発行により行っております。しかしながら、当社グループの業績や財務状況の悪化、格付の低下や風説・風評の流布等が発生した場合、あるいは国内外の景気悪化、金融システム不安や金融市場の混乱等が生じた場合には、資本調達コストの増加や、十分な資本調達が出来ないことで企図した水準への自己資本比率等の向上が図れない等の事象が生じることがあり、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.業務面等に関するリスク
① システムリスクの顕在化による悪影響
当社グループは、勘定系・決済系等の巨大なコンピュータシステムを保有しており、国内外の拠点をはじめ、お客さまや各種決済機構等のシステムとグローバルなネットワークで接続されています。
当社グループは、日頃よりシステムの安定稼動の維持に努めるとともに、重要なシステムについては、原則としてバックアップを確保する等、不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定しております。また、株式会社みずほ銀行及びみずほ信託銀行株式会社は、お客さまへのサービス提供力の向上等を目的に、2018年6月から2019年7月にかけて、順次、次期勘定系システムへ移行しており、株式会社みずほ銀行は新システムへの移行を完了しました。2019年7月に予定している株式会社みずほ信託銀行における新システムへの移行にあたっては、移行作業期間中のオンラインサービスを休止するなど、安全・着実な移行に万全を期すための対応を行っております。
しかしながら、過失、事故、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新等により重大なシステム障害が発生し、こうした対策が有効に機能しない可能性があります。システムリスクが顕在化した場合には、情報の流出、誤作動、業務の停止及びそれに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② サイバー攻撃等による悪影響
当社グループが保有する多くのシステムは、国内外の拠点をはじめ、お客さまや各種決済機構等のシステムと、グローバルなネットワークで接続されております。当社グループは、サイバー攻撃の高度化・裾野拡大を踏まえて、サイバーセキュリティ対策を経営の重要課題と認識し、経営主導のもと、サイバーセキュリティ戦略を策定するとともに、2018年6月には「サイバーセキュリティ経営宣言」を公表しています。
Mizuho-CIRT*1を中心に、高度なプロフェッショナル人材を配置し、統合SOC*2等による監視、ウイルス解析、多層的防御等の態勢強化に努めるとともに、人材育成、サプライチェーン対策、お客さまの意識啓発にも注力しております。
しかしながら、こうした強化策が奏功せず、サイバー攻撃によるサービス停止、データ改ざん、情報漏えい、不正送金が発生した場合には、それに伴う損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
*1 Cyber Incident Response Team
*2 Security Operation Center
③ 個人情報等の漏洩等の発生による悪影響
当社グループは、多数の法人・個人のお客さまの情報を保有しているほか、様々な内部情報を有しております。特に、個人情報については、情報の漏洩や不正なアクセスを防止するため、個人情報保護法の下で、より厳格な管理が要求されております。当社においても情報管理に関するポリシーや事務手続等を策定しており、役職員等に対する教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策等を行い、外部委託先についても同様に情報管理態勢を監督しておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。今後、仮に重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策上の不備に係るリスク
金融犯罪が多様化かつ高度化し、世界各所でテロ犯罪が継続的に発生する等、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(以下、「マネロン対策」という。)の重要性が急速に高まる中、我が国のマネロン対策に関する法規制の遵守状況及び対策の実効性を審査するFATF第4次対日相互審査が2019年に実施される予定です。かかる審査も踏まえ、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」が本邦金融当局から発出されるなど、金融機関のマネロン対策の強化が課題となっています。当社グループは、国内外において事業活動を行う上で、国内外の法令諸規制の適用及びそれに基づく国内外の金融当局の監督を受けており、当社グループでは、国内外の法令諸規制を遵守する態勢を整備するとともに、マネロン対策の更なる強化を継続的に実施しております。
しかしながら、マネロン対策が有効に機能せず、仮に法令諸規制の違反等が発生した場合には、業務停止、制裁金等の行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 米国国務省によりテロ支援国家と指定された国に所在する者との取引に関するリスク
米国法上、米国人は、米国国務省によりテロ支援国家と指定された国(イラン、スーダン、シリア、北朝鮮。以下、「指定国」という。)と事業を行うことが一般的に禁止されており(スーダンは2017年10月に一部規制解除)、当社グループは、関係する米国法を遵守する態勢を整備しております。但し、米国外の拠点において、関係法令の遵守を前提に、顧客による輸出入取引に伴う貿易金融やコルレス口座の維持等、指定国に関連する業務を限定的に行っております。なお、イランには、駐在員事務所を設置しています。指定国に関係するこれらの業務は、当社グループ全体の事業、業績及び財務状態に比し小規模であり、また、関係する日本及び米国の法令を遵守する態勢を整備しております。
指定国が関与する取引に関わる規制は今後強化もしくは改定されていく可能性があり、当社グループの法令遵守態勢が米国における規制に十分対応できていないと米国政府に判断された場合には、当社グループの業務運営に悪影響を及ぼすような、米国政府による何らかの規制上の措置の対象となる可能性があります。また、顧客や投資家を失う、ないしは当社グループのレピュテーションが毀損することで、当社グループの事業又は当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 不公正な市場取引に係るリスク
当社グループは、国内外において市場業務を行う上で、不公正な市場取引に係る本邦及び他国の法令諸規制や取引所規則等の適用とともに国内外の金融当局の監督を受けております。
当社グループは、不公正な市場取引に係る法令諸規制や取引所規則等が遵守されるよう、役職員に対するコンプライアンスの徹底やコンプライアンス・リスク管理等を行っておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。
今後、仮に不公正な市場取引に係る法令諸規制の違反等が発生した場合には、関係当局からの処分やレピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 法令違反等の発生による悪影響
当社グループは、国内において事業活動を行う上で、会社法や独占禁止法等、会社経営に係る一般的な法令諸規制や、銀行法、金融商品取引法、信託業法等の金融関連法令諸規制の適用、さらには金融当局の監督を受けております。また、海外での事業活動については、それぞれの国や地域の法令諸規制の適用とともに金融当局の監督を受けております。
当社グループは、法令諸規制が遵守されるよう、役職員に対するコンプライアンスの徹底や法務リスク管理等を行っておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。
今後、仮に法令違反等が発生した場合には、行政処分やレピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 当社グループの戦略、施策が奏効しないリスク
当社グループは、2019年5月に発表した、2019年度から2023年度までの5年間を計画期間とする当社グループの経営計画等、様々な戦略や施策を実行しております。
しかしながら、こうした戦略や施策が実行できない、あるいは、たとえ戦略や施策が実行できた場合でも当初想定した成果の実現に至らない可能性、本項に示した各種リスクの顕在化又は経済環境の変化等により発表した数値目標を達成できない可能性があります。
なお、当社グループの経営計画の内容につきましては、有価証券報告書「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご覧ください。
⑨ 業務範囲の拡大等に伴う新たなリスクの発生による悪影響
当社グループは、総合金融コンサルティンググループとして、銀行業・信託業・証券業をはじめとする様々な業務を行っております。さらに、お客さまのニーズの高度化や多様化、ないしは規制緩和の進展等に応じた新たな業務分野への進出や各種業務提携、資本提携を実施しております。当社グループは、こうした新たな業務等に伴って発生する種々のリスクについても適切に管理する体制を整備しております。しかしながら、想定を超えるリスクが顕在化すること等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 事務リスクの顕在化による悪影響
当社グループは、幅広い金融業務において大量の事務処理を行っております。これらの多様な業務の遂行に際して、役職員による過失等に起因する不適切な事務が行われることにより、損失が発生する可能性があります。
当社グループは、各業務の事務取扱を明確に定めた事務手続を制定するとともに、事務処理状況の定期的な点検を行っており、さらに本部による事務指導の強化や管理者の育成、システム化等を推進しておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。今後、仮に重大な事務リスクが顕在化した場合には、損失の発生、行政処分、レピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 人事上のリスクの顕在化による悪影響
当社グループは、多数の従業員を雇用しており、日頃より有能な人材の確保や育成等に努めております。しかしながら、十分な人材を確保・育成できない場合には、当社グループの競争力や効率性が低下し、業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 財務報告に係る内部統制の構築等に関するリスク
当社は、ニューヨーク証券取引所上場企業であり、当社グループは、米国サーベンス・オクスリー法に準拠した開示体制及び内部統制の強化を行っております。同法により、当社経営者及び監査法人はそれぞれ当社の財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その評価結果をForm20-Fにより報告することが求められています。
また、金融商品取引法においても、当社経営者による財務報告に係る内部統制の有効性の評価、及び経営者評価に対する監査法人の意見を内部統制報告書及び内部統制監査報告書により報告することが求められています。
当社グループは、上記に従い財務報告に係る内部統制の構築を行っており、評価の過程で発見された問題点は速やかに改善するべく努力しております。しかしながら、改善が間に合わない場合や、経営者が内部統制を適正と評価したとしても監査法人は不適正とする場合があり、その場合、当社グループの財務報告の信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 訴訟に関するリスク
当社グループは、国内外において銀行業務を中心に様々な金融業務を行っておりますが、こうした業務を行うにあたり、損害賠償請求訴訟等の提起を受ける可能性があります。
なお、当社海外連結子会社は、インドネシアにおいて、現地企業グループが過去に発行した社債の担保管理人に就任していたため、当該現地企業グループより社債権者等と共に訴訟の提起を受けております。これまでの担保管理に係る手続に問題はなく、本件訴訟は法的妥当性を全く欠く不当訴訟であるとの主張を裁判手続において行っておりますが、訴訟の動向によっては、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑭ リスク管理の方針及び手続が有効に機能しないリスク
当社グループは、リスク管理の方針及び手続に則りリスク管理の強化に注力しております。しかしながら、急速な業務展開に伴い、リスクを特定・管理するための方針及び手続が、必ずしも有効に機能するとは限りません。また、当社グループのリスク管理手法は、過去の市場動向に基づいている部分があることから、将来発生するリスクを正確に予測できるとは限りません。当社グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 分配可能額等に関するリスク
持株会社である当社は、その収入の大部分を傘下の銀行子会社等から受領する配当金に依存しておりますが、会社法の制限等により、当該銀行子会社等が当社に対して配当金を支払わない可能性があります。また、当社の業績及び財務状況の悪化や、会社法の制限や銀行の自己資本規制の強化に伴う配当制限等により、当社株主への配当の支払や当社グループが発行する一部の資本性証券の配当又は利払いが困難もしくは不可能となる可能性があります。
3.金融諸環境等に関するリスク
① 金融経済環境の変化による悪影響
当社グループは、日本国内の各地域及び米国や欧州、アジアなどの海外諸国において幅広く事業を行っております。日本やこれらの国、地域における経済状況が悪化した場合、あるいは、金融市場の著しい変動等が生じた場合には、当社グループの事業の低迷や資産内容の悪化等が生じ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 法令諸規制の改正等による悪影響
当社グループは、国内において事業活動を行う上で、会社法、独占禁止法や会計基準等、会社経営に係る一般的な法令諸規制や、自己資本比率規制を含む銀行法、金融商品取引法、信託業法等の金融関連法令諸規制の適用を受けております。また、海外での事業活動については、それぞれの国や地域の法令諸規制の適用も受けております。
これらの法令諸規制は将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては、商品・サービスの提供の制限や、追加でのシステム開発負担につながる等、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ LIBOR等の指標金利に関するリスク
当社グループは、多数の法人・個人等のお客さまにローン・預金・債券・デリバティブ等の広範な商品、サービスを提供しておりますが、これらには米ドルをはじめとする多くの通貨でロンドン銀行間取引金利(以下、「LIBOR」という。)等の指標金利を参照する商品・サービスが含まれています。また、当社グループは、このような指標金利を参照する商品等を保有し、当該指標金利を参照する負債等を有し、さらに当該指標金利は、社内における金融商品の評価等においても利用されております。
2012年以降に顕在化した、一連のLIBOR不正操作問題などを踏まえ、金融安定理事会(FSB)は、2014年7月に公表した報告書の中で、金融指標の信頼性・透明性向上を図るべく、指標金利としてリスクフリーレートの構築を提言しました。また、2017年7月には英国の金融行動監視機構長官が、2021年末以降はLIBOR維持のためにパネル行にレート呈示を強制する権限を行使しない旨を表明し、同時期以降のLIBOR公表停止の蓋然性が高まりました。
LIBOR等の指標金利の公表停止及び後継指標への移行に向けて、当社グループでは、グループ全体での対応を行う観点から、専門部署を設置する等の対応策を講じております。しかしながら、後継指標の選定、導入時期、ヘッジ会計上の取扱い等、未だ決定されていない事項が多く、参照金利や評価方法の変更等により、指標金利を参照する当社の金融資産及び金融負債につき損失が発生し、また、商品・サービスの提供の制限や、既存の商品・サービスに関する訴訟リスクの増大や追加でのシステム開発が必要になること等に伴う費用の増加等の要因により当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 金融業界の競争激化による悪影響
当社グループは、「銀行・信託・証券」を中心にグローバルに総合金融サービスを提供しており、国内外の大手金融機関やノンバンク等との激しい競争環境に晒されています。また、昨今は様々なテクノロジー(いわゆるFinTech)の進展により業種の垣根を越えて多くの企業による金融領域への新規参入が相次ぐなど、当社グループを取り巻く競争環境はますます激化する可能性があります。さらに、先の金融危機以降進められてきた金融規制改革により、競合他社との戦略の差別化が難しくなり、特定のビジネスにおける競争環境が激化していく惧れもあります。当社グループが、競争に十分対応することができない場合には、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、競争激化等に伴い、金融業界において金融機関の再編が進み、当社グループの競争力や当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 災害等の発生による悪影響
当社グループは、国内外において店舗、事務所や電算センター等の施設等を保有しておりますが、このような施設等は常に地震や台風等の災害やテロ・犯罪等の発生による被害を受ける可能性があります。また、新型インフルエンザ等感染症の流行により、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。当社グループは、各種緊急事態を想定したコンティンジェンシープランを策定し、バックアップオフィスの構築等、緊急時における態勢整備を行っておりますが、被害の程度によっては、当社グループの業務の一部が停止する等、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、2011年3月に発生した東日本大震災のような大規模な災害に起因して、景気の悪化、多数の企業の経営状態の悪化、株価の下落等が生じる可能性があります。その結果、当社グループの不良債権及び与信関係費用が増加したり、保有株式や金融商品等において売却損や評価損が生じること等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 風説・風評の発生による悪影響
当社グループの事業は預金者等のお客さまや市場関係者からの信用に大きく依存しております。そのため、当社グループや金融業界等に対する風説・風評が、マスコミ報道・市場関係者への情報伝播・インターネット上の掲示板への書き込み等により発生・拡散した場合には、お客さまや市場関係者が当社グループについて事実と異なる理解・認識をされる可能性があります。当社グループは、こうした風説・風評の早期発見に努めるとともに、その影響度・拡散度等の観点から適時かつ適切に対応することで、影響の極小化を図るよう努めておりますが、悪質な風説・風評が拡散した場合には、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況、ないしは当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 環境・社会に配慮しない投融資等に係るリスク
当社グループは、金融の円滑化を図り、経済・社会の持続可能な発展に貢献するため、社会的責任と公共的使命の重みを常に認識し、適切なリスク管理態勢のもと、高度なリスクテイク能力を活用した金融仲介機能の発揮に努めています。
昨今、気候変動問題などの環境・社会課題の顕在化に伴い、当社グループを取り巻くステークホルダーからは、資金提供者として、環境・社会に一層配慮することが期待されています。かかる背景から、当社グループは、取引を通じて環境・社会に対する負の影響を助長する可能性が高いセクターに関する取組方針を制定するなど、環境・社会リスクの低減・回避に向けた取組みを強化しています。
しかしながら、ステークホルダーからの期待・目線は日増しに高まっており、当社グループの取組みが期待から大きく乖離した場合等には、当社グループのレピュテーションの毀損等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
トップリスク
当社グループは、当社グループに重大な影響を及ぼすリスク認識を「トップリスク」として決定するトップリスク運営を導入しています。リスク認識に対する蓋然性や影響度等の評価に基づき、経営陣での議論を踏まえてトップリスクを決定するトップリスク運営を通じて、当社グループ内のリスクコミュニケーションを深め、リスク認識に対する目線の統一を図り、各リスク管理等態勢におけるリスク認識に整合性を確保しています。選定したトップリスクについては、コントロール状況等を確認し必要に応じて追加的なリスクコントロール策を検討すること等に活用します。また、トップリスクを決定する際は、一年程度をリスク顕在化の時期・蓋然性として考慮しており、半年に一度、見直します。
2019年3月現在、以下をトップリスクとして選定しております。
・与信関係費用の反転増加
・保有資産の急激な価値下落
・外貨調達の不安定化
・大規模システム障害
・サイバー攻撃
・マネロン・テロ資金供与
・不公正な市場取引
なお、「事業等のリスク」は、トップリスクも踏まえて選定しています。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E03615] S100G5KA)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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