有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100G9DS
武田薬品工業株式会社 研究開発活動 (2019年3月期)
当年度の研究開発費の総額は3,683億円であります。
医薬品の研究開発のプロセスは、長期にわたり、多額の費用を伴い、その期間は10年を越えることもあります。このプロセスには、新薬の有効性および安全性の評価、承認申請、規制当局による審査と承認が含まれます。こうした精査の過程を通過し、臨床での治療に用いることができる候補物質はごく僅かです。承認取得後も、上市後の製品に対しては、メディカルアフェアーズやその他の投資を含め、継続的な研究開発活動による支援が行われます。
臨床試験は、地域的および国際的な規制ガイドラインを遵守し、通常5から7年もしくはそれ以上を費やして実施されるものであり、相応の費用を伴います。そのため、臨床試験まで進んだ化合物の中でも、製品化に至るものはごく一部です。通常、臨床試験は医薬品規制調和国際会議(ICH)が制定したガイドラインに沿って実施されます。これに関わる規制当局は、日本では厚生労働省、米国では食品医薬品局(FDA)、欧州連合では欧州医薬品庁(EMA)です。
ヒトの臨床試験は以下の3相で実施されます(各相が一部重複することもあります):
・臨床第Ⅰ相(P-Ⅰ)試験
小人数の健康な成人の志願者を被験者として、薬物の安全性、吸収、分布、代謝、排泄について評価するために実施
・臨床第Ⅱ相(P-Ⅱ)試験
小人数の志願患者を被験者として、安全性、有効性、用量および用法を評価するために実施
・臨床第Ⅲ相(P-Ⅲ)試験
大人数の志願患者を被験者として、既存の薬剤またはプラセボと比較した安全性および有効性を評価するために実施
これら3相のうち、臨床第Ⅲ相にかかる費用が最も大きく、臨床第Ⅲ相試験へ進めるか否かの決定は、医薬品開発における重要なビジネス判断となります。臨床第Ⅲ相試験を通過した候補薬物については、管轄の規制当局に新薬承認申請書(NDA)または医薬品販売承認申請(MAA)を提出し、承認を取得した後、上市します。NDAやMAAの作成には、膨大な量のデータの収集、検証、分析が必要であり、費用が伴います。製品上市後も、保健当局により有害事象の市販後調査や、当該医薬品のリスク・ベネフィットに関する追加情報を提供するための市販後試験の実施を求められることがあります。
当社は、2016年7月より、研究開発体制の変革(5ヶ年計画)を開始し、パイプラインを再活性化するとともに、革新的なサイエンス主導の機動的なグローバル研究開発組織の構築に取り組んできました。この研究開発体制の変革においては、以下の3つの優先事項にフォーカスしています:
•疾患領域の絞込み:疾患領域における専門性をいかした革新的研究開発課題の推進
•パートナーシップと研究開発能力の強化:社内育成と外部提携を通じた研究開発力の強化
•革新的な研究エンジン:疾患治療のための新規技術の確立と新たなモダリティの取り込み
当社の研究開発は、「オンコロジー(がん)」、「消化器系疾患」、「希少疾患」、「ニューロサイエンス(神経精神疾患)」の4つの重点疾患領域と、「血漿分画製剤」および「ワクチン」の2つのビジネスユニットにフォーカスします。
また、当社は日本および米国に自社研究開発活動の拠点を集約しており、旧Shire社の研究開発機能との統合も進めていきます。
当社の主要な自社研究開発施設には以下を含みます:
•湘南ヘルスイノベーションパーク:2011年に日本の神奈川県藤沢・鎌倉地域に湘南研究所を設立し、当社ニューロサイエンス研究の主要拠点として研究活動を進めてきました。2018年4月、サイエンスイノベーションをさらに推進する目的で、同研究所の名を改め、湘南ヘルスイノベーションパーク(「湘南アイパーク」)として開所しました。湘南アイパークは、2020年までに3,000人の研究者を集め、ベンチャー企業を含む製薬業界、官公庁、アカデミアから専門家が集い、医療ソリューション創生のための研究開発イニシアチブを育み促進させる場となることを目指しています。
•ボストン研究開発サイト:当社のボストン研究開発ハブは米国マサチューセッツ州ケンブリッジに位置しています。本サイトは当社のグローバルなオンコロジー(がん)および消化器系疾患領域の研究開発の中心であり、加えて血漿分画製剤やワクチンなど他の疾患領域の研究開発や免疫調節および生物学的製剤の研究も支援しています。
•サンディエゴ研究開発サイト:米国カリフォルニア州サンディエゴにある当社の研究開発拠点であり、消化器系疾患およびニューロサイエンス領域における専門技術の研究開発を支援しています。
研究開発パイプライン
オンコロジー
世界中のがん患者さんにより良い未来をもたらす革新的な新薬をお届けするために努力し、革新的なイノベーションの探求に取り組んでいます。本疾患領域では、(1)既発売品である「ニンラーロ」、「アドセトリス」、「アイクルシグ」のライフサイクルマネジメントならびに多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群およびその他血液がんのパイプラインへの継続的な研究開発投資を通じた、血液がんにおける基盤的な専門性の構築、(2)肺がんを対象とするパイプラインのさらなる拡充、(3)社外との提携による新規のがん免疫療法標的および次世代基盤技術の追求ならびに革新的な細胞療法の探索にフォーカスしています。
[ニンラーロ 一般名: イキサゾミブ]
‐2018年7月、当社は、「ニンラーロ」について、臨床第3相試験であるTOURMALINE-MM3試験で主要評価項目を達成し、維持療法として経口で単剤投与された本剤がプラセボと比較して統計学的に有意な無増悪生存期間の延長を示したことを公表しました。本試験では、多発性骨髄腫と診断され、大量化学療法および自家造血幹細胞移植に奏効を示した成人患者を対象に、維持療法としての本剤の有効性を検討しました。
‐2018年12月、当社は、「ニンラーロ」について、TOURMALINE-MM3試験結果を、第60回米国血液学会(ASH)年次総会において発表しました。
‐2019年1月、米国食品医薬品局(FDA)に2018年11月に提出していたTOURMALINE-MM3試験の結果について、当局と議論を重ねた結果、一旦、申請を取り消し、より多くのデータが集まった段階で再申請することを公表しました。
‐2019年4月、当社は、「ニンラーロ」について、厚生労働省に多発性骨髄腫に対する自家造血幹細胞移植後における維持療法の適応追加に係る製造販売承認事項一部変更承認の申請を行ったことを公表しました。
‐2019年6月、当社は、再発又は難治性の全身性(AL)アミロイドーシス患者を対象とした臨床第3相試験である「TOURMALINE-AL1試験」において、2つの主要評価項目のうち最初の結果が主要評価項目を満たさなかったことを公表しました。「ニンラーロ」およびデキサメタゾンの併用群は、医師が選択した標準治療群と比較して、血液学的奏効率において有意な改善はみられませんでした。解析の結果より、当社は本試験を中止することを決定しました。
[アルンブリグ 一般名: brigatinib]
‐2018年7月、当社は、「アルンブリグ」について、ALK阻害剤未治療の局所進行性または転移性の未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子転座陽性(ALK陽性)の非小細胞肺がん患者を対象とした臨床第3相試験ALTA-1Lの事前に設定された初回の中間解析において、本剤投与群がクリゾチニブ群と比較して統計学的に有意に無増悪生存期間を改善し、主要評価項目を達成したことを公表しました。
‐2018年9月、臨床第3相試験ALTA-1L試験の初回の中間解析結果は、国際肺癌学会(IASLC)主催の第19回世界肺癌学会議(WCLC)のプレジデンシャル・シンポジウムで発表されました。
‐2018年9月、当社は、「アルンブリグ」について、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)より、クリゾチニブの治療歴を有するALK陽性の進行性非小細胞肺がん成人患者に対する単剤療法として承認を推奨する旨の見解が示されたことを公表しました。
‐2018年10月、当社は、「アルンブリグ」について、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のポスターディスカッションにて、ALK陽性の非小細胞肺がん患者を対象としたクリゾチニブと比較した臨床第3相試験ALTA-1Lの副次評価項目である、頭蓋内病変における無増悪生存期間および客観的奏功率の改善を示した有効性データを発表しました。
‐2018年12月、当社は、「アルンブリグ」について、クリゾチニブの治療歴を有するALK陽性の進行性非小細胞肺がん成人患者に対する単剤療法として、欧州委員会(EC)に承認されたことを公表しました。
[アドセトリス 一般名: ブレンツキシマブ ベドチン]
‐2018年9月、「アドセトリス」について、厚生労働省より一次治療(ファーストライン)を含む「CD30陽性のホジキンリンパ腫」に対する効能効果および用法用量に関する製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを公表しました。
‐2018年10月、当社は、「アドセトリス」について、未治療のCD30発現末梢性T細胞リンパ腫の患者さんを対象とした臨床第3相試験であるECHELON-2試験において、アドセトリスとCHP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン)との併用療法は主要評価項目を達成し、対照群であるCHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン併用)と比較して統計学的に有意な無増悪生存期間の改善が示されたことを公表しました。アドセトリスを含む新規併用レジメン群は、CHOP群と比較して重要な副次評価項目である全生存期間に関して良好な結果を得ました。
‐2018年12月、当社は、「アドセトリス」について、ECHELON-2試験の試験結果を、第60回米国血液学会(ASH)年次総会のオーラルセッションにおいて発表しました。
‐2018年12月、当社は、「アドセトリス」について、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)より、未治療のIV期CD30陽性ホジキンリンパ腫成人患者に対するAVD(アドリアマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)との併用療法の効能追加に関し、承認を推奨する旨の見解が示されたことを公表しました。
‐2019年2月、当社は、欧州委員会(EC)より、「アドセトリス」について、未治療のIV期CD30陽性ホジキンリンパ腫成人患者に対するAVD(アドリアマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)との併用療法についての適応追加の承認を取得したことを公表しました。
‐2019年3月、当社は、「アドセトリス」について、厚生労働省にCD30陽性末梢性T細胞リンパ腫、ならびに小児における再発または難治性のCD30陽性ホジキンリンパ腫および未分化大細胞リンパ腫に対する効能効果および用法用量に関する製造販売承認事項一部変更承認の申請を行ったことを公表しました。
[一般名: カボザンチニブ]
‐2019年4月、当社は、「カボザンチニブ」について、切除不能又は転移を有する腎細胞がんに対する治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。今回の申請は、海外第3相試験のMETEOR試験、海外第2相試験のCABOSUN試験、ならびに血管内皮細胞増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFR-TKI)による治療後に増悪した日本人進行腎細胞癌患者さん35名を対象に有効性と安全性を検討した国内第2相試験であるCabozantinib-2001試験の結果に基づくものです。
[開発コード: TAK-788]
‐2019年6月、当社は、「TAK-788」について、2019年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会のオーラルセッションにおいて、新たなデータを発表しました。非盲検、多施設共同臨床第1/2相試験により、EGFR エクソン20挿入遺伝子変異を有する局所進行性あるいは転移性の非小細胞肺がん患者において、「TAK-788」の無増悪生存期間(PFS)の中央値が7.3ヵ月、客観的奏効率(ORR)が43%という結果が示されました。
消化器系疾患
消化器系疾患・肝疾患の患者さんに革新的で人生を変えうる治療法をお届けすることにフォーカスしています。「エンティビオ」および「アロフィセル」といった炎症性腸疾患におけるフランチャイズのポテンシャルを最大化するとともに、「ガテックス」のスペシャリティ消化器系疾患領域におけるポジショニングを拡大させるとともに、社外との提携を通じて消化管運動関連疾患、セリアック病、肝疾患およびマイクロバイオーム(腸内細菌)における機会を探索し、パイプラインの構築を進めています。
[エンティビオ/エンタイビオ 一般名:ベドリズマブ]
‐2018年6月、当社は、「エンティビオ」について、本剤と抗TNF-α療法の安全性を比較した実臨床データの解析結果を発表しました。本解析結果において、本剤治療群は、抗TNF-α治療群に対して、重篤な感染症の発症率が低く、重篤な有害事象の発生率も優位に低いことが示されました。このVICTORY試験の結果は、米国消化器病週間(Digestive Disease Week:DDW)にて、オーラルプレゼンテーションにて発表されました。
‐2018年7月、当社は、「エンタイビオ」について、厚生労働省より中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎に対する治療剤として、製造販売承認を取得したことを公表しました。
‐2018年7月、当社は、「エンタイビオ」について、中等症から重症の活動期の成人クローン病に対する治療薬として、厚生労働省に承認事項一部変更承認申請を行ったことを公表しました。
‐2018年7月、当社は、「ベドリズマブ」について、皮下投与製剤による維持療法の有効性および安全性を検討した臨床第3相試験である「VISIBLE 1試験」の結果の速報を公表しました。本試験は、非盲検下にて「ベドリズマブ」静注製剤による導入療法を2回行った後、試験開始6週時点で臨床的改善※が得られた中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の成人患者を対象とした試験です。本試験では、試験開始6週時点から「ベドリズマブ」皮下投与製剤を2週毎に投与し、52週時点で臨床的寛解※※が得られた患者の割合がプラセボ投与群と比較して「ベドリズマブ」皮下投与群が統計学的に有意に高く、主要評価項目を達成しました。
※ 臨床的改善: Mayoスコアがベースラインから3ポイント以上かつ30%以上低下。これに加えて、直腸出血のサブスコアが1ポイント以上低下あるいは直腸出血のサブスコア絶対値が1以下
※※臨床的寛解: Mayoスコアが2以下かつ他のサブスコアで1を超えるものが無い
‐2018年10月、当社は、欧州消化器病週間(United European Gastroenterology:UEG)にて、臨床第3相試験である「VISIBLE 1試験」の結果を発表しました。
‐2019年3月、当社は、「ベドリズマブ」が、臨床第3b相試験である「VARSITY試験」の結果、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者を対象に、生物学的製剤で抗TNFα抗体の「アダリムマブ(製品名:ヒュミラ)」と直接比較して52週時点で有意に高い臨床的寛解※の達成を示したことを公表しました。本試験において、主要評価項目である52週時点での臨床的寛解を達成したのは、「アダリムマブ」皮下投与(SC)群では22.5%(386名中87名)であったのに対し、「ベドリズマブ」静脈内投与(IV)群では31.3%(383名中120名)であり、両群の間に統計学的有意差が認められました。本試験結果は、デンマークのコペンハーゲンで開催された第14回欧州クローン病・大腸炎会議 (14th Congress of the European Crohn’s and Colitis Organisation:ECCO)のオーラルプレゼンテーションにて発表されました。
※ 主要評価項目である臨床的寛解は、Mayoスコア(潰瘍性大腸炎の疾患活動性を評価するための指標)が2ポイント以下、かつ全てのサブスコアが1ポイント以下と定義
‐2019年4月、当社は、成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病患者に対する維持療法として、「ベドリズマブ」の皮下注射製剤の剤形追加を欧州医薬品庁(EMA)に申請し、受理されたことを公表しました。当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤の両製剤を申請しています。
‐2019年5月、当社は、成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者に対する維持療法として「ベドリズマブ」の皮下注射製剤の生物学的製剤承認申請を米国食品医薬品局(FDA)に提出し、受理されたことを公表しました。当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤の両剤形を申請しています。
‐2019年5月、当社は「エンタイビオ」中等症から重症の活動期のクローン病の治療及び維持療法の治療薬として、厚生労働省より製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを公表しました。
[ガテックス 一般名:teduglutide]
‐2019年5月、当社は、「ガテックス」について、追加の栄養もしくは液体の静脈投与(非経口栄養補給)が必要な短腸症候群の1歳以上の小児患者への投与がFDAより追加で承認されたことを公表しました。
希少疾患
Shire社の買収により、希少疾患領域のビジネスおよびパイプラインが加わりました。当社は、次の3治療分野に注力しています。(1)最近上市された「TAKHZYRO」を含む希少免疫疾患治療(例:遺伝性血管浮腫)、(2)血液疾患領域における競合他社と比較して幅広いポートフォリオを持つ希少血液疾患治療、(3)希少代謝性疾患(承認済みのファブリー病、ハンター症候群、ゴーシェ病治療薬および他のライソゾーム病治療のための早期開発パイプラインを含む)。
‐2019年2月、当社は、2019年2月4日から8日まで開催された第15回WORLDSymposium年次総会で、11件のポスタープレゼンテーションと1件のオーラルプレゼンテーションを含む12件の発表を行いました。プレゼンテーションは、ハンター症候群(ムコ多糖症II型あるいはMPS IIと言われている)、I型ゴーシェ病、ファブリー病および異染性白質ジストロフィー(MLD)を含むライソゾーム病(LSD)に関する研究開発データで構成されました。
[NATPARA 一般名:副甲状腺ホルモン]
‐2019年3月、当社は、米国内分泌学会(ENDO)の2019年年次総会で慢性副甲状腺機能低下症における患者および介護者に対する負担、ならびに通常療法における腎臓および心血管合併症の潜在的な長期リスクを明らかにする新しいデータを発表しました。またrhPTH(1-84)を継続的に用いた長期安全性および有効性を評価したオープンラベル試験の6年間に渡る研究「RACE試験」の最終結果として、慢性副甲状腺機能低下症患者さんに対するrhPTH (1-84)による治療は、これまでの臨床試験と同様の安全性プロファイルを有し、ミネラル恒常性の主要な指標、特に尿中カルシウム値に効果を及ぼしたことを発表しました。
[TAKHZYRO 一般名:lanadelumab]
‐2019年6月、当社は、TAKHZYROの効果発現を評価する臨床第3相試験である「HELP試験」における投与0~69日データについて追加解析を行い、新たなデータを欧州アレルギー・臨床免疫学会(EAACI)にて発表しました。追加解析によりTAKHZYRO が、初期治療期間中において遺伝性血管性浮腫(HAE)の発症を防ぎ、プラセボ群と比較し、月間平均発作発現率を80.1%減少することが示唆されました。
ニューロサイエンス
本疾患領域では、治療法が確立していない神経疾患や精神疾患を患っている患者さんに革新的な医薬品を提供することを目指しています。当社では、大うつ病治療剤の「トリンテリックス」に対する継続的な投資、およびShire社買収を通じて取得した注意欠陥多動性障害治療剤のポートフォリオにより、精神疾患におけるプレゼンスを拡大していきます。また、社内の専門知識やパートナーとの提携をいかして、アルツハイマー病、パーキンソン病といった神経疾患や選択した希少中枢疾患に対するパイプラインを構築していきます。
[トリンテリックス 一般名:vortioxetine]
‐2018年5月、当社は、「トリンテリックス」について、米国食品医薬品局(FDA)より医薬品承認事項変更申請の承認を取得したことを公表しました。本剤は認知機能の重要な一症状である処理速度の改善が米国添付文書に追記することをFDAに承認された初めての大うつ病治療剤となります。FOCUSおよびCONNECT試験では、本剤が急性うつ病に罹患する成人患者における認知機能の一症状である処理速度に改善効果があることが示されました。
‐2018年6月、当社は、「vortioxetine」について、日本において成人大うつ病性障害患者を対象として実施したピボタル試験の結果が良好であったことを公表しました。
‐2018年9月、当社は、「vortioxetine」について、成人の大うつ病性障害の治療剤として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。
‐2018年10月、当社は、「トリンテリックス」について、FDAから医薬品承認事項変更申請の承認を取得したことを公表しました。これは、大うつ病患者において選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)による性機能障害の改善において本剤がEscitalopramに優るというデータを本剤米国添付文書に追記するというものです。本剤は、特定のSSRIから切り替えた大うつ病患者における治療に伴う性機能障害の改善に関する直接比較データを米国添付文書に記載する初の大うつ病治療剤となります。
[バイバンス/ビバンセ 一般名:リスデキサンフェタミンメシル]
‐2019年3月、当社は、塩野義製薬株式会社(塩野義製薬)が「ビバンセ」について、厚生労働省より小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の適応で、製造販売承認を取得したことを公表しました。本剤は、2011年11月18日に塩野義製薬とShire社の子会社であるShire International GmbHとの間で締結しました日本国内における共同開発・商業化に関するライセンス契約に基づき、開発が進められてきました。当社がシャイアー社を買収したことに伴い、当社がプロモーション提携を行います。
[インチュニブ 一般名:グアンファシン塩酸塩]
‐2019年6月、当社は、塩野義製薬が製造販売承認を有し、塩野義製薬と当社が情報提供を行っている注意欠陥/多動性障害治療剤「インチュニブ」について、厚生労働省より成人患者(18歳以上)に対する適応追加による一部変更が承認されたことを公表しました。
血漿分画製剤
2019年1月8日に完了したShire社の買収後、当社は、血漿分画製剤に注力する新たなグローバルビジネスユニットを加えました。同ビジネスユニットは、希少疾患、生命に関わる疾患、慢性疾患および遺伝性疾患といった様々な病気の患者さんを効果的に治療するうえで重要となる血漿分画製剤について、増加するニーズに応えていきます。
[FLEXBUMIN 一般名:人血清アルブミン]
‐2019年3月、当社は、ジョージア州コヴィントンにある血漿分画製剤製造施設における「FLEXBUMIN 25%」(人血清アルブミン)、米国薬局方、25%のSolutionの製造に関する2度目の申請について、FDAより承認を得たことを公表しました。本製剤は血液量減少、低たんぱく血症(やけど、成人呼吸困難症候群(ARDS)、ネフローゼ)、心肺バイパス手術、新生児溶血性疾患(HDN)に対する効能を有しています。
ワクチン
ワクチンでは、革新技術を活かして、デング熱、ジカウイルス感染、ノロウイルス感染、ポリオ感染など、世界で最も困難な感染症に取り組んでいます。当社パイプラインの拡充およびプログラムの開発に対する支援を得るために、政府機関(日本、米国、シンガポール)や主要な世界的機関とのパートナーシップを締結しています。これらのパートナーシップは、私たちのプログラムを実行しそれらのポテンシャルを最大限に引き出すための重要な能力を構築するために必要不可欠です。
[デング熱ワクチン]
- 2019年1月、当社は、デング熱ワクチンの臨床第3相試験において主要評価項目を達成したことを公表しました。Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study(TIDES)試験の初回解析で、当社が現在開発中の4価弱毒生デング熱ワクチン(TAK-003)によるデングウイルス4種の血清型のいずれかによって引き起こされるデング熱に対する予防効果が示されました。広範にわたるデータのレビューは進行中ですが、現時点ではTAK-003の安全性上の大きな懸念はなく良好な忍容性が確認されました。
将来に向けた研究プラットフォームの構築/研究開発における提携の強化
‐自社の研究開発機能向上への注力に加え、社外パートナーとの提携も、当社研究開発パイプライン強化のための戦略における重要な要素の一つです。2018年度、当社は40件以上の新規提携契約を締結しました。社外提携の拡充と多様化に向けた戦略により、様々な新製品の研究に参画し、当社が大きな研究関連のブレイクスルーを達成する可能性を高めます。当社の研究開発提携の詳細については、「ライセンスおよび共同研究開発」の項をご参照下さい。2018年4月、当社とDrugs for Neglected Diseases initiativeは、内臓リーシュマニア症の革新的な治療薬開発に向け、アミノピラゾール系化合物群の中から見出された医薬品候補化合物の前臨床試験および臨床第1相試験に協働して取り組む旨の契約を締結したことを公表しました。両試験は、開発途上国で必要とされる医薬品やワクチン等の研究開発を促進する国際的な官民パートナーシップである公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund)の助成案件に選定されています。
‐2018年5月、当社とあすか製薬は、当社が有する「relugolix」について、製品価値の最大化を目的に、日本における子宮筋腫の独占的販売権および子宮内膜症の独占的開発・販売権を、あすか製薬に導出するライセンス契約を締結したことを公表しました。今回のライセンス契約の対象は婦人科疾患領域であり、前立腺がんは含まれておりません。
‐2018年7月、当社とOvid Therapeutics Inc.は、「TAK-935/OV935」臨床開発プログラムの拡大について概要を公表しました。両社は、3つの臨床試験を開始する予定であり、それぞれドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群を有する小児患者を対象とした試験、サイクリン依存性キナーゼ様5(CDKL5)遺伝子変異症候群および15q重複症候群の小児患者を対象とした試験、実施されたTAK-935/OV935の臨床試験に参加した発達性およびてんかん性脳症(DEE)患者を対象とした延長試験です。
‐2018年8月、当社とAmbys Medicines社は、Ambys Medicines社の先進的な技術プラットフォームおよびパイプライン開発を推進することを目的とした提携契約を締結したことを公表しました。Ambys Medicines社は、現時点では治療不可能もしくは十分に治療できない様々な肝疾患において、肝機能の回復および肝不全への進行抑制という差し迫った医療ニーズに対し、細胞治療、遺伝子治療、機能獲得薬物療法を含む新規モダリティを臨床応用するため、先進的な取り組みを行っています。
‐2018年8月、当社と日本を拠点とする独立系の投資会社である株式会社ウィズ・パートナーズは、日本の創薬エコシステムの推進を目的とした投資組合の共同設立に関する基本合意書を締結したことを公表しました。本合意に基づき、ウィズ・パートナーズ社は、無限責任組合員として「創薬維新投資事業有限責任組合(創薬維新ファンド)を立ち上げました。当社は、100%子会社の創薬プラットフォームカンパニーであるアクセリードドラッグディスカバリーパートナーズ株式会社の株式を創薬維新ファンドに現物出資し、有限責任組合員として創薬維新ファンドの持分を保有します。
‐2018年12月、当社とグローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ(Global Antibiotic Research and Development Partnership:GARDP)およびエーザイ株式会社(エーザイ)は、エーザイおよび当社の化合物ライブラリーを用いたGARDPによるスクリーニング実施に関する契約を締結したことを公表しました。今後、エーザイおよび当社から提供された化合物の抗菌活性試験はInstitut Pasteur Korea にて実施されます。複数のパートナーによる本契約は、新規抗菌薬の開発と持続可能なアクセスの担保により、深刻な細菌感染症に立ち向かうGARDPの取り組みを推し進めるものです。
‐2019年1月、当社は、がん免疫領域において新たな研究提携契約を締結したことを公表しました。がん免疫は、当社の戦略的フォーカスでも特に重要な領域です。これらの研究提携契約を通じ、当社は次世代のがん免疫療法の創出に向けた研究を加速します。本研究には、難治性がん患者さんのニーズに応える重要な機会となり得る新規の細胞療法に関する研究を含みます。
・当社は、Memorial Sloan Kettering Cancer Centerと共に、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、その他の固形がんの治療に向けた新規キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法の創出と開発に関する共同研究を行います。
・当社は、ノイルイミューン・バイオテック社との、2017年9月に開始した既存の共同研究契約におけるオプション権を行使しました。本共同研究の成果を受け、当社はノイルイミューン・バイオテック社が独自に開発した「Prime (Proliferation-inducing and migration-enhancing)」 CAR-T基盤技術を活用した、各種固形がんを治療標的とするNIB-102およびNIB-103の独占的ライセンスを取得し、今後、これらCAR-T細胞療法の共同開発を進めます。
・当社は、Crescendo Biologics社が持つオンコロジー領域におけるHumabody®技術の独占的ライセンスについてオプション権を行使し、これにより新規CAR-T治療の開発に向けたHumabody® VHs(完全ヒト型VHドメイン)のさらなる評価を行います。
パイプラインの現状
当社の各疾患領域および事業分野における研究開発活動の概要は、以下に示すとおりです。後出する主要な疾患領域および事業分野において開示されている当社パイプライン上の化合物は、それぞれ異なる開発段階にあり、現在開発中の化合物の開発中止や新規化合物の臨床ステージ入りにより、パイプラインの内容は今後変わる可能性があります。以下に示す化合物が製品として上市に至るかは、前臨床試験や臨床試験の結果、様々な医薬品の市場動向、規制当局からの販売承認取得の有無など、様々な要因に影響されます。以下の表記載は、米国・欧州・日本・中国に限定していますが、当社はその他の地域でも開発活動を行っています。以下、「グローバル」の表記は、米国・欧州・日本・中国を指します。
2019年5月14日(決算発表日)における当社グループのオンコロジー領域のパイプラインは以下のとおりです。
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
SGN-35 <brentuximab vedotin> アドセトリス® (欧州、日本) | CD30モノクローナル抗体薬物複合体 (注射剤) | 末梢性T細胞リンパ腫(フロントライン適応) | 欧州 日本 | P-III 申請(2019/3) | 導入品 (Seattle Genetics社) |
再発・難治性のホジキンリンパ腫 | 中国 | 申請(2019/3) | |||
再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL) | 中国 | 申請(2019/3) | |||
<brigatinib> ALUNBRIG® (米国、欧州) | ALK阻害薬 (経口剤) | ALK陽性非小細胞肺がん(フロントライン適応) | 米国 欧州 中国 | P-III P-III P-I | 自社品 |
ALK阻害薬投与歴のある患者におけるALK陽性 非小細胞肺がん | 日本 中国 | P-II(a) P-II(a) | |||
第2世代チロシンキナーゼ阻害薬の投与歴のある患者におけるALK陽性非小細胞肺がん | グローバル | P-II | |||
クリゾチニブ投与歴のある患者におけるALK陽性 非小細胞肺がん(アレクチニブとの直接比較試験) | グローバル | P-III |
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
MLN9708 <ixazomib> ニンラーロ® (グローバル) | プロテアソーム阻害薬 (経口剤) | 初発の多発性骨髄腫 | グローバル | P-III | 自社品 |
自家造血幹細胞移植後の初発の多発性骨髄腫の維持療法 | 日本 米国 欧州 中国 | 申請(2019/4) P-III P-III P-III | |||
自家造血幹細胞移植未実施の初発の多発性骨髄腫の維持療法 | グローバル | P-III | |||
再発・難治性の原発性ALアミロイドーシス | グローバル | P-III | |||
再発・難治性の多発性骨髄腫(デキサメタゾンとの2剤併用療法) | 米国 欧州 日本 | P-III P-III P-III | |||
再発・難治性の多発性骨髄腫(ダラツムマブとデキサメタゾンとの3剤併用療法) | グローバル | P-II | |||
<ponatinib> ICLUSIG® (米国) | BCR-ABL阻害薬 (経口剤) | フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病(フロントライン適応) | 米国 | P-III | 自社品 |
チロシンキナーゼ阻害薬の治療に抵抗性を示す 慢性骨髄性白血病の患者を対象とする用量設定試験 | 米国 | P-II(b) | |||
TAK-924 <pevonedistat> | NEDD8活性化酵素阻害薬 (注射剤) | 高リスク骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、低ブラスト急性骨髄性白血病 | 米国 欧州 日本 | P-III P-III P-III | 自社品 |
TAK-385 <relugolix> | LH-RHアンタゴニスト (経口剤) | 前立腺がん | 日本 中国 | P-III P-I | 自社品 |
<cabozantinib> | マルチターゲットキナーゼ阻害薬 (経口剤) | 腎がん(ファーストライン治療、ニボルマブとの併用) | 日本 | P-III | 導入品 (Exelixis社) |
腎がん(セカンドライン治療) | 日本 | 申請(2019/4) | |||
肝細胞がん(セカンドライン治療) | 日本 | P-II(a) | |||
<niraparib> | PARP1/2阻害薬(経口剤) | 卵巣がん(維持療法) | 日本 | P-II | 導入品 (GlaxoSmithKline社) |
卵巣がん(サルベージ療法) | 日本 | P-II | |||
TAK-228 <sapanisertib> | mTORC1/2阻害薬(経口剤) | 子宮内膜がん | 米国 | P-II(b) | 自社品 |
TAK-659 <-> | SYK/FLT3キナーゼ阻害薬 (経口剤) | びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫 | - | P-II(a) | 自社品 |
血液がん | - | P-I | |||
TAK-931 <-> | CDC7阻害薬(経口剤) | 食道扁平上皮がん、 非小細胞肺がん(扁平上皮がん) | - | P-II(a) | 自社品 |
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
TAK-788 <-> | EGFR/HER2 阻害薬 (exon20変異対応) (経口剤) | exon20挿入変異の非小細胞肺がん | グローバル | P-II | 自社品 |
TAK-079 <-> | 抗CD38モノクローナル抗体 (注射剤) | 再発・難治性の多発性骨髄腫 | - | P-I | 自社品 |
全身性エリテマトーデス | - | P-I | |||
TAK-164 <-> | 抗GCC抗体薬物複合体 (注射剤) | 消化器がん | - | P-I | 自社品 |
TAK-573 <-> | 抗CD38抗体(IgG4)と活性減弱IFNαとの融合蛋白 (注射剤) | 再発・難治性の多発性骨髄腫 | - | P-I | 導入品 (Teva Pharmaceutical Industries社) |
TAK-981 <-> | SUMO阻害薬 (注射剤) | 複数のがん種 | - | P-I | 自社品 |
TAK-252/SL-279252 <-> | PD-1-Fc-OX40L (注射剤) | 固形がん | - | P-I | 導入品 (Shattuck Labs社) |
2019年5月14日(決算発表日)における当社グループの消化器系疾患領域のパイプラインは以下のとおりです。
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
MLN0002 <vedolizumab> エンティビオ® (米国、欧州、日本) | ヒト化抗α4β7インテグリン モノクローナル抗体 (注射剤) | クローン病 | 日本 中国 | 申請 (2018/7) P-III | 自社品 |
潰瘍性大腸炎 | 中国 | P-III | |||
皮下投与製剤(潰瘍性大腸炎) | 米国 欧州 日本 | 申請 (2019/3) 申請 (2019/3) P-III | |||
皮下投与製剤 (クローン病) | 米国 欧州 日本 | P-III 申請 (2019/3) P-III | |||
潰瘍性大腸炎の患者におけるアダリムマブとの比較試験 | グローバル | P-III | |||
同種造血幹細胞移植を受けている患者における移植片対宿主病の予防 | 欧州 | P-III | |||
Cx601 <darvadstrocel> ALOFISEL (欧州) | 同種異系脂肪由来幹細胞懸濁剤 (注射剤) | 難治性のクローン病に伴う肛囲複雑瘻孔 | 米国 日本 | P-III P-III | 自社品 |
TAK-438 <vonoprazan> タケキャブ® (日本) | カリウムイオン競合型アシッドブロッカ (経口剤) | 酸関連疾患 | 中国 | 申請 (2018/2) | 自社品 |
プロトンポンプ阻害薬による治療で効果が不十分な患者における逆流性食道炎 | 欧州 | P-II(b) |
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
TAK-633/SHP633 <teduglutide> GATTEX®(米国)/ REVESTIVE®(欧州) | GLP-2アナログ (注射剤) | 短腸症候群(小児) | 米国 | 申請 (2018/9) | 自社品 |
日本 | P-III | ||||
短腸症候群(成人) | 日本 | P-III | |||
TAK-721/SHP621 <Budesonide> | 糖質コルチコステロイド (経口剤) | 好酸球性食道炎 | 米国 | P-III | 自社品 (UCSDおよびFortis Advisorsとの研究協力) |
TAK-906(注3) <-> | ドパミンD2/D3受容体アンタゴニスト (経口剤) | 胃不全麻痺 | - | P-II(b) | 自社品 |
TAK-954 <-> | 5-HT4受容体アゴニスト(注射剤) | 術後消化器機能障害 | - | P-II(b) | 導入品 (Theravance社) |
TIMP-GLIA <-> | Tolerizing Immune Modifying nanoParticle (TIMP)(注射剤) | セリアック病 | - | P-II(a) | 導入品 (Cour Pharmaceuticals社) |
TAK-951 <-> | ペプチドアゴニスト | 悪心、嘔吐 | - | P-I | 自社品 |
TAK-671 <-> | プロテアーゼ阻害薬 (注射剤) | 急性膵炎 | - | P-I | 自社品 |
TAK-018/EB8018 <-> | FimHアンタゴニスト(経口剤) | クローン病 | - | P-I | 導入品 (Enterome社) |
TAK-681 <-> | 長時間作用GLP-2アナログ(注射剤) | 短腸症候群 | - | P-I | 自社品 |
Kuma062 <-> | グルテン分解酵素(経口剤) | セリアック病 | - | P-I | 導入品 (PvP Biologics社) |
2019年5月14日(決算発表日)における当社グループの希少疾患領域のパイプラインは以下のとおりです。
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
TAK-743/SHP643 <lanadelumab> TAKHZYRO (米国、欧州) | 血漿カリクレイン阻害薬 (注射剤) | 遺伝性血管浮腫 | 中国 | 申請(2018/12) | 自社品 |
TAK-672/SHP672 <-> OBIZUR (米国、欧州) | 抗血友病因子(遺伝子組換え)(注射剤) | インヒビター保有先天性血友病A | 米国 欧州 | P-III P-III | 購入品 (IPSEN社) |
TAK-577/SHP677 <-> VONVENDI®(米国) VEYVONDI®(欧州) | フォン・ヴィレブランド因子 (遺伝子組換え) (注射剤) | フォン・ヴィレブランド病の予防 | グローバル | P-III | 自社品 |
フォン・ヴィレブランド病の出血時補充療法(小児) | グローバル | P-III | 自社品 | ||
TAK-660/SHP660 <-> ADYNOVATE®(米国) ADYNOVI®(欧州) | 抗血友病因子(遺伝子組換え)、PEG修飾 (注射剤) | 血友病A(小児) | 欧州 | P-III | 自社品 |
TAK-755/SHP655 <-> | 欠損したADAMTS13 酵素の補充 (注射剤) | 先天性血栓性血小板減少性紫斑病 | 米国 欧州 | P-III P-III | 導入品 (KMバイオロジクス社) |
TAK-620/SHP620 <maribavir> | ベンズイミダゾールリボシド系阻害薬 (経口剤) | 移植手術を受けた患者におけるサイトメガロウイルス感染症 | 米国 欧州 | P-III P-III | 導入品 (GlaxoSmithKline社) |
TAK-607/SHP607 <-> | インスリン様成長因子/インスリン様成長因子結合タンパク (注射剤) | 慢性肺疾患 | - | P-II | 自社品 |
TAK-609/SHP609 <-> | 髄腔内投与用ヒトイズロン酸-2-スルファターゼ (遺伝子組換え) (注射剤) | ハンター症候群(中枢性) | 米国 欧州 | P-II P-II | 自社品 |
cTAK-611/SHP611 <-> | ヒトアリールスルファターゼA (遺伝子組換え)(注射剤) | 異染性白質ジストロフィー | - | P-I/II | 自社品 |
TAK-754/SHP654 <-> | 内因性第Ⅷ因子発現の回復 (遺伝子治療) | 血友病A | - | P-I/II | 導入品 (Askepios Biopharmaceutical社) |
TAK-531/SHP631 <-> | イズロン酸-2-スルファターゼと抗体の融合タンパク (注射剤) | ハンター症候群(中枢性) | - | P-I | 導入品 (ArmaGen社) |
TAK-834/SHP634 <-> NATPARA(米国) NATPAR(欧州) | 副甲状腺ホルモン (注射剤) | 副甲状腺機能低下症 | 日本 | P-I | 自社品 |
2019年5月14日(決算発表日)における当社グループのニューロサイエンス領域のパイプラインは以下のとおりです。
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
Lu AA21004 <vortioxetine> TRINTELLIX® (米国) | マルチモダル型抗うつ薬 (経口剤) | 大うつ病 | 日本 | 申請(2018/9) | 導入品 (Lundbeck社) |
TAK-815/SHP615 <midazolam> BUCCOLAM® (欧州) | GABAアロステリック調節薬 (経口剤) | けいれん性てんかん重積状態 | 日本 | P-III | 自社品 |
TAK-831 <-> | D -アミノ酸酸化酵素阻害薬 (経口剤) | 統合失調症に伴う陰性症状および認知機能障害 | - | P-II(a) | 自社品 |
TAK-935 <-> | CH24H阻害薬 (経口剤) | 希少小児てんかん | - | P-II(a) | 自社品 (Ovid Therapeutics社との共同開発) |
WVE-120101 <-> | mHTT SNP1アンチセンスオリゴヌクレオチド(注射剤) | ハンチントン病 | - | P-I/II | 導入品 (Wave Life Science社) |
WVE-120102 <-> | mHTT SNP2アンチセンスオリゴヌクレオチド(注射剤) | ハンチントン病 | - | P-I/II | 導入品 (Wave Life Science社) |
TAK-041 <-> | GPR139アゴニスト (経口剤) | 統合失調症に伴う陰性症状および認知機能障害 | - | P-I | 自社品 |
MEDI1341 <-> | 抗α-シヌクレイン抗体(注射剤) | パーキンソン病 | - | P-I | 導入品 (AstraZeneca社) |
TAK-418 <-> | LSD1阻害薬 (経口剤) | 歌舞伎症候群 | - | P-I | 自社品 |
TAK-653 <-> | AMPA受容体ポテンシエーター (経口剤) | 治療抵抗性うつ病 | - | P-I | 自社品 |
TAK-925 <-> | オレキシン2Rアゴニスト (注射剤) | ナルコレプシー | - | P-I | 自社品 |
2019年5月14日(決算発表日)における当社グループの血漿分画製剤のパイプラインは以下のとおりです。
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
TAK-616/SHP616 <-> CINRYZE | C1エステラーゼ阻害薬 (注射剤) | 遺伝性血管浮腫 | 日本 | P-III | 自社品 |
TAK-771/SHP671 <IG Infusion 10% (Human)w/ Recombinant Human Hyaluronidase> HYQVIA (米国、欧州) | 遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ含有免疫グロブリンG補充療法 (注射剤) | 原発性免疫不全症(小児適応) | 米国 | P-III | 自社品 |
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎 | 米国 欧州 | P-III P-III |
2019年5月14日(決算発表日)における当社グループのワクチンのパイプラインは以下のとおりです。
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
TAK-003 <-> | 4価デング熱ワクチン (注射剤) | デング熱の予防 | - | P-III | 自社品 |
TAK-214 <-> | ノロウイルスワクチン (注射剤) | ノロウイルスによる急性胃腸炎の予防 | - | P-II(b) | 自社品 |
TAK-021 <-> | EV71ワクチン | エンテロウイルス71により発症する手足口病の予防 | - | P-I | 自社品 |
TAK-426 <-> | ジカウイルスワクチン (注射剤) | ジカウイルス感染の予防 | - | P-I | 自社品 (米国政府Biomedical Advanced Research and Development Authorityとの共同開発) |
(注1)製品名および国/地域の記載は、米国・欧州・日本・中国のいずれかにおいて何らかの適応症で承認を取得し
た品目の製品名および国名であり、当社が該当品目の販売権を有していることを意味します。
(注2)ここでの国/地域の記載は、米国・欧州・日本・中国のいずれかにおける販売承認取得の意図をもって臨床試
験が進行中または承認申請済みであることを示しています。
(注3)TAK-906の旧開発コードはATC 1906です。2017年3月、当社はオプション権を行使し、Altos Therapeutics,
LLCを買収しました。
ライセンスおよび共同研究開発契約
当社は通常の事業において、製品開発および商業化のために第三者とライセンス契約や業務提携を行うことがあります。当社の事業は、こうした個々の契約に大きく依存するものではありませんが、これらの契約は全体として、社内外のリソースを組み合わせて活用することで新製品の開発や上市を可能にするという当社の戦略の一部を構成しています。これまで製品上市に寄与してきた契約の一部に関する概要は以下の通りであります。
- アドセトリス:2009年、当社はシアトルジェネティクス社と、「アドセトリス」のグローバル共同開発および世界各国(同社が本剤を販売している米国、カナダを除く)における販売の提携契約を締結しました。本提携関係に基づき、当社による開発ならびに販売の進捗に関してマイルストン支払が発生する可能性があります。また、契約対象地域における「アドセトリス」の正味売上高に基づき10%台半ばから20%台半ばの割合で段階的なロイヤルティを支払います。当社とシアトルジェネティクス社は、本提携関係のもとで実施される選択された開発活動の費用を均等に共同で負担します。本提携関係は、いずれか一方の当事者による正当な事由または両者の合意をもって解除することができます。当社は本提携関係を自由に解除でき、シアトルジェネティクス社は一定の状況において本提携関係を解除できます。両社により提携解除がなされなかった場合、本契約は全ての支払い義務の満了をもって自動的に終了します。2019年3月31日現在、当社の「アドセトリス」提携契約に基づく開発およびコマーシャルマイルストンの総支払見込額は、約47.5百万米ドルです。
- トリンテリックス:2007年9月、当社はH. Lundbeck A/S(以下、「ルンドベック社」)とライセンス、開発、供給および販売契約を締結し、同社の保有する気分障害・不安障害治療薬パイプライン上の複数の化合物について米国および日本における独占的な共同開発および共同販売権を取得しました。本契約に基づき、当社は米国で「トリンテリックス」を販売しております。本剤は日本ではまだ市販されていません。本契約に基づき、当社とルンドベック社は、開発資金の大部分を当社が負担することとし、関連化合物の共同開発に合意しました。「トリンテリックス」による収益は当社が計上し、当社はルンドベック社に対し売上の一部に加え、当社による本剤の売上に基づき10%台半ばから20%台半ばの割合で段階的なロイヤルティを支払います。本契約は無期限に存続しますが、両者の合意または正当な事由をもって解除されます。2019年3月31日現在、当社の「トリンテリックス」提携契約に基づく開発および販売マイルストンの総支払見込額は、約130百万米ドルです。
- アミティーザ:2004年10月、当社はSucampo Pharmaceuticals(後にMallinckrodtが買収、以下、「マリンクロット社」)と消化器系の適応症での「アミティーザ」の米国およびカナダにおける購買、開発および販売の契約を締結しました。本契約は2020年12月31日まで有効であり、当社により解除されるまで自動的に更新されます。本契約に基づき、当社はマリンクロット社から「アミティーザ」を合意された価格で購入し、北米における売上高に基づき10%台後半から20%台半ばの毎年見直される割合で段階的なロイヤルティを支払います。2021年1月1日以降は、当社とマリンクロット社で「アミティーザ」ブランドの販売による年間正味売上高を均等に分配します。当社とマリンクロット社は、一部を除いて、規制当局の指示による治験を含む開発費用を当社が負担し、該当費用が合意された上限額を超えた場合は超過分を均等に負担することに合意しております。同社とは、日本および中国を除く、他の国と地域についても類似の契約を締結しています。当社は、本契約の期間において、売上目標達成を条件とした追加のコマーシャルマイルストンの支払いと、年間販売活動に対する最低額の出費に合意しました。これらの支払いは、本剤の後発品発売により減額される可能性があります。2019年3月31日現在、当社の「アミティーザ」提携契約に基づく販売マイルストンの総支払見込額は、約50百万米ドルです。
当社の上記以外の研究開発ライセンスおよび提携は下表のとおりですが、これらに限定されません。
提携先 | 国 | 提携の内容 |
オンコロジー(がん): | ||
Adimab LLC | 米国 | がん領域における3つのモノクローナル抗体(mABS)および3つのCD3二重特異性抗体の創薬、開発、販売に関する契約。 |
Centre d’Immunologie de Marseille-Luminy | フランス | Bernard Malissenグループが有する先天性生物学における専門知識と当社のBacTrap技術と組み合わせ、骨髄細胞における新規標的および経路を特定することを目的とした提携契約。 |
あすか製薬株式会社 | 日本 | relugolix(開発コード:TAK-385)の製品価値の最大化を目的とした、日本における子宮筋腫の独占的販売権および子宮内膜症の独占的開発・販売権。 |
Crescendo Biologics Ltd. | 英国 | がん領域におけるHumabody®を用いた治療薬の創製、開発および販売に関する提携とライセンス契約。 |
Exelixis, Inc. | 米国 | 日本におけるcabozantinibの販売権および更なる臨床開発に関する独占的なライセンス契約。当社は、日本で今後適応拡大の可能性のある全ての効能効果に対する独占販売権を取得したこととなり、その対象には、米国およびEUで製品名CABOMETYXTM錠として販売されているcabozantinibの適応症である進行性腎細胞がんも含まれる。 |
GammaDelta Therapeutics Ltd. ("GammaDelta Therapeutics社") | 英国 | ヒト組織常在型のガンマ・デルタT細胞が有する独自の特性に基づくGammaDelta社の新規T細胞基盤技術を活用した、新たながん免疫治療薬の創製および開発における提携契約。同社はこの新規基盤技術を活用し、がん領域において新たな創薬および開発を目指している。 |
HaemaLogiX Pty. Ltd. | 豪州 | 多発性骨髄腫における新規抗原に関するライセンスと共同研究。 |
Heidelberg Pharma GmbH | ドイツ | 抗体薬物複合体(ADC)に関する2標的の共同研究およびライセンス契約提携(アルファアマニチン毒素および独占権を有するリンカー)。 |
ImmunoGen, Inc. ("ImmunoGen社") | 米国 | ImmunoGen社が有するADC(抗体薬物複合体)技術を活用した、最大2件の非公開標的の抗がん剤開発および販売の独占的ライセンス契約。 |
Maverick Therapeutics Inc. ("Maverick社") | 米国 | がん治療におけるT細胞リダイレクション療法の有用性を向上させるために開発された、Marverick社の有するT細胞誘導療法の基盤技術の開発に関する提携契約。本契約に基づき、当社は5年後にMarverick社を買収する独占権を有する。 |
Myovant Sciences Ltd. (“Myovant社”) | スイス | 日本とアジアの一部の国を除く全世界におけるrelugolix(TAK-385)の独占ライセンス、および全世界におけるMVT-602(TAK-448)の独占ライセンスをMyovant社に供与。 |
Memorial Sloan Kettering Cancer Center | 米国 | 血液がん・固形がん治療に対する、新規のキメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)を活用した治療法の創製および開発提携。本提携関係は、血液がん・固形がんに対するT細胞免疫の攻撃性を変化させる治療法の開発を目指している。 |
Molecular Templates, Inc. (“MTEM社”) | 米国 | がん治療薬の開発における提携契約。本提携では、MTEM社が有するengineered toxin bodies基盤技術を治療標的候補に活用する。 2018年9月、本業務提携は、多発性骨髄腫などの疾患を対象とするCD38を標的とするengineered toxin bodiesの共同開発・販売まで拡大された。 |
国立がん研究センター | 日本 | 研究者、医師、その他抗がん剤の創薬やがん生物学の研究に携わる研究者、医師、その他の人材の交流促進による、基礎研究から臨床開発までの国立がんセンターとのパートナーシップ契約。 |
Nektar Therapeutics (“Nektar社”) | 米国 | Nektar社が保有する免疫治療候補薬であるNKTR-214(CD122-biased agonist)と当社のがん領域ポートフォリオの5つの免疫化合物との併用治療を検証する提携契約。 |
ノイルイミューンバイオテック株式会社("ノイルイミューン社") | 日本 | 次世代型キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法の共同開発契約。当社は、本提携により創出されたノイルイミューン社のパイプラインと製品の開発・販売権を導入できる独占的オプションを有する。 |
提携先 | 国 | 提携の内容 |
オンコロジー(がん): | ||
Shattuck Labs Inc. ("Shattuck社") | 米国 | 高度に差別化された次世代の免疫療法となり得るShattuck社独自のAgonist Redirected Checkpointプラットフォーム技術を用いたチェックポイント融合蛋白の探索および開発の提携契約。 当社は、当提携関係による4分子までの全世界的な開発・販売権を導入する独占的オプションを有する。 |
GlaxoSmithKline plc | 英国 | 新規がん治療薬niraparibに関して、日本における全てのがん、および韓国、台湾、ロシア、オーストラリアにおける前立腺がんを除く全てのがんに関する独占的開発・販売権に関するライセンス契約。 |
Teva Pharmaceutical Industries Ltd. ("Teva社") | イスラエル | 多発性骨髄腫治療において弱毒化インターフェロンアルファと融合したAnti-CD38 抗体であるTEV-48573の権利を含む、Teva社のAttenukineプラットフォーム技術を活用する複数のターゲットの共同開発契約。 |
消化器系疾患: | ||
Ambys Medicines (“Ambys社”) | 米国 | 重度肝疾患治療の医療ニーズに向けた変革治療についてのパートナーシップ契約。Ambys社は、今日治療法が存在しない、または十分な治療ができない疾患に対し、肝機能の回復および肝疾患の進行抑制を目的とし、細胞治療、遺伝子治療および新規モダリティを臨床応用している。本契約に基づき、当社は、臨床試験用NDAに達する最初の4つの品目において、米国以外での販売権を得るオプションを有する。 |
Arcturus Therapeutics, Inc. ("Arcturus社") | 米国 | 非アルコール性脂肪肝炎および他の消化器系疾患において、Arcturus社が有するLUNA™脂質媒体薬物送達システムおよびUnlocked Nucleomonomer Agent (UNA)オリゴマーの化学的性質を活用し、RNAをベースとする治療薬の開発契約。 |
Beacon Discovery (“Beacon社”) | 米国 | 消化器系疾患の重要な発生要因であるG蛋白質共役型受容体(GPCRs)に関する創薬の複数年提携。当社は、本提携によって創出された品目のグローバルの開発・生産・販売権を有する。 |
Cour Pharmaceutical Development Company, Inc. (“Cour社”) | 米国 | Cour社が有するTolerizing Immune Modifiying nano Particles(TIMP)技術をTIMP-Gliadinの共同開発に活用した、セリアック病等の消化器疾患の治療薬となり得る新規免疫調整薬の研究および開発契約。 |
Enterome Bioscience SA | フランス | 潰瘍性大腸炎などのIBDsおよび過敏性腸症候群などの運動性障害を含む消化器系疾患において重要な役割を担うと考えられる腸内細菌を標的とした新たな治療候補薬を研究開発を目的とする戦略的創薬における提携契約。本契約は、クローン病におけるEB8018/TAK-018のグローバルのライセンスおよび共同開発を含む。 |
Finch Therapeutics Group, Inc. (“Finch社”) | 米国 | 炎症性腸疾患を対象とした腸内細菌移植試験における良好な臨床結果との関連が示唆される複数の細菌株を培養した前臨床段階の生菌カクテル製剤であるFIN-524の共同開発における全世界的提携契約。当社は、FIN-524のグローバルな独占開発・販売権を有し、炎症性腸疾患に対する後継品権利も有する。当社およびFinch社は、追加適応および関連疾患についても本契約と同様の条件で提携範囲を拡大することが可能。 |
Hemoshear Therapeutics, LLC ("Hemosher社") | 米国 | 非アルコール性脂肪肝炎を含む肝疾患領域における新規創薬標的および治療法の創出に関する提携契約。当社は、特定肝疾患におけるベスト・イン・クラスの治療薬の創製および開発を目的とし、HemoShear社独自の疾患モデリング基盤技術を独占的に活用できる。 |
Janssen Pharmaceuticals, Inc. | ベルギー | 慢性便秘症治療薬prucaloprideの米国における開発・販売にかかる独占的ライセンス契約。本薬は2018年12月に製品名Motegrityとして米国で承認取得。 |
NuBiyota LLC (“NuBiyota社”) | カナダ | Microbial Ecosystem Therapeuticを活用したアンメットメディカルニーズの高い消化器系疾患領域の治療薬の開発契約。当社は、消化器系疾患に対するNuBiyota社のマイクロバイオーム(腸内細菌)基盤技術を活用した経口微生物コンソーシアム治療薬の開発を促進することを目的として、同社と提携する。 |
PvP Biologics, Inc. (“PvP”) | 米国 | グルテンが持つ自己免疫反応を引き起こす成分を胃の中で分解するよう設計された新規酵素製剤であるKumaMaxの全世界を対象とした共同開発契約。 当社は、原理証明(POP)試験を行うPhaseⅠ試験での研究開発のためにPvP社に出資し、事前に特定したデータを入手後にPvP社を買収する独占的オプションを有する。 |
Samsung Bioepis Co, Ltd | 韓国 | アンメットニーズの高い疾患領域における複数の新規生物学的治療薬への共同出資・共同開発を行う戦略的提携契約。本プログラムの最初の治療薬候補TAK-671は、重症膵炎への適応を企図している。 |
提携先 | 国 | 提携の内容 |
消化器系疾患: | ||
Theravance Biopharma Inc | アイルランド | 経腸栄養不耐性(EFI)を含む消化管運動障害の治療薬候補として臨床試験中である5-HT4受容体アゴニストTD-8954の全世界的な開発・販売におけるライセンス契約。TD-8954は、EFIの重篤な栄養状態リスクのある患者に対し、早期に栄養状態の回復を達成するための短期投与薬剤として開発中であり、この適応でFDAにファストトラック指定を受けている。 |
UCSD/Fortis Advisors LLC | 米国 | 好酸球性食道炎治療薬としてブデソニド経口製剤(TAK-721/SHP621)を開発するための技術ライセンス。 |
希少疾患: | ||
AB Biosciences, Inc. | 米国 | 自己免疫炎症性疾患にフォーカスし、特定の免疫状態を標的とする様々なタイプの受容体と相互作用する分子を対象にして、希少疾患領域で品目追加に至る可能性のある開発の提携契約。 |
ArmaGen, Inc. | 米国 | ハンター症候群における中枢神経系(CNS)および身体的症状のいずれにも治療効果が期待できる酵素補充療法である、AGT-182(TAK-531/SHP631)の開発を目的とする全世界のライセンスおよび提携契約。 |
Asklepios Biopharmaceutical, Inc. | 米国 | 血友病AおよびBを対象とする第Ⅷ因子の遺伝子治療を目的とする複数の研究開発の提携契約。 |
BioMarin Pharmaceutical Inc. | 米国 | イデュルスルファーゼの髄腔内投与により外因性イズロン酸-2-スルファターゼ補充を可能にする技術導入契約。認知機能障害を伴うハンター症候群患者において、長期的な治療のために本酵素を中枢神経系(CNS)に直接到達させることにより、認知機能障害の進行を遅らせる(TAK-609/SHP609)。 |
GlaxoSmithKline plc (“GlaxoSmithKline社”) | 英国 | GlaxoSmithKline社およびミシガン大学とのヒトサイトメガロウイルス感染症治療薬としてのTAK-620/SHP620 (marabivir) 導入契約。 |
Harrington Discovery Institute at University Hospitals in Cleveland, Ohio | 米国 | 希少疾患治療薬の開発に関する提携契約。 |
IPSEN | フランス | 後天性血友病A治療薬としてのObizur開発のため譲渡(購入)契約。緊急および非緊急の手術におけるインヒビター保有先天性血友病A患者への適用開発も含む。 |
KMバイオロジクス株式会社 | 日本 | ADAMTS13欠損克服を目的としたTAK-755/SHP655の共同開発の提携契約。 |
NanoMedSyn | フランス | NanoMedSyn社独自の合成誘導体AMFAを用いて酵素補充療法の可能性を評価する前臨床研究提携。 |
Novimmune SA | スイス | 血友病A治療を対象とした前臨床開発段階にある革新的な二重特異性抗体に関する全世界での開発および商用化の独占契約。 |
Rani Therapeutics | 米国 | 血友病治療として第Ⅷ因子を経口で送達するためのマイクロタブレットピル技術の評価を行う共同研究契約。 |
Ultragenyx Pharmaceutical Inc. | 米国 | 希少遺伝子疾患治療を対象とする開発および商用化提携契約。 |
Xenetic Biosciences, Inc. | 米国 | PolyXen(ポリシアル酸ポリマー)を用いた血友病第Ⅶ因子、第Ⅷ因子、第Ⅸ因子および第Ⅹ因子の送達技術に関する独占的研究開発ライセンス契約。 |
ニューロサイエンス(神経精神疾患): | ||
AstraZeneca plc ("AstraZeneca社") | 英国 | パーキンソン病の治療薬候補薬として開発中のalpha-synuclein抗体であるMEDI1341の共同研究・販売契約。AstraZeneca社はPhaseⅠ試験を、当社はその後の臨床開発活動をそれぞれ主導する。両社は将来における開発・製品化にかかる費用および全ての収益を平等に分け合う。 |
Denali Therapeutics Inc. ("Denali社") | 米国 | Denali社が有する脳へのバイオ治療薬移行性を高めるAntibody Transport Vehicle(ATV)プラットフォーム技術を用いた、3つの神経変性疾患治療薬候補の開発および販売に関する戦略的オプションを含む提携契約。 |
Mindstrong Health | 米国 | 特定の精神疾患(特に、統合失調症および治療抵抗性のうつ病)を対象としたデジタルバイオマーカーの開発に向けた提携。 |
Ovid Therapeutics Inc. ("Ovid社") | 米国 | 希少小児てんかんにおける新規の高活性・高選択的CH24H阻害薬(TAK-935)の臨床開発・製品化における契約。当社はOvid社の株式を取得しており、TAK-935の進捗に基づくマイルストンを受領する権利を有する。当社は日本における販売を主導し、アジアおよび他の選ばれた地域における販売にかかるオプションを有する。Ovid社は、米国、カナダ、イスラエルでのTAK-935の臨床開発活動および販売を主導する。 |
StrideBio Inc. | 米国 | フリードライヒ運動失調症とその他2つの非開示ターゲットを対象とするinでvivoでのアデノ随伴ウイルス(AAV)による治療法開発を行う共同研究・ライセンス契約。 |
提携先 | 国 | 提携の内容 |
ニューロサイエンス(神経精神疾患): | ||
Wave Life Sciences Ltd. | シンガポール | 遺伝性神経疾患に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド医薬品の開発を目指した、研究開発および販売に関する提携、ならびに複数プログラムに関するオプション契約。本提携の一つめの取り組みとして、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭型認知症および脊髄小脳失調症3型をターゲットとしたプログラムに注力する。二つめの取り組みでは、アルツハイマー病およびパーキンソン病を含む神経疾患をターゲットとした複数の前臨床プログラムについて、当社が独占的にライセンス取得する権利を得る。 |
血漿分画製剤: | ||
Halozyme Therapeutics, Inc. (“Halozyme社”) | 米国 | HyQviaの拡散と吸収を高めることを目的としたHalozyme社の独自基盤技術ENHANZE™の導入契約。進行中の開発活動は、原発性および続発性の免疫不全を対象とする米国での小児効能追加および慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の効能取得を目的とするPhaseⅢ試験。 |
Kamada Ltd. | イスラエル | α1-プロテアーゼインヒビター(Glassia)の開発および商用化の導入契約;Glassiaの米国、カナダ、オーストラリアおよびニュージーランドにおける独占的供給および流通;実施中の市販後コミットメント臨床試験のプロトコール立案。 |
ワクチン: | ||
Biological E. Limited (“Biological E.社”) | インド | インド、中国および低・中所得国において、安価な混合ワクチンの開発を促進するため、既存の麻しんワクチンおよび無細胞性百日せきワクチンの原末生産技術を当社からBiological E.社へ移管することへの合意。 |
U.S. Government - The Biomedical Advanced Research and Development Authority ("BARDA") | 米国 | 米国や世界中の流行地域でのジカウイルス感染への取り組みを支援する、ジカ熱ワクチン(当社の有するジカワクチン候補TAK-426)の開発提携。当社は米国保健福祉省内の事前準備・対応担当次官補局の一部門であるBARDA(生物医学先端研究開発局)より選定された。 |
Zydus Cadila | インド | アフリカ、アジアおよびインド亜大陸での新興感染症であるチクングニア熱ワクチンを共同開発し、全世界的な脅威であるチクングニア熱に対処するための提携契約。 |
その他/複数の疾患領域: | ||
Bridge Medicines | 米国 | Tri-Institutional Therapeutics Discovery Institute、Bay City Capital社およびDeerfield Management社とのBridge Medicines社設立における提携。 Tri-Institutional Therapeutics Discovery Institute採択した研究プロジェクトは、Bridge Medicines社に移管され、資金面、運用面および管理面での支援を受けて、有効性やターゲットの創薬上の検証であるプルーフ・オブ・コンセプト(POC)試験から臨床試験への移行まで継ぎ目なく実施される。 |
京都大学iPS細胞研究所(CiRA) | 日本 | がん、心疾患、糖尿病、神経変性疾患、難治性筋疾患などの疾患領域におけるiPS細胞の臨床応用開発を目的とした、10年間の提携の共同研究プログラムの設立。 |
HiFiBiO Inc. | 米国 | 消化器系疾患およびがん領域において新規の治療抗体を見出すためのハイスループット抗体探索基盤における技術提携。 |
HitGen Ltd. ("HitGen社") | 中国 | HitGen社のDNAエンコードライブラリーデザイン、合成、スクリーニング技術によって発見された新規リード化合物に関して、当社は独占的ライセンスの権利を有する。 |
lsogenica Ltd. ("Isogenica社") | 英国 | sdAb(シングルドメイン抗体)の基盤技術を活用し、様々な免疫細胞対するVHH(重鎖抗体の重鎖可変領域)の使用法を生み出すことを目的としたIsogenica社との契約。当社は、消化器系疾患領域およびオンコロジー(がん)領域における病因の検証およびパイプライン開発を目指している。 |
Numerate, Inc. | 米国 | 当社の重点疾患領域である消化器系疾患、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)における活用を目的とした臨床候補薬の同定を目指す共同探索プログラムに関する契約。 |
Portal Instruments, Inc. ("Portal社") | 米国 | Portal社の針を使わない医療用デバイスの当社の開発中または承認済み生物学的製品への応用開発および製品化における提携。 |
Recursion Pharmaceuticals | 米国 | 当社が有するTAK-celerator™ 開発パイプラインのための前臨床候補薬の提供契約。 |
提携先 | 国 | 提携の内容 |
その他/複数の疾患領域: | ||
Schrödinger, LLC ("Schrödinger社") | 米国 | Schrödinger社が有するin silico技術に基づく創薬力と当社の疾患領域に対する深い知見および構造生物学における専門知識を融合した複数の創薬標的に関する共同研究。 |
Seattle Collaboration | 米国 | SPRInT (Seattle Partnership for Research on Innovative Therapies):Fred Hutchinson Cancer Research CenterおよびWashington大学での先進的発見のヒト疾患治療(消化器系疾患、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)に注力)への応用促進を目的とする研究提携。 |
Stanford University | 米国 | 革新的な治療法および治療薬をより効率的に開発するため、Stanford大学と提携してStanford Alliance for Innovative Medicines (Stanford AIM)を設立。 |
Tri-Institutional Therapeutics Discovery Institute (Tri-I TDI) | 米国 | Tri-I TDIと提携した、より効率的に革新的な治療法および医薬品を創出するための産学連携。 |
知的財産
特許や登録商標を用いて可能な限り自社の製品や技術を守ることは、当社の事業戦略において重要な部分を占めています。当社が市場競争力を維持し高めるためには、企業秘密、当社独自のノウハウ、技術的イノベーションおよび第三者との契約が欠かせません。当社がビジネス上の成功を収めることが出来るかどうかは、強固な特許を取得し行使する能力や、企業秘密を保護し続ける能力、第三者の知的財産権を侵害することなく事業を行う能力、付与されたライセンスの条件を遵守する能力に依存する場合があります。新薬の開発は長期間にわたり、研究開発は多くの費用を必要します。また、新化合物のうち上市されるものはごくわずかであることから、知的財産の保護は新薬の研究開発への投資の回収において重要な役割を担っています。
当社グループの低分子化合物は、主に物質特許によって保護されています。通常は物質特許の存続期間終了をもって当該医薬品の市場独占権は失われますが、その後も当該物質の用途、用法、製造方法、新規組成または剤型に関する特許等の非物質特許によって、商業利益が保護されることがあります。物質特許が満了した場合でも、各国の関連法規制によるデータ保護制度により対象製品が保護されることもあります。当社のバイオ製品は1件以上の物質特許によって保護されることがありますが、製品によっては物質特許以外の特許または規制当局によるデータ保護、またはその両方が適用されることもあります。しかし、競合会社によって、同じ疾患に対する類似製品および(または)バイオシミラーが当社の特許を侵害することなく開発され、販売されることがあることから、バイオ製品にとって特許による保護の重要性は伝統的な医薬品に比べて低いと思われます。
米国では、原則として出願から20年で特許は満了しますが、米国特許商標庁の審査遅延による特許の発行遅延があった場合は特許期間の調整が行われる可能性があります。また、製品、製品を使用した治療法、製品の製造方法に関する米国の医薬特許は、米国食品医薬品局(FDA)による製品の承認審査期間に応じて特許期間延長の対象となる場合があります。このような場合の存続期間の延長は5年を上限としており、製品の承認取得から14年を超える延長は認められません。FDAの遅延に基づく期間延長が認められるのは、1製品につき1件の特許のみです。FDAは、新規化合物または「オーファンドラッグ」に対しては、特許独占権に加えて、データあるいは市場の独占権を追加付与することがあり、これらは既にある特許保護期間と並行して存続します。データ保護規制またはデータ独占権は、ジェネリック医薬品を発売し得る競合他社が、先発品の安全性および有効性を確立する際にスポンサーが作成した臨床試験データを7年間使用できないようにするものです。市場独占権は、同一薬剤を同効(同じ適応症)に対して販売することを禁止するものです。
日本では、有効成分については、特許庁が特許を付与します。用量や投与方法など、治療法は日本では特許の対象となりませんが、特定の用法・用量にて使用する医薬組成物や、医薬組成物の製造方法については、特許の対象となります。日本では原則として出願より20年で特許は満了します。医薬特許は、承認までの審査に要した時間により、5年を限度として延長されることがあります。また、日本ではデータ保護制度として「再審査期間」を設けており、その期間は新有効成分含有医薬品については8年、新効能・新医療用配合剤については4年から6年、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)については10年となっています。
欧州連合(EU)では、欧州特許庁(EPO)または欧州各国で特許を申請することができます。EPOの制度では、EU全体およびスイス、トルコ等のいくつかのEU非加盟国での特許を一括申請することができます。EPOが特許を付与すれば、特許権者が指定する国々において特許が有効となります。EPOまたは欧州諸国のいずれかが認める特許の存続期間は、延長や調整があり得ますが、原則として出願から20年です。医薬品の特許は、補充的保護証明書(SPC)制度のもと、さらに追加の独占期間を付与されます。SPCは、特許権者が欧州医薬品庁または各国の規制当局から販売承認を受けるのに要した時間を補償する制度です。SPCにより、特許期間とあわせて、欧州で最初の販売承認を取得した日から最長15年の独占権を与えられます。ただし、SPCの最長期間は5年です。認可された小児臨床試験計画によるデータが提出された製品であれば、6か月の小児用医薬品に係る延長が認められます。SPC制度を含め、承認後の特許は、各国の法制度により運用されています。特許およびSPCに関する規制はそれぞれ欧州特許庁およびEUのレベルで作られましたが、国ごとの運用の違いにより、必ずしも同じ結果にはつながりません。また、EUは承認されたヒト用医薬品につき、特許保護と並行してデータ独占権を与えています。現在承認されている医薬品に関する制度は、通常「8+2+1」と呼ばれています。これは、まず初めに競合他社が関連データに依拠することができないデータ保護期間が8年間、続いて競合他社が販売承認申請のために当該データを使用できるものの、競合品を上市することができない市場独占期間が2年間、さらに、スポンサーが最初のデータ保護期間8年間の間に、他の治療薬が存在しない適応症か「既存治療薬に比べて有意な臨床的有効性」が認められる新たな適応症を追加した場合、追加で1年間の市場独占権を認めるものです。これは各国での承認にもEUの中央審査による承認にも当てはまります。また、EUには米国の類似したオーファンドラッグの独占制度があります。医薬品がオーファンドラッグとして指定された場合、10年間の市場独占権が与えられ、この間当該医薬品と同じ適応症を持つ同様の医薬品には販売承認が付与されません。特定の条件下では、さらに2年間の小児用医薬品に係る延長が認められます。
当社製品の関連特許満了後の後発品の市場参入や、競合他社によるOTC医薬品の発売等、当社は世界中で知的財産に関わる課題に直面しています。当社のグローバルジェネラルカウンセルは、知的財産権および法務の業務について監督責任を負っています。当社の知的財産部は、下記3つの優先事項に注力することにより、当社の全社的な戦略をサポートしています。
・疾患領域別ユニットの戦略に沿った自社製品および研究開発パイプラインの価値の最大化および関連する権利
の保護
・パートナーとの提携サポートによる外部イノベーションのよりダイナミックな活用の促進
・新興国市場を含む世界各国での知的財産権取得および保護
当社の知的財産権が侵害されることは、それらの権利から得ることが期待される収益が失われるリスクとなるため、当社は特許やその他の知的財産を管理するための内部プロセスを整備しています。このプログラムでは、第三者からの侵害に継続的に警戒するともに、当社の自社製品および活動が第三者の知的財産を侵害しないよう、製品開発段階から注意を払っています。
通常の事業活動において、当社の特許は第三者から異議の申し立てを受ける可能性があります。当社は、当事者として知的財産権に関する訴訟等に関与しております。継続中の重要な訴訟の詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメント及び偶発負債 (5)訴訟」をご参照ください。
下表では、記載された製品について、対象地域ごとに、存続している物質特許およびデータ保護期間(以下、「RDP」)(米国およびEU)もしくは再審査期間(以下、「RP」)(日本)ならびに満了日を記載しております。RDPとRPについてはそれらの制度的な独占期間が特許満了日後にも与えられる場合にのみ記載しています。特許期間の延長(PTE)、補充的保護証明書(SPC)、小児用医薬品に係る独占期間(以下、「PEP」)は当局により認められたものについては満了日に反映され、申請手続中で認められていないものについては、延長された満了日を別途記載しています。
当社のバイオ医薬品は、下記の特許満了期間に関わらず、同じ適応症に対する類似製品またはバイオシミラーを製造する他社との競争に直面するか、今後直面する可能性があります。また、欧州の特許の一部は、SPCにより、いくつかの国で下表に記載の満了期限を超えて対象製品に追加的な保護が付与されます。
製品名 | 特許満了日(日本) (注1)(注2) | 特許満了日(米国) (注1) | 特許満了日(EU) (注1) | ||
消化器系疾患領域: | |||||
ENTYVIO エンティビオ/エンタイビオ | 特許:— RP: 2026年7月(注2) | 特許:2021年9月 RDP: 2026年5月 | 特許:2017年8月(いくつかの国では2022年8月まで延長) RDP: 2024年5月 | ||
PANTOPRAZOLE パントプラゾール | 特許:— | 特許:— | 特許:— | ||
DEXILANT デクスラント | 未発売 | 特許:— | 特許: — | ||
TAKECAB タケキャブ(注3) | 特許:2031年8月 | 特許:—(注3) | 特許:—(注3) | ||
AMITIZA(注4) アミティーザ | 特許:—(注4) | 特許::2021年5月(注5) | 未発売 | ||
GATTEX/REVESTIVE | 特許:— | 特許:2020年10月(注6) | 特許:— RDP: 2024年9月 | ||
LIALDA/MEZAVANT(注3) リアルダ/MEZAVANT(注3) | 特許:—(注3) RP: 2022年9月(注2) | 特許:— | 特許:— |
製品名 | 特許満了日(日本) (注1)(注2) | 特許満了日(米国) (注1) | 特許満了日(EU) (注1) | ||
希少疾患領域: | |||||
VPRIV ビプリブ | 特許:— RP: 2024年7月(注2) | 特許:— | 特許:- RDP: 2022年8月 | ||
ELAPRASE エラプレース | 特許:— | 特許:2019年9月 | 特許:— | ||
REPLAGAL リプレガル | 特許:— | 未発売 | 特許:— | ||
NATPARA | 特許:— | 特許:— RDP: 2027年1月 | 特許:— RDP: 2029年4月 | ||
FIRAZYR フィラジル | 特許:— RP: 2028年9月(注2) | 特許:2019年7月 | 特許:— RDP: 2020年7月 | ||
ADVATE アドベイト | 特許:— | 特許:— | 特許:— | ||
ADYNOVATE アディノベイト | 特許:2026年1月 | 特許:2026年2月 RDP: 2027年11月 | 特許:認められれば2028年1月 RDP: 2028年1月 | ||
FEIBA(注7) ファイバ | 特許:— | 特許:— | 特許:— | ||
HEMOFIL(注7) ヘモフィル | 未発売 | 特許:— | 未発売 | ||
IMMUNATE(注7) | 特許:— | 未発売 | 特許:— | ||
IMMUNINE(注7) | 未発売 | 未発売 | 特許:— | ||
TAKHZYRO | 2031年1月 PTEが認められれば2034年11月まで延長 | 2031年12月、2032年2月、2032年3月 PTEが認められれば2032年8月まで延長 | 2031年1月 SPCが認められれば2036年1月まで延長 | ||
KALBITOR | 未発売 | 2023年12月 | 未発売 | ||
CINRYZE(注7) | 特許:— | 特許:— RDP: 2020年10月 | 特許:— | ||
GAMMAGARD LIQUID(注7) | 未発売 | 特許:— | 特許:— | ||
ALBUMIN IN GLASS(注7) アルブミン | 未発売 | 特許:— | 特許:— | ||
HYQVIA(注7) | 未発売 | 特許: — RDP: 2026年9月 | 特許: — RDP: 2024年5月 | ||
CUVITRU(注7) | 未発売 | 特許: — RDP: 2028年9月 | 特許: — RDP: 2027年7月 | ||
FLEXBUMIN(注7) | 未発売 | 特許:— | 特許:— | ||
がん領域: | |||||
LEUPLIN/ENANTONE リュープリン/ENANTONE | 特許:— RP: 2019年9月(注2)(注8) | 特許:— | 特許:— | ||
VELCADE(注3) ベルケイド | 特許:—(注3) | 特許:— | 特許:—(注3) | ||
NINLARO ニンラーロ | 特許:2031年7月 | 特許:2027年8月 PTEが認められれば2029年11月まで延長 | 特許:2031年11月 | ||
ADCETRIS(注4) アドセトリス | 特許:2022年4月、2026年7月(注9) | 特許:—(注4) | 特許:2027年10月 | ||
ALUNBRIG) アルンブリグ | 特許:2029年5月 PTEが認められれば2033年2月まで延長 | 特許:2030年7月 PTEが認められれば2031年4月まで延長 | 特許:2029年5月 SPCが認められれば2033年11月まで延長 | ||
ICLUSIG(注3) アイクルシグ | 特許:—(注3) | 特許:2027年1月 | 特許:—(注3) | ||
VECTIBIX(注4) ベクティビックス | 特許:2022年8月 | 特許:—(注4) | 特許:—(注4) |
製品名 | 特許満了日(日本) (注1)(注2) | 特許満了日(米国) (注1) | 特許満了日(EU) (注1) | ||
ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域: | |||||
TRINTELLIX(注4) トリンテリックス | 特許:2022年10月 PTEが認められれば2027年10月まで延長 | 特許:2026年6月 PTEが認められれば2026年12月まで延長 | 特許:—(注4) | ||
VYVANSE バイバンス/ビバンセ | 特許:2024年6月 PTEが認められれば2029年6月まで延長 RP: 2027年3月 | 特許:2023年2月 | 特許:2024年6月(いくつかの国では2028年2月または2029年3月まで延長) | ||
ADDERALL XR | 未発売 | 特許:— | 未発売 | ||
ROZEREM ロゼレム | 特許:2022年3月 | 特許:2019年7月 | 未発売 | ||
REMINYL レミニール | 特許:— | 特許:— | 特許:— | ||
INTUNIV インチュニブ | 特許:— RP: 2025年3月(注2) | 特許:— | 特許:— RDP: 2025年9月 | ||
その他: | |||||
NESINA ネシーナ | 特許:2028年4月 | 特許:2028年6月 | 特許:2028年9月 | ||
ULORIC(注4) ユーロリック | 特許:—(注4) | 特許:— | 特許:—(注4) | ||
COLCRYS コルクリス | 未発売 | 特許:— | 未発売 | ||
LOTRIGA(注4) ロトリガ | 特許:— RP: 2020年9月(注2) | 特許: —(注4) | 特許: —(注4) | ||
AZILVA アジルバ | 特許:— RP: 2021年10月(注2) | 未発売 | 未発売 |
(注1) 表中の「―」は物質特許の満了または該当なしを表します。
(注2) 日本では、後発品の承認申請は、先発品の再審査期間終了後に行われ、規制当局による審査の後、承認、薬価収載されます。したがって、後発品は再審査期間の満了後から一定の期間を経て市場に参入します。
(注3) 本製品は、第三者への導出契約を締結しているため、全ての地域で当社が販売を行っているわけではありません。
(注4) 本製品は、特定の地域限定で第三者からの導入契約を締結しているため、全ての地域で当社が販売を行っているわけではありません。詳細については「ライセンスおよび共同研究開発契約」をご参照ください。
(注5) ANDA申請者との合意により、2021年1月以降(または一定の状況下でより早期)に後発品が発売される可能性があります。
(注6) ANDA申請者との合意により、2023年3月以降に後発品が発売される可能性があります。
(注7) これらの医薬品は血漿分画製剤です。
(注8) LEUPLIN/ENANTONE は日本では2019年9月まで6か月製剤に対して再審査期間が定められています。
(注9) 米国または欧州市場への販売許可の時期により、2026年7月以降、後発品またはバイオシミラーが発売される可能性があります。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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