有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100GCCA
富士フイルムホールディングス株式会社 研究開発活動 (2019年3月期)
当社グループは、写真感光材料やドキュメント等の事業で培った材料化学、光学、解析、画像等の幅広い基盤技術のもと、機能性材料、ファインケミカル、エレクトロニクス、メカトロニクス、生産プロセス等の技術領域で多様なコア技術を有しています。現在、さまざまな分野でビジネスを展開している当社グループでは、これらの基盤技術とコア技術を融合した商品設計によって、重点事業分野への研究開発を進める一方、将来を担う新規事業の創出も進めています。2018年11月に、富士フイルム㈱において、「ビジネス開発・創出部」を設立し、方向性の見えてきた新規ビジネステーマの事業化を加速しています。同社では、独自開発の電気音響変換フィルムをスピーカーの振動板に採用し、クリアな音質と自然な音場感を生み出す画期的なスピーカー技術「Φ(ファイ)」を新開発しました。また、2019年4月には、「バイオサイエンス&エンジニアリング研究所」を設立し、バイオ・ヘルスケア領域全体のエンジニアリング力の強化、最先端の遺伝子治療研究開発機能の強化、臨床開発の一元化による対応力強化と効率化を進めていきます。
当社グループは、理化学研究所革新知能統合研究センター(理研AIPセンター)内への「理研AIP-富士フイルム連携センター」の開設や、東京大学大学院情報理工学系研究科内への「社会連携講座」の開設など、アカデミアとも連携し、次世代AI技術を開発してきました。2018年10月にはアカデミアとの共創により次世代AI技術を開発する拠点FUJIFILM Creative AI Center「Brain(s)」(ブレインズ)を東京・丸の内に開設し、ディープラーニング用スーパーコンピュータを導入、2019年3月には長崎県長崎市に「Brain(s)九州」を開設しました。今後、幅広い分野において活用できるAI技術の開発をより強力に推進し、社会課題を解決する革新的な製品・ソリューションを提供していきます。
富士フイルム㈱は、2019年3月に、バイオ医薬品の開発・製造受託事業をさらに拡大するため、米バイオ医薬品大手Biogen Inc.の製造子会社であるBiogen (Denmark) Manufacturing ApSの発行済全株式を取得する株式売買契約を締結しました。今後、写真フィルムで培った高度な生産及び品質管理技術、当社グループ子会社の培地や細胞関連技術を活用し、グループシナジーを最大化させて、バイオ医療分野の事業をさらに拡大させていきます。
このように当社グループでは、富士フイルム㈱、富士ゼロックス㈱及びその他の子会社とのグループシナジーを強化するとともに、他社とのアライアンス、M&A及び産官学との連携を強力に推進し、新たな成長軌道を確立していきます。
当連結会計年度における研究開発費の総額は156,132百万円(前年度比7.0%減)、売上高比6.4%となりました。各セグメントに配賦していない汎用性の高い上記基盤技術の強化、新規事業創出のための基礎研究費は25,173百万円です。
当連結会計年度の主な研究開発の成果は次のとおりであります。
(1)イメージング ソリューション部門
フォトイメージング事業では、AIを活用し、ユーザーが撮りためた画像の撮影傾向を分析し、その分析結果にもとづいて個人の好みに合った画像を自動選択する技術「Personalized Select」及びフォトブックなどの過去の注文情報をもとに、そのユーザーの好みに合ったレイアウトのフォトブックに仕上げる技術「Personalized Layout」を開発しました。また、ユーザーが保有するあらゆる写真を一元的に管理・整理して、それらの写真からAIがユーザーの嗜好性を推測し、ユーザーの嗜好に合わせたさまざまな製品・サービスを提案する写真クラウドサービス「FUJIFILM PhotoBank」を開始しました。
光学・電子映像事業の電子映像分野では、高速・高精度のオートフォーカス機能と高い動画性能を搭載した「FUJIFILM X-T3」や、小型軽量ボディに最新のイメージセンサー・高速画像処理エンジンを搭載した「FUJIFILM X-T30」を発売しました。また、中判ミラーレスデジタルカメラ「GFXシリーズ」の最新モデルとして、大型イメージセンサーによる高画質と、レンジファインダースタイルを採用した「FUJIFILM GFX 50R」を2018年11月に発売しました。光学デバイス分野では、「屈曲型二軸回転機構レンズ」を搭載し、本体を動かさずにレンズの回転だけでさまざまな方向へ投写できる超短焦点プロジェクター「FUJIFILM PROJECTOR Z5000」を発売し、プロジェクター市場に新規参入しました。また、長年培ってきた光学技術と最先端の画像処理技術を結集して、焦点距離20mm~800mmをカバーする高性能「FUJINON レンズ」を搭載した、レンズ一体型の遠望監視用カメラ「FUJIFILM SX800」を新たに開発し、監視カメラ市場に新規参入します。
本部門の研究開発費は、9,861百万円となりました。
(2)ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門
メディカルシステム事業では、総重量3.5kgの軽量・小型で携帯性に優れており、在宅医療での撮影など、スペースが限られた場所での簡便なX線検査と画像確認が可能な携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair(カルネオ エックスエアー)」を発売しました。本製品は、撮影時に、当社の画像読取技術であるISS方式とノイズ低減回路を搭載したX線画像診断装置を利用することで、低線量でも高画質な画像が得られます。また、LED光源搭載内視鏡システム「6000システム」などに対応したスコープのラインアップとして、気管支内視鏡「EB-580S」を発売しました。本製品では、臓器の粘膜表層の微細な血管や構造などを強調して表示する機能「BLI(Blue Light Imaging)」や、画像の赤色領域のわずかな色の違いを強調して表示する機能「LCI(Linked Color Imaging)」などの画像強調機能を用いた観察が可能です。医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE(シナプス)」の分野では、CT画像からの臓器自動抽出や骨の経時変化表示など、AI技術を活用した画像診断ワークフロー支援を実現するAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」を開発しました。また、米インディアナ大学医学部とのAI技術を活用した医療画像診断支援システムの開発に関する共同研究契約の締結や、京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学と間質性肺炎の病変を高精度に自動で分類および定量化する技術の共同開発に成功するなど、産学連携も進めております。今後もAI技術を活用することで、画像診断における医師の診断支援やワークフローの改善に取り組んでいきます。
医薬品事業では、診断薬・治療薬の新薬開発を加速させるため、低分子医薬品の研究・開発・製造・販売を行う富山化学工業㈱と、放射性医薬品の研究・開発・製造・販売を行う富士フイルムRIファーマ㈱を統合し、富士フイルム富山化学㈱へ社名変更いたしました。今後、診断薬と組み合わせた、治療薬の効率的な臨床開発を進め、新薬上市の確度とスピードの向上を図ります。また、服用するタイミングごとにまとめて一包化された薬剤の名称と数量を自動的に判定し、調剤薬局などでの薬剤師の監査業務をサポートする一包化監査支援システム「PROOFIT 1D(プルーフィット ワンドース)」を発売しました。医薬品の開発においては、米国で臨床第I相試験を実施している抗がん剤「FF-10832」について、患部で薬剤が放出され、がん細胞に持続的に作用するメカニズムを解明し、免疫チェックポイント阻害剤との併用投与では、単剤投与の場合と比べて生存期間が延びるなど、さらに高い薬効を発揮することをマウス実験で確認しました。また、新規抗菌薬「T-4288」(一般名:ソリスロマイシン)について、国内の臨床第Ⅲ相試験にて、耳鼻咽喉科領域の感染症患者に対する有効性および安全性を確認できたことから、中耳炎や副鼻腔炎など耳鼻咽喉科感染症の治療薬として厚生労働省に製造販売承認申請を行いました。
CDMO事業では、抗体の次世代高生産性技術を開発し、医薬品開発の初期段階から臨床試験、商用生産に至るすべての段階に使用できる高品質な動物細胞株の作製期間を大幅に短縮することが可能となりました。
再生医療事業では、iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.において、創薬支援用iPS細胞由来分化細胞「iCell® Microglia(アイセル ミクログリア)」を発売しました。「iCell® Microglia」は、ヒトiPS細胞を、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの神経疾患の発症に関与することが知られているミクログリア細胞に分化誘導した創薬支援用iPS細胞由来分化細胞です。この細胞を用いることで、ヒト生体における中枢神経系に近い環境で新たな評価方法を構築できるため、新薬の研究開発の効率化に大きく貢献します。また、㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングでは、角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした、自家培養角膜上皮(開発名:EYE-01M)の製造販売承認申請を厚生労働省に行いました。「EYE-01M」は、患者自身の角膜組織の輪部から角膜上皮幹細胞を採取してシート状に培養したもので、本品を移植することにより角膜上皮を再建させ、視力、その他臨床症状(眼痛、異物感、流涙、乾燥感など)を改善させることを目的としています。
ライフサイエンス事業では、「ASTALIFT」ブランドで最も高い紫外線カット効果を持つ「アスタリフト D-UVクリア ホワイトソリューション」を発売しました。「アスタリフト D-UVクリア ホワイトソリューション」は最新の紫外線研究を活かして開発した紫外線防御剤「D-UVガード+」を新たに配合しており、顔の動きに合わせて伸縮する新処方を採用したことで、肌に塗った日焼け止めに亀裂が生じるのを防ぎ、肌の奥まで入り込む最長波紫外線「Deep紫外線」までしっかりカットします。また、米ぬか脂質に含有される成分「オリザノール」が、シミの原因となるメラノソームの形成に関わる酵素「BACE2」の働きを阻害することを発見しました。さらに、当社の独自技術により、「オリザノール」を安定的にナノ乳化し、高い浸透性を実現した「ナノオリザノール乳化物」を新たに開発しました。加えて、機能性表示食品の分野では「糖の吸収を抑える」、「腸内環境を整える」、「高めのBMIを改善する」の3つの機能を持つ機能性表示食品「メタバリアEX(イーエックス)」を発売しました。今回、機能性関与成分として「サラシノール」、「難消化性デキストリン(食物繊維)」、「エピガロカテキンガレート」、「モノグルコシルルチン」について「継続摂取によりBMIが高めの方のおなかの脂肪(体脂肪・内臓脂肪)・体重を減らすことで高めのBMIを改善する」機能があることを新たに明らかにしており、当社は、今後も科学的根拠に基づいた製品の開発を進め、機能性表示食品のラインアップを拡充していきます。
記録メディア事業では、「ビッグデータ・IoT時代を支えるバリウムフェライト磁性体を用いた大容量データテープの開発」で、第7回技術経営・イノベーション賞「経済産業大臣賞」を受賞しました。「技術経営・イノベーション賞」は、世の中を変革する優れたイノベーション事例を表彰しており、磁気特性・長期保存性に優れる「バリウムフェライト磁性体」を世界で初めてデータ記録用磁気テープの材料に採用し、データを保管する際のトータルコストを削減することで、「活用が進むビッグデータを安全・安価に長期保管したい」という社会のニーズに応えた点や、データ破損・消失のリスクが低く、HDDと比べて消費電力が少なく環境負荷が小さい磁気テープの、さらなる大容量化の道を切り拓いた点が高く評価されました。
グラフィックシステム事業では、インクジェットデジタルプレス「Jet Press」シリーズの新ラインアップとして「Jet Press 750S」を発売しました。「Jet Press 750S」は、商業印刷分野および紙器パッケージ印刷分野向けに、オフセット印刷を凌駕する高画質を実現し、国内外で高い評価を得ている「Jet Press 720S」の特長はそのままに、最新のプリントヘッドやインクの採用により毎時3,600枚という高速出力を可能としました。また、従来比1.5倍の高い耐刷性・UV印刷適性を実現した、SUPERIA完全無処理サーマルCTPプレート『SUPERIA ZD-II』を発売しました。本製品は、2017年に発売した高耐刷タイプの完全無処理サーマルCTPプレート『SUPERIA ZD』をさらに進化させ、耐刷性・品質安定性・視認性を高めているのが特長です。これにより、昨今導入が増えているUV印刷や、オフセット輪転機でのロングラン印刷などにおいてもより安定した印刷が可能になります。
本部門の研究開発費は、69,804百万円となりました。
当社グループにおける新薬開発状況は以下のとおりです。(2019年6月現在)
(3)ドキュメント ソリューション部門
ドキュメント事業領域では新たな価値提供戦略「Smart Work Innovation(スマートワーク・イノベーション)」を具現化する商品・サービスを提供しました。
データ・プライバシー・デバイス保護の国際基準に準拠するようセキュリティー機能を強化し、「やさしい、かんたん・あんしん、つながる」をコンセプトに基本機能とデザインを刷新したデジタルカラー複合機「ApeosPort-Ⅶ C / DocuCentre-Ⅶ C」シリーズ16機種を、日本およびアジア・パシフィック地域で発売しました。またA3デスクトップモノクロプリンターの商品ラインアップを8年ぶりに一新、クラス最小サイズでデスクサイドや窓口業務の生産性を支える「DocuPrint 3200 d」、「DocuPrint 3500 d」と、高速・高耐久で、基幹業務向け「DocuPrint 4400 d」の3機種を発売しました。
ソリューション・サービスについては、富士ゼロックス独自の人工知能技術である「Document AI」を活用し、大量の帳票データ処理を効率化・人手によるミスを低減する「高精度データエントリーサービス」、図面の検図業務などのプロセスを改善して設計者の作業負荷を軽減する「図面情報抽出サービス」、知識や経験に基づいて実施する問い合わせ対応や申請書の作成などの専門的な業務を支援する「専門知識体系化サービス」の提供を開始しました。また、オフィスとクラウドを統合したセキュアなネットワーク環境を実現する閉域網サービス「Smart Cyber Security」の提供を開始しました。さらに、買掛金管理業務領域ではEsker社(仏)と提携し、買掛金管理の業務プロセスを効率化する「買掛金管理自動化支援ソリューション」の提供を開始しました。
印刷領域では、印刷業務における生産性向上や働き方変革を実証するオープンイノベーション拠点「Future Edge(フューチャー・エッジ)」を、神奈川県の海老名事業所内に開設しました。また、富士ゼロックスの高画質データ生成技術や高速ロール紙印刷技術と、富士フイルムの枚葉型インクジェットデジタルプレスの技術を結集させ、オフセット印刷に匹敵する高品位プリントと高速印刷を両立する自社初の商業印刷向け高速ロール紙カラーインクジェットプリンター「11000 Inkjet Press」を開発し、国内で発売しました。
さらに「働き方改革」の推進で東京メトロ(東京地下鉄株式会社)と協業、駅構内でビジネスパーソンが情報漏えいの心配をせずに電話や資料作成の仕事に集中できるオフィス空間を提供する「サテライトオフィスサービス」の実証実験を開始しました。
本部門の研究開発費は、51,294百万円となりました。
当社グループは、理化学研究所革新知能統合研究センター(理研AIPセンター)内への「理研AIP-富士フイルム連携センター」の開設や、東京大学大学院情報理工学系研究科内への「社会連携講座」の開設など、アカデミアとも連携し、次世代AI技術を開発してきました。2018年10月にはアカデミアとの共創により次世代AI技術を開発する拠点FUJIFILM Creative AI Center「Brain(s)」(ブレインズ)を東京・丸の内に開設し、ディープラーニング用スーパーコンピュータを導入、2019年3月には長崎県長崎市に「Brain(s)九州」を開設しました。今後、幅広い分野において活用できるAI技術の開発をより強力に推進し、社会課題を解決する革新的な製品・ソリューションを提供していきます。
富士フイルム㈱は、2019年3月に、バイオ医薬品の開発・製造受託事業をさらに拡大するため、米バイオ医薬品大手Biogen Inc.の製造子会社であるBiogen (Denmark) Manufacturing ApSの発行済全株式を取得する株式売買契約を締結しました。今後、写真フィルムで培った高度な生産及び品質管理技術、当社グループ子会社の培地や細胞関連技術を活用し、グループシナジーを最大化させて、バイオ医療分野の事業をさらに拡大させていきます。
このように当社グループでは、富士フイルム㈱、富士ゼロックス㈱及びその他の子会社とのグループシナジーを強化するとともに、他社とのアライアンス、M&A及び産官学との連携を強力に推進し、新たな成長軌道を確立していきます。
当連結会計年度における研究開発費の総額は156,132百万円(前年度比7.0%減)、売上高比6.4%となりました。各セグメントに配賦していない汎用性の高い上記基盤技術の強化、新規事業創出のための基礎研究費は25,173百万円です。
当連結会計年度の主な研究開発の成果は次のとおりであります。
(1)イメージング ソリューション部門
フォトイメージング事業では、AIを活用し、ユーザーが撮りためた画像の撮影傾向を分析し、その分析結果にもとづいて個人の好みに合った画像を自動選択する技術「Personalized Select」及びフォトブックなどの過去の注文情報をもとに、そのユーザーの好みに合ったレイアウトのフォトブックに仕上げる技術「Personalized Layout」を開発しました。また、ユーザーが保有するあらゆる写真を一元的に管理・整理して、それらの写真からAIがユーザーの嗜好性を推測し、ユーザーの嗜好に合わせたさまざまな製品・サービスを提案する写真クラウドサービス「FUJIFILM PhotoBank」を開始しました。
光学・電子映像事業の電子映像分野では、高速・高精度のオートフォーカス機能と高い動画性能を搭載した「FUJIFILM X-T3」や、小型軽量ボディに最新のイメージセンサー・高速画像処理エンジンを搭載した「FUJIFILM X-T30」を発売しました。また、中判ミラーレスデジタルカメラ「GFXシリーズ」の最新モデルとして、大型イメージセンサーによる高画質と、レンジファインダースタイルを採用した「FUJIFILM GFX 50R」を2018年11月に発売しました。光学デバイス分野では、「屈曲型二軸回転機構レンズ」を搭載し、本体を動かさずにレンズの回転だけでさまざまな方向へ投写できる超短焦点プロジェクター「FUJIFILM PROJECTOR Z5000」を発売し、プロジェクター市場に新規参入しました。また、長年培ってきた光学技術と最先端の画像処理技術を結集して、焦点距離20mm~800mmをカバーする高性能「FUJINON レンズ」を搭載した、レンズ一体型の遠望監視用カメラ「FUJIFILM SX800」を新たに開発し、監視カメラ市場に新規参入します。
本部門の研究開発費は、9,861百万円となりました。
(2)ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門
メディカルシステム事業では、総重量3.5kgの軽量・小型で携帯性に優れており、在宅医療での撮影など、スペースが限られた場所での簡便なX線検査と画像確認が可能な携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair(カルネオ エックスエアー)」を発売しました。本製品は、撮影時に、当社の画像読取技術であるISS方式とノイズ低減回路を搭載したX線画像診断装置を利用することで、低線量でも高画質な画像が得られます。また、LED光源搭載内視鏡システム「6000システム」などに対応したスコープのラインアップとして、気管支内視鏡「EB-580S」を発売しました。本製品では、臓器の粘膜表層の微細な血管や構造などを強調して表示する機能「BLI(Blue Light Imaging)」や、画像の赤色領域のわずかな色の違いを強調して表示する機能「LCI(Linked Color Imaging)」などの画像強調機能を用いた観察が可能です。医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE(シナプス)」の分野では、CT画像からの臓器自動抽出や骨の経時変化表示など、AI技術を活用した画像診断ワークフロー支援を実現するAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」を開発しました。また、米インディアナ大学医学部とのAI技術を活用した医療画像診断支援システムの開発に関する共同研究契約の締結や、京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学と間質性肺炎の病変を高精度に自動で分類および定量化する技術の共同開発に成功するなど、産学連携も進めております。今後もAI技術を活用することで、画像診断における医師の診断支援やワークフローの改善に取り組んでいきます。
医薬品事業では、診断薬・治療薬の新薬開発を加速させるため、低分子医薬品の研究・開発・製造・販売を行う富山化学工業㈱と、放射性医薬品の研究・開発・製造・販売を行う富士フイルムRIファーマ㈱を統合し、富士フイルム富山化学㈱へ社名変更いたしました。今後、診断薬と組み合わせた、治療薬の効率的な臨床開発を進め、新薬上市の確度とスピードの向上を図ります。また、服用するタイミングごとにまとめて一包化された薬剤の名称と数量を自動的に判定し、調剤薬局などでの薬剤師の監査業務をサポートする一包化監査支援システム「PROOFIT 1D(プルーフィット ワンドース)」を発売しました。医薬品の開発においては、米国で臨床第I相試験を実施している抗がん剤「FF-10832」について、患部で薬剤が放出され、がん細胞に持続的に作用するメカニズムを解明し、免疫チェックポイント阻害剤との併用投与では、単剤投与の場合と比べて生存期間が延びるなど、さらに高い薬効を発揮することをマウス実験で確認しました。また、新規抗菌薬「T-4288」(一般名:ソリスロマイシン)について、国内の臨床第Ⅲ相試験にて、耳鼻咽喉科領域の感染症患者に対する有効性および安全性を確認できたことから、中耳炎や副鼻腔炎など耳鼻咽喉科感染症の治療薬として厚生労働省に製造販売承認申請を行いました。
CDMO事業では、抗体の次世代高生産性技術を開発し、医薬品開発の初期段階から臨床試験、商用生産に至るすべての段階に使用できる高品質な動物細胞株の作製期間を大幅に短縮することが可能となりました。
再生医療事業では、iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.において、創薬支援用iPS細胞由来分化細胞「iCell® Microglia(アイセル ミクログリア)」を発売しました。「iCell® Microglia」は、ヒトiPS細胞を、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病などの神経疾患の発症に関与することが知られているミクログリア細胞に分化誘導した創薬支援用iPS細胞由来分化細胞です。この細胞を用いることで、ヒト生体における中枢神経系に近い環境で新たな評価方法を構築できるため、新薬の研究開発の効率化に大きく貢献します。また、㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングでは、角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした、自家培養角膜上皮(開発名:EYE-01M)の製造販売承認申請を厚生労働省に行いました。「EYE-01M」は、患者自身の角膜組織の輪部から角膜上皮幹細胞を採取してシート状に培養したもので、本品を移植することにより角膜上皮を再建させ、視力、その他臨床症状(眼痛、異物感、流涙、乾燥感など)を改善させることを目的としています。
ライフサイエンス事業では、「ASTALIFT」ブランドで最も高い紫外線カット効果を持つ「アスタリフト D-UVクリア ホワイトソリューション」を発売しました。「アスタリフト D-UVクリア ホワイトソリューション」は最新の紫外線研究を活かして開発した紫外線防御剤「D-UVガード+」を新たに配合しており、顔の動きに合わせて伸縮する新処方を採用したことで、肌に塗った日焼け止めに亀裂が生じるのを防ぎ、肌の奥まで入り込む最長波紫外線「Deep紫外線」までしっかりカットします。また、米ぬか脂質に含有される成分「オリザノール」が、シミの原因となるメラノソームの形成に関わる酵素「BACE2」の働きを阻害することを発見しました。さらに、当社の独自技術により、「オリザノール」を安定的にナノ乳化し、高い浸透性を実現した「ナノオリザノール乳化物」を新たに開発しました。加えて、機能性表示食品の分野では「糖の吸収を抑える」、「腸内環境を整える」、「高めのBMIを改善する」の3つの機能を持つ機能性表示食品「メタバリアEX(イーエックス)」を発売しました。今回、機能性関与成分として「サラシノール」、「難消化性デキストリン(食物繊維)」、「エピガロカテキンガレート」、「モノグルコシルルチン」について「継続摂取によりBMIが高めの方のおなかの脂肪(体脂肪・内臓脂肪)・体重を減らすことで高めのBMIを改善する」機能があることを新たに明らかにしており、当社は、今後も科学的根拠に基づいた製品の開発を進め、機能性表示食品のラインアップを拡充していきます。
記録メディア事業では、「ビッグデータ・IoT時代を支えるバリウムフェライト磁性体を用いた大容量データテープの開発」で、第7回技術経営・イノベーション賞「経済産業大臣賞」を受賞しました。「技術経営・イノベーション賞」は、世の中を変革する優れたイノベーション事例を表彰しており、磁気特性・長期保存性に優れる「バリウムフェライト磁性体」を世界で初めてデータ記録用磁気テープの材料に採用し、データを保管する際のトータルコストを削減することで、「活用が進むビッグデータを安全・安価に長期保管したい」という社会のニーズに応えた点や、データ破損・消失のリスクが低く、HDDと比べて消費電力が少なく環境負荷が小さい磁気テープの、さらなる大容量化の道を切り拓いた点が高く評価されました。
グラフィックシステム事業では、インクジェットデジタルプレス「Jet Press」シリーズの新ラインアップとして「Jet Press 750S」を発売しました。「Jet Press 750S」は、商業印刷分野および紙器パッケージ印刷分野向けに、オフセット印刷を凌駕する高画質を実現し、国内外で高い評価を得ている「Jet Press 720S」の特長はそのままに、最新のプリントヘッドやインクの採用により毎時3,600枚という高速出力を可能としました。また、従来比1.5倍の高い耐刷性・UV印刷適性を実現した、SUPERIA完全無処理サーマルCTPプレート『SUPERIA ZD-II』を発売しました。本製品は、2017年に発売した高耐刷タイプの完全無処理サーマルCTPプレート『SUPERIA ZD』をさらに進化させ、耐刷性・品質安定性・視認性を高めているのが特長です。これにより、昨今導入が増えているUV印刷や、オフセット輪転機でのロングラン印刷などにおいてもより安定した印刷が可能になります。
本部門の研究開発費は、69,804百万円となりました。
当社グループにおける新薬開発状況は以下のとおりです。(2019年6月現在)
開発番号 | 薬効・適応症 | 剤形 | 地域 | 開発段階 |
T-705 | 抗インフルエンザウィルス薬 | 経口 | 米国 | PhⅢ |
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)治療薬 | 経口 | 日本 | PhⅢ | |
T-3811 | キノロン系合成抗菌薬 | 経口 | 中国 | 承認申請中 |
T-2307 | 抗真菌薬 | 注射 | 米国 | PhⅠ |
開発番号 | 薬効・適応症 | 剤形 | 地域 | 開発段階 |
T-817MA | アルツハイマー型認知症治療薬 | 経口 | 米国 日本 | PhⅡ PhⅡ |
T-4288 | 新規フルオロケトライド系抗菌薬 | 経口 | 日本 | 承認申請中 |
FF-10501 | 骨髄異形成症候群治療薬 | 経口 | 日本 米国 | PhⅠ PhⅡ |
FF-10502 | 進行・再発固形がん治療薬 | 注射 | 米国 | PhⅡ |
FF-21101 | 進行・再発固形がん治療薬(Armed抗体) | 注射 | 米国 | PhⅡ |
F-1311 | 前立腺がん診断薬(放射性医薬品) | 注射 | 日本 | PhⅡ |
FF-10101 | 急性骨髄性白血病治療薬 | 経口 | 米国 | PhⅠ |
F-1515 | 神経内分泌腫瘍治療薬(放射性医薬品) | 注射 | 日本 | PhⅠ/Ⅱ |
FF-10832 | 進行性固形がん治療薬(ゲムシタビンリポソーム) | 注射 | 米国 | PhⅠ |
F-1614 | 難治性褐色細胞腫治療薬(放射性医薬品) | 注射 | 日本 | PhⅡ |
(3)ドキュメント ソリューション部門
ドキュメント事業領域では新たな価値提供戦略「Smart Work Innovation(スマートワーク・イノベーション)」を具現化する商品・サービスを提供しました。
データ・プライバシー・デバイス保護の国際基準に準拠するようセキュリティー機能を強化し、「やさしい、かんたん・あんしん、つながる」をコンセプトに基本機能とデザインを刷新したデジタルカラー複合機「ApeosPort-Ⅶ C / DocuCentre-Ⅶ C」シリーズ16機種を、日本およびアジア・パシフィック地域で発売しました。またA3デスクトップモノクロプリンターの商品ラインアップを8年ぶりに一新、クラス最小サイズでデスクサイドや窓口業務の生産性を支える「DocuPrint 3200 d」、「DocuPrint 3500 d」と、高速・高耐久で、基幹業務向け「DocuPrint 4400 d」の3機種を発売しました。
ソリューション・サービスについては、富士ゼロックス独自の人工知能技術である「Document AI」を活用し、大量の帳票データ処理を効率化・人手によるミスを低減する「高精度データエントリーサービス」、図面の検図業務などのプロセスを改善して設計者の作業負荷を軽減する「図面情報抽出サービス」、知識や経験に基づいて実施する問い合わせ対応や申請書の作成などの専門的な業務を支援する「専門知識体系化サービス」の提供を開始しました。また、オフィスとクラウドを統合したセキュアなネットワーク環境を実現する閉域網サービス「Smart Cyber Security」の提供を開始しました。さらに、買掛金管理業務領域ではEsker社(仏)と提携し、買掛金管理の業務プロセスを効率化する「買掛金管理自動化支援ソリューション」の提供を開始しました。
印刷領域では、印刷業務における生産性向上や働き方変革を実証するオープンイノベーション拠点「Future Edge(フューチャー・エッジ)」を、神奈川県の海老名事業所内に開設しました。また、富士ゼロックスの高画質データ生成技術や高速ロール紙印刷技術と、富士フイルムの枚葉型インクジェットデジタルプレスの技術を結集させ、オフセット印刷に匹敵する高品位プリントと高速印刷を両立する自社初の商業印刷向け高速ロール紙カラーインクジェットプリンター「11000 Inkjet Press」を開発し、国内で発売しました。
さらに「働き方改革」の推進で東京メトロ(東京地下鉄株式会社)と協業、駅構内でビジネスパーソンが情報漏えいの心配をせずに電話や資料作成の仕事に集中できるオフィス空間を提供する「サテライトオフィスサービス」の実証実験を開始しました。
本部門の研究開発費は、51,294百万円となりました。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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