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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100G1GW

有価証券報告書抜粋 東亜道路工業株式会社 研究開発活動 (2019年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社は、技術力の充実を企業戦略上の重要施策の一つとして認識し、社会に貢献する技術・社会のニーズに応じた技術の研究開発に努めています。
道路舗装を中心とした新材料・新工法の開発に注力するほか、舗装の総合的な調査・評価システムを開発し、官公庁や民間企業などの顧客に対する技術の提案を行っています。また、大学、官公庁、民間企業の研究機関との共同研究を行い、その成果は新材料・新工法の開発や特許の取得などに反映するとともに国内外の学術会議で発表するなど情報発信に努めています。
これら研究開発テーマの設定・推進にあたっては、技術部・技術推進部、技術営業部及び技術研究所からなる技術本部が中心になり、工務本部、製品事業本部、営業本部など他部署と連携をとりながら、環境負荷低減、耐久性の向上、コスト縮減、安全性の向上など社会的要請に応え、顧客の信頼を得ることを目標に取り組んでいます。2018年度からはイントラネット上に"技術的課題の提案"と題した意見箱を構築し、現場で困っていることや小さなアイデアを広く全社員から募集し、開発テーマの参考としています。
当連結会計年度中に支出した研究開発費の総額は293百万円でありますが、当社での研究開発は、建設事業と、建設材料等の製造販売事業の両部門に密接に関連させて研究開発を行っているため、その内容をセグメント別に分類することは困難です。
[主な研究開発]
(1)舗装材料の開発
①鋼床版の疲労対策を目的とした「高剛性アスファルト舗装」の開発
社会資本の老朽化による補修・更新に関する問題はわが国の大きな社会問題であり、そのうち橋梁の疲労損傷は、早急な対策が必要となっています。橋梁は床版の種類により鋼床版とコンクリート床版に大別され、鋼床版の一般的な補修方法としては鋼繊維補強コンクリート(SFRC)舗装がありますが、本補修には大形の施工機械と長時間を要することから交通量の多い供用中の道路橋の補修としては多くの課題がありました。
そこで当社では特殊な施工機械を必要とせず、施工が簡易で所要時間の短い「高剛性アスファルト舗装」を株式会社高速道路総合技術研究所と共同で開発しました。高剛性アスファルト舗装を実橋で試験施工を行い各種データの収集により、SFRC舗装と比較すると補強効果は小さいものの、従来工法であるグースアスファルト混合物と比較すると3.1倍の延命効果を確認しました。
本技術は鋼床版のみならず、コンクリート床版の補修工法としても有効であると考えれれることから、県市町村で管理するような小規模な橋梁への適用にも期待されます。
また、「高剛性アスファルト舗装」について記述した論文が、2018年度一般社団法人日本道路建設業協会の「第21回舗装技術に関する懸賞論文」において1等を受賞したことからも、本技術の期待度の高さが伺えます。
②ポットホール用緊急補修材料「TOKE・パック」の開発
高速道路上で発生するポットホールは車両の走行安全性を損なうことから迅速な対応が求められるため、高速走行車両の合間に交通規制をすることなく応急処置を行わなければならず、非常に危険な作業とならざるを得ません。補修に要する時間は事故発生のリスクに比例するため、作業時間の短縮が切望されていました。
当社では中日本ハイウェイメンテナンス北陸株式会社と共同で、高耐久性の常温アスファルト混合物を水溶性フィルムに梱包することにより、雨天時や路面湿潤時においても投込み(敷き並べ)足で踏み固めるだけで施工が完了するポットホール用緊急補修材「TOKE・パック」を開発し、補修時間をこれまでの約1/3に短縮しました。
「TOKE・パック」は2018年度に一般販売を開始し、新聞・雑誌などに紹介されたことから、道路管理者や施工業者はもちろん、ホームセンターや個人のお客様などからの問い合わせも多く、今後の需要増大が期待されています。

③路面温度の上昇を抑制する水性塗料「EGカラー(遮熱タイプ)」の開発
路面温度の上昇を抑制する遮熱性舗装は、地球温暖化現象やヒートアイランド現象といった社会問題から我が国では2000年頃より普及してきた技術ですが、2020年東京オリンピックのマラソンコースへの採用により社会の関心が改めて高まっています。
これまでの遮熱性舗装は塗料を路面に吹き付ける工法であり、特殊な施工機械と熟練工が必要であること、材料中にMMA(メタクリル酸メチル)などの樹脂が含まれるため施工時の臭気による周辺への影響、などの課題がありました。当社ではこれまでの「ヒートシールド」、「ニューカラーコート」に加え、ローラーバケなどで誰でも簡単に施工できる水性舗装材料「EGカラー(遮熱タイプ)」を開発しました。
「EGカラー(遮熱タイプ)」は無臭で施工方法が簡便であり、路面温度を10℃以上低減できるため利用者の環境を大きく改善できることから、歩道をはじめテニスコートや3×3コートなど広範な普及が期待されます。
④タイヤ付着抑制機能と急速分解性機能を併せ持つタックコートの開発
アスファルト舗装工事では表層と基層などのアスファルト混合物の層間にはタックコートと呼ばれるアスファルト乳剤を散布します。下層に散布したタックコートの水が蒸発するまで上層の舗設はできないため、夜間や寒冷期には養生に長時間を要し、養生中突然の降雨によりタックコートが流出するなどの問題がありました。
そこで、特殊ディストリビュータによりアスファルト乳剤と分解材を同時に散布し、アスファルト乳剤中のアスファルトと水を強制的に分離(分解)させ、早期に上層の施工を可能とするタックコート「タックコートSQ」を開発しました(NETIS: KT-180007-A)。タイヤ付着抑制機能を有するタックファインSQは従来のタックコートの分解時間を最大1/10程度に短縮するため、舗装工事の効率化を図る生産性向上に寄与するものです。
2018年度には時間制限の厳しい空港の舗装工事の基準書である「空港舗装補修要領及び設計例」に本乳剤の有効性が記載され、今後の拡販が期待されています。

(2)舗装工法の開発
①情報化施工技術の開発およびICT舗装への取り組み
舗装の施工においても情報化技術(IT)の活用が推進されています。当社においては、GNSS(全地球測位システム)やトータルステーションなどを利用した3次元マシンコントロール(3D-MC)を活用して施工および管理の精度向上に努め、技術の普及に取り組んでいます。
2018年度には工務本部に「ICT推進室」を設け、舗装工事にUAV(無人航空機)やTLS(地上型レーザースキャナ)を導入し、建設工事の測量、施工、出来形管理の各段階で活用するICT舗装工として国土交通省発注工事を中心に全国の施工現場で実施してきました。今後もより多くの施工現場に展開していきます。
②AIを活用した自動化施工技術の開発
本業界の大きな課題である「働き方改革」「労働人口の減少」への一対応策として、ICTや人口知能(AI)の活用が有望と考えられ、研究開発を進めています。当社においても近年急速に進展しているAIや、多様なセンサー、通信技術などを用いて舗装工事で用いる建設機械の自動化について研究しています。本技術を確立することにより、舗装工事の省力化に寄与するのみでなく、これまで職人的な技量が必要であった施工技術の伝承といった課題の解決も図ります。
本研究は多方面の企業との協力により、早急な開発・確立を目指しているところです。

(3)その他の研究開発
①簡易な路面性状調査技術「CHASPA」の開発
2016年度国土交通省道路局で定められた「舗装点検要領」により、舗装の点検の重要性が再認識されました。当社は約20年前から舗装維持管理システム「TОA-PMMS」の開発に取り組み、舗装を「いつ・どこを・どのように」直すのかを提案してきました。「TОA-PMMS」の中の一技術として、自動路面性状測定装置CHASPA(NETIS登録番号 : KT-170103-VR)があり、早く・安く・正確な路面性状測定の方法について研究開発を行ってきました。
CHASPAは車両に様々な計測ユニットを備え、「ひび割れ率」、「わだち掘れ量」、「平たん性(σ)」のほか、前方3方向の「路面画像」、乗り心地指標「IRI」、路面テクスチャ指標「MPD」などを同時に取得でき、全てのデータはGPS位置情報とリンクしているため、結果を地図上に表示することができます。また、ひび割れ状況のCAD図への展開もできることから、損傷の状態を視覚的に認識可能であり、補修計画にも有用です。
2017年度国土交通省四国地方整備局で実施した「路面性状を簡易に把握可能な技術」の共通試験では、当社のCHASPAの測定精度が非常に優れていることを確認していただきました。
②AIを用いたFWD解析技術の開発
CHASPAと同じく「TОA-PMMS」の中の一技術としてFWD(Falling Weight Deflectometer)があります。当社はFWDを国内で最も多く保有しており全国に配置しています。FWDはアスファルト舗装の各層の健全性や、コンクリート舗装の目地部などを構造的に評価するものであり、舗装の補修計画には欠かせない重要な評価技術でありながら、その解析方法において技術者の能力に大きく依存することが課題でした。
この課題の解決策として当社は国内の大手IT企業と共同でAIによる解析技術を開発しています。本技術が確立すると、技術者によるばらつきが無くなり一意的な結果が得られること、および安価に解析を行えることから、FWDをこれまで以上に現場で活用していただけるものと考えます。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00066] S100G1GW)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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