有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100GDOR
大王製紙株式会社 研究開発活動 (2019年3月期)
当社グループは、ユーザーニーズの変化に対応した商品の開発・改良に主眼を置き、高付加価値品の商品化、複合商品等、新規分野の開発及び薬品や新素材の研究開発を進めています。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は2,809百万円であり、紙・板紙事業及びホーム&パーソナルケア事業等における研究開発活動の状況は以下のとおりです。
(1) 紙・板紙事業
収益性の高い既存品種の品揃えを拡充することによる収益の向上、また特定の品種の生産に偏重しないよう、未開拓分野の中から発掘した新規品種の生産に置き換えることによる収益の安定化を進めています。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① 光学分野での取組み
ディスプレイのギラツキを抑える機能を持たせたフィルムの支給を受け粘着加工する受託加工案件と、機能性フィルムの疵つき防止を目的とした保護フィルムの設計開発案件、これら2件が新たに販売開始となりました。また、自動車分野向けとした車載ディスプレイや、加飾フィルムの貼合せに使用する高耐久性の粘着剤の設計・開発を進めており、実機試作品でユーザー評価の段階まで進めることができています。
② フィルムタック分野での取組み
合成紙タック紙の品揃え拡充のため、幅広い被着体に対し必要に応じて剥がすことが可能な機能を持たせた、再剥離系粘着剤(再剥離超強粘)の開発を完了させ、販売を開始しました。
③ 新規分野での取組み
従前の粘着剤のコーティングではなく、フィルムに受容層(溶剤系の樹脂)をコーティングする新規分野としての案件として取り組んだ昇華型染料受容層コート付きカード原紙は、設計に目処がつき、現在実機試作品でエンドユーザーの評価を受けている段階であり、2019年10月販売開始を計画しています。
紙・板紙事業に係る研究開発費は、934百万円です。
(2) ホーム&パーソナルケア事業
中期事業計画での売上及び収益の目標達成を目指し、国内・海外含め売上拡大が期待されるホーム&パーソナルケア事業において、ユーザーニーズの変化に対応した新商品開発と既存商品の改良に主眼を置き、付加価値商品の売上比率を増やすべく開発を進めています。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① 衛生用紙での取組み
トイレットティシューでは、当社が新たに開拓したプレミアムトイレットティシュー市場を更に拡大するため、既存商品「エリエール 消臭+(プラス)トイレットティシュー」の改良と併せ、新たな香りを追加した3アイテムを追加し、合計6アイテムを開発し発売しました。また、プレミアムティシュー市場では、「コットンフィールティシュー」の柔らかさを更にアップするリニューアルを行い、風邪や花粉で肌ケア用品を求めるターゲットに、ローションタイプティシュー以外の選択肢となる品揃えでトライアルを喚起します。
② ベビー用紙おむつでの取組み
ベビー用紙おむつでは、商品を使う入口となる、生まれて直ぐの赤ちゃん用3S・新生児・Sサイズを、スピード通気で肌が赤くなりにくく、柔軟にフィットしてモレにくい紙おむつに改良しました。また、BIGサイズより大きいサイズの商品を、スピード吸収でモレにくく、摩擦低減で肌に優しい紙おむつに改良し、生まれてからおむつを卒業するまでの全てのサイズで肌に優しく、モレにくい紙おむつとしました。
③ 大人用紙おむつでの取組み
大人用紙おむつでは、従来の糸ゴムではなく伸縮フィルム形状の「プレミアム伸び・ワザ素材」を使用した「アテント 超うす型パンツ・下着爽快プラス」(6アイテム)と、パンツ市場最高の吸収量を持つ「アテント 夜1枚安心パンツ」(2アイテム)を新発売しました。更に、薄型パンツを併用する人が抵抗なく使え
るパッド「アテント 紙パンツ尿とりパッドすっきりスリム 2回吸収」と、吸収性・ズレにくさで安心感を追求した「アテント 紙パンツ用尿とりパッド ぴったり超安心」(5アイテム)をリニューアル発売しました。
④ ウェットワイプでの取組み
ウェットワイプでは、お子様にも安心して使える「除菌できる」シリーズに、ノンアルコールタイプ(3アイテム)を新発売しました。また、「キレキラ!ワイパー」シリーズに、「キレキラ!ワイパー徹底キレイ ふわっと香るスイートローズの香り」を追加発売しました。
⑤ フェミニンケア用品での取組み
フェミニンケア用品では、次世代をつくる10代後半から20代前半を対象にした、わずか2mmの超スリムで5時間もサラサラの「エリス コンパクトガード」(6アイテム)を開発し、新発売しました。
ホーム&パーソナルケア事業に係る研究開発費は、1,761百万円です。
(3) セルロースナノファイバー(CNF)
セルロースナノファイバー(以下、「CNF」という。)は、紙やパルプにはない特異的な性質を活かして、多種多様な用途への展開が期待されています。また、植物バイオマスから取り出した天然由来の繊維であり、製紙事業で培った当社独自の技術を活かしながら、CNFの製造とその利活用を見出すことで低炭素社会の実現にも貢献できるよう研究開発を進めています。CNFの事業化には、安価なCNF製造法の開発、ユーザー要望の品質改善、メーカーと垂直連携した用途開発が課題となっています。
当社は、既存のCNF水分散液、乾燥体、シート成形体の開発・生産性向上を進めると共に、化粧品用途・塗料・フィルム加工を意識した高透明度品の開発と複合樹脂用途での既存成形設備・技術で容易に扱えるセルロース複合樹脂ペレットのサンプル提供を開始しました。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」事業において、当社の「省エネルギー型ナノセルロースの製造プロセスの開発」が「優良事業」の評価を受けました。今後、事業化に向けて推進します。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① 高透明度のCNF製造技術の開発に成功(2018年9月)
繊維幅3~4ナノメートルまで容易に微細化でき、高透明度のCNFを製造できる「亜リン酸エステル化法」の開発に成功しました。透明性に対するニーズに応えられるよう、新たに高透明度のCNF「ELLEX-☆(エレックススター)」を加えたサンプルラインナップとし、用途開発を加速しています。
② セルロース複合樹脂ペレットのサンプル提供開始(2018年11月)
CNFの軽くて強い特性を活かして樹脂との複合化開発を進める中で、樹脂補強では、粗く解したセルロース繊維を用いても樹脂の力学物性を向上できる技術の開発に成功しました。セルロース繊維とポリプロピレン樹脂を複合化した「セルロース複合樹脂ペレット」のサンプルを提供開始し、事業化に向けた取組みをさらに強化しています。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は2,809百万円であり、紙・板紙事業及びホーム&パーソナルケア事業等における研究開発活動の状況は以下のとおりです。
(1) 紙・板紙事業
収益性の高い既存品種の品揃えを拡充することによる収益の向上、また特定の品種の生産に偏重しないよう、未開拓分野の中から発掘した新規品種の生産に置き換えることによる収益の安定化を進めています。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① 光学分野での取組み
ディスプレイのギラツキを抑える機能を持たせたフィルムの支給を受け粘着加工する受託加工案件と、機能性フィルムの疵つき防止を目的とした保護フィルムの設計開発案件、これら2件が新たに販売開始となりました。また、自動車分野向けとした車載ディスプレイや、加飾フィルムの貼合せに使用する高耐久性の粘着剤の設計・開発を進めており、実機試作品でユーザー評価の段階まで進めることができています。
② フィルムタック分野での取組み
合成紙タック紙の品揃え拡充のため、幅広い被着体に対し必要に応じて剥がすことが可能な機能を持たせた、再剥離系粘着剤(再剥離超強粘)の開発を完了させ、販売を開始しました。
③ 新規分野での取組み
従前の粘着剤のコーティングではなく、フィルムに受容層(溶剤系の樹脂)をコーティングする新規分野としての案件として取り組んだ昇華型染料受容層コート付きカード原紙は、設計に目処がつき、現在実機試作品でエンドユーザーの評価を受けている段階であり、2019年10月販売開始を計画しています。
紙・板紙事業に係る研究開発費は、934百万円です。
(2) ホーム&パーソナルケア事業
中期事業計画での売上及び収益の目標達成を目指し、国内・海外含め売上拡大が期待されるホーム&パーソナルケア事業において、ユーザーニーズの変化に対応した新商品開発と既存商品の改良に主眼を置き、付加価値商品の売上比率を増やすべく開発を進めています。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① 衛生用紙での取組み
トイレットティシューでは、当社が新たに開拓したプレミアムトイレットティシュー市場を更に拡大するため、既存商品「エリエール 消臭+(プラス)トイレットティシュー」の改良と併せ、新たな香りを追加した3アイテムを追加し、合計6アイテムを開発し発売しました。また、プレミアムティシュー市場では、「コットンフィールティシュー」の柔らかさを更にアップするリニューアルを行い、風邪や花粉で肌ケア用品を求めるターゲットに、ローションタイプティシュー以外の選択肢となる品揃えでトライアルを喚起します。
② ベビー用紙おむつでの取組み
ベビー用紙おむつでは、商品を使う入口となる、生まれて直ぐの赤ちゃん用3S・新生児・Sサイズを、スピード通気で肌が赤くなりにくく、柔軟にフィットしてモレにくい紙おむつに改良しました。また、BIGサイズより大きいサイズの商品を、スピード吸収でモレにくく、摩擦低減で肌に優しい紙おむつに改良し、生まれてからおむつを卒業するまでの全てのサイズで肌に優しく、モレにくい紙おむつとしました。
③ 大人用紙おむつでの取組み
大人用紙おむつでは、従来の糸ゴムではなく伸縮フィルム形状の「プレミアム伸び・ワザ素材」を使用した「アテント 超うす型パンツ・下着爽快プラス」(6アイテム)と、パンツ市場最高の吸収量を持つ「アテント 夜1枚安心パンツ」(2アイテム)を新発売しました。更に、薄型パンツを併用する人が抵抗なく使え
るパッド「アテント 紙パンツ尿とりパッドすっきりスリム 2回吸収」と、吸収性・ズレにくさで安心感を追求した「アテント 紙パンツ用尿とりパッド ぴったり超安心」(5アイテム)をリニューアル発売しました。
④ ウェットワイプでの取組み
ウェットワイプでは、お子様にも安心して使える「除菌できる」シリーズに、ノンアルコールタイプ(3アイテム)を新発売しました。また、「キレキラ!ワイパー」シリーズに、「キレキラ!ワイパー徹底キレイ ふわっと香るスイートローズの香り」を追加発売しました。
⑤ フェミニンケア用品での取組み
フェミニンケア用品では、次世代をつくる10代後半から20代前半を対象にした、わずか2mmの超スリムで5時間もサラサラの「エリス コンパクトガード」(6アイテム)を開発し、新発売しました。
ホーム&パーソナルケア事業に係る研究開発費は、1,761百万円です。
(3) セルロースナノファイバー(CNF)
セルロースナノファイバー(以下、「CNF」という。)は、紙やパルプにはない特異的な性質を活かして、多種多様な用途への展開が期待されています。また、植物バイオマスから取り出した天然由来の繊維であり、製紙事業で培った当社独自の技術を活かしながら、CNFの製造とその利活用を見出すことで低炭素社会の実現にも貢献できるよう研究開発を進めています。CNFの事業化には、安価なCNF製造法の開発、ユーザー要望の品質改善、メーカーと垂直連携した用途開発が課題となっています。
当社は、既存のCNF水分散液、乾燥体、シート成形体の開発・生産性向上を進めると共に、化粧品用途・塗料・フィルム加工を意識した高透明度品の開発と複合樹脂用途での既存成形設備・技術で容易に扱えるセルロース複合樹脂ペレットのサンプル提供を開始しました。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」事業において、当社の「省エネルギー型ナノセルロースの製造プロセスの開発」が「優良事業」の評価を受けました。今後、事業化に向けて推進します。
当連結会計年度における研究開発の取組みは以下のとおりです。
① 高透明度のCNF製造技術の開発に成功(2018年9月)
繊維幅3~4ナノメートルまで容易に微細化でき、高透明度のCNFを製造できる「亜リン酸エステル化法」の開発に成功しました。透明性に対するニーズに応えられるよう、新たに高透明度のCNF「ELLEX-☆(エレックススター)」を加えたサンプルラインナップとし、用途開発を加速しています。
② セルロース複合樹脂ペレットのサンプル提供開始(2018年11月)
CNFの軽くて強い特性を活かして樹脂との複合化開発を進める中で、樹脂補強では、粗く解したセルロース繊維を用いても樹脂の力学物性を向上できる技術の開発に成功しました。セルロース繊維とポリプロピレン樹脂を複合化した「セルロース複合樹脂ペレット」のサンプルを提供開始し、事業化に向けた取組みをさらに強化しています。
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