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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100G2IS

有価証券報告書抜粋 株式会社ヤクルト本社 研究開発活動 (2019年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等


当社グループは、腸内菌叢(腸内フローラ)を構成する微生物のヒトへの役割を中心とした生命科学の追究により、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献するという企業理念の達成を目指しています。その中にあって当社研究開発部門は、長期的展望に立った基礎研究を行うとともに、それら基礎研究の成果を活かした飲料・食品、医薬品および化粧品などの研究開発に取り組んでいます。あわせて、事業戦略上求められる研究開発課題の解決や社会の要請に応じた商品の安全性確保と環境対策に関する研究にも力を注いでいます。
当連結会計年度の研究開発費の総額は10,563百万円で、セグメント情報にかかわる研究開発活動の概要は、次のとおりです。

(1) 基礎研究開発分野

基礎研究開発分野においては、腸内フローラとヒトの健康との関わりを明らかにするために、分子生物学・微生物学・免疫学・生理学・栄養学などの多面的な研究を行っています。プロバイオティクスとしての乳酸菌・ビフィズス菌がヒトの健康維持・増進に果たす役割の解明に重点をおくと同時に、新規の微生物や天然物の探索を行い、飲料・食品、医薬品および化粧品などへの利用を目指した機能性素材の開発に積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究成果は次のとおりです。
① 宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究で、「L.カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」の凍結乾燥粉末を含むカプセルを国際宇宙ステーション・「きぼう」日本実験棟で約1か月間保管した後、カプセル中の生菌数、菌の発酵性状、遺伝情報、免疫調節作用に関する各種解析を行いました。その結果、いずれも地上で保管していた対照品と同等であり、宇宙環境においてプロバイオティクスの機能が維持されることを確認しました。本研究により、国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士が摂取した場合でも、地上と同様にプロバイオティクスの効果が発揮されることが期待されます。本研究成果は、学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。
② 東邦大学との共同研究で、健常成人を対象とした「B.ビフィダム YIT 10347 (ビフィズス菌)」を含む乳製品の飲用試験を実施した結果、乳製品飲用群では、ビフィズス菌を含まないプラセボ飲用群と比較して、消化管症状に有意な緩和が認められました。本研究により、「B.ビフィダム YIT 10347 (ビフィズス菌)」の継続的な摂取は、食後の胃痛や不快症状等を含む消化管症状を緩和することが明らかになりました。本研究成果は、学術誌「Journal of Dairy Science」に掲載されました。
③ 大阪大学医学部附属病院高度救命救急センターとの共同研究で、集中治療室で人工呼吸器管理された敗血症患者を対象としたシンバイオティクス「B.ブレーベ・ヤクルト株(ビフィズス菌)、L.カゼイ・シロタ株(乳酸菌)およびガラクトオリゴ糖」の投与試験を実施した結果、シンバイオティクス投与群では、シンバイオティクスを投与していない群と比較して、腸炎および人工呼吸器関連肺炎の発生率が有意に低いことを確認しました。さらに、シンバイオティクス投与群では、腸内の有用菌(ビフィズス菌および乳酸菌)ならびに酢酸等の有機酸濃度が有意に高いことが分かりました。本研究により、敗血症患者へのシンバイオティクスの投与は、患者の予後の改善に役立つことが示されました。本研究成果は、学術誌「Critical Care」に掲載されました。
④ 腸内の腐敗産物であるフェノール類(フェノールおよびパラクレゾール)が人の健康に及ぼす影響を明らかにするため、当社保有の腸内細菌ライブラリーを対象にフェノール類産生菌を探索した結果、フェノール産生菌36株およびパラクレゾール産生菌55株を見出し、そのうち14株はフェノールおよびパラクレゾールの両方を産生することを確認しました。また、これら77菌株の分子系統学的分布を調べ、フェノール類産生菌が属するクラスターを明らかにするとともに、一部の菌について、既知の代謝酵素の遺伝子情報から保有する代謝経路を推定しました。本研究により、腸内で産生されるフェノール類の生理的意義や各種疾患と腸内細菌との関連の解明に役立つ情報を得ることができました。本研究成果は、学術誌「FEMS Microbiology Ecology」に掲載されました。
⑤ 当社の子会社である非営利法人ヤクルト本社ヨーロッパ研究所は、幅広い年齢層でヒト腸管から検出されるビフィズス菌(Bifidobacterium longum subsp. longum)について、生後半年以内(乳児期)から約6歳(小児期)まで追跡調査しました。その結果、乳児期から6年以上の間、腸内に定着し続ける菌株(長期定着菌株)が存在することが明らかになりました。また、乳児腸内に母親と共通の菌株が存在し、その菌株が長期定着するケースもあること、さらに、長期定着菌株は、他のビフィズス菌と共存しながら腸内に定着し続けることが明らかになりました。本研究により、B. longum subsp. longumは、生後初期にヒト腸管に定着し、その後の成長過程において生理的な影響を及ぼし続ける可能性があることが示されました。本研究成果は、学術誌「BMC Microbiology」に掲載されました。

今後も、最先端のバイオテクノロジーに基づく腸内フローラ研究を推進し、プロバイオティクスの健康維持・増進機能の検証と解明に取り組んでいきます。さらに、生活習慣病予防をターゲットとした次世代プロバイオティクスや新規機能性素材の研究開発に重点的に力を注いでいきます。
当分野の研究開発費は1,622百万円です。

(2) 飲料および食品製造販売事業分野

飲料および食品研究開発分野においては、ヒトの健康に積極的に寄与する商品開発を目指しています。特に、研究開発の対象としては、生活環境の変化や加齢によってバランスのくずれた免疫調節機能を正常化する生体防御面と、世代を超えて拡大している生活習慣病の予防に配慮した生理・代謝機能面に着目しています。具体的には、プロバイオティクスのパイオニアとして「乳酸菌 シロタ株」や「ビフィズス菌 BY株」「B.ビフィダム Y株」などを利用した食品や、自然界に存在する多くの機能性素材を利用した食品の研究開発に力を注いでいます。
また、より一層お客さまのニーズに応えるため、プロバイオティクスを使用した乳製品および清涼飲料のラインアップの充実を図っています。
当連結会計年度の成果は次のとおりです。
① 乳製品
ア.ロングセラー商品である「ジョア」について、期間限定アイテムとして、「旬のピーチ」を昨年5月に、「はちみつレモン」を7月に、「贅沢オレンジ」を10月に導入しました。
イ. ハードタイプヨーグルト「ソフール」について、期間限定アイテムとして、爽やかなりんごの果汁感とヨーグルトの風味がマッチした「アップル」を昨年6月に導入しました。
ウ. 生きて腸内に到達する「乳酸菌 シロタ株」と5種の栄養成分を配合した乳製品乳酸菌飲料「ヤクルトファイブ」を本年3月に導入しました。
② 清涼飲料
ア. いちごとミルクをバランスよくブレンドした甘くてまろやかな味わいのいちご果汁入り清涼飲料「いちご・オ・レ」を昨年9月に導入しました。
イ. スポーツシーンだけでなく、日常の様々なシーンでの水分補給・熱中症対策に適し、発汗により失われた水分およびミネラルを素早く補給できるスポーツドリンク「クイックチャージ」を本年3月に導入しました。
ウ.「ヤクルト」をイメージしやすく、ごくごく飲めてすっきりとしたヤクルト風味の褐色系乳性飲料「ミルージュ」を本年3月に導入しました。
エ.「ジョア」の原料はっ酵乳を使用したヨーグルト風味のさわやかな炭酸入り白色系乳性飲料「ミルージュ ソーダ」(490ml缶容器)を本年3月に期間限定で導入しました。
③ その他海外事業支援
タイヤクルト株式会社が昨年6月に導入した、「ヤクルト」と比較してカロリーを50%低減した「ヤクルトライト」の技術支援を行いました。
当分野の研究開発費は4,491百万円です。

(3) 医薬品製造販売事業分野

医薬品研究開発分野においては、抗がん剤を中心とした薬剤の研究開発を進めています。
ドイツの4SC AG社から導入したHDAC阻害剤「レスミノスタット」については、国内にて胆道がん第Ⅱ相臨床試験および4SC AG社による皮膚T細胞リンパ腫を対象とした第Ⅱ相国際共同臨床試験を実施中です。
日産化学株式会社から導入した血小板増加薬「YHI-1501」については、日本人健常人を対象とした第Ⅰ相臨床試験が終了し、現在、今後の開発計画を検討中です。
昨年6月に米国のベラステム社から導入したPI3K阻害剤「デュベリシブ」については、9月にベラステム社が米国において、再発または難治性の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫の治療としての承認、および再発または難治性の濾胞性リンパ腫の治療としての迅速承認を取得しました。現在、国内開発計画を検討中です。

「結腸・直腸がん」「胃がん」などの標準的治療薬として広く用いられている抗悪性腫瘍剤「エルプラット」(一般名:オキサリプラチン)については、「進行・再発胃がん」の用法・用量の追加を目的とした第Ⅲ相臨床試験を大鵬薬品工業株式会社と共同で実施中です。
基礎創薬研究分野では、抗がん剤およびその周辺領域でのシーズを確保するための研究を引き続き実施しています。
当分野の研究開発費は3,830百万円です。

(4) その他事業分野

その他事業分野のうち化粧品研究開発分野においては、多様化するお客さまのニーズに応えることを目指し、「美」と「健康」の追究と当社独自の乳酸菌はっ酵技術を活かした「高機能・高品質で安全性の高い化粧品」の開発を志向しています。
基礎化粧品については、ビフィズス菌研究から生まれたオリジナル成分「ビフィズス菌はっ酵エキス(大豆)」を配合し、お肌のハリ・弾力にアプローチする美容液「ビサイクル リフトリペア エッセンス」のリニューアルを昨年11月に実施しました。さらに、美白有効成分と「乳酸菌×植物」のチカラにより、シミとくすみを同時に防ぎ、明るく透明感のあるお肌へ導く高保湿美白基礎化粧品「リベシィホワイト」シリーズのリニューアルを本年3月に実施しました。
トイレタリー商品については、むし歯・歯周病予防および美白効果を強化した薬用歯みがき剤「ヤクルト 薬用アパコートS.E.」のリニューアルを昨年5月に実施しました。加えて、少量サイズである「ヤクルト 薬用アパコートS.E. ポータブル」を新たに導入しました。
当分野の研究開発費は619百万円です。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00406] S100G2IS)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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