有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100G233
東海旅客鉄道株式会社 事業等のリスク (2019年3月期)
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 事業に係る法律関連事項
① 鉄道事業法(1986年法律第92号)
鉄道事業者は、本法の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、鉄道事業を休廃止しようとするときは、事前に国土交通大臣に届け出なければならないこととされています(第28条、第28条の2)。また、旅客の運賃及び料金の設定・変更については、原則としてその上限額について国土交通大臣の認可を受けなければならないこととされています(第16条)。
② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(2001年法律第61号)
東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社及び西日本旅客鉄道株式会社(以下「本州旅客会社」という。)をJR会社法の適用対象から除外するための措置等を講じたJR会社法改正法が2001年12月1日から施行され、本州旅客会社はJR会社法の適用対象から除外されました。
なお本法附則において、国土交通大臣は、国鉄改革の経緯を踏まえ、利用者の利便の確保等を図るため、本州旅客会社及び本州旅客会社の鉄道事業の全部又は一部を譲受・合併・分割・相続により施行日以後経営する者のうち国土交通大臣が指定する者(以下「新会社」という。)がその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という。)を公表するものとされ(附則第2条)、当該指針は2001年12月1日より適用となりました(2001年国土交通省告示第1622号)。その主な内容は以下のとおりです。
○会社間(新会社の間又は新会社と北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社との間をいう。以下同じ。)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項
○国鉄改革実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項
○新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項
国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保するため必要があると認めるときは新会社に対して指導及び助言をすることができ(附則第3条)、さらに、新会社が正当な理由なく指針に沿った事業経営を行っていないと認めるときなどには必要な措置をとるべき旨を勧告及び命令することができるものとされています(附則第4条)。
そのほか、JR会社法改正法の施行日前に本州旅客会社が発行した社債について、JR会社法第4条の一般担保の規定が施行日以後も効力を有する(附則第7条)とするなど、一定の経過措置が定められています。
(2) 運賃及び料金の設定又は変更
① 運賃及び料金の認可の仕組みと手続き
鉄道運送事業者が旅客の運賃及び新幹線特急料金(以下「運賃等」という。)の上限を定め、又は変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されています(鉄道事業法第16条第1項)。
また、上限の範囲内での運賃等の設定・変更並びに在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっています(鉄道事業法第16条第3項及び第4項)。
鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっています。
(注) 1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きです。また、国土交通省設置法第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるとき又は国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められています。
2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められています。
なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保等を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客及び荷物に対する運賃及び料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、旅客運賃について、遠距離逓減制を加味したものとしています。
② 運賃改定に対する当社の考え方
a 当社では、1987年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(1989年4月、1997年4月及び2014年4月)を除くと、これまで運賃改定を実施していません。
大手民営鉄道事業者の場合、兼業部門も含めた総合的な経営判断に立って鉄道事業部門の税引後当期純利益に先行き赤字が見込まれる場合に運賃改定の申請が行われ、上記の手続きを経て改定が実施されている例が多いと見受けられます。当社の場合、兼業部門収入の全収入に占める割合が著しく小さいことなどを踏まえた上で、適正利潤を確保し得るような運賃改定を適時実施する必要があるものと考えています。
b 事業経営に当たっては、まず収入の確保と合理化努力を進め能率的な経営に努めますが、適正利潤についてはこのような努力を前提とした上で、株主に対する利益配当に加え、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えています。
③ 国土交通省の考え方
当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されています。
a 東海旅客鉄道株式会社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という。)を超えないものであるかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。
b 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。
c 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。
総括原価=営業費等(注1)+事業報酬
・事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率
・事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)
・事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)
×他人資本報酬率(注4)
(注) 1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。
2 運転資本=営業費及び貯蔵品の一部
3 自己資本比率は30%、他人資本比率は70%
4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率及び配当所要率の平均、他人資本報酬率は、借入金等の実績平均レート
d なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、又はその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃又は料金が、次のア又はイに該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃又は料金を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。
ア 特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき
イ 他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき
(3) 競合等
当社グループは、鉄道事業において、航空会社及び他の鉄道会社、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合しているほか、鉄道以外の事業においても、既存及び新規の事業者と競合しています。加えて、これらの事業は、日本経済の情勢とりわけ主な営業エリアである首都圏、中京圏、近畿圏における景気動向の影響を受けていることから、既存及び新規の事業者との競合状況や今後の経済情勢等が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
特に、当社グループの主力事業であり、当社グループの営業収益の約7割の運輸収入をあげる東海道新幹線においては、航空会社との間で、航空運賃の著しい引下げ、空港の発着枠の拡大、さらには空港と都市中心部とのアクセス改善など航空機による移動の利便性向上等に起因した競争に直面しています。
(4) 長期債務
1987年の会社設立に際し、当社は、日本国有鉄道改革法(1986年法律第87号)に基づき、国鉄の長期債務のうち3,191億円を承継しました。さらに、当社は、新幹線鉄道に係る鉄道施設の譲渡等に関する法律(1991年法律第45号)に基づき、東海道新幹線に係る鉄道施設(車両を除く。)を1991年10月1日、新幹線鉄道保有機構(以下「保有機構」という。)より5兆956億円で譲り受け、このうち4兆4,944億円については25.5年、6,011億円については60年の元利均等半年賦により鉄道整備基金に支払うことに関して、保有機構との間に契約を締結し、その譲渡価額を鉄道施設購入長期未払金として計上しました。なお、4兆4,944億円の債務については、2017年1月に返済を完了しています。
(注) 保有機構は1991年10月1日に解散し、その一切の権利及び義務は鉄道整備基金に承継されました。さらに鉄道整備基金は1997年10月1日に解散し、その一切の権利及び義務は運輸施設整備事業団に承継され、運輸施設整備事業団は2003年10月1日に解散し、その一切の権利及び義務は法律により国が承継する資産を除き、鉄道・運輸機構に承継されました。
また、2016年11月に、中央新幹線の建設の推進のため、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(以下「鉄道・運輸機構法施行令」という。)に基づき、財政投融資を活用した長期借入の申請を鉄道・運輸機構に対して行い、2017年7月までに、長期、固定かつ低利の中央新幹線建設長期借入金について、総額3兆円の借入を行いました。
これらを含めた連結長期債務残高は、当期末現在で4兆8,511億円、そのうち中央新幹線建設長期借入金を除いた長期債務残高は1兆8,511億円となっています。また、当期の支払利息は807億円であり、これは営業利益の11.4%に相当します。
(5) 自然災害等
当社グループの事業、特に東海道新幹線をはじめとする鉄道事業については、地震・台風等の自然災害やテロ等により大きな影響が生じる可能性があります。
なお、鉄道インフラについて当社は、安全・安定輸送の確保は最優先の課題であるとの認識の下、会社発足以来、自然災害等に対する設備強化に積極的に取り組んでいます。具体的には、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災などにおける他社線の被災状況等を踏まえて、東海道新幹線の橋脚については必要な箇所の耐震補強を完了し、高架橋柱及び盛土の耐震補強は開発案件等と関係する一部を除き完了しました。そのほか、脱線・逸脱防止対策をはじめとする設備の強化など、より一層安定した輸送を確保するための設備強化を積極的に進めています。また在来線においても、輸送の安全確保のため、構造物等の耐震補強や盛土補強、落石対策等を継続的に実施するなど、自然災害等による鉄道事業への影響を最小限のものとするための取組みを進めています。
(6) 安全対策
当社グループの事業、特に東海道新幹線をはじめとする鉄道事業については、仮に列車の運行により事故が発生した場合、大きな損害が出る可能性があります。
当社は、安全・安定輸送の確保は最優先の課題であるとの認識の下、ソフト・ハード両面にわたり、会社発足当初から安全に関する取組みを積極的に進めています。
ソフト面の取組みとしては、規程・マニュアル類を常に整備するとともに教育訓練を徹底し、社員自らが能力を高める職場風土の構築に努めることにより、社員一人ひとりが知識・技能を身につけ、規律と使命感をしっかり持って業務を遂行するように取り組んでいます。また、当社の研修センターにおいて、グループ一体として、安全に主眼を置いた社員教育の一層の充実に取り組んでいます。
一方、ハード面においては、保安・防災対策を一層進めているほか、車両・軌道・電気設備の維持・更新等を積極的に推進しています。新幹線では、新ATC(自動列車制御装置)システムや新型車両を導入するなど、安全・安定輸送の確保のため、必要な設備投資を積極的に行っています。また、在来線においても、全線でATS-PT(パターン照査式自動列車停止装置)の導入を行うなど、より一層の安全性向上に努めてきました。
これらの結果、当期の鉄道運転事故件数(13件)は会社発足初年度である1987年度(60件)と比較して大幅に減少しました。
(7) コンピュータシステム・顧客個人情報保護
当社グループは、現在、鉄道事業や鉄道以外の事業における様々な業務分野で、多くのコンピュータシステムを用いています。また、当社グループと密接な取引関係にある他の旅行会社や鉄道情報システム㈱等においても、コンピュータシステムが重要な役割を果たしています。したがって、サイバー攻撃や自然災害、人為的ミス等によってこれらのコンピュータシステムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。また、コンピュータウイルスへの感染や人為的不正操作等によりコンピュータシステム上の顧客個人情報が外部に流出した場合等には、当社グループが提供する様々なサービスへの影響を通じて、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、障害対策として、日常より最新の技術動向等を勘案しながら自社システムのセキュリティ機能の向上を図るとともに、関係する社員の教育・訓練等を充実させ、万一障害が発生した場合においても、その影響を最小限のものとするよう、速やかな初動体制及び復旧体制の構築等に努めています。
また、個人情報保護対策として、社内の管理体制を整えるとともに、社内規程やマニュアルを整備し、社員に周知徹底をしています。さらに、顧客個人情報へのアクセス権限を限定し、システムセキュリティを強化するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めています。
(8) 超電導リニアによる中央新幹線
当社は、自らの使命であり経営の生命線である首都圏~中京圏~近畿圏を結ぶ高速鉄道の運営を持続するとともに、企業としての存立基盤を将来にわたり確保していくため、超電導リニアによる中央新幹線計画を進めています。
現在この役割を担う東海道新幹線は、2014年10月に開業50年を迎え、鉄道路線の建設・実現に長い期間を要することを踏まえれば、将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本的な備えを考えなければならない時期にきています。このため、その役割を代替する中央新幹線について、自己負担を前提として、当社が開発してきた超電導リニアにより可及的速やかに実現し、東海道新幹線と一元的に経営していくこととしています。
このプロジェクトの完遂に向けて、鉄道事業における安全・安定輸送の確保と競争力強化に必要な投資を行うとともに、健全経営と安定配当を堅持し、柔軟性を発揮しながら着実に取り組みます。その上で、まずは工事実施計画の認可を受けた東京都・名古屋市間を実現し、さらに、大阪市まで実現することとしています。
当社は、2007年12月に第一局面としての名古屋市までの推進を、さらには、2010年4月に大阪市までの営業主体等の指名に同意する意思があることを表明するにあたり、それぞれの時点で考えられる前提条件を置いて検討を行い、路線建設を自己負担で推進しても、健全経営の確保が十分に可能であると判断し、必要な対応を進めることを決定しました。
また、2007年12月には、全幹法の適用により設備投資の自主性や経営の自由など民間企業としての原則が阻害されることがないことを確認するため、法律の適用にかかる基本的な事項を国土交通省に照会し、翌年1月にその旨の回答を得ました。
その後、全幹法の手続きが進み、2011年5月、国土交通大臣の諮問にかかる審議を行ってきた交通政策審議会が、中央新幹線(東京都・大阪市間)の営業主体等として当社を指名することが適当であること及び整備計画について下表のとおりとすることが適当であることを答申しました。国土交通大臣は、これを踏まえ、同5月、当社の同意を得た上で、当社を東京都・大阪市間の営業主体等に指名しました。続いて、当社の同意を得て、下表の整備計画を決定し、当社に建設の指示を行いました。
(注) 建設に要する費用の概算額には、利子を含みません。
これを受けて当社は、第一局面として進める東京都・名古屋市間において、環境影響評価法に基づき、環境アセスメントの手続きを進め、2011年6月及び8月の計画段階環境配慮書の公表、同9月の環境影響評価方法書の公告、2013年9月の環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)の公告を経て、2014年3月に沿線7都県の知事から受け取った準備書に対する意見を勘案し、同4月に国土交通大臣に環境影響評価書(以下「評価書」という。)を送付しました。その後、同7月に国土交通大臣から受け取った評価書に対する意見を勘案し、同8月、最終的な評価書を国土交通大臣及び関係自治体の長に送付するとともに、公告しました。
当社は、環境アセスメントの手続きと並行して、全幹法第9条に基づく工事実施計画の認可申請に必要な準備を進め、最終的な評価書の送付と同日に、国土交通大臣に対し、土木構造物を中心とした品川・名古屋間の工事実施計画(その1)の認可申請を行い、2014年10月に認可を受け、その後工事を開始しました。2017年9月には、国土交通大臣に対し、電力設備や信号通信設備等の電気設備を中心に、既に工事実施計画(その1)で認可を受けた土木工事の一部変更をあわせて、品川・名古屋間の工事実施計画(その2)として認可申請を行い、2018年3月に認可を受けました。今後申請予定である車両、駅設備等の現時点の見込み額を合算した総工事費は5兆5,235億円となり、工事実施計画(その1)の認可申請の際に示した総工事費から変更ありません。
品川・名古屋間の工事実施計画(その2)の概要は以下のとおりです。
1.区 間 品川・名古屋間
2.駅の位置 品川駅 (併設:東京都港区港南)
神奈川県(仮称)駅 (新設:神奈川県相模原市緑区橋本)
山梨県(仮称)駅 (新設:山梨県甲府市大津町字入田)
長野県(仮称)駅 (新設:長野県飯田市上郷飯沼)
岐阜県(仮称)駅 (新設:岐阜県中津川市千旦林字坂本)
名古屋駅 (併設:愛知県名古屋市中村区名駅)
3.車両基地の位置 関東車両基地(仮称)(新設:神奈川県相模原市緑区鳥屋)
中部総合車両基地(仮称)(新設:岐阜県中津川市千旦林)
4.線路延長 285.6km
(構造物種別)
トンネル:246.6km(約86%)
高 架 橋: 23.6km(約8%)
橋りょう: 11.3km(約4%)
路 盤: 4.1km(約2%)
5.線路の概要 最小曲線半径 8,000m
最急勾配 40‰
軌道中心間隔 5.8m以上
6.工事費 4兆8,536億円
(総工事費は5兆5,235億円(車両費を含む。山梨リニア実験線既設分は除く。))
7.完成予定時期 2027年
引き続き、中央新幹線の工事費全般について、社内に設置した「中央新幹線工事費削減委員会」で検証し、安全を確保した上で徹底的にコストダウンを図るとともに、開業後の運営費の圧縮に取り組みます。
さらに、毎年の経営努力を積み重ね、経営状況に応じた資源配分の最適化を図るなど柔軟に対応することにより、健全経営と安定配当を堅持しながら、計画を完遂していきます。
なお、2016年11月に鉄道・運輸機構法施行令に基づき、中央新幹線の建設の推進のため、総額3兆円(予定)の財政投融資を活用した長期借入の申請を鉄道・運輸機構に対して行い、2017年7月までに総額3兆円の借入を完了しました。
当社としては、経営の自由、投資の自主性を確保し、健全経営と安定配当を堅持しつつ、長期、固定かつ低利の貸付けを受けることにより、経営のリスクが低減され、品川・名古屋間開業後連続して、名古屋・大阪間の工事に速やかに着手し、全線開業までの期間を最大8年間前倒すことを目指して、建設を推進します。
また、中央新幹線計画に関し、工事実施計画認可の取消しを国に求める行政訴訟、工事差止め等を求める民事訴訟が提起されています。
≪参考≫ 中央新幹線(東京都・名古屋市間)の路線
(注) 中央新幹線(東京都・名古屋市間)の路線は、東京都内の東海道新幹線品川駅付近を起点とし、山梨リニア実験線(全体で42.8km)、甲府市付近、赤石山脈(南アルプス)中南部を経て、名古屋市内の東海道新幹線名古屋駅付近に至る、延長約286km(地上部約40km、トンネル約246km)の区間です。駅については、品川駅付近、名古屋駅付近のほか、神奈川県内、山梨県内、長野県内、岐阜県内に一駅ずつ設置する計画です。
(1) 事業に係る法律関連事項
① 鉄道事業法(1986年法律第92号)
鉄道事業者は、本法の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、鉄道事業を休廃止しようとするときは、事前に国土交通大臣に届け出なければならないこととされています(第28条、第28条の2)。また、旅客の運賃及び料金の設定・変更については、原則としてその上限額について国土交通大臣の認可を受けなければならないこととされています(第16条)。
② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(2001年法律第61号)
東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社及び西日本旅客鉄道株式会社(以下「本州旅客会社」という。)をJR会社法の適用対象から除外するための措置等を講じたJR会社法改正法が2001年12月1日から施行され、本州旅客会社はJR会社法の適用対象から除外されました。
なお本法附則において、国土交通大臣は、国鉄改革の経緯を踏まえ、利用者の利便の確保等を図るため、本州旅客会社及び本州旅客会社の鉄道事業の全部又は一部を譲受・合併・分割・相続により施行日以後経営する者のうち国土交通大臣が指定する者(以下「新会社」という。)がその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という。)を公表するものとされ(附則第2条)、当該指針は2001年12月1日より適用となりました(2001年国土交通省告示第1622号)。その主な内容は以下のとおりです。
○会社間(新会社の間又は新会社と北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社との間をいう。以下同じ。)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項
○国鉄改革実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項
○新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項
国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保するため必要があると認めるときは新会社に対して指導及び助言をすることができ(附則第3条)、さらに、新会社が正当な理由なく指針に沿った事業経営を行っていないと認めるときなどには必要な措置をとるべき旨を勧告及び命令することができるものとされています(附則第4条)。
そのほか、JR会社法改正法の施行日前に本州旅客会社が発行した社債について、JR会社法第4条の一般担保の規定が施行日以後も効力を有する(附則第7条)とするなど、一定の経過措置が定められています。
(2) 運賃及び料金の設定又は変更
① 運賃及び料金の認可の仕組みと手続き
鉄道運送事業者が旅客の運賃及び新幹線特急料金(以下「運賃等」という。)の上限を定め、又は変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されています(鉄道事業法第16条第1項)。
また、上限の範囲内での運賃等の設定・変更並びに在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっています(鉄道事業法第16条第3項及び第4項)。
鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっています。
(注) 1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きです。また、国土交通省設置法第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるとき又は国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められています。
2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められています。
なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保等を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客及び荷物に対する運賃及び料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、旅客運賃について、遠距離逓減制を加味したものとしています。
② 運賃改定に対する当社の考え方
a 当社では、1987年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(1989年4月、1997年4月及び2014年4月)を除くと、これまで運賃改定を実施していません。
大手民営鉄道事業者の場合、兼業部門も含めた総合的な経営判断に立って鉄道事業部門の税引後当期純利益に先行き赤字が見込まれる場合に運賃改定の申請が行われ、上記の手続きを経て改定が実施されている例が多いと見受けられます。当社の場合、兼業部門収入の全収入に占める割合が著しく小さいことなどを踏まえた上で、適正利潤を確保し得るような運賃改定を適時実施する必要があるものと考えています。
b 事業経営に当たっては、まず収入の確保と合理化努力を進め能率的な経営に努めますが、適正利潤についてはこのような努力を前提とした上で、株主に対する利益配当に加え、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えています。
③ 国土交通省の考え方
当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されています。
a 東海旅客鉄道株式会社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という。)を超えないものであるかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。
b 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。
c 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。
総括原価=営業費等(注1)+事業報酬
・事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率
・事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)
・事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)
×他人資本報酬率(注4)
(注) 1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。
2 運転資本=営業費及び貯蔵品の一部
3 自己資本比率は30%、他人資本比率は70%
4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率及び配当所要率の平均、他人資本報酬率は、借入金等の実績平均レート
d なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、又はその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃又は料金が、次のア又はイに該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃又は料金を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。
ア 特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき
イ 他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき
(3) 競合等
当社グループは、鉄道事業において、航空会社及び他の鉄道会社、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合しているほか、鉄道以外の事業においても、既存及び新規の事業者と競合しています。加えて、これらの事業は、日本経済の情勢とりわけ主な営業エリアである首都圏、中京圏、近畿圏における景気動向の影響を受けていることから、既存及び新規の事業者との競合状況や今後の経済情勢等が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
特に、当社グループの主力事業であり、当社グループの営業収益の約7割の運輸収入をあげる東海道新幹線においては、航空会社との間で、航空運賃の著しい引下げ、空港の発着枠の拡大、さらには空港と都市中心部とのアクセス改善など航空機による移動の利便性向上等に起因した競争に直面しています。
(4) 長期債務
1987年の会社設立に際し、当社は、日本国有鉄道改革法(1986年法律第87号)に基づき、国鉄の長期債務のうち3,191億円を承継しました。さらに、当社は、新幹線鉄道に係る鉄道施設の譲渡等に関する法律(1991年法律第45号)に基づき、東海道新幹線に係る鉄道施設(車両を除く。)を1991年10月1日、新幹線鉄道保有機構(以下「保有機構」という。)より5兆956億円で譲り受け、このうち4兆4,944億円については25.5年、6,011億円については60年の元利均等半年賦により鉄道整備基金に支払うことに関して、保有機構との間に契約を締結し、その譲渡価額を鉄道施設購入長期未払金として計上しました。なお、4兆4,944億円の債務については、2017年1月に返済を完了しています。
(注) 保有機構は1991年10月1日に解散し、その一切の権利及び義務は鉄道整備基金に承継されました。さらに鉄道整備基金は1997年10月1日に解散し、その一切の権利及び義務は運輸施設整備事業団に承継され、運輸施設整備事業団は2003年10月1日に解散し、その一切の権利及び義務は法律により国が承継する資産を除き、鉄道・運輸機構に承継されました。
また、2016年11月に、中央新幹線の建設の推進のため、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(以下「鉄道・運輸機構法施行令」という。)に基づき、財政投融資を活用した長期借入の申請を鉄道・運輸機構に対して行い、2017年7月までに、長期、固定かつ低利の中央新幹線建設長期借入金について、総額3兆円の借入を行いました。
これらを含めた連結長期債務残高は、当期末現在で4兆8,511億円、そのうち中央新幹線建設長期借入金を除いた長期債務残高は1兆8,511億円となっています。また、当期の支払利息は807億円であり、これは営業利益の11.4%に相当します。
(5) 自然災害等
当社グループの事業、特に東海道新幹線をはじめとする鉄道事業については、地震・台風等の自然災害やテロ等により大きな影響が生じる可能性があります。
なお、鉄道インフラについて当社は、安全・安定輸送の確保は最優先の課題であるとの認識の下、会社発足以来、自然災害等に対する設備強化に積極的に取り組んでいます。具体的には、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災などにおける他社線の被災状況等を踏まえて、東海道新幹線の橋脚については必要な箇所の耐震補強を完了し、高架橋柱及び盛土の耐震補強は開発案件等と関係する一部を除き完了しました。そのほか、脱線・逸脱防止対策をはじめとする設備の強化など、より一層安定した輸送を確保するための設備強化を積極的に進めています。また在来線においても、輸送の安全確保のため、構造物等の耐震補強や盛土補強、落石対策等を継続的に実施するなど、自然災害等による鉄道事業への影響を最小限のものとするための取組みを進めています。
(6) 安全対策
当社グループの事業、特に東海道新幹線をはじめとする鉄道事業については、仮に列車の運行により事故が発生した場合、大きな損害が出る可能性があります。
当社は、安全・安定輸送の確保は最優先の課題であるとの認識の下、ソフト・ハード両面にわたり、会社発足当初から安全に関する取組みを積極的に進めています。
ソフト面の取組みとしては、規程・マニュアル類を常に整備するとともに教育訓練を徹底し、社員自らが能力を高める職場風土の構築に努めることにより、社員一人ひとりが知識・技能を身につけ、規律と使命感をしっかり持って業務を遂行するように取り組んでいます。また、当社の研修センターにおいて、グループ一体として、安全に主眼を置いた社員教育の一層の充実に取り組んでいます。
一方、ハード面においては、保安・防災対策を一層進めているほか、車両・軌道・電気設備の維持・更新等を積極的に推進しています。新幹線では、新ATC(自動列車制御装置)システムや新型車両を導入するなど、安全・安定輸送の確保のため、必要な設備投資を積極的に行っています。また、在来線においても、全線でATS-PT(パターン照査式自動列車停止装置)の導入を行うなど、より一層の安全性向上に努めてきました。
これらの結果、当期の鉄道運転事故件数(13件)は会社発足初年度である1987年度(60件)と比較して大幅に減少しました。
(7) コンピュータシステム・顧客個人情報保護
当社グループは、現在、鉄道事業や鉄道以外の事業における様々な業務分野で、多くのコンピュータシステムを用いています。また、当社グループと密接な取引関係にある他の旅行会社や鉄道情報システム㈱等においても、コンピュータシステムが重要な役割を果たしています。したがって、サイバー攻撃や自然災害、人為的ミス等によってこれらのコンピュータシステムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。また、コンピュータウイルスへの感染や人為的不正操作等によりコンピュータシステム上の顧客個人情報が外部に流出した場合等には、当社グループが提供する様々なサービスへの影響を通じて、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、障害対策として、日常より最新の技術動向等を勘案しながら自社システムのセキュリティ機能の向上を図るとともに、関係する社員の教育・訓練等を充実させ、万一障害が発生した場合においても、その影響を最小限のものとするよう、速やかな初動体制及び復旧体制の構築等に努めています。
また、個人情報保護対策として、社内の管理体制を整えるとともに、社内規程やマニュアルを整備し、社員に周知徹底をしています。さらに、顧客個人情報へのアクセス権限を限定し、システムセキュリティを強化するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めています。
(8) 超電導リニアによる中央新幹線
当社は、自らの使命であり経営の生命線である首都圏~中京圏~近畿圏を結ぶ高速鉄道の運営を持続するとともに、企業としての存立基盤を将来にわたり確保していくため、超電導リニアによる中央新幹線計画を進めています。
現在この役割を担う東海道新幹線は、2014年10月に開業50年を迎え、鉄道路線の建設・実現に長い期間を要することを踏まえれば、将来の経年劣化や大規模災害に対する抜本的な備えを考えなければならない時期にきています。このため、その役割を代替する中央新幹線について、自己負担を前提として、当社が開発してきた超電導リニアにより可及的速やかに実現し、東海道新幹線と一元的に経営していくこととしています。
このプロジェクトの完遂に向けて、鉄道事業における安全・安定輸送の確保と競争力強化に必要な投資を行うとともに、健全経営と安定配当を堅持し、柔軟性を発揮しながら着実に取り組みます。その上で、まずは工事実施計画の認可を受けた東京都・名古屋市間を実現し、さらに、大阪市まで実現することとしています。
当社は、2007年12月に第一局面としての名古屋市までの推進を、さらには、2010年4月に大阪市までの営業主体等の指名に同意する意思があることを表明するにあたり、それぞれの時点で考えられる前提条件を置いて検討を行い、路線建設を自己負担で推進しても、健全経営の確保が十分に可能であると判断し、必要な対応を進めることを決定しました。
また、2007年12月には、全幹法の適用により設備投資の自主性や経営の自由など民間企業としての原則が阻害されることがないことを確認するため、法律の適用にかかる基本的な事項を国土交通省に照会し、翌年1月にその旨の回答を得ました。
その後、全幹法の手続きが進み、2011年5月、国土交通大臣の諮問にかかる審議を行ってきた交通政策審議会が、中央新幹線(東京都・大阪市間)の営業主体等として当社を指名することが適当であること及び整備計画について下表のとおりとすることが適当であることを答申しました。国土交通大臣は、これを踏まえ、同5月、当社の同意を得た上で、当社を東京都・大阪市間の営業主体等に指名しました。続いて、当社の同意を得て、下表の整備計画を決定し、当社に建設の指示を行いました。
建設線 | 中央新幹線 | |
区間 | 東京都・大阪市 | |
走行方式 | 超電導磁気浮上方式 | |
最高設計速度 | 505キロメートル/時 | |
建設に要する費用の概算額 (車両費を含む。) | 90,300億円 | |
その他必要な事項 | 主要な経過地 | 甲府市附近、赤石山脈(南アルプス) 中南部、名古屋市附近、奈良市附近 |
これを受けて当社は、第一局面として進める東京都・名古屋市間において、環境影響評価法に基づき、環境アセスメントの手続きを進め、2011年6月及び8月の計画段階環境配慮書の公表、同9月の環境影響評価方法書の公告、2013年9月の環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)の公告を経て、2014年3月に沿線7都県の知事から受け取った準備書に対する意見を勘案し、同4月に国土交通大臣に環境影響評価書(以下「評価書」という。)を送付しました。その後、同7月に国土交通大臣から受け取った評価書に対する意見を勘案し、同8月、最終的な評価書を国土交通大臣及び関係自治体の長に送付するとともに、公告しました。
当社は、環境アセスメントの手続きと並行して、全幹法第9条に基づく工事実施計画の認可申請に必要な準備を進め、最終的な評価書の送付と同日に、国土交通大臣に対し、土木構造物を中心とした品川・名古屋間の工事実施計画(その1)の認可申請を行い、2014年10月に認可を受け、その後工事を開始しました。2017年9月には、国土交通大臣に対し、電力設備や信号通信設備等の電気設備を中心に、既に工事実施計画(その1)で認可を受けた土木工事の一部変更をあわせて、品川・名古屋間の工事実施計画(その2)として認可申請を行い、2018年3月に認可を受けました。今後申請予定である車両、駅設備等の現時点の見込み額を合算した総工事費は5兆5,235億円となり、工事実施計画(その1)の認可申請の際に示した総工事費から変更ありません。
品川・名古屋間の工事実施計画(その2)の概要は以下のとおりです。
1.区 間 品川・名古屋間
2.駅の位置 品川駅 (併設:東京都港区港南)
神奈川県(仮称)駅 (新設:神奈川県相模原市緑区橋本)
山梨県(仮称)駅 (新設:山梨県甲府市大津町字入田)
長野県(仮称)駅 (新設:長野県飯田市上郷飯沼)
岐阜県(仮称)駅 (新設:岐阜県中津川市千旦林字坂本)
名古屋駅 (併設:愛知県名古屋市中村区名駅)
3.車両基地の位置 関東車両基地(仮称)(新設:神奈川県相模原市緑区鳥屋)
中部総合車両基地(仮称)(新設:岐阜県中津川市千旦林)
4.線路延長 285.6km
(構造物種別)
トンネル:246.6km(約86%)
高 架 橋: 23.6km(約8%)
橋りょう: 11.3km(約4%)
路 盤: 4.1km(約2%)
5.線路の概要 最小曲線半径 8,000m
最急勾配 40‰
軌道中心間隔 5.8m以上
6.工事費 4兆8,536億円
(総工事費は5兆5,235億円(車両費を含む。山梨リニア実験線既設分は除く。))
7.完成予定時期 2027年
引き続き、中央新幹線の工事費全般について、社内に設置した「中央新幹線工事費削減委員会」で検証し、安全を確保した上で徹底的にコストダウンを図るとともに、開業後の運営費の圧縮に取り組みます。
さらに、毎年の経営努力を積み重ね、経営状況に応じた資源配分の最適化を図るなど柔軟に対応することにより、健全経営と安定配当を堅持しながら、計画を完遂していきます。
なお、2016年11月に鉄道・運輸機構法施行令に基づき、中央新幹線の建設の推進のため、総額3兆円(予定)の財政投融資を活用した長期借入の申請を鉄道・運輸機構に対して行い、2017年7月までに総額3兆円の借入を完了しました。
当社としては、経営の自由、投資の自主性を確保し、健全経営と安定配当を堅持しつつ、長期、固定かつ低利の貸付けを受けることにより、経営のリスクが低減され、品川・名古屋間開業後連続して、名古屋・大阪間の工事に速やかに着手し、全線開業までの期間を最大8年間前倒すことを目指して、建設を推進します。
また、中央新幹線計画に関し、工事実施計画認可の取消しを国に求める行政訴訟、工事差止め等を求める民事訴訟が提起されています。
≪参考≫ 中央新幹線(東京都・名古屋市間)の路線
(注) 中央新幹線(東京都・名古屋市間)の路線は、東京都内の東海道新幹線品川駅付近を起点とし、山梨リニア実験線(全体で42.8km)、甲府市付近、赤石山脈(南アルプス)中南部を経て、名古屋市内の東海道新幹線名古屋駅付近に至る、延長約286km(地上部約40km、トンネル約246km)の区間です。駅については、品川駅付近、名古屋駅付近のほか、神奈川県内、山梨県内、長野県内、岐阜県内に一駅ずつ設置する計画です。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E04149] S100G233)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。