有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100O9MP (EDINETへの外部リンク)
 株式会社レノバ 事業の内容 (2022年3月期)
株式会社レノバ 事業の内容 (2022年3月期)
当社グループは「グリーンかつ自立可能なエネルギー・システムを構築し枢要な社会的課題を解決する」という経営理念のもと、再生可能エネルギー発電所を開発し、所有・運営しています。再生可能エネルギーとは、エネルギー源として永続的に利用可能な太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等の総称です。当社グループは、太陽光発電、バイオマス発電、洋上・陸上風力発電、地熱発電、水力発電等のマルチ電源の発電事業を開発し運営することを事業の目的としています。
当社グループは、(Ⅰ)長期に亘る再生可能エネルギー発電所の所有と当該発電所による売電(「再生可能エネルギー発電事業」)及び(Ⅱ)新たな発電所の開発と運転開始済み発電所の運営管理(「再生可能エネルギー開発・運営事業」)を主な事業として取り組んでいます。当社グループは、当社に加え、運転開始済みの発電事業を運営又は管理する連結子会社14社、持分法適用会社3社を中心に構成されています。
当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
(1) 概要
(再生可能エネルギー業界の概観)
再生可能エネルギーの導入は世界的なエネルギー政策の潮流です。世界各国は再生可能エネルギーの導入に係る取り組みを推進しており、世界の再生可能エネルギー発電設備の新規導入容量は2020年に250GWを超えました(出典:Renewable Energy Policy Network for the 21st Century(本部:パリ)「Renewables 2021 Global Status Report」)。また、2021年10月にはCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会合)が開催され、世界的な温室効果ガスの排出量削減に向けた取り組みの実効性が一層高まりました。アジアの各国においても、今後の再生可能エネルギーの供給割合として掲げていた目標を更に引き上げる等、脱炭素化に向けた動きが活発化しています。このような世界的なエネルギー政策の潮流の中で、日本政府は国内における再生可能エネルギーの導入拡大を目的とし、2012年より固定価格買取制度(FIT制度)(*1)を導入しています。再生可能エネルギーは、資源の乏しい我が国のエネルギー自給率向上に資するとともに、温室効果ガスを排出しないことから温暖化対策に寄与するエネルギー源として注目されており、固定価格買取制度の下で急速に市場は拡大しています。
(*1)固定価格買取制度(FIT制度):
「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」(再エネ特措法)に基づき、買取義務者が再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で一定期間買い取る制度です。太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等により発電された電力が当該制度に基づいて電気事業者に販売され、その買取価格及び買取期間等は経済産業省・資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会や関係省庁の意見に基づき経済産業大臣が決定します。
2015年1月に、太陽光発電所や風力発電所等の自然変動電源による発電量が大幅に増加した場合でも電力需給バランスを保ち、電力供給の安定化を図ることを目的とし、出力抑制ルールを拡充する制度改定が行われています。出力抑制ルールに基づき、一般送配電事業者は、一定条件のもとで再生可能エネルギーを電源とする発電所による系統への送電電力の数量や質に制限を加えることができます。
経済産業省は2020年12月に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を公表し、2050年には発電量の50~60%を再生可能エネルギーで賄うことを参考値として示しました。そして、日本政府は2021年4月、米国主催の気候変動サミットにおいて、2050年にカーボンニュートラルゼロを実現するために、2030年時点のCO2削減目標を46%とする新目標を公表しました。その上で、2021年10月に「第6次エネルギー基本計画」を閣議決定し、「第5次エネルギー基本計画」では24~26%であった総発電電力量に占める再生可能エネルギーの比率について、2030年度までに36%~38%程度に高めることを目標として掲げました。このように再生可能エネルギーの更なる普及に向け政府の支援姿勢は継続しており、今後も再生可能エネルギー市場はより一層拡大していくことが期待されます。
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出典:第6次エネルギー基本計画を元に当社作成
なお、日本政府は価格や需給を意識した効率的な発電や売電を促し、再生可能エネルギー由来の電気が適切に市場で取引できる環境を整えることを目的として、2022年4月からFeed in Premium制度(FIP制度)(*2)を導入しました。当該制度は、再生可能エネルギー発電事業者が卸電力取引市場や相対取引で自ら売電し、市場価格をふまえて算定される一定のプレミアムを受け取る制度です。FIT・FIP制度に基づく再生可能エネルギーの入札の対象イメージは、以下の通りです。
(*2)Feed in Premium制度(FIP制度):
「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」に基づき、再生可能エネルギー発電事業者が卸電力取引市場や相対取引で自ら売電し、市場価格を踏まえて算定される一定のプレミアムを受け取る制度です。電力市場への統合を促しながら、投資インセンティブの確保と国民負担の抑制を両立していくことを狙いとしています。
(FIT制度/FIP制度・入札の対象イメージ)(2022年4月30日現在)
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出典:経済産業省ウェブサイトを元に当社作成
(注)1.kW(キロ・ワット)、MW(メガ・ワット)は電力の大きさを示す単位で、MWは千kW(キロ・ワット)又は百万W(ワット)と同じ大きさを意味します。
2.表示年度は各年4月から翌年3月までの期間を意味します。
3.バイオマスの区分は下記のとおりです。
一般木質等:製材端材、輸入材、パーム椰子殻等
間伐材等由来:国内発生の未利用間伐・主伐材等
(国内外における再生可能エネルギー発電業界における主な事業者群及び当社グループの事業領域)
当社グループが事業を展開する再生可能エネルギー発電業界は、①各種メーカーによる発電設備(太陽光パネル、タービン、ボイラー、風車等)の製造、②開発事業者、AM事業者(*3)及びEPC事業者(*4)や施工事業者による発電所の建設、③運転開始済み発電所による発電及び電力卸売、並びにAM事業者やO&M事業者(*5)による当該発電所の運営・管理・保守、そして④一般送配電事業者等(*6)による電力小売の各事業に大別されます。(海外における発電事業者の売電先は、電力会社のみならず、電力の需要家をオフテイカー(*7)として直接売電契約を締結する場合もあります。)
上記①及び②における事業者は発電所の建設工事に際して一般的に一括して収益を享受します。一方、③及び④における事業者は発電所の長期に亘る発電及び売電に関与するため、一般的に複数年に亘り安定的に収益を享受します。
当社グループが手掛ける事業は(Ⅰ)長期に亘る発電所の所有と当該発電所による売電(「再生可能エネルギー発電事業」)及び(Ⅱ)新たな発電所の開発と運転開始済み発電所の運営管理(「再生可能エネルギー開発・運営事業」)であり、上記バリューチェーンにおいて下記の図のとおり位置づけられます。
(*3)AM事業者:
発電所の建設や運営においてアセットマネジメント(管理業務)を請け負う事業者のことを指しています。
(*4)EPC事業者:
発電所建設において、Engineering(設計)、Procurement(調達)及びConstruction(建設)を含む一連の工程を請け負う事業者のことを指しています。
(*5)O&M事業者:
発電所の運営において、Operation(運転)及びMaintenance(維持)を請け負う事業者のことを指しています。
(*6)一般送配電事業者等
電気事業法第2条第17項における一般送配電事業者又は小売電気事業者を指します。本書では主として電力需要家又は卸売事業者に対して電力販売を行う事業者全般を意味しています。
(*7)オフテイカー
プロジェクトファイナンスにおいて、事業会社が生み出すサービス(当社グループのSPCの場合は電力)を購入する者(引き取り手)のことを指しています。
(国内外における当社グループの事業領域)
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(2) 再生可能エネルギー発電事業
2022年3月末現在、「再生可能エネルギー発電事業」は、当社の連結子会社及び関連会社が所有する再生可能エネルギー発電所が発電した電力を、国内においてはFIT制度に則り、一般送配電事業者等のオフテイカーに販売する事業です。海外においては、各国のFIT制度又は再生可能エネルギー発電所導入促進のための各制度等に則り、オフテイカーに販売する事業です。当社グループは「再生可能エネルギー開発・運営事業」において開発した発電所を連結子会社又は関連会社として長期に亘り所有し、当該発電所の売電収入を「再生可能エネルギー発電事業」の収益として計上しています。FIT制度又は再生可能エネルギー発電所導入促進のための各制度等に基づき所定の買取期間に亘り売電価格が保証されるため、「再生可能エネルギー発電事業」は長期的に安定した収益が見込まれます。現在、当社グループは、大規模太陽光発電に関しては連結子会社12社、バイオマス発電に関しては連結子会社2社、陸上風力発電に関しては持分法適用会社3社にて発電・売電を行っています。現在運転中の発電所の概要及び売電契約先の状況は以下のとおりです。
(運転中の大規模太陽光発電所一覧)(2022年3月31日時点)
| 出資先名称 | 事業者 | 住所 | 議決権の所有(被所有)割合又は出資割合 (連結区分) | 出力 (MW) | 買取価格 (1kWh 当たり) | 発電開始 時期 | 売電契約先 | 
| 株式会社 水郷潮来 ソーラー | 同左 | 茨城県 潮来市 | 68.0% (連結) | 15.3 | 40円 | 2014年 2月 | 東京電力パワーグリッド株式会社 | 
| 株式会社 富津ソーラー | 同左 | 千葉県 富津市 | 51.0% (連結) | 40.4 | 40円 | 2014年 7月 | 東京電力パワーグリッド株式会社 | 
| 株式会社 菊川石山 ソーラー | 同左 | 静岡県 菊川市 | 63.0% (連結) | 9.4 | 40円 | 2015年 2月 | 中部電力パワーグリッド株式会社 | 
| 株式会社 菊川堀之内谷 ソーラー | 同左 | 静岡県 菊川市 | 61.0% (連結) | 7.5 | 40円 | 2015年 2月 | 中部電力パワーグリッド株式会社 | 
| 九重ソーラー 匿名組合事業 | 合同会社 九重 ソーラー | 大分県 玖珠郡 九重町 | 100.0% (連結) | 25.4 | 40円 | 2015年 5月 | 九州電力送配電株式会社 | 
| 那須塩原 ソーラー 匿名組合事業 | 合同会社 那須塩原 ソーラー | 栃木県 那須塩原市 | 100.0% (連結) | 26.2 | 40円 | 2015年 9月 | 東京電力パワーグリッド株式会社 | 
| 大津ソーラー 匿名組合事業 | 合同会社 大津 ソーラー | 熊本県 菊池郡 大津町 | 100.0% (連結) | 19.0 | 36円 | 2016年 4月 | 九州電力送配電株式会社 | 
| 四日市 ソーラー 匿名組合事業 | 合同会社 四日市 ソーラー | 三重県 四日市市 | 100.0% (連結) | 21.6 | 36円 | 2019年 3月 | 中部電力パワーグリッド株式会社 | 
| 那須烏山 ソーラー 匿名組合事業 | 合同会社 那須烏山 ソーラー | 栃木県 那須烏山市 | 100.0% (連結) | 19.2 | 36円 | 2019年 5月 | 東京電力パワーグリッド株式会社 | 
| 軽米西 ソーラー 匿名組合事業 | 合同会社 軽米西 ソーラー | 岩手県 九戸郡 軽米町 | 100.0% (連結) | 48.0 | 36円 | 2019年 7月 | 東北電力ネットワーク株式会社 | 
| 軽米東 ソーラー 匿名組合事業 | 合同会社 軽米東 ソーラー | 岩手県 九戸郡 軽米町 | 100.0% (連結) | 80.8 | 36円 | 2019年 12月 | 東北電力ネットワーク株式会社 | 
| 軽米尊坊 ソーラー 匿名組合事業 | 合同会社 軽米尊坊 ソーラー | 岩手県 九戸郡 軽米町 | 55.0% (連結) | 40.8 | 36円 | 2021年 10月 | 東北電力ネットワーク株式会社 | 
(注) 1.出力はモジュールベース(太陽電池モジュール最大出力の和)の設備容量表記です。
2.買取価格は、売電先との実際の契約価格ではなく、各発電設備に対してFIT制度に基づき適用される買取価格(消費税抜表示)を示しています。
3. 当社は、2022年4月22日付で、当社の連結子会社である四日市ソーラー匿名組合事業の匿名組合出資持分の80%を譲渡いたしました。譲渡後の当社の保有匿名組合員持分は20%となり、四日市ソーラー匿名組合事業は、当社の連結対象及び持分法適用対象から外れます。
(運転中のバイオマス発電所一覧)(2022年3月31日時点)
| 出資先名称 | 事業者 | 住所 | 議決権の所有(被所有)割合又は出資割合 (連結区分) | 出力 (MW) | 買取価格 (1kWh当たり) | 発電開始 時期 | 売電契約先 | 
| ユナイテッド リニューアブル エナジー 株式会社 | 同左 | 秋田県 秋田市 | 69.2% (連結) | 20.5 | 32円/24円 | 2016年 5月 | 東北電力ネットワーク株式会社 | 
| 苅田バイオマスエナジー株式会社 | 同左 | 福岡県 京都郡 苅田町 | 53.1% (連結) | 75.0 | 24円/32円 | 2021年 6月 | 九州電力送配電株式会社 | 
(注) 1.出力は発電端出力ベースの設備容量表記です。
2.買取価格は、売電先との実際の契約価格ではなく、各発電設備に対してFIT制度に基づき適用される買取価格(消費税抜表示)を示しています。
3.当社は当社連結子会社である千秋ホールディングス株式会社(以下、「千秋HD」といいます。)を通じてユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社(以下、「URE」といいます。)に出資しています。当社の千秋HDに対する持株比率(51.0%)に千秋HDのUREに対する持株比率(69.2%)を乗じて計算される、当社のUREに対する実質持株比率は35.3%です。
(運転中の陸上風力発電所一覧)(2022年3月31日時点)
| 出資先名称 | 事業者 | 住所 | 議決権の所有(被所有)割合又は出資割合 (連結区分) | 出力 (MW) | 買取価格 (1kWh当たり) | 発電開始 時期 | 売電契約先 | 
| LIEN LAP WIND POWER JOINT STOCK COMPANY | 同左 | ベトナム クアンチ省 | 40.0% (持分法) | 48.0 | 8.5cents (US$) | 2021年 10月 | VIETNAM ELECTRICITY | 
| PHONG HUY WIND POWER JOINT STOCK COMPANY | 同左 | ベトナム クアンチ省 | 40.0% (持分法) | 48.0 | 8.5cents (US$) | 2021年 10月 | VIETNAM ELECTRICITY | 
| PHONG NGUYEN WIND POWER JOINT STOCK COMPANY | 同左 | ベトナム クアンチ省 | 40.0% (持分法) | 48.0 | 8.5cents (US$) | 2021年 10月 | VIETNAM ELECTRICITY | 
(注) 1.出力は発電端出力ベースの設備容量表記です。
(3) 再生可能エネルギー開発・運営事業
「再生可能エネルギー開発・運営事業」は、再生可能エネルギー発電所のデベロッパーとして、新しい発電所の企画・開発及び建設管理を行い、その後の運営・管理も行う事業です。各再生可能エネルギー発電所は前述の「再生可能エネルギー発電事業」を行う当社の連結子会社又は関連会社により所有され、「再生可能エネルギー開発・運営事業」を行う当社及び当社の連結子会社により開発・運営・管理されています。当社グループの一般的な事業開発・運営スキームは以下の例示のとおりです。当社はプロジェクトを遂行するSPC(*8)を設立し、資金的な制約の中で複数のプロジェクトへの投資を実現させるため、共同事業者による出資を募ります。当該SPCは事業者として自治体許認可の取得、地権者と土地賃借・売買契約の締結、金融機関からの資金調達及びEPC事業者との工事契約締結(EPC契約)(*9)等を行い、再生可能エネルギー発電所を建設します。再生可能エネルギー発電所の運転開始後、SPCは発電した電気を一般送配電事業者等のオフテイカーに売電し、売電から得たキャッシュ・フローを原資として金融機関からの借入を返済し、余剰キャッシュを当社及び共同事業者に分配します。また、当社が開発を初期からリードする事業については、原則として、SPCの設立当初は、資金的な制約により当社からSPCへの出資持分比率を持分法適用水準とし、SPCが再生可能エネルギー発電所の運転開始後の売電による安定したキャッシュ・フローを計上できる段階から、順次出資持分比率を高め、SPCを連結子会社化する方針を有しています。発電所の保守・運営業務に関して、太陽光発電及び陸上風力発電の場合はO&M事業者が行い、また、バイオマス発電の場合はSPC又はO&M事業者が行います。SPCの運営管理業務に関しては当社または当社グループのAM事業者が行います。
(事業開発・運営スキームの例示)
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(*8)SPC:
特別目的会社(Special Purpose Company)のことを指しています。当社グループでは基本的に発電所毎に共同事業者が異なること、またプロジェクトファイナンスを行う上でリスク分散を図ることを理由として、発電所を立ち上げる毎にSPCを設立し、当該SPCに発電所を所有させています。なお、当社グループにおいてはSPCを株式会社として設立して株式による出資を行う場合、合同会社(GK)として設立して持分による出資を行う場合に加え、SPCを会社法上の合同会社(GK)として設立して商法上の匿名組合(TK)として営業者に出資を行う場合(TK-GKスキーム)があります。TK-GKスキームの主な特徴としては匿名組合員が有限責任であること及び営業者であるSPCの段階で法人税課税が発生せず、匿名組合員に直接課税されることが挙げられます。
(*9)EPC契約:
発電所建設において、Engineering(設計)、Procurement(調達)及びConstruction(建設)を含む一連の工程を請け負う事業者との契約を指します。
「再生可能エネルギー開発・運営事業」は、当社が主導又は参画して開発する再生可能エネルギー発電所の開発成功時に発電所を所有するSPC又は共同スポンサーから支払われる報酬(事業開発報酬(*10))、発電所の建設・運営管理に係る報酬(運営管理報酬(*11))及び配当・匿名組合分配益(*12)を収益として計上しています。年間の事業開発報酬の総額は新規発電所の開発状況により変化します。そのため「再生可能エネルギー開発・運営事業」の業績は、「再生可能エネルギー発電事業」と異なり大きく変動する傾向にあります。
(*10)事業開発報酬:
再生可能エネルギー発電所に係る事業用地確保、主要な融資関連契約の締結及び主要なプロジェクト関連契約の締結等のマイルストーンの達成をもって開発支援に係る役務の提供を完了とみなし、役務提供の完了をもって概ね開発規模に応じて支払われる報酬です。なお、SPCから受領する事業開発報酬のうち、子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する金額については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
(*11)運営管理報酬:
発電所建設の工程管理、決算及び金融機関へのレポーティング等に代表される業務に対して、発電所の建設期間及び売電期間に亘り支払われる報酬です。なお、子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する運営管理報酬については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
(*12)配当・匿名組合分配益:
「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが株式会社又は合同会社として運営されている場合は、当該SPCから当社へ支払われた配当金については当社単体の営業外収益に計上され、これはセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
また、「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが匿名組合として運営されている場合は、当該SPCで計上された利益のうちの当社出資割合分相当額についてその発生年度に匿名組合分配益として当社単体の売上高に計上し、一方損失が発生した場合は、その損失のうちの当社出資割合分相当額を匿名組合分配損として当社単体の販売費及び一般管理費へ計上しています。これらもセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
なお、これらセグメント利益に反映されたSPCからの配当金及び分配損益、匿名組合SPCからの分配損益については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
(当社グループのセグメント間取引の例示)
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(事業開発から運転開始までの流れの概要と当社の役割)
再生可能エネルギー発電所の事業開発から運転までの流れは、新たな発電事業候補の「開拓」、事業用地の確保・発電所の設計・許認可取得等の「開発」、出資・融資両面での「資金調達」、発電所の「工事」及び「運転・所有」に大別されます。当社グループは、この再生可能エネルギー発電所開発の一連のプロセスにおいて「開拓」から「工事」までにおける事業設計、エンジニアリング、協力業者や資金調達元の選定・交渉やプロセス全般の指揮・監督といった上流領域を内製化しています。次の図は再生可能エネルギー発電所の事業開発における一般的なプロセスを図示しています。(再生可能エネルギー発電所の事業開発における一般的なプロセス)
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(注) 上記は開発プロセスの例示であり、事業によって異なります。また、事業によっては「②開発」における一部のプロセスが「③資金調達」における融資実行の前提条件となる場合もあります。
「開拓」段階において、当社は事業候補の事業性評価を行い、有望事業を選別します。主な評価事項は地権者・地域関係者から同意取得の蓋然性、許認可取得の蓋然性、当社の開発基準に見合った収益性の確保、事業リスクの評価及び資金調達の蓋然性等です。当社は、当社の保有する既存発電所が存在する地域の関係者も含めた環境関連の人的・情報ネットワーク、金融機関との関係等を活用して新規事業開拓に取り組んでいます。
一定の事業性が認められた事業については、「開発」段階に進み、より詳細な検証を行うと同時に地権者協議、設計・エンジニアリング、電力会社協議、燃料の確保及び許認可取得を進めていきます。なお、風力、地熱及び水力事業においては当該検証と同時に資源量調査を行います。風力事業においては、風況観測機器を設置して一定期間に亘る風の状況を分析することにより事業性を評価します。地熱事業においては、地表調査及び掘削調査により資源量を推計して事業性を評価します。水力事業においては、流況調査により資源量を推計して事業性を評価します。また、当該検証において事業性がより高まったと判断し、かつ法令や条例により環境アセスメントの実施が定められる場合には、環境アセスメント(*13)を本格的に実施して開発を推進します。
当社は再生可能エネルギー発電所の立ち上げ・運営に必要な知見・技術・プロジェクトマネジメントのノウハウを有する専門人材を擁しています。また、大手企業グループの系列に属さない独立系の事業者として、事業毎に多様な事業パートナーと連携して事業開発を推進しています。再生可能エネルギー事業は、発電所の立地する地域の自然環境資源を活用して行うものであり、地域社会に対する配慮及び地域環境への最大限の配慮の上で開発していくものです。法令や条例で定められた許認可や環境アセスメントの実施のみならず、地域社会との対話や貢献、地域環境への配慮を重視しながら開発を進めていくことも、当該業務における当社事業開発の特徴の一つです。
「開発」が終盤に差し掛かった時点で、共同出資者を募り、プロジェクトファイナンスを組成する「資金調達」を実施します。当社は、再生可能エネルギー発電所のプロジェクトファイナンスにおいて、ハイレバレッジのファイナンス組成を実現しており、再生可能エネルギー事業において2022年3月末時点までに累計約4,000億円超のプロジェクトファイナンス組成実績(連結子会社及び持分法適用会社における約定ベース)があります。なお、前述の事業開発報酬は本段階における主要な融資関連契約及びプロジェクト関連契約の締結等に伴い発生します。
「資金調達」後は「工事」、「運転・所有」段階に進みます。当社は発電所の工事自体に関してはEPC事業者に委託し、大規模の事業を多数立ち上げて運営しているノウハウを活かして発電所建設の指揮・監督を行います。なお、前述の運営管理報酬は本段階以降、継続的に発生します。また、当社は運転開始後、長期に亘り発電所を所有・運営する方針です。当社グループは長期に亘る事業と地域へのコミットメントを示して各ステークホルダーからの信頼を醸成し、次なる事業開拓に繋げていきます。
(*13)環境アセスメント:
1997年6月に制定された国内における環境影響評価法(環境アセスメント法)は、道路、ダム、鉄道、空港、発電所等13種類の事業において環境アセスメントの手続きを行うことを定めています。また、各地方自治体が規定する環境影響評価条例(環境アセスメント条例)においては、各地域に適した環境アセスメント対象事業が別途定められています。環境アセスメント法や環境アセスメント条例の対象事業となる場合、事業者は環境アセスメントを行うことが義務付けられています。なお、海外の事業においては、各国及び各自治体の基準に則り環境影響評価を行います。
国内の環境アセスメントにおいては、「環境の自然的構成要素の良好な状態の保持」(大気環境、水環境及び土壌環境・その他の環境)、「生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全」(植物、動物及び生態系)、「人と自然との豊かな触れ合い」(景観及び触れ合い活動の場)、「環境への負荷」(廃棄物及び温室効果ガス等)の中から対象事業の性質に応じて適切な環境要素が選定され、事業者自らが調査・予測・評価を行っていきます。
(開発中の事業)
当社グループの開発中の事業に係る進捗評価基準は次のとおりです。事業の進捗度合いに応じて、①最終投資意思決定のうえファイナンス関連契約又はプロジェクト関連契約が締結され、EPC契約書上で工事の着手日を迎えている「建設中事業」、②開発が一定程度進捗している「推進中事業」、③資源量の賦存ポテンシャルが一定程度評価されており、かつ環境アセスメントや許認可取得手続き、設備設計等、事業化に必要な主要な事項が明確化され、対応に着手済みである「アセス中事業」、④当社の経営会議にて一定の事業性が確認され、経営資源を投下の上での事業開発の推進が認められた「先行投資事業」と分類しています。事業開発が成功し各発電所の運転開始に至る確率は、①建設中事業が最も高く、②推進中事業は今後の開発進捗に伴い計画が変更又は中止となる可能性もあり、③アセス中事業及び④先行投資事業は今後の調査検討に伴い中止となる可能性が相応にあります。なお、開発中の事業は当社が主導して開発を実施し、SPCに対する出資持分についても当社が筆頭の出資者となる「当社主導」事業と、パートナー企業と共同で事業を開発する「共同推進」事業に分類しています。
| ①建設中事業 | ②推進中事業 | ③アセス中事業 | ④先行投資事業 | ||
| 太陽光 | ・最終投資意思決定済み ・EPC契約に基づく工事着手日到来 | ・主要な地権者・地域 及びその他関係者の 同意取得済み ・環境アセスメント実施 (必要のある場合) | ・事業認定取得済み (国内の場合) | ・資源量の一定のポテンシャルを評価済み ・環境アセスメント、許認可取得手続き、設備設計等、事業化に必要な主要な事項に着手済み | ・事業性に関する一定の社内確認済み ・開発に必要な先行投資を開始済み | 
| バイオマス | ・燃料調達等の実現可能性確認済み | ||||
| 風力 | ・風況観測による 資源量確認済み | ||||
| 地熱 | ・地表調査及び掘削調査による資源量確認済み | ||||
| 水力 | ・流域調査による資源量調査済み | ||||
(開発中の事業一覧 ①建設中事業)(2022年3月31日時点)
| 出資先名称 | 事業者 | 住所 | 議決権の所有(被所有)割合又は出資割合 (連結区分) | 出力 (MW) | 買取価格 (1kWh 当たり) | 建設 着手時期 | 売電契約先 | 
| 人吉 ソーラー 匿名組合事業 | 合同会社 人吉 ソーラー | 熊本県 人吉市 | 38.0% (連結) | 20.8 | 36円 | 2019年 11月 | 九州電力 送配電 株式会社 | 
| 徳島津田 バイオマス 発電所 合同会社 | 同左 | 徳島県 徳島市 | 60.8% (連結) | 74.8 | 24円/32円 | 2019年 2月 | 四国電力 株式会社 | 
| 合同会社 御前崎港 バイオマス エナジー | 同左 | 静岡県 御前崎市及び牧之原市 | 38.0% (持分法) | 75.0 | 24円/32円 | 2019年 11月 | 中部電力 パワーグリッド 株式会社 | 
| 合同会社 石巻ひばり野 バイオマス エナジー | 同左 | 宮城県 石巻市 | 38.0% (持分法) | 75.0 | 24円/32円 | 2020年 3月 | 東北電力 ネットワーク 株式会社 | 
| 合同会社 杜の都 バイオマス エナジー | 同左 | 宮城県 仙台市 | 29.0% (持分法) | 75.0 | 24円/32円 | 2020年 8月 | 東北電力 ネットワーク 株式会社 | 
| 合同会社 唐津バイオマスエナジー | 同左 | 佐賀県 唐津市 | 35.0% (持分法) | 49.9 | 24円 | 2021年 8月 | 九州電力送配電株式会社 | 
| 株式会社南阿蘇湯の谷地熱 | 同左 | 熊本県 阿蘇郡 南阿蘇村 | 30.0% (持分法) | 2.0 | 40円 | 2021年 6月 | 九州電力株式会社 | 
| KIANGAN MINI HYDRO CORPORATION | 同左 | フィリピン イフガオ州 | 40.0% (持分法) | 17.4 | 5.87 PHP | 2021年4月 | - | 
(注) 1.太陽光の出力はモジュールベース(太陽電池モジュール最大出力の和)の設備容量表記です。また、バイオマスの出力は発電端出力ベースの設備容量表記です。なお、出力規模は今後の詳細設計に伴い変動する可能性があります。
2.買取価格は、売電先との実際の契約価格ではなく、各発電設備に対してFIT制度に基づき適用されている固定買取価格(消費税抜)を示しています。
3.当社は人吉ソーラー匿名組合事業に関して、他の出資者(共同スポンサー)と出資を行っています。当社は2022年3月31日現在において、「匿名組合出資持分等の譲渡に関する覚書」に基づき、発電所竣工後、共同スポンサーが保有する匿名組合出資持分を買い増す権利を有しています。当該権利を行使した場合には、当社の出資比率は100%となります。なお、当発電所の竣工は2023年6月を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
4. バイオマス発電事業の買取価格は、一般木質等バイオマスが24円/kWh、間伐材等由来の木質バイオマスが32円/kWhです。
5. 当社は徳島津田バイオマス事業に関して、他の出資者(共同スポンサー)と出資を行っています。なお、当発電所の竣工は2023年3月を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
6.当社は御前崎港バイオマス事業に関して、他の出資者(共同スポンサー)と出資を行っています。当社は2022年3月31日現在において、当該事業の出資者間契約に基づき発電所竣工後、共同スポンサーの出資持分(出資比率18.0%分)を買い増す権利を有しています。当該権利を行使した場合には、当社の議決権所有割合は56.0%(配当比率は75.0%)となります。なお、当発電所の竣工は2023年7月を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
7.当社は石巻ひばり野バイオマス事業に関して、他の出資者(共同スポンサー)と出資を行っています。当社は2022年3月31日現在において、当該事業の出資者間契約に基づき発電所竣工後、共同スポンサーの出資持分(出資比率13.0%分)を買い増す権利を有しています。当該権利を行使した場合には、当社の議決権所有割合は51.0%(配当比率は62.9%)となります。なお、当発電所の竣工は2023年5月を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
8.当社は仙台蒲生バイオマス事業(合同会社杜の都バイオマスエナジー)に関して、他の出資者(共同スポンサー)と出資を行っています。当社は2022年3月31日現在において、当該事業の出資者間契約に基づき発電所竣工後、共同スポンサーの出資持分(出資比率31.0%分)を買い増す権利を有しています。当該権利を行使した場合には、当社の議決権所有割合は60.0%となります。なお、当発電所の竣工は2023年11月を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
9. 当社は唐津バイオマス事業に関して、他の出資者(共同スポンサー)と出資を行っています。当社は2022年3月31日現在において、当該事業の出資者間契約に基づき発電所竣工後、共同スポンサーの出資持分(出資比率16.0%分)を買い増す権利を有しています。当該権利を行使した場合には、当社の議決権所有割合は51.0%となります。なお、当発電所の竣工は2024年12月を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
10.当社は南阿蘇湯の谷地熱発電事業に関して、他の出資者(共同スポンサー)と出資を行っています。なお、当発電所の竣工は2022年12月を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
11.フィリピン共和国イフガオ省キアンガンにおけるKIANGAN MINI HYDRO CORPORATIONの買取価格は、小水力発電に関するFIT対象枠の残存期間中に運転開始した場合の想定FIT単価です。
12.上記8事業のうち、「共同推進」事業である株式会社南阿蘇湯の谷地熱及びKIANGAN MINI HYDRO CORPORATIONにおける事業以外の事業は「当社主導」事業です。
(開発中の事業一覧 ②推進中事業)(2022年3月31日時点)
| 地域(電源) | 出力(MW) (予定) | 買取価格 (1kWh当たり) | 環境 アセスメント | 事業形態 (当社主導/共同推進) | 
| 熊本県天草郡苓北町 (陸上風力) | 54.6 | 21円 | 評価書の確定 | 当社主導 | 
| 福島県阿武隈 (陸上風力) | 約147 | 22円 | 必要あり | 共同推進 | 
(注) 1.出力は発電端出力ベースの設備容量表記です。なお、出力規模は今後の詳細設計に伴い変動する可能性があります。
2.買取価格は、売電先との実際の契約価格ではなく、各発電設備に対してFIT制度に基づき適用されている買取価格(消費税抜表示)を示しています。
3. 福島県阿武隈の陸上風力については、2022年4月1日に建設工事を開始しました。
(開発中の事業一覧 ④先行投資事業)(2022年3月31日時点)
| 地域(電源) | 出力(MW) (予定) | 買取価格 (1kWh当たり) | 環境 アセスメント | 事業形態 (当社主導/共同推進) | 
| 北海道函館市 (地熱) | 未定 | - | 方法書 準備中 | 当社主導 | 
| 千葉県いすみ市 (洋上風力) | 約[350-450] | - | 配慮書 完了 | 当社主導 | 
| 佐賀県唐津市 (洋上風力) | 未定 | - | 配慮書 完了 | 当社主導 | 
(注) 1.先行投資事業の一覧表は、2022年3月31日現在において、一般公知となった代表的な事業に限定したものであり、このほかに開発中の未公表事業があります。
2.地熱発電に関しては、地熱資源調査を実施しており、JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)による地熱資源開発調査事業に採択されています。
この他、当社は太陽光発電、バイオマス発電、洋上・陸上風力発電、地熱発電及び水力発電等の電源毎に専属チームを組織し、日本及びアジアで電源毎に複数事業の事業開発を進めています。これらの事業開発には当社が主導で開発を進めている事業に加え、事業パートナーと共同で推進している事業もあります。
本章にて述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
(事業の主な系統図)
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このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E32967] S100O9MP)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
	
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