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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100G0S4

有価証券報告書抜粋 コニカミノルタ株式会社 研究開発活動 (2019年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び「Giving Shape to Ideas」というお客様への約束を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術に関わる研究開発はもとより、コア技術を高度化し更に複合化・融合化するとともにICT技術と組み合わせることにより、お客様本位の新製品・新技術の開発を進めております。
当連結会計年度においては、中期経営計画「SHINKA 2019」に基づいた中期経営戦略基本方針に対応して、「継続的なイノベーション創出」、「技術競争力の実践的強化」の技術戦略の基本方針を定め推進してまいりました。
IoTビジネス領域では、中小企業の働き方改革を支援する、複合機に高性能サーバーとITサービスを一体化した新サービス「Workplace Hub(ワークプレイス ハブ)」の開発をパートナー企業と実施し、欧州を皮切りにグローバルで順次発売を開始しました。2019年度には日本での販売を予定しております。商業・産業印刷分野では、発売以来高い評価を獲得している自動品質最適化ユニット「IQ-501」に加わる新機能として、業界初の自動リカバリー印刷機能を備えた「自動検品システム」を上市いたしました。これは、当社の欠陥検出技術により、インラインで不適合品を自動検出し排出するだけでなく、不適合品の自動リカバリー印刷まで簡単に実行でき、オペレーターのスキルレベルに依らず検品作業の負荷を低減し、ワークフローを改善いたします。バイオヘルスケア分野では、米国の遺伝子診断技術をもつAmbry社、創薬支援事業を展開するInvicro社の技術と、当社の保有するタンパク質高感度定量検出技術(HSTT)を融合し、がんやアルツハイマーといった疾患に対する個別化医療を国内において本格的に推進するため、新会社「コニカミノルタプレシジョンメディシンジャパン株式会社」を設立いたしました。今後、製薬企業、学術研究機関、医療機関に向けて、日本で本格的なサービスの提供を始めます。
また、持続可能な地球・社会の実現をめざし、「環境」をメインテーマとして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発も進めております。長年培った多様な環境技術やノウハウを取引先や顧客に提供し、協働で社会全体のCO2排出量削減に努めるとともに、売上拡大やコストダウンといった事業貢献と両立する施策を、ワールドワイドで着実に推進しております。その結果、2050年に製品ライフサイクルにおけるCO2排出量を2005年度比で80%削減するという長期環境ビジョン「エコビジョン2050」に対して、2018年度実績は約104万トンで49.6%削減まで到達しております。
また、人為的なCO2排出の主要因となる化石燃料に依存しない再生可能エネルギー社会へいち早く適合し事業運営することが、持続的に成長できる企業の必須要件であるとの考えから、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す国際リーダーシップイニシアチブ「RE100」に加盟いたしました。2050年までに自社の事業活動で使用する電力の調達を100%再生可能エネルギーにする目標を設定しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は783億円となりました。そのうち、オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業に係る研究開発費が409億円、ヘルスケア事業に係る研究開発費が46億円、産業用材料・機器事業に係る研究開発費が125億円、バイオヘルスケア分野を含むその他事業及び基礎研究費用が203億円であります。各事業部門別の研究の目的、主要課題及び研究成果は以下のとおりであります。

(1)オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業
オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業においては、主に複合機やデジタル印刷システムの情報機器から資材、各種ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、個々のお客様の働き方に合わせたクラウド利用サービス、ワークフローソリューションのご提案を合わせて行っております。
当連結会計年度においては、オフィスユニットでは、限られたスペースにも設置可能なA4機の新ラインナップとして、A4モノクロ複合機「bizhub(ビズハブ)4052/3622/3602P」を発売しました。モバイルプリント・クラウドに対応し、より簡単にモバイル端末との連携が可能となりました。また、当社の出力環境最適化サービス(OPS:Optimized Print Services)をご利用いただくことにより、お客様の設置スペースやレイアウトを考慮した上で、A3サイズ対応の複合機bizhubシリーズと組み合わせた最適配置と印刷環境を提供し、これからの新しい働き方に貢献いたします。
プロダクションプリントユニットでは、クラス最高レベルの厚紙対応や長尺印刷などの新機能により用途を拡大し、生産性を向上させたデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス)6136/6136P/6120」を開発・商品化いたしました。従来のライトプロダクションプリント領域でのユーザーに加えて、生産性と用紙対応力を強化して使用用途を広げ、より多様な印刷を志向するユーザーへの展開拡大を推進しております。さらに、デジタル箔押し機やAccurioPro(アキュリオプロ)シリーズのワークフローソフトウェアなどとともに、高い信頼性に加え、高い付加価値と生産性を実現するソリューションの提案を行っております。
産業印刷ユニットにおいては、プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの“三位一体”の開発・展開を最大の特長として、拡大し続ける様々なアプリケーション(出力用途)への対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を強化・推進しております。

環境性能面では、「エコビジョン2050」達成に向けて、製品開発活動において省エネ技術、軽量化技術、石油由来資源削減技術、高耐久化技術等を開発しております。その取り組みにより、A3カラー複合機では、再生プラスチックの採用拡大や業界トップクラスのスリープ待機電力0.5Wを実現しTEC値(注)を従来機から大幅に削減しました。2018年7月上市のA4モノクロ複合機「bizhub 4052/3622/3602P」では、省電力性能を強化し、国際エナジースタープログラムVer.2.0のTEC値基準を大幅にクリアしたうえ、「bizhub 4052/3622」では従来機よりもさらに約22-26%の電力削減を実現しました。その結果、CO2排出量の大幅な削減等、環境負荷低減に成功し、お客様のTCO(トータル・コスト・オブ・オーナーシップ)削減にも効果的な製品開発を推進しております。
デザイン面では、フラッグシップモデルであるA3カラー複合機「bizhub C759」を筆頭に「bizhub」シリーズ全体の統一デザインコンセプトである「INFO-Palette(インフォ パレット)」を共通に展開し、シリーズ全体での高い操作性を継承しております。新たに商品化したA4モノクロ機「bizhub 4052/3622/3602P」もbizhubシリーズとして一貫した外観デザインを継承しております。特に「bizhub 4052」では7インチ操作パネルを搭載し、オフィス内でA3機種と混在した利用環境においてもさらなる利便性と効率化の向上を可能にしております。
ユニバーサルデザインの観点においても、モバイル端末による複合機の遠隔操作や操作パネルのカラーユニバーサルデザインなどのソフト面と、給紙カセットの上下アクセス可能などのハード面の取り組みを従来から継続し、オフィスで働く様々なユーザーに配慮しております。また、モバイル端末から複合機にデータを入出力するアプリケーション「KONICA MINOLTA Mobile Print」はモバイルアプリケーションに求められる軽快で明快なUI(ユーザーインターフェース)を提供し、クラウドと連携したプリント、データスキャン操作を実現しております。
プロダクションプリンターのフラッグシップマシンである「AccurioPress C6136/6136P/6120」においては、シリーズ統一デザインコンセプトである「Grid & Solid(グリッドアンドソリッド)」を共通に展開し、商業・産業印刷機シリーズ全体での高いブランド性を継承しております。高品位で力強く、安心して使える製品をデザインすることに加え、商業・産業印刷領域でブランドを強固にし、よりマシンの顧客満足度を高めるよう努めております。いずれの製品も、高い操作性や合理的で無駄のない外観形状が高く評価されております。
アプリケーション面においても、UIを共通展開し、操作性の共通化を図っております。クラウド色管理システム「AccurioPro Cloud Eye」でのインターフェース上の印刷機色再現状態確認を、より簡便でより明確に、「AccurioPro Conductor」では、複数の印刷機を一元管理し、各オペレーションを自動化することで、作業効率の向上、分散印刷処理を可能とし、生産性、印刷稼働率の向上を図っております。
(注)TEC値とは「Typical Electricity Consumption」の略で、財団法人省エネルギーセンターの「国際エネルギースタープログラム」に適合するための基準となる値です。

(2)ヘルスケア事業
ヘルスケア事業においては、デジタルX線撮影装置を基盤とした付加価値サービス拡充や電子カルテ、情報システムと連携した医療機関のIT化を図るシステムソリューションビジネスの強化に加え、超音波診断装置のシリーズ拡充等により、大規模病院と地域の診療所等との医療連携、地域連携の実現やヘルスケア事業の中長期的拡大を図る研究開発を実施しております。
当連結会計年度においては、ヘルスケアユニットでは、一般X線撮影装置を用いて動画の撮影を可能とするデジタルX線動画撮影システムを開発いたしました。本システムはX線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)」と可搬型デジタルX線撮影装置「AeroDR fine(エアロディーアール ファイン)」により構成されます。CT(コンピューター断層撮影)やMRI(核磁気共鳴画像装置)が仰向けに寝た状態で撮影を行うのに対して、本システムは体を起こした立位で撮影できるので、日常生活に近い状態を観察することが可能です。さらに、さまざまな画像処理を用いて“動き”の定量化を行い、診断価値の向上に貢献いたします。従来の静止画においては、デジタルX線画像を個別最適化し、画像処理エンジン「REALISM(リアリズム)」の効果(強いノイズ抑制・高鮮鋭化・立体感の付与)を最大化する「REALISM tune」を開発し上市を行いました。従来は、医師が個別にコントラストを調整する必要がありましたが、本技術は被写体ごとにダイナミックレンジ圧縮強度を自動で調整、最適化し、撮影部位の違いや被写体厚の影響を吸収するため、医師の撮影後の調整作業負担を軽減します。付加価値アプリケーションとしては、単純X線画像から病気のおそれがある部分を検出するAI(人工知能)の開発にも着手いたしました。日本人の体に合わせた診断支援プログラムを開発し、医療機器としての申請とあわせて新興国での事業可能性も探ってまいります。
超音波診断装置では、ポータブルエコー装置である「SONIMAGE(ソニマージュ) MX1」「SNiBLE(スナイブル) yb」のベッドサイドで検査や処置を行うPoint of Care領域への本格展開を開始し、小型化・高度化・安全性・使いやすさを実現したデザインが評価され、2018年度グッドデザイン賞を受賞いたしました。シーメンスヘルスケア株式会社から譲受した国内経腟超音波事業では、産科婦人科領域における多くのお客様からご支持いただいておりました「SONOVISTA(ソノビスタ) FX premium edition」の後継機となる「SONOVISTA GX30」を開発し、2019年4月より発売を開始いたします。本製品は、省スペース設計でありながら高度な画像性能を実現しており、胎児検査、不妊検査の利用にとどまらず、経腹用プローブ、乳腺用プローブにも対応しているため、全妊娠期間を通じた胎児検査や乳がん検査など幅広い検査に利用できます。
医療ITユニットでは、事業統合を行ったパナソニック メディカルソリューションズ株式会社の各種システムソリューション機器とこれまで培ってきた当社製品との統合を行い、ブランドを一新、「FINO.VITA(フィノヴィータ:ラテン語で上質な人生の意味)」として新たな分野にも挑戦しております。2019年4月のITEM(国際医用画像総合展)では、新ビューア「FINO.view」及び2020年4月から義務化される線量管理の効率化、医療安全に貢献する新製品、線量管理システム「FINO.XManage(フィノエクスマネージ)」を展示、販売を開始いたします。本システムは単なる被ばく線量管理にとどまらず、画像とX線照射情報を紐づけて管理・分析し、見える化することを目指しました。撮影装置ごとの検査時間や撮影室ごとの稼働率の見える化も可能なため、装置・検査技師の最適な配置計画をサポートする等、放射線業務の総合的マネージメントを支援いたします。
また、クリニックソリューションとしてご好評をいただいている「Uniteaα(ユニティアアルファ)」については、オリンパス株式会社製内視鏡との親和性を高めるとともに、リモート保守・経営支援サービスを提供する「infomity(インフォミティ)」利用によりBone Suppression(胸部骨減弱)処理、Time Subtraction(胸部経時差分)処理が活用でき、見落とし防止や遠隔読影支援サービスも利用可能となり、とくに判断が困難な症例では「Uniteaα」が主軸となって豊富なアプリケーションとサービスにより診断支援に貢献いたします。
ヘルスケア事業は、課題提起型デジタルカンパニーを目指し、ヘルスケア分野の「診断価値向上」、「早期診断」の実現により、人々のQOL向上と医療費削減の両立に貢献してまいります。

(3)産業用材料・機器事業
材料・コンポーネント分野における機能材料ユニットにおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルム向けに、従来のTAC製品に加え、新樹脂「SANUQI」(COP系)、「SAZMA」(アクリル系)等を新プラットフォームとする高付加価値商品の開発展開を開始し、2.5mの広幅生産への対応も進めております。更に、これら新樹脂を用い、偏光板保護フィルム以外の市場へも展開できる商品の準備を進めております。
光学コンポーネントユニットにおいては、新たに車載用レンズユニットやドローン用レンズユニットを開発し、販売開始しました。今後は光学技術・コンポーネント技術に加え材料開発との連携強化で新規事業の事業化推進を図ってまいります。
IJコンポーネントユニットにおいては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、パナソニックインクジェットヘッド事業買収での技術の獲得により、さらなる製品ラインナップの拡充に取り組んでおります。
産業用光学システム分野における計測機器ユニットにおいては、トップメーカーとしてディスプレイ・光源色測定及び自動車メーカーなど幅広いアプリケーションで使用される物体色測定の分野で高品質な製品を提供しております。当連結会計年度においては、物体色測定用に従来機より測定性能を向上させた新世代の分光測色計「CM-26d/CM-25d」を発売いたしました。また、ドイツのInstrument Systems社からは画素数を倍増させたイメージング色彩輝度計「LumiTop4000」を発売、米国のRadiant社からはイメージング色彩輝度計用にディスプレイの明るさ、色の視野角特性の評価用新レンズを発売し、主たる測定分野において、さらなる製品拡充を図りました。

事業等のリスク株式の総数等


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