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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100G3FX

有価証券報告書抜粋 大成建設株式会社 研究開発活動 (2019年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、「建設事業本業の深耕」という基本方針のもと、品質と安全の確保によって高い顧客満足を得るとともに、安定的かつ持続的な成長を目的として、リニューアル・リプレイス分野、原子力分野、環境分野、エンジニアリング分野並びに都市開発分野に重点を置き、技術開発を推進しております。実施に際しては、技術ニーズの高度化・多様化への対応として、AIをはじめとしたIoT等の最先端分野に注力するとともに、投資効率を高めるべく、大学をはじめとした研究機関、異業種企業、同業他社等との社外アライアンスを積極的に推進しております。
当連結会計年度における研究開発費は124億円であります。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりであります。

(土木事業)
(1) UFC(Ultra Fiber Concrete;繊維補強コンクリート)の長期耐久性の性能検証と鉄道架替工事への導入
普通コンクリートに比べ約4倍の強度と優れた耐久性をもつUFCにより、国内で初めて施工されたPC歩道橋「酒田みらい橋(2002年竣工)」及びモノレール軌道桁「東京モノレール軌道桁(2007年竣工)」が、竣工から十数年経過した現在においても、構造物の優れた耐久性能が健全に維持されていることを経年調査により確認しました。また、当連結会計年度においては、国内で2例目となるUFCを用いた鉄道橋4橋の架替工事を京王井の頭線の下北沢駅付近で実施しました。今後、本技術を鉄道、高速道路、空港等交通インフラ施設へのより一層の導入を拡大してまいります。

(2) 山岳トンネル工事におけるIoT技術を利用した「切羽プロジェクションマッピング」の開発
山岳トンネル工事における切羽(トンネル最先端の掘削面)をスクリーンにして、地盤情報を投影する装置「切羽プロジェクションマッピング」を㈱富士テクニカルリサーチ、マック㈱、古河ロックドリル㈱と共同で開発しました。吹付コンクリートで覆った切羽に、クラウドサーバー経由で実物大写真やスケッチ、地盤の硬軟等がわかるコンター図等を投影して、作業員が最新の地盤情報をリアルタイムで共有することが可能となるため、作業の安全性や効率性が向上します。今後、本技術を山岳トンネル工事だけでなく、様々なプロジェクトに活用し、作業の安全性と効率性の向上を推進してまいります。

(3) 気象・海象を考慮した作業船運航管理支援システム「T-iOperation船ナビ®」の開発
海洋工事において、現地の気象・海象を考慮して作業船を安全かつ効率的に運航するためのナビゲーションシステム「T-iOperation船ナビ®」を開発しました。複数の作業船により数百kmもの遠方から建設用資材等を輸送する場合等において、運航状況確認が一元化されるため、気象・海象の変化に合わせてきめ細やかな運航支援が可能となります。今後、国内外における海洋工事の設計・施工案件への導入を図るとともに、作業船以外の船舶への導入拡大についても検討を進めてまいります。

(4) ICTの活用により生産性向上への貢献が期待される「T-CIM®/Concrete打重ね管理システム」
及び「T-CIM®/Dam」の構築
既に導入済の場所打ちコンクリート工事管理システム「T-CIM®/Concrete」の機能を拡張し、コンクリート打重ね状況をリアルタイムに把握できる管理手法「T-CIM®/Concrete打重ね管理システム」を開発しました。本システムによって、各々の施工計画に対して最適な打重ね打設手順の選定と、工事全体の打設状況の把握・管理が実現されるため、工事の更なる品質と生産性の向上を図ることが可能となりました。また、ダム工事の作業領域に応じたデータを自動収集し、ダム堤体3次元モデルに集約・紐づけて一元管理する「T-CIM®/Dam」を開発しまた。本システムにより、ダム工事現場の作業効率化、省人化・省力化、品質及び安全性の向上を図ることが可能となりました。今後も情報通信技術を活用した施工システムと、3次元モデルを統合した当社独自のCIMシステム「T-CIM®」シリーズの機能拡張を進めながら、対象となる現場において導入・運用してまいります。


(5) 建設用3Dプリンタ「T-3DPTM(Taisei-3DPrinting)」の開発
セメント系材料を使用する建設用3Dプリンタ「T-3DPTM(Taisei-3D Printing)」を㈱アクティオ、国立高等専門学校機構有明工業高等専門学校、太平洋セメント㈱と共同で開発しました。コンクリートの施工に必須であった型枠に頼ることなく、3Dデータから様々な形状の建設部材を迅速かつ高精度に自動製作することが可能となります。今後は、セメントを使用した建設部材の製作や、現場での大型構造物の施工を実現するため、補強方法や品質管理手法、構造的な評価技術の確立等の課題解決に取り組み、積極的に本技術の研究開発を推進してまいります。

(6) 連結子会社における研究開発の主なもの

大成ロテック㈱において、生産性向上に寄与する技術として「i-Pavement/ICT対応技術の開発」、舗装の耐久性向上を目指した技術開発として「適用箇所の要求性能に応じた改質アスファルトの開発」、維持修繕・メンテナンス技術として「アスファルト舗装やコンクリート舗装用の高耐久な補修材料の開発」を行っております。また、循環型社会・低炭素社会の構築に寄与する舗装技術として「アスファルトの再生利用技術の高度化に関する研究」、夏季の歩行空間の快適性向上に関する技術として「虫が寄りつきにくい舗装技術の開発」等の研究を行っております。

(建築事業)

(1) 異業種との協業を推進するオープンラボを備えた次世代研究開発棟の運用開始
異業種との協業を推進するオープンラボを備え、材料・環境分野の研究・開発拠点となる「次世代研究 開発棟」を技術センターに完成させ、運用を開始しました。本施設は、既存躯体をリニューアルした施設でありながら、民間研究関連施設では国内初となる「Nearly ZEB(正味で75%以上の省エネルギー効果がある施設) 」の達成を目標としております。本施設には、実験室内の環境を最適に制御するシステム「T-Labo.® Next」を導入して、次世代型の実験室の環境制御に求められる要素EHS(Environment(環境)、Health(健康・衛生)、Safety(安全))を一体的に管理し、省エネルギーの実現と本施設で働く研究者の安全と健康の確保を両立しております。今後、新設・既設に問わず研究関連施設を対象として展開してまいります。

(2) 高性能振子式大型制振装置「T-Mダンパー®」の性能検証
当社と三菱重工機械システム㈱が共同で開発した屋上設置型の高性能振子式大型制振装置「T-Mダンパー®」について、大型三軸振動台を使用した検証試験により解析結果と同等の制振効果が得られることを実証しました。検証試験にもとづく解析の結果、高さ200m(50階建て相当)の超高層建物の場合、長周期地震動で生じる建物の揺れを最大で30%低減できることを確認しました。今後、長周期地震対策の制振技術として、本装置を新築・改築問わず対象となる超高層建物に対して積極的に展開してまいります。

(3) 力触覚伝達型遠隔操作システムと第5世代移動通信システム(5G)及びAIとの連携
当社が開発した力触覚伝達型遠隔操作システム(ロボットアームが物を把持する際の力加減を操作者が感じながら遠隔操作するシステム)について、第5世代移動通信システム「5G」による動作をソフトバンク㈱と共同で実現しました。また、操作者の力触覚伝達遠隔操作データを蓄積しAIのディープラーニングにより、自律的にロボットアームが人間の操作に合わせて動作することを㈱エクサウィザーズと共同で実証しました。今後、製薬工場や食品工場など生産施設での実装に向け、遠隔操作データ利活用のIoTネットワークの開発を進めてまいります。

(4) AIを用いた建物周辺の風環境予測技術の開発
AIを活用し、複数の建物が林立する市街地を対象として、建物周辺で発生する複雑な風環境(風速・風向)について、簡易な操作によって高速で予測する技術を開発しました。本技術により、設計の初期段階から風環境を考慮した検討が可能となり、設計検討時の関係者間の打合せの合理化及び検証に関わるコストの削減が実現されます。今後、本技術を用いた風環境の予測精度を更に向上させるとともに、風環境を考慮した設計支援ツールとして構築し、積極的に展開してまいります。

(5) 大口径多段拡径場所打ちコンクリート杭工法「T-EAGLE®杭工法」を開発
杭の中間部と底部の杭径を大幅に拡大した大口径多段拡径場所打ちコンクリート杭工法「T-EAGLE®杭工 法」をシステム計測㈱と共同で開発しました。本工法により場所打ちコンクリート杭の中間部と底部の杭径を約2倍に拡大することで支持力の更なる強化を実現しました。本技術については、現場施工試験により本工法の施工手順及び施工管理手法を確立し、(一財)ベターリビングより建設技術審査証明(BL審査証明-043)を2019年1月に取得しました。今後、都市部で計画される高さ300m級の超高層建物の基礎工事に対して、積極的に展開してまいります。

(土木事業・建築事業共通)
(1) 効率的分解菌を利用した1,4-ジオキサン汚染水浄化技術
1,4-ジオキサンは、化学産業での溶剤等として広く使われている化学物質ですが、人体や生態への影響が明らかとなり、現在では環境省が定める地下水の水質汚濁に係る環境基準や排水基準の規制対象となっております。しかし、分解が難しい物質であるため、複数の酸化剤を併用する促進酸化法等の化学的処理が従来は行われてきましたが、処理に要する環境負荷やコストが大きな課題でした。当社では、様々な環境から1,4-ジオキサン分解菌の探索を進め、極めて効率的に1,4-ジオキサンを分解できる新たな微生物を発見しました。既に、この分解菌を用いた水処理プロセスを構築し、汚染地下水や工場排水での検証を完了しております。今後、国内外の水環境保全に貢献するために、本技術を積極的に展開してまいります。

(2) 地域環境に適合した在来種植物を組み合せた「群集マット®」の開発
都市部の緑地創出や生物多様性への関心の高まりを受け、地域本来の生態系に配慮した在来種の植物を組み合せた「群集マット®」を、㈱グリーンエルムと共同で開発しました。あらかじめ多様な草を本マットで育成することにより、都市部の外構計画において、地域に適合した緑地を容易に創出することが可能となります。今後、本技術をさまざまなプロジェクトで積極的に展開し、地域に適合した緑地の創出を支援し、豊かな生物多様性を備えた社会の実現を目指してまいります。

(3) 建物内部の浸水リスク評価・診断システム「T-Flood®Analyzer」の高度化
2016年に開発した豪雨・洪水・津波等による建物内部の浸水リスクを短時間で可視化できる評価・診断システム「T-Flood®Analyzer」に、建物利用者の避難経路と避難に要する時間を算出する機能を追加しました。本技術により、建物の形状と浸水の深度に従って、歩行速度低下を考慮した避難時間算出等が可能となり、効果的な止水対策や浸水リスク対策の検証が可能となります。今後、浸水リスクが想定される地下街や建物地下階を対象に、積極的に活用してまいります。


事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00052] S100G3FX)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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