有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100G4KQ
ハリマ化成グループ株式会社 研究開発活動 (2019年3月期)
当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産する唯一のメーカーとして、原料基盤を強化する中で再生可能なバイオマス原料の機能を追求し、さらに創業以来培ってきた高分子合成・評価、乳化・分散などの界面制御、接着・接合などコア技術の融合により先進的な研究開発を進めています。
主力のパインケミカル関連事業は既存製品の国内市場が縮小傾向の中、技術の深耕を行う事で当社独自技術、製品の開発に注力しました。その基本コンセプトは「表面、界面、乳化をコントロールする」です。
その結果、樹脂、製紙薬品、電子材料及び新規事業分野においても大きな足掛かりを得ることができました。引き続いて同コンセプトに基づいた商品開発に注力するとともに、開発した商品の市場導入を強力に進めていきます。また、グローバル展開という観点では、ローターをはじめとした海外グループ会社との一層の緊密化を図り、国内開発品の海外への導入や新規開発テーマでの連携が進展しました。
新規分野については、物質の表面・界面状態の制御や混合物の分散といった既存事業分野で培った基幹技術をもとに、それらの機能を活かした技術により新たな価値を創造することを目標に開発を推進しています。そのような高機能化技術の適用先としては、例えば、今後も益々、社会生活の中でその重要度が高まる電子部品や電池製品の各種構成部材を対象のひとつとしています。また、環境負荷軽減の観点から関心が高まっているプラスチック使用量削減という動向に着目し、その動きを加速するプラスチック表面の機能化材料の開発も進めています。さらに、松由来の天然資源の生成メカニズム探索、および資源の有効活用法も視野に入れた研究も大学や外部機関と連携しながら取り組んでいます。
当連結会計年度の研究開発費は、2,594百万円、特許の登録件数は国内12件、海外が22件、国内の出願件数は8件でした。
(1)樹脂化成品
当事業においては、塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、機能性樹脂、合成ゴム乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム140万トン、塗料165万トン、印刷インキ35万トン、粘接着剤92万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下、当社は、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。
塗料用樹脂においては、建築外壁用に環境に配慮した弱溶剤型樹脂の開発を進め、耐久性に優れた新製品の販売を開始しました。また、塗料の水系化が進む中で当社が得意とする建築外装塗料用樹脂の水系化に取り組み、完成間近になっています。
印刷インキ用樹脂においては、縮小傾向が続く平版インキ市場へ当社独自の原料であるトール油製品を適用した樹脂の新製品を投入しました。また、市場が拡大しているUV硬化型インキ向けにロジンを使用した新製品を開発しました。
粘接着剤用樹脂に関しては、より高温などの使用環境下への適用も可能とする耐熱性を高めた新規タッキファイヤーを開発中です。また、ゴム用の添加剤についても各種ゴムの要求特性に適した様々な新規ロジンの開発を顧客評価も通じて推進しています。
機能性樹脂分野では、光学フィルム用の屈折率調整ハードコート剤の新製品を販売開始しました。また、自動車の塗装を保護する目的で貼られるペイントプロテクションフィルムと呼ばれるフィルムに、傷・汚れ防止機能を付与するコート剤の販売を開始しました。
合成ゴム用乳化剤については、当社のトール油製品がゴムの合成時にどのように機能しているかを検証しながら、より性能を高めるために開発を進めています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は539百万円でありました。
(2)製紙用薬品
当事業においては、水性樹脂の合成をコア技術として、段ボール等に使用される板紙の強度を高める紙力増強剤、紙や板紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するサイズ剤、紙や板紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する塗工剤といった、製紙工程で使用される機能性薬剤に関する開発を行っています。
2018年の日本国内における紙・板紙の内需量は、昨年比2.0%減の2,605万トンとなる見込みで、2011年以降、マイナス成長が続いています。しかし、段ボールに使用される板紙はプラス成長で推移しており、2018年も前年を上回りました。デジタル化等の影響によって印刷用途は減少が続いていますが、パッケージング用途は段ボールや飲料・食品包装向けを中心に伸びています。国内の製紙会社では、工場の統廃合、紙・板紙の価格修正により収益改善を進めると同時に、海外事業に加えて、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった成長分野への事業展開を進めています。
当社では、このような製紙業界の動向を踏まえ、パッケージング用途で使用される板紙の中性抄紙化や軽量化に対応できる製品の開発を進めています。紙力増強剤は紙力効果と共に中性サイズ剤の機能向上が期待できる新製品、ロジン系サイズ剤では併用するAlumの使用量削減に繋がる使用法(Co-mingle®法)と本使用法に適する新製品を開発し、販売を開始しました。また、これらの機能性薬剤に加えて、製紙工程における操業性や生産性を改善するために開発した工程薬剤についても実績が出てきております。さらに、食品包装用途の紙・板紙を中心とする国際的な物流環境に対応するため、間接食品添加物として海外の安全規制要件を満たした製品開発にも取り組んでいます。米国のFDAから間接食品添加物としての認証を取得したアニオン性ロジンエマルションサイズ剤のNeuRoz®シリーズやポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤のハーマイドKSシリーズは、北米や東南アジア地域で実績が出ています。また包装用紙向けを中心として、日本の顧客からも問い合わせが増えつつあります。
海外における事業展開では、北南米、中国、東南アジア地域における製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の生産量が世界第一位(1億1,577万トン/2017年)の中国では杭州杭化哈利瑪化工有限公司(浙江省)において、また世界第二位(7,228万トン/2017年)の米国ではプラズミン・テクノロジー,Inc.において、日本との連携による研究開発活動を行っています。また、東南アジアやオセアニア地域への事業展開では、日本からの技術支援による事業展開に取り組んでいます。これら諸外国の顧客では、それぞれの地域において薬剤に要求される項目が異なっており、適合する技術開発や法規制への対応を進めています。今後も、海外展開に対応できる製品開発と、個別顧客の要求に対応できる技術開発により、グローバル展開を進めていきます。
当セグメントに係る研究開発費の金額は746百万円でありました。
(3)電子材料
当事業においては、主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料の事業を展開し、お客様に安心してご使用いただけるように地球環境への配慮と信頼性を重視した製品の開発に注力しております。
昨今の自動車産業の動向について、世界的にはその販売台数は伸びており今後も新興国市場を中心に堅調な成長が予測されています。また、技術面に目を向けると、環境に配慮した低燃費の次世代型自動車の普及に加えて、先進安全・自動運転機能の実現に向けて、自動車関連分野だけでなく情報技術関連企業の積極的な進出も大きな動きとなっています。
こうした環境の中、当事業では自動車用新規材料として大手自動車部品メーカーと共同で開発したファインピッチ部品接合用の鉛フリーソルダペーストの販売が順調に増加しており、ソルダペースト全体の販売増加に寄与しております。今後もグローバル拠点への展開と新製品への採用活動の推進による販売量増加の計画を立てています。
また、多くの自動車制御装置メーカーでは、低燃費化、高機能化の実現に向けて新型の電子制御装置の開発が必要となっています。これら装置においては、はんだ付け箇所に大きなストレスがかかることから高い耐久性を有するはんだを使用する方向性が示されています。当社もこのような市場要求に応えるため高耐久性鉛フリーソルダペースト開発に注力し、早期の実績化を目指しています。
もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上も堅調に推移しています。自動車の低燃費化や電気自動車を想定した場合の自動車重量の軽量化への要望が高く、熱交換器も小型化、高機能化が求められています。
接合点の微細化、形状の多様化にも適用可能な塗布性とエネルギー使用量を削減する熱分解性に優れたろう付け材料の製品群を拡充しています。さらに環境負荷物質である有機溶剤成分を含まない無溶剤型ろう付け材料の開発を強く推進し、地球にも優しいろう付け材料の開発を推進しています。今後もこれらのろう付け材料を適用する熱交換器は自動車用用途にかかわらず拡大すると予想しています。
また、銅の粉末を特殊な樹脂に分散させた当社の銅ペーストはプリント配線板の表裏をつなぐスルーホールと呼ばれる穴に塗布し硬化させることで電気的に接合できる製品であり、既存の工法である銅めっきに比べ大幅にコストを下げられる技術として、現在、世界トップシェアの販売量となっております。現在はスルーホールの小径化に対応した製品を開発するとともに、この技術を活かした電子部品の電極用材料の開発にも注力しています。
金属のナノ粒子を溶媒に分散した“ナノペースト”は低温で加熱する事により金属粒子どうしが融着し、極めて低い電気抵抗で、かつ熱を伝えやすい硬化物になります。この特性を活かし、スマートフォンやタブレット端末の高輝度LEDなどの接合材に加え、金型の補修材の様な新規用途にも採用されています。
また、今後増えていくパワー半導体の接合材料として、金属粒子をペースト状に分散した焼結材料の開発を進めています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は732百万円でありました。
(4)ローター
当事業においては、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。
出版インキ市場は、デジタル化の進展により世界的に市場規模が縮小していますが、欧州においては、当社が出資するスウェーデンのサンパイン社で製造されたトールロジンを活用し、安定した品質で価格面でも優位性を持たせた樹脂の開発を推進しています。枚葉インキ用途は、特に食品包装関連の法規制が年々厳しくなってきており、製品の品質だけでなく、製造工程や、原材料の選別、保管管理に関しても対応できる生産体制が必要になってきております。当分野においては、食品にインキ成分が紙を通じて移行せず、食品の安全性や味覚に影響を与えないような低マイグレーション、低臭気ワニスの開発を進めております。
フレキソ、グラビアインキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されています。特に、水系フレキソインキでは、持続可能な社会の創造を標榜する末端顧客からは、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤にも天然由来成分を原料とした製品を使用したいとの要望が高くなってきています。このような顧客からの要求に応えるべく、当社では、独自のロジン変性技術と水分散技術によって、高性能でかつ環境にやさしい包装インキ用樹脂の開発を進めています。
粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とする汎用紙ラベル用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への拡大を目指しています。特に、自動車などの部品に供される当分野の製品については、顧客からのBCP(事業継続計画)策定を強く求められるようになっており、ハリマ化成の日本国内拠点とローターのグローバル拠点において、共通の製品づくりができる体制へ向けた研究開発を推進しています。
さらに、イノベーション部門の開発チームでは、既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、今後市場伸長が見込める事業の新規開発を推し進めており、研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。
当セグメントに係る研究開発費の金額は576百万円であります。
主力のパインケミカル関連事業は既存製品の国内市場が縮小傾向の中、技術の深耕を行う事で当社独自技術、製品の開発に注力しました。その基本コンセプトは「表面、界面、乳化をコントロールする」です。
その結果、樹脂、製紙薬品、電子材料及び新規事業分野においても大きな足掛かりを得ることができました。引き続いて同コンセプトに基づいた商品開発に注力するとともに、開発した商品の市場導入を強力に進めていきます。また、グローバル展開という観点では、ローターをはじめとした海外グループ会社との一層の緊密化を図り、国内開発品の海外への導入や新規開発テーマでの連携が進展しました。
新規分野については、物質の表面・界面状態の制御や混合物の分散といった既存事業分野で培った基幹技術をもとに、それらの機能を活かした技術により新たな価値を創造することを目標に開発を推進しています。そのような高機能化技術の適用先としては、例えば、今後も益々、社会生活の中でその重要度が高まる電子部品や電池製品の各種構成部材を対象のひとつとしています。また、環境負荷軽減の観点から関心が高まっているプラスチック使用量削減という動向に着目し、その動きを加速するプラスチック表面の機能化材料の開発も進めています。さらに、松由来の天然資源の生成メカニズム探索、および資源の有効活用法も視野に入れた研究も大学や外部機関と連携しながら取り組んでいます。
当連結会計年度の研究開発費は、2,594百万円、特許の登録件数は国内12件、海外が22件、国内の出願件数は8件でした。
(1)樹脂化成品
当事業においては、塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、機能性樹脂、合成ゴム乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム140万トン、塗料165万トン、印刷インキ35万トン、粘接着剤92万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下、当社は、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。
塗料用樹脂においては、建築外壁用に環境に配慮した弱溶剤型樹脂の開発を進め、耐久性に優れた新製品の販売を開始しました。また、塗料の水系化が進む中で当社が得意とする建築外装塗料用樹脂の水系化に取り組み、完成間近になっています。
印刷インキ用樹脂においては、縮小傾向が続く平版インキ市場へ当社独自の原料であるトール油製品を適用した樹脂の新製品を投入しました。また、市場が拡大しているUV硬化型インキ向けにロジンを使用した新製品を開発しました。
粘接着剤用樹脂に関しては、より高温などの使用環境下への適用も可能とする耐熱性を高めた新規タッキファイヤーを開発中です。また、ゴム用の添加剤についても各種ゴムの要求特性に適した様々な新規ロジンの開発を顧客評価も通じて推進しています。
機能性樹脂分野では、光学フィルム用の屈折率調整ハードコート剤の新製品を販売開始しました。また、自動車の塗装を保護する目的で貼られるペイントプロテクションフィルムと呼ばれるフィルムに、傷・汚れ防止機能を付与するコート剤の販売を開始しました。
合成ゴム用乳化剤については、当社のトール油製品がゴムの合成時にどのように機能しているかを検証しながら、より性能を高めるために開発を進めています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は539百万円でありました。
(2)製紙用薬品
当事業においては、水性樹脂の合成をコア技術として、段ボール等に使用される板紙の強度を高める紙力増強剤、紙や板紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するサイズ剤、紙や板紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する塗工剤といった、製紙工程で使用される機能性薬剤に関する開発を行っています。
2018年の日本国内における紙・板紙の内需量は、昨年比2.0%減の2,605万トンとなる見込みで、2011年以降、マイナス成長が続いています。しかし、段ボールに使用される板紙はプラス成長で推移しており、2018年も前年を上回りました。デジタル化等の影響によって印刷用途は減少が続いていますが、パッケージング用途は段ボールや飲料・食品包装向けを中心に伸びています。国内の製紙会社では、工場の統廃合、紙・板紙の価格修正により収益改善を進めると同時に、海外事業に加えて、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった成長分野への事業展開を進めています。
当社では、このような製紙業界の動向を踏まえ、パッケージング用途で使用される板紙の中性抄紙化や軽量化に対応できる製品の開発を進めています。紙力増強剤は紙力効果と共に中性サイズ剤の機能向上が期待できる新製品、ロジン系サイズ剤では併用するAlumの使用量削減に繋がる使用法(Co-mingle®法)と本使用法に適する新製品を開発し、販売を開始しました。また、これらの機能性薬剤に加えて、製紙工程における操業性や生産性を改善するために開発した工程薬剤についても実績が出てきております。さらに、食品包装用途の紙・板紙を中心とする国際的な物流環境に対応するため、間接食品添加物として海外の安全規制要件を満たした製品開発にも取り組んでいます。米国のFDAから間接食品添加物としての認証を取得したアニオン性ロジンエマルションサイズ剤のNeuRoz®シリーズやポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤のハーマイドKSシリーズは、北米や東南アジア地域で実績が出ています。また包装用紙向けを中心として、日本の顧客からも問い合わせが増えつつあります。
海外における事業展開では、北南米、中国、東南アジア地域における製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の生産量が世界第一位(1億1,577万トン/2017年)の中国では杭州杭化哈利瑪化工有限公司(浙江省)において、また世界第二位(7,228万トン/2017年)の米国ではプラズミン・テクノロジー,Inc.において、日本との連携による研究開発活動を行っています。また、東南アジアやオセアニア地域への事業展開では、日本からの技術支援による事業展開に取り組んでいます。これら諸外国の顧客では、それぞれの地域において薬剤に要求される項目が異なっており、適合する技術開発や法規制への対応を進めています。今後も、海外展開に対応できる製品開発と、個別顧客の要求に対応できる技術開発により、グローバル展開を進めていきます。
当セグメントに係る研究開発費の金額は746百万円でありました。
(3)電子材料
当事業においては、主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料の事業を展開し、お客様に安心してご使用いただけるように地球環境への配慮と信頼性を重視した製品の開発に注力しております。
昨今の自動車産業の動向について、世界的にはその販売台数は伸びており今後も新興国市場を中心に堅調な成長が予測されています。また、技術面に目を向けると、環境に配慮した低燃費の次世代型自動車の普及に加えて、先進安全・自動運転機能の実現に向けて、自動車関連分野だけでなく情報技術関連企業の積極的な進出も大きな動きとなっています。
こうした環境の中、当事業では自動車用新規材料として大手自動車部品メーカーと共同で開発したファインピッチ部品接合用の鉛フリーソルダペーストの販売が順調に増加しており、ソルダペースト全体の販売増加に寄与しております。今後もグローバル拠点への展開と新製品への採用活動の推進による販売量増加の計画を立てています。
また、多くの自動車制御装置メーカーでは、低燃費化、高機能化の実現に向けて新型の電子制御装置の開発が必要となっています。これら装置においては、はんだ付け箇所に大きなストレスがかかることから高い耐久性を有するはんだを使用する方向性が示されています。当社もこのような市場要求に応えるため高耐久性鉛フリーソルダペースト開発に注力し、早期の実績化を目指しています。
もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上も堅調に推移しています。自動車の低燃費化や電気自動車を想定した場合の自動車重量の軽量化への要望が高く、熱交換器も小型化、高機能化が求められています。
接合点の微細化、形状の多様化にも適用可能な塗布性とエネルギー使用量を削減する熱分解性に優れたろう付け材料の製品群を拡充しています。さらに環境負荷物質である有機溶剤成分を含まない無溶剤型ろう付け材料の開発を強く推進し、地球にも優しいろう付け材料の開発を推進しています。今後もこれらのろう付け材料を適用する熱交換器は自動車用用途にかかわらず拡大すると予想しています。
また、銅の粉末を特殊な樹脂に分散させた当社の銅ペーストはプリント配線板の表裏をつなぐスルーホールと呼ばれる穴に塗布し硬化させることで電気的に接合できる製品であり、既存の工法である銅めっきに比べ大幅にコストを下げられる技術として、現在、世界トップシェアの販売量となっております。現在はスルーホールの小径化に対応した製品を開発するとともに、この技術を活かした電子部品の電極用材料の開発にも注力しています。
金属のナノ粒子を溶媒に分散した“ナノペースト”は低温で加熱する事により金属粒子どうしが融着し、極めて低い電気抵抗で、かつ熱を伝えやすい硬化物になります。この特性を活かし、スマートフォンやタブレット端末の高輝度LEDなどの接合材に加え、金型の補修材の様な新規用途にも採用されています。
また、今後増えていくパワー半導体の接合材料として、金属粒子をペースト状に分散した焼結材料の開発を進めています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は732百万円でありました。
(4)ローター
当事業においては、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。
出版インキ市場は、デジタル化の進展により世界的に市場規模が縮小していますが、欧州においては、当社が出資するスウェーデンのサンパイン社で製造されたトールロジンを活用し、安定した品質で価格面でも優位性を持たせた樹脂の開発を推進しています。枚葉インキ用途は、特に食品包装関連の法規制が年々厳しくなってきており、製品の品質だけでなく、製造工程や、原材料の選別、保管管理に関しても対応できる生産体制が必要になってきております。当分野においては、食品にインキ成分が紙を通じて移行せず、食品の安全性や味覚に影響を与えないような低マイグレーション、低臭気ワニスの開発を進めております。
フレキソ、グラビアインキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されています。特に、水系フレキソインキでは、持続可能な社会の創造を標榜する末端顧客からは、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤にも天然由来成分を原料とした製品を使用したいとの要望が高くなってきています。このような顧客からの要求に応えるべく、当社では、独自のロジン変性技術と水分散技術によって、高性能でかつ環境にやさしい包装インキ用樹脂の開発を進めています。
粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とする汎用紙ラベル用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への拡大を目指しています。特に、自動車などの部品に供される当分野の製品については、顧客からのBCP(事業継続計画)策定を強く求められるようになっており、ハリマ化成の日本国内拠点とローターのグローバル拠点において、共通の製品づくりができる体制へ向けた研究開発を推進しています。
さらに、イノベーション部門の開発チームでは、既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、今後市場伸長が見込める事業の新規開発を推し進めており、研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。
当セグメントに係る研究開発費の金額は576百万円であります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01020] S100G4KQ)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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